VR広告は、近年注目を集めている広告手法の1つです。
なかには「VR広告って何がすごいの?」「どんな広告を配信できる?」など、疑問を抱いている人もいるでしょう。
この記事では、VR広告の概要やメリット、活用できるプラットフォームなどを解説します。
過去に配信された事例についてもあわせて解説するので、どのような広告なのか理解を深めたい方はぜひ参考にしてみてください。
1.VR広告の概要
VR広告は「Virtual Reality(仮想現実)」を活用した広告の総称です。
ユーザーは専用のゴーグルを装着することで、コンピューター上で生成されたデジタル空間を体験できます。
これまでの広告はネット上や電車内などで見るだけでしたが、VR広告では現実とは異なる空間で没入体験が可能です。
VRで視聴できる広告や、生成されたバーチャルの街並みに広告を掲載するなど、さまざまな手法が存在します。
2.VR広告の市場規模
VR広告の市場規模は、技術の進歩や在宅への需要などにより年々増加しています。
AI技術で経済予測を行うxenoBrainによると、国内におけるVRの市場規模は1,454億円です。
また、今後5年間では48.32%成長する見込みで、市場規模は2,156億円に伸びる予測が立てられています。
VR市場が伸びていくにつれて、広告事業に参入する企業や興味を持つユーザーはさらに増えていくでしょう。
3.VR広告のメリット
VR広告を活用するメリットは、以下の5つです。
・広告から流入を得やすい
・没入感のある広告体験を届けられる
・効果測定で改善できる
・幅広い層にアプローチできる
導入することでどのような利点を得られるのか確認していきましょう。
3−1.視聴時間が長くなりやすい
仮想現実に広告を配信できるVR広告は、視聴時間が長くなりやすいです。
ユーザーの興味を惹くような演出や、コントローラーを活用した体験型の広告も配信できるため、最後までみてもらえる可能性が高まります。
表現の幅を広めながら高い継続視聴率を発揮できる点が大きなメリットです。
3−2.広告から流入を得やすい
これまでの広告は情報を発信することが主な目的でしたが、VRでは広告を見つけた後にコンテンツを体験できます。
VRを活用しているユーザーは、仮想現実の世界で何が起こっているのか注意深く観察をしていることが多いです。
広告を配信することで興味関心を持ってもらいやすく、すぐにコンテンツに誘導できる点がメリットといえます。
3−3.没入感のある広告体験を届けられる
VRを利用するには、専用のゴーグルを装着する必要があります。
現実から離れて仮想空間に入るため、体験している世界に没入しやすいです。
例えば、ホテルや賃貸など、これまでは現場まで足を運ぶことが求められていたものでも、VRを使えば没入感のある空間ですぐに試せます。
これまでの動画広告でも情報を多く盛り込むことは可能ですが、VR広告では視覚からさらに多くの情報を与えられます。
3−4.効果測定で改善できる
VR広告では、表示された広告やユーザーからの視聴について効果測定が可能です。
また、高性能なVRゴーグルではユーザーの視点をトラッキングすることもできます。
表示回数や視聴率などの基本的なデータから、ユーザーの視点まで情報を収集できるので効果測定で改善しやすい点がメリットです。
3−5.幅広い層にアプローチできる
VRはゴーグルの軽量化や小型化により、どこでも利用できるようになっています。
自宅や旅先などからアクセスできるため、広告を配信することで幅広いユーザーに興味関心を持ってもらえるでしょう。
VR広告を活用すれば、都市部に住むターゲット層に対して、地方からアプローチすることも可能です。
4.VR広告を活用できるプラットフォーム
VR広告を活用できるプラットフォームは以下の4つです。
・Alpha
・adverty
・Meta
それぞれどのような広告を配信できるのか解説していきます。
4−1.Google
Googleは、2014年に安価で手に取りやすいVRヘッドセット「Cardboard」を販売し、2016年にもプラットフォームの「Daydream」を発表しています。
YouTubeでは360°動画の投稿や視聴にも対応しており、VRを体験できる媒体として注目されています。
また、Google Earthの世界をVRで体験できる「Google Earth VR」も話題のサービスです。
