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【無料テンプレート付き】VRIO分析とは?4つの要素に手順、事例を解説

更新日:2021年11月30日

【無料テンプレート付き】VRIO分析とは?4つの要素に手順、事例を解説

※この記事は2021年11月30日に更新されたものです。内容が古い可能性があります。

VRIO分析は、企業が持つ経営資源の競争優位を評価する方法です。

しかし経営分析にVRIO分析が良いと聞いたけど、そもそもどのようなものかよく分からないとお悩みではないですか?

本記事ではそもそもVRIO分析とは?から、その4つの要素を使うための手順まで解説しています。記事の最後では無料のテンプレートがダウンロードできるので最後まで読んでみてください!

1.VRIO分析とは?

そもそもVRIO分析とは何でしょうか?

VRIO分析とは企業戦略論 競争優位の構築と持続の著者である、経営学教授のジェイ・B・バーニー氏が1991年に提唱した、企業が有する経営資源に注目するフレームワークです。

バーニー氏は、企業が有する経営資源の中に、競争優位性を見つけるリソース・ベースト・ビュー(RBV)=資源ベース理論を元に、VRIO分析を完成させました。

すでに保持している経営資源を4つの要素から評価し、その企業独自の強みと弱みについて分析していきます。

VRIO分析の4つの要素は以下のとおりです。

Value(経済価値)評価とは?
Rarity(希少性)評価とは?
Imitability(模倣可能性)評価とは?
Organization(組織)評価とは?

この4つの頭文字を取ってVRIO分析と呼ばれています。3つ目の要素をInimitability(模倣困難性)と書いている記事もありますが、オリジナルはImitability(模倣可能性)です。

企業の経営分析にはさまざまな手法がありますが、大きく分けてマクロ環境とミクロ環境に分けた2つの方法が一般的です。

マクロ環境とは企業の社会情勢や経済の動向など、自社ではコントロールできない外部環境によるもので、この分析にはPEST分析がよく使われます。

PEST分析について詳しく知りたい方はPEST分析とは|マーケティングは外堀から埋めようをご覧ください!

またミクロ環境は、競合先や顧客のニーズなど、自社の行動範囲で起こる外部環境を指します。

こちらは主に3C分析が適しており、3Cとは市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)に分けられます。この3C分析の1つの要素である自社(Company)の分析を行うのに、VRIO分析が使われるのです。

3C分析について詳しく知りたい方は今さら聞けないマーケティングの基礎【3C(5C)分析】とは?をご覧ください!

VRIO分析では、先に挙げた4つの要素の問いに答えることで、自社が持つ強みを分析します。

2.VRIO分析のメリットとデメリット

ここではVRIO分析のメリットとデメリットをそれぞれ2つずつ解説していきます。

2-1.メリット1:自社の強みと弱みが把握できる

VRIO分析を行うことで、自社がすでに持っている経営資源の強みを把握することができます。今後どの分野にリソースを集中させるか、意思決定するための判断の基盤になります。

また逆に自分の競争優位性を明確にすることで、弱みの発見にもつながります。

2-2.メリット2:自社の競合優位性が明確になる

自社の優位性が明確になるため、効率的な強みの整備が可能です。また資産価値も明確になるため、売却して資源を集中させるなどのドラスティックな経営判断もできます。

優位性が可視化されることで、全社員に共通の認識としてより浸透させやすくもなり、そこからミッションステートメントや、ビジョンへの作成し直しなどにも反映させることができます。

2-3.デメリット1:時間がかかる

VRIO分析にはまず経営資源の正確な把握が必要です。設備だけでなく、組織力やスタッフも資源として分析するため、企業規模が大きくなればなるほど時間がかかります。

また残念ながら競合の内部環境は把握ができません。外に出ている情報からしか推測するしかないため、希少性や模倣困難性などは競合と比較しなければいけませんが、正確に分析することは不可能です。ある程度割り切って進める必要があります。

2-4.デメリット2:定期的に繰り返す必要がある

VRIO分析には時間も費用もかかりますが、分析結果は永続的ではありません。市場の変化や、競合他社の特許取得など変化する要因は多岐に渡ります。

一度分析して終わりではなく、定期的に分析を繰り返し、分析に基づいた戦略決定が適切だったのかなど確認していく必要があります。特にパンデミックの影響で世界的に大規模な市場の変化がある場合などは、抜本的に分析のし直しがおすすめです。

3.VRIO分析の4つの問い

ここでは前述したVRIO分析の4つの問いに関してそれぞれ解説していきます。

3-1.Value(経済価値)評価とは?

