リスティング広告は、GoogleやYahoo!の検索結果に広告を表示させることができるため、顕在層に広くアプローチできるとして多くの企業がWeb広告の取っ掛かりとして活用しています。
そのリスティング広告の中で特に重要となる要素が広告タイトルと説明文です。
ユーザーが関連するキーワードで検索した際に、どれだけ魅力的な広告文で訴求できるかが、自社のページに集客させる上で欠かせません。
とはいえ、効果につながる広告文の作成にはセンスが問われ、自社内では対応しきれないケースも少なくありません。
このような場合に効果的なのがレスポンシブ検索広告の活用です。
あらかじめ広告タイトルと説明文を複数設定しておくことで、媒体側にて効果的な組み合わせを自動で設定してくれるため、リスティング広告の効果を高めることが期待できます。
このレスポンシブ検索広告は、リスティング広告を運用していれば誰でも活用することができますが、正しく理解し、ポイントを押さえた運用を行わなければ意味がありません。
そこで今回は、レスポンシブ検索広告の概要や仕組みから、運用効果を最大化させるポイントなどについて紹介していきます。
レスポンシブ検索広告とは?
レスポンシブ検索広告とは、リスティング広告の広告文をあらかじめ複数パターン登録しておくことで、媒体側に最適な組み合わせを自動で設定させる手法のことを指します。
従来は拡張テキスト広告が活用され例ましたが、より精度を高めた運用ができることから、レスポンシブ検索広告が主流となっています。
検索ユーザーの意図や心理を汲み取り、広告文を調整していくことはリスティング広告の費用対効果を高める上で欠かせません。
また、多くのキーワードでリスティング広告を運用していると、キーワードごとに広告文を作成するには手間が発生します。
リスティング広告の費用対効果や運用効率を高める上で、レスポンシブ検索広告は効果的に活用することが可能です。
近年、機械学習が発達し、その精度やクオリティは非常に高まってきています。
このような技術を活用し、リスティング広告で表示させる広告タイトルや説明文をユーザーの検索語句に応じて最適化していくことで、ユーザーニーズを踏まえた訴求だけでなく幅広い検索キーワードに対応した運用につなげることが期待できます。
レスポンシブ検索広告と拡張テキスト広告との違い
レスポンシブ検索広告と近しい施策方法に、拡張テキスト広告があります。
拡張テキスト広告とは、広告タイトルを3つと説明文2つをセットにし、全て手動で設定する広告手法のことを指します。
従来は拡張テキスト広告が主流でしたが、そもそも拡張テキスト広告では設定した広告文の組み合わせでしか表示されず、汎用性が低い傾向にあります。
その点、レスポンシブ検索広告であれば、機械学習を搭載した媒体側が最適な組み合わせを自動で表示してくれるため、よりユーザーニーズをふまえ、且つ効率的な運用につなげることが可能です。
このような背景から、現在では拡張テキスト広告からレスポンシブ検索広告に移行する企業も多く、リスティング広告を自動化しながら運用する動きが加速化してきています。
レスポンシブ検索広告で可能になること
レスポンシブ検索広告では、設定することで下記のことが可能になります。
・媒体に最適な組み合わせで配信
・参加できるオークションの増加
下記で詳しく解説していきます。
検索クエリと関連が高い組み合わせで配信
レスポンシブ検索広告では、登録した見出しと説明文の中から、検索クエリと関連が高い組み合わせで広告を自動で配信します。
そのため、組み合わせを検証する手間が省け、効果的に広告配信ができます。
媒体に最適な組み合わせで配信
レスポンシブ検索広告では、配信する媒体によって最適な組み合わせで広告を配信します。
スマートフォンとパソコンでは画面に表示できる文字数が変わってきますが、レスポンシブ検索広告では最適な文字数の広告を表示させることが可能です。
媒体に適した広告を配信するために、説明文の長さに違いを付ける必要があります。
参加できるオークションの増加
レスポンシブ検索広告を利用することで、参加できるオークションが増加します。
レスポンシブ検索広告では、検索クエリと関連の高い広告が配信できますが、この関連性が高くなることで、品質スコアが向上します。