現状、VR事業からは撤退気味のGoogleですが、広告や新しいサービスで市場を盛り上げてくれることでしょう。
4−2.Alpha
Alphaは、独自の3D技術を活用し、最先端の広告プラットフォームを提供している企業です。
提供されている「3D AD」というプラットフォームでは、タッチやスワイプなどによる体験型のインタラクティブ広告を配信できます。
PC・iOS・Androidなどマルチデバイスにも対応しており、さまざまなユーザーにアプローチできる点が特徴です。
4−3.adverty
Advertyは、VR広告を手がけるスウェーデンの企業です。
VRコンテンツの邪魔をすることなく没入感が高い配信ができるため、費用対効果を高められます。
ユーザーからの視線をトラッキングし、閲覧情報を確認できる「Cost per Brain Impression」という仕組みを導入している点も特徴です。
広告が見られた場合のみ料金が発生するため、透明性の高いVR広告利用を実現できます。
4−4.Meta
Metaは、メタバースの構築に重きを置いており、VRにも特に力を入れています。
2021年6月17日にはVRヘッドセット「Oculus」でVR広告のテストを開始し、モバイルアプリでの小規模な配信をスタートさせました。
また、2023年10月10日には、新型VRヘッドセット「Meta Quest 3」を販売開始しています。
比較的安価で手に取りやすいVR商品を手掛けているため、今後VRに関する事業を牽引していく企業として注目されています。
5.VR広告の事例
VR広告の事例としては、以下のような企業が挙げられます。
・グリコ
・THE NORTH FACE
それぞれどのような広告を配信したのか見ていきましょう。
5−1.東京エールワークス
板橋や有楽町などでビールの専門バーを展開している東京エールワークスは「TOKYO ALEWORKS バーチャル・ブリュワリーツアー」というVRコンテンツを配信しました。
360℃の映像により、ビールが製造される場面をその場で体験できます。
その美味しさや奥深さなど、ビールを通して得られる体験をVR上で体現しています。
5−2.グリコ
大阪に本社を置く食品メーカー「グリコ」では、VR広告動画で女優の綾瀬はるかを起用し、360°の動画を配信しています。
憧れの女優と、対面でコミュニケーションをしているような空間を演出し、話題になりました。
仮想現実という没入空間を有効活用し、ユーザーのニーズを叶えた事例の一つです。
5−3.THE NORTH FACE
THE NORTH FACEは、米国のカリフォルニア州サンフランシスコで創業され、アウトドアやランニングなどに関する商品を提供しています。
2015年に、韓国のポップアップストア内で犬ぞりの体験ができるVRを用意し、提供しているアウトドアの魅力について発信しました。
ポップ内に設置されたVRは現実と連動しており、ゴーグルを外すと実際に乗っているソリがモール内を駆け巡ります。
VRと現実を掛け合わせ、ブランドの価値を視聴者に届けた事例です。
6.VR広告を利用する際の注意点
VR広告は、これまでとは違った体験をユーザーに届けることができ、新しい取り組みとして企業のブランディングにも良い影響を与えます。
ただし、VR広告を活用する際は、仮想現実だからこそ体験できるような内容にすることが大切です。
3Dを活かした豊富な情報量や、ユーザーがコントローラーなどで没入できる仕組みなど、従来の広告とは違った取り組みを行いましょう。
また、専用のゴーグルやアプリの起動などが必要なVR広告は、一般的なWeb広告よりもユーザーへの負担が大きいです。
体験に必要な工数を減らすことも考慮し、アクセスしやすいUI/UX設計を心がけることをおすすめします。
7.まとめ
いかがでしたか?
VR広告は、仮想現実を利用してユーザーに没入体験を提供できる最新の広告手法です。
現実とは離れた空間で視聴されるため流入を得やすく、地理的に遠い見込み顧客にもアプローチしやすいメリットがあります。
Google・Metaといった大企業も関連したサービスやプラットフォームを提供しているため、今後さらに市場は盛り上がっていく見込みです。
活用を検討している方は、VRならではの体験やユーザーファーストのUI/UXで自社のマーケティングを成功させましょう。