Value(経済価値)評価に関する問いは、企業が保有する経営資源やケイパビリティは、その企業が外部環境における脅威や機会に適応することを可能にするかというものです。

言葉自体が難しいのですが、企業が上手く外部環境の脅威に適応するというのは市場変化のリスクに対応できるか?と言い換えられます。また、同じように機会に適応は、市場の変化のチャンスを上手く掴むことができるかともいえます。

リスクに対応してコスト削減し、企業経営を乗り切れるか、もしくはチャンスに対応して売り上げを伸ばすことができるのかということです。

それぞれの経営資源にあてはめて、リスクやチャンスに対応して価値を提供できるかという視点で問いに答えてみてください。

3-2. Rarity(希少性)評価

Rarity(希少性)評価に関する問いとはその経営資源を現在コントロールしているのは、ごく少数の競合企業だろうかというものです。

Rarity(希少性)はレアモノや珍しいという意味でも日本でも浸透している言葉です。競合の中で分析する必要がありますが、自社の技術や設備がどれだけ差別化されているかとも訳せます。

Rarity(希少性)は企業戦略において、最も大事な要素になり、マーケティング戦略の鍵になります。経営資源を確認する際に、競合生が高いか?優位性はどのくらいあるのか?といった視点で問いかけてみてください。

3-3.Imitability(模倣可能性)評価

Imitability(模倣可能性)評価に関する問いはその経営資源を保有していない企業は、その経営資源を獲得あるいは開発するコスト上の不利に直面するだろうかというものです。

競合企業が自社と同じことをしようとした場合に、簡単に真似できるのか?もしくは、コストがかからずに新規参入ができるのか?ということです。

また参入できたとしても時間がかかる場合は、その期間は自社の優位性が保てることになります。

例として分かりやすいものとしては特許や独自開発の技術などが挙げられますが、競争優位を生んでいるなら、組織文化やスタッフのレベルなど見えざる資産も含まれます。

経営資源を見る場合に、競合が簡単に真似できるか?真似できても費用や期間がどのくらいかかるのか?といった視点で問いかけてみてください。

3-4.Organization(組織)評価

Organization(組織)評価に関する問いとは企業が保有する、価値があり希少で模倣コストの大きい経営資源を活用するために、組織的な方針や手続きが整っているだろうかというものです。

これまでの3つの要素と違い、経営資源そのものではなく、経営資源を使う組織に対して問うものになります。

組織を作っている人、社員やスタッフに焦点を当てます。

例としては、企業文化の浸透や醸成、意思決定のスピード、コア・コンピテンスの理解などを評価の対象にしていきます。

4.VRIO分析の手順

ここではVRIO分析の具体的手順を紹介していきます。

4-1.VRIO分析のゴール設定

最初に行うのは、なぜVRIO分析を行うのかゴールを明確にすることです。

VRIO分析のゴールや目的としては、自社の強みを把握して、中期経営計画に生かしたい、自社の弱みを理解して、長期的投資の経営判断に利用したい、社員へコア・コンピテンスとして浸透させたいなどさまざまなものが考えられます。

ゴールの設定レベルによって、どこまで分析するのかも決まってきます。VRIO分析はゴールを細かくすればするほど、分析に時間がかかり、分析するスタッフの負担が大きくなります。

どこまで分析したらいいのか?最初に話し合い、明文化しておくことが大事です。

4-2.分析範囲の決定

2番目にVRIO分析の対象者をどこまでにするのか、決定する必要があります。大企業では全グループでやるのか、各事業部単位で行うのか、もしくは連結するグループまで巻き込んで行うのか、決めていきます。

ゴール設定に関係してきますが、目的にあわせて範囲を決めるといいでしょう。

4-3.経営資源の棚卸し

VRIO分析のために、自社が持っているものをすべて把握する必要があります。

経営資源を棚卸しするには、バリュー・チェーンの把握を行います。バリュー・チェーンは企業の価値連鎖を順番に並べ、構成要素を洗い出していくのですが、バーニー氏も書籍の中で、バリュー・チェーンを使って解説をしています。

バリュー・チェーン自体は企業ごとに変わってしまいますが、大まかな考え方は同じです。ただし、中小企業の場合は把握が簡単ですが、大企業ではレイヤーが単純でないために、複雑になりがちです。

分析範囲の決定をする際に、同じ範囲や規模のレベルで、どこのレベルまで細かくして分析をするのか揃えておく必要があります。

バリュー・チェーンの例を挙げると、あるメーカーの場合だと企画→設計→資金・資材調達→製造→梱包→販売→配送→管理などと考えられます。

たとえば管理は、販売管理、技術管理、組織管理などに分けられるとした場合、これをさらに下の階層まで掘り下げるのか、このレイヤーまでで分析をするのかルールで統一しておく必要があります。

