
広告主や広告運用者の皆さんを悩ませるITP対策のお話です。
TPは2017年にApple社が導入して以降、
継続的なアップデートによりCookieを利用したトラッキングへの規制を強化し続けています。
Google広告やYahoo!広告では対策が確立されていて、
自動タグやコンバージョンリンカーを活用した
疑似ファーストパーティCookieによる手法が一般的です。
では、Meta広告ではどのような対策が効果的でしょうか。
Meta社の提供する「詳細マッチング」は、
ITP環境下でも安定した広告配信と計測を実現する重要なソリューションです。
本記事では、
詳細マッチングについて仕組みから実装方法まで詳しく解説していきます。
1. 詳細マッチングのメリット
詳細マッチング機能は、
Meta広告の「Facebookピクセルコード」を使った仕組みです。
Webサイトのフォームから入力されたユーザー情報を
Facebookのデータベースと照合します。
これにより、
Facebookアカウントと紐づけることが可能になります。
また、
ログインしていないユーザーの行動も追跡でき、
広告効果の測定や配信の学習に活用できます。
そのほかにも、
機能の導入により、コンバージョン単価の改善やターゲティング精度の向上も期待できます。
送信出来る情報は以下となります。
これらの情報をFacebookの会員データと照合し、マッチング処理を行います。
これにより、
ブラウザ上でFacebookにログインしていないユーザーでも、
Facebookユーザーとして認識、特定できる可能性が高まります。
またCookie情報とは別のソースで収集した情報であるため、
以下のメリットを受けられます。
- コンバージョン単価の改善
- コンバージョンを正しく把握する
- カスタムオーディエンスの規模を拡大する
1-1. ITPやクロスデバイスにより失われるユーザー情報の補完
Apple社がユーザーのプライバシー保護を目的として掲げているITPとは、
Safariユーザーのリターゲティングやコンバージョン計測の要素となるCookie情報を、
24時間で削除するといったものです。
これにより、
広告接触後24時間以上経過したユーザーの広告以外の経路でコンバージョンをした場合、
計測ができなくなって、リターゲティングリストからも消えてしまうという現状です。
加えて、
クロスデバイスやクロスブラウザといったインターネット環境の横断によっても
コンバージョンの計測が阻害されることがありました。
これらを部分的に解決できるのが、
アドバンスドマッチング(詳細マッチング)です。
この機能では、
ユーザー情報をサイトからMetaに送信、照合するため一定期間で情報が消えるのを防げます。
これまで計測が漏れていたコンバージョンも計測されるようになり、
広告のMeta学習の精度も高まります。
また、
Cookieを用いるアクションは全て改善されるため、
コンバージョン計測以外にカスタムオーディエンス規模が拡大し
リターゲティングや類似ユーザーリストなどのリーチ数も向上します。
あわせて読みたい
当然、同じ費用でリーチできるユーザー数が増えれば
インプレッション単価(クリック単価)は抑えられるはずです。
Meta社の公式見解では、
平均CV数が+10%向上、平均リーチ数+20%変化するとの記述があります。
設定1つでこれだけ改善されるなら、ぜひ実装したいですね。
1-2. リターゲティングリストの増加
やらない理由がないアドバンスドマッチングですが、
設定は広告マネージャーの管理者権限を持つユーザーのみ可能です。
広告運用権限しか適用されていない場合、
このように設定できなくなってしまいます。
設定前にご自身の権限について確認しておきましょう。
2. 詳細マッチングの種別、設定方法
詳細マッチングですが、
設定方法は手動と自動との2種類で設定ができます。
結論からお伝えするとオススメは自動なのですが、
それぞれの設定方法についてご説明します。
2-1. 手動詳細マッチング
Metaは手動、自動の両方を設定することでマッチング精度がより高まるとしていますが、
設定の工数などを考えると自動のみで十分と考えます。
収集できる情報の種類は自動も手動も変わりませんが、
手動はソースコードを編集する必要があるため、より多くの工数、動員がかかるためです。
以下のような場合は手動詳細マッチングでないと計測が出来ないので注意しましょう。
- 規制業種(金融、保険、不動産)に属しているビジネスの場合
- ログイン状態が長時間保持されるウェブサイトの場合
自動詳細マッチングでは、
ユーザーがサイトログインしたりフォームの入力を行わないと
ユーザー認識が出来ない仕様となっています。
ログイン状態が維持されるようなウェブサイトでは、
手動詳細マッチングでないとユーザー認識が出来ませんので注意しましょう。
コーディング等の経験がある方は以下の公式記事をご参考にチャレンジしてみてください。
※参考:Facebook for developers|高度なマッチング
2-2. 自動詳細マッチング
サイトのコードを編集するのが難しい場合、自動詳細マッチングで補完することが出来ます。
前準備として、
ユーザー情報を取得するフォームがあることを確認しましょう。
以下のような場合は手動詳細マッチングでないと計測が出来ないので注意しましょう。
- サイト内にユーザーが情報を入力できるフォームが存在している。
- ユーザーが関連情報を入力しやすいページにFacebookピクセルが設置されている。
- ピクセルはiframeタグ内には設置されていない。
- ビジネスが規制のある業種に該当していない。
■ 自動詳細マッチングの設定方法
①イベントマネージャー
管理画面の左側のメニュー →「イベントマネージャー」を選択
②ピクセル
アカウント名「●●_データソース」を選択 →「設定」
③設定
自動詳細マッチングから「オン」をクリック
④自動詳細マッチング
自動詳細マッチングを「オン」にしたらオプションから必要な項目を選択
新しく作成するピクセルで設定を行う時は、
インストール時に自動詳細マッチングを有効にするをオンにします。
設定後、
実際にマッチングが始まるまで最大48時間かかるので念の為注意しましょう。
3. 詳細マッチングで扱う個人情報について
詳細マッチングの自動設定を使えば、
手間もそこまでかからないことが判明しました。
気になるのはプライバシーの部分だと思います。
Facebookでは2018年にユーザー情報の漏洩事件が発生し、
プライバシー保護の脆弱性が指摘されました。
※参考:フェイスブック、5千万人情報流出の危険 昨年夏から
サイト上のユーザー情報をFacebookに送信…
セキュリティの観点から実装を迷う企業もあるかもしれません。
しかし、問題はありません!
Facebookピクセルによって取得される全てのカスタマーデータは、
Facebookサーバーへ送信される前にブラウザ上でハッシュ化されるため、
暗号化されたデータは変更することができません。
また、
Facebookはピクセルイベントとのマッチングにこのハッシュ化プロセスを使用し、
マッチした全てのデータとマッチしなかった全てのデータを、
プロセス終了後にすぐ削除されるようになっています。
マッチングに用いた元のデータは送信前に暗号化、
マッチング後に即時破棄されるそうなので安心ですね。
4. まとめ
今回はMeta広告の詳細マッチングについてご説明しました。
設定1つでCV1割、リーチ2割増が見込める、ITP対策としても優秀な設定です。
Meta広告の成果に不安のある方、最新の情報を知りたい方はお気軽にご相談ください。
下記のE-bookには、今回お話したアドバンスドマッチング以外にも、
Facebook広告を運用する上で必要な知識を凝縮してまとめております!
ぜひご活用ください!