この品質スコアの向上が広告ランクの向上につながり、参加できるオークションが増加します。
最終的にオークションの参加機会増加により、広告が表示される回数やクリック数の増加につながる可能性があります。
レスポンシブ検索広告の活用メリット
続いて、レスポンシブ検索広告の活用メリットについても紹介していきます。
レスポンシブ検索広告には、費用対効果や運用効率を高めることが期待されていますが、その他にもメリットが挙げられます。
・検索結果に表示される広告枠の拡大
・広告文の効果検証の効率化
それぞれの内容を確認していきましょう。
広告クリック率や費用対効果の向上
レスポンシブ検索広告は、ユーザーの検索キーワードに応じて最適な広告文の組み合わせを表示させるため、広告クリック率を高めることにつながります。
出稿するキーワードに対して個別に広告文を設定していた場合、部分一致でカバーできない広告文や意味が通らない訴求で機会損失につながる可能性もあります。
その点、レスポンシブ検索広告であれば様々な検索キーワードとの一致率も上がるため、よりユーザーニーズにあわせた訴求が出来るようになり、結果的にクリック率が向上し、費用対効果を高めることも期待できます。
検索結果に表示される広告枠の拡大
レスポンシブ検索広告は、PCだけでなくスマートフォン向けにも自動で広告文がカスタマイズされます。
そのため、ユーザーのデバイスに合わせた広告枠を最大限活用することができるため、結果的に通常よりも検索結果に表示される広告枠を拡大させることも可能です。
スマートフォンでは、広告の視認性を高めるために見出しと広告文を一つにした表示形式も存在します。とはいえ、これらを一つひとつ手動で対応するには限界も生じます。
このような機会損失もレスポンシブ検索広告であれば防ぐことが期待できます。
広告文の効果検証の効率化
タイトルと説明文からなる広告文は、リスティング広告において重要な要素となります。
検索キーワード(出稿キーワード)とあわせ、最適な組み合わせでなければユーザーの興味は惹けず、集客も期待できません。
レスポンシブ検索広告であれば、この広告文を効率的に検証していくことが可能です。
効果につながる組み合わせは、コンテンツとして活用したり、他のプロモーション施策に展開させることで、相乗効果につなげることも期待できます。
レスポンシブ検索広告を活用する上での注意点
続いて、レスポンシブ検索広告を行う上での注意点についても紹介していきます。
レスポンシブ検索広告であってもデメリットは存在します。
これから運用を検討している場合には、以下のポイントは注意点として押さえておくと効果的です。
実施までに審査が必要
レスポンシブ検索広告を活用するためには、事前に媒体側による審査が必要になります。
一般的にレスポンシブ検索広告を活用して効果を最大化させたい場合には、関連する広告文を複数用意して審査を依頼していきますが、そうすると似通った内容や重複した言い回しなどが増え、審査が通らないケースも少なくありません。
レスポンシブ検索広告の審査は、通常のリスティング広告よりも厳しい傾向にあるため、何度も審査落ちしてしまう可能性も高くあります。
その結果、途中で諦めてしまう担当者も多くいますが、効果を高める上では諦めず、後程紹介する設定方法などをふまえて設定することが重要です。
分析が複雑なため煩雑になりやすい
リスティング広告に限らず、Web広告では出稿後の効果検証が必要不可欠です。
レスポンシブ検索広告も同様に分析が重要となりますが、レスポンシブ検索広告では様々な広告文のパターンを組み合わせ自動で最適化を図っているため、分析が複雑になり、且つ煩雑になる可能性があります。
この広告文の組み合わせが効果につながったという点は比較的簡単に分かりますが、どのキーワード経由でどうコンバージョンに寄与したかといった詳細までは不明なことも多々あります。
効果検証を行う際には、あらかじめ分析が複雑な点は考慮しておくと効果的です。
レスポンシブ検索広告の基本的な設定・配信方法
次に、レスポンシブ検索広告の基本的な設定方法と、配信までの流れについて紹介していきます。
注意点でもふれたように、レスポンシブ検索広告の配信を行うためには、まず入稿規定を押さえておく必要があります。