次に決めた単位でどんな機能を持つか洗い出しをします。梱包だと、商品の検品、包装、保管の3つの機能があるとします。

最後にこの機能ごとに、経営資源があるか細かく見ていきます。検品をするノウハウ(情報)、包装する技術(人)、保管する設備(物)などが考えられます。機能ごとの洗い出しをする場合は、人、物、金、情報の4つの切り口で行います。

上記の方法で自社の経営資源の棚卸しが全て終わったら、評価に移ります。

4-4.経営資源を評価する

棚卸しをした経営資源を順番にVRIOに照らし合わせて評価していきます。

以下は先の梱包を使ったサンプルイメージです。

VRIOの順番で価値がパスしたら希少性へ。希少性がパスしたら模倣可能性へ。模倣可能性がパスしたら組織へと順番に分析していきます。

そしてVRIOの全てに○がついたものが、その企業にとって優位性がある経営資源といえます。その4段階のどこがパスしないかで、評価が変わります。こうして経営資源をすべて可視化していきます。

以下はVRIO分析のステップと経営資源の評価です。

特にボードメンバーで認識を統一することで、今後続く経営戦略の判断基準にすることができます。

たとえば競争の優位性がない場合に、どこが弱みになっていて優位性が作れていないのかが分かります。希少性を強化するのか、模倣可能性を低くするのか、どこを注力するのかなど、具体的に話し合うことができます。

ファッション通販サイトZOZOTOWNを運営する株式会社ZOZOは、AIやロボット工学の天才を年棒1億でヘッドハンティングをすると話題になりました。また株式会社サイバーエージェントもそれまではIT人材でも他の社員との給与差はあまりつけていなかったそうですが、一律の初任給給与体系を廃止しました。

それこそ競合性の強化と維持のために希少性の強化と模倣可能性を下げる効果があります。これも企業分析の結果、企業優位性を継続するための、資産再配置の一例でしょう。

参照:『「日本のIT人材安い」に大異変』 ー BUSINESS INSIDER

5.VRIO分析の事例

ユニクロとスターバックスのVRIO分析の事例を紹介します。実際は膨大な資料になるはずですが、ざっくりとしたVRIO分析のイメージの事例としてみていただければと思います。

5-1.ユニクロ

ユニクロを展開する株式会社ファーストリテイリングをVRIO分析で評価してみます。

ユニクロは生産から販売までをすべて自社で完結するSPA方式の採用が特徴的です。多くのアパレルメーカーは生産を提携企業に委託生産が多く、ユニクロのSPA方式は資金力があるため実現しています。このSPA方式と高品質低価格が一番の希少性でしょう。

経済価値:安い価格であるにもかかわらず、品質やデザインが担保されていること
希少性:企画・製造・販売までの機能を網羅したSPA方式の構築
模倣可能性:SPAモデルを他社が模倣するには多額の資金が必要
組織:一定以上の対応ができるスタッフ教育が充実しており、接客評価が高い

5-2.スターバックス

スターバックスを国内で展開する、スターバックスコーヒージャパン株式会社を例にVRIO分析をしてみます。

スターバックスはスタッフの対応が良いことでも有名ですが、従業員マニュアルは存在しません。スタッフが企業理念に照らし合わせ各々判断して、顧客対応するようになっています。結果、従業員満足度も顧客満足度も高いという好循環を生み出しています。

また独自の商品ラインにファンがついており、新商品が出るたびにファンが自主的にInstagramなどで紹介をする現象が起こっています。

経済価値:高級でおしゃれな店内。コーヒーは高いが独自の味も良い。
希少性:コーヒーが美味しく、店舗に独特の世界観がある
模倣可能性:世界中に店舗があり、どこでも高品質のサービスが約束されているため難しい
組織:スタッフに判断委譲しており、スタッフの個別対応のレベルが高い

6.まとめ

いかがでしたか?

VRIO分析に関して紹介してきました。

VRIO分析そのものの内容から、手順まで解説してきましたが、経営資源の可視化は本当に大事ですね。以下VRIO分析のための無料テンプレートのダウンロード用リンクを、下記に貼っておくのでよければお使いください。

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この記事を書いた人

変化に負けない男になることを目標に入社を決意。 得意なSNS発信(インスタとTwitter)での経験を活かしInstagramアカウントの運営を務めています! 趣味は海外一人旅、新しい人との出会いが大好きで象を操れるのが自慢です!

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