レスポンシブ検索広告の入稿規定
レスポンシブ検索広告では、事前に入稿規定が定められています。
ここではGoogleのリスティング広告における入稿規定を紹介します。
広告文の見出しタイトルや説明文は、最低と最大の入稿可能数が定められています。そのため、必ず入稿可能数に収まる広告文を用意することが重要です。
なお、表示URLは最大2個までとなるため、設定しなくても問題ありません。
レスポンシブ検索広告の入稿方法
入稿規定を押さえた上で、続いて入稿手順について紹介していきます。
①Google広告の管理画面にアクセスし、対象の広告グループから「広告とアセット」を選択します。
②「広告」に表示されている「+」ボタンをクリックし、「レスポンシブ検索広告」を選択します。
③レスポンシブ検索広告を作成したいキャンペーント広告グループを選択します。
④必要項目を入力し、「広告を保存」を選択して完了です。
入稿後に審査が入り、問題無ければそのまま対象の広告グループの設定に応じてレスポンシブ検索広告が配信されます。
レスポンシブ検索広告の運用効果を最大化させるポイント
最後に、レスポンシブ検索広告の運用効果を最大化させるポイントについても紹介していきます。
レスポンシブ検索広告の効果を最大化させるためには、以下の4つのポイントを押さえて運用していくと効果的です。
・広告タイトルは8個以上作成した方がいい
・キーワード挿入機能の活用
・ピン止め機能について
それぞれの内容を確認していきましょう。
対象の広告グループにレスポンシブ検索広告は1つ
広告グループに対してレスポンシブ検索広告は1つの方が効果的です。
2つ以上のレスポンシブ検索広告を広告グループ内に設定してしまうと、媒体側が最適な組み合わせを見つけるまでに時間がかかり、非効率になる可能性も高まります。
効果検証もしにくくなるため、レスポンシブ検索広告は設定しすぎない方がいいでしょう。
広告タイトルは8個以上作成した方がいい
一方で、レスポンシブ検索広告の広告タイトルは、8個以上設定した方が効果的です。
レスポンシブ検索広告における広告タイトルは最低3個から最大15個という入稿規定がありますが、3個や4個では最適な組み合わせを探しにくいため、中途半端に終わってしまう可能性も高まります。
様々なパターンによるバリエーションを持たせる上でも、8個以上はタイトルを用意しておくと効果的です。
その際、似通った内容や重複した言い回しなどは審査落ちの可能性が高まるため注意が必要です。
キーワード挿入機能の活用
キーワード挿入機能とは、ユーザーが検索時に使用したキーワードを広告文に自動で追加させる機能のことを指します。
レスポンシブ検索広告と同様にリスティング広告のオプションとして活用することが可能です。
この機能を活用することで、自社の商材やサービス名を検索した際に、その名称を絡めた広告文を表示させることができるため、リスティング広告の効果を更に高めることが期待できます。
ピン止め機能について
ピン止め機能とは、対象の広告タイトルを指定した位置に固定して表示させる機能のことを指します。
必ず1つめに表示される文章に入れたいものがあるとき以外は、活用しないことをお勧めします。
レスポンシブ検索広告は、ユーザーが検索したキーワードに応じてテキストを組みあわせ、最適な広告文を出すように機械学習が上手く判断してくれます。
ピン止め機能が活用されると、機械学習が上手く働かなくなり、最適な広告が出せなくなる可能性があります。
なるべくピン止め機能は使用しないことをお勧めします。
まとめ
レスポンシブ検索広告は、あらかじめ設定した複数の広告文を、媒体側に自動で表示させることで、より最適な組み合わせでユーザーに広告訴求することができます。
近年の機械学習の精度向上もあり、手動で運用するよりもユーザーニーズを汲み取り、広告効果を最大化させることも可能です。
キーワードに対して一つひとつの広告文を手動で設定していくことは、出稿キーワードの数が増えれば限界も生じます。
レスポンシブ検索広告は、費用対効果を高めるだけでなく、業務効率化という点でも効果的です。今回紹介した内容も参考に、レスポンシブ検索広告を上手く活用することで広告効果を高めていきましょう。