インターネット技術の革新に伴い、Web広告の種類は多様化しつつあります。
その中でもディスプレイ広告は、テキストだけでなく画像や動画といったビジュアルも活用した訴求ができるため、多くの企業が認知度拡大やコンバージョン獲得を目的に実施しています。
実際、「ディスプレイ広告を実施しているものの思うように成果につながらない」「どうしたらディスプレイ広告の効果を高められるの?」「ディスプレイ広告の効果的な改善案って何?」などと悩まれる担当者も少なくありません。
ディスプレイ広告は、運用型広告でもあるため、日々効果検証を行いながらブラッシュアップしていくことが求められます。
そこで今回は、ディスプレイ広告を改善していく上でのコツについて、効果的な手順などとあわせ、ポイントを中心に紹介していきます。
ディスプレイ広告を改善していくことの重要性
まず、ディスプレイ広告を改善していくことの重要性について紹介していきます。
ディスプレイ広告は、運用型広告でもあるため、入稿して終わりという訳ではなく、定期的に見直していく必要があります。
その上で、ディスプレイ広告は以下の2つの戦略をもとに分類することができます。
①コンバージョン獲得を目的としたディスプレイ広告
中小企業をはじめ、多くの企業がWeb広告を活用する目的には、主にコンバージョン獲得が挙げられます。
自社の商材における購入やサービスの申し込みといったコンバージョンは、売上増加や利益拡大につながるため、いかに広告の費用対効果を高められるかが重要になります。
その際に、ディスプレイ広告ではリマーケティングやリターゲティングと呼ばれる、ユーザーのレスポンスを重要視した手法が用意されています。
一度自社のホームページを訪れたユーザーなどに対してディスプレイ広告のアプローチができるため、費用対効果を高めることが期待できます。
とはいえ、コンバージョン獲得数や費用対効果をふまえ改善していくことが求められます。
②ブランディングを目的としたディスプレイ広告
一方で、認知度拡大やブランディングを目的としたディスプレイ広告の運用もあります。
様々なWebサイトに配信できるディスプレイ広告は、潜在層に対して多くのリーチ獲得につなげることが期待できます。
この場合には、コンバージョン獲得よりもインプレッション数やクリック数、動画の視聴数などが指標になります。
ディスプレイ広告は、画像や動画などのバナーで訴求できるため、ユーザーの視覚や聴覚に訴えることが可能です。
とはいえ、クリック数や視聴数が低ければ、クリエイティブを見直し改善していく必要があります。
このように、ディスプレイ広告と一口に言っても、その目的によって見るべき指標は異なり、改善すべき要素も変わってきます。
闇雲に改善するのではなく、ディスプレイ広告の目的を明確にした上で、どの指標を参考にすべきか考慮しておくことが重要です。
ディスプレイ広告を効果的に改善していく手順
続いて、ディスプレイ広告を効果的に改善していく手順について紹介していきます。
ディスプレイ広告を改善していくためには、先ほどの重要性に関する目的を明確にした上で、以下の手順をもとに対応していくと効果的です。
①課題の洗い出し
自社のディスプレイ広告における目的に対して未達状況であれば、まずはその目的達成のための課題を洗い出していきます。
課題の洗い出しには、固定概念に縛られることなく思いつく限りの要素を挙げていくと効果的です。
この際、あくまで目的達成を意識することが重要です。
例えば、コンバージョン獲得を目的としているのに、ブランディング要素の課題を挙げても意味がありません。
間違った方向性の課題は、その後に改善しても効果にはつながりません。
②課題の分析
次に、洗い出した課題や問題点を分類・分析していきます。
改善は、工数やコストなどに応じて一度に対応できるものとそうでないものが出てきます。
その場合には、一度課題を分類し、優先度をつけていく必要があります。その上で、分析を行っていきます。
分析は、あらかじめターゲットが明確化されていれば、そのターゲットユーザーのペルソナを思い返しながら、客観的な視点に立って行うと効果的です。
③施策の策定
課題を分析できれば、解決するための改善につなげていきます。
この改善は、施策一つで課題が一気に改善する場合もあれば、複数の施策によって一つの課題を改善できる場合もあります。
そのため、特に施策一つで課題を一気に改善できる手法は積極的に対応していくと効果的です。
また、ディスプレイ広告の改善は一度で終わりではなく、何度もPDCAサイクルを回していく必要があります。
そのため、改善のために行った施策はその後の検証につなげる上でも可視化しておくと効果的です。
ディスプレイ広告を改善する上で押さえておくべきポイント
次に、ディスプレイ広告を改善する上で押さえておくべきポイントについて紹介していきます。
ディスプレイ広告の改善方法は様々存在します。とはいえ、闇雲に実施しても意味はありません。
あくまで目的と先ほどの手順をふまえた上で、改善手法の参考にすると効果的です。
①レスポンシブディスプレイ広告の活用
レスポンシブディスプレイ広告とは、ディスプレイ広告の配信面に応じてサイズやレイアウトなどを自動で調整することができる手法です。
画像だけでなく、ディスプレイ広告として一緒に表示される広告見出しや説明文なども最適化することができるため、広告効果を高めることが期待できます。
また、複数の広告クリエイティブのパターンを作成する手間もかからないため、広告運用における効率化につなげることも可能です。
②ロジックツリーの活用
ロジックツリーとは、特定の課題などに対して、その事柄を構成している要素をツリー状に書き出すことで、改善策を導き出すフレームワークのことを指します。
このロジックツリーは要素分解と原因追及、問題解決の3つから成り、ディスプレイ広告に活用することで広告効果を高めることが可能です。
先ほどの手順にもつながりますが、問題点を図解して可視化できれば、より改善にもつなげやすくなります。
③ABテストの実施
ディスプレイ広告は、レスポンシブディスプレイ広告のように1つのクリエイティブを最適化して運用することも可能ですが、別途ABテストを実施することも効果的です。
近年、ユーザーの多様化や流行の短期化が進み、何がユーザーに響くのか明確にすることは難しい傾向にあります。
このような中で、一つのクリエイティブで効果検証を繰り返すのでは時間や工数がかかります。
そのため、複数のクリエイティブをテストしながら運用することで、費用対効果を高めていくと効果的です。
④フリークエンシーキャップの活用
フリークエンシーキャップとは、1ユーザーに対して広告を何回表示するか設定することを指します。
ディスプレイ広告では、リマーケティング(リターゲティング)などを活用すれば、特定のユーザーに対して何度も広告を表示させ、コンバージョン獲得を促すことができます。
とはいえ、何度も同じ広告を表示させることは、認知度向上につながる反面で広告が鬱陶しいと感じ、マイナスイメージにつながる可能性も生じます。
効率的に費用対効果を高めるためには、フリークエンシーキャップを活用し、ターゲットとなるユーザーに対して適切なアプローチを行うことが重要です。
⑤ランディングページの最適化
コンバージョン獲得を目的としたディスプレイ広告の場合、ランディングページを見直し、改善していくことも重要です。
例えば、広告のクリック率や数が多いにもかかわらず、コンバージョン獲得に至っていない場合にはランディングページに問題があるケースも考えられます。
広告クリエイティブと連動した内容でなかったり、見た目やデザインに統一感が無い場合には、離脱率を増やす要因になっていることもあります。
また、ユーザーがアクションするためのCTAボタンが分かりにくい場合にも、改善することで費用対効果を高めることが期待できます。
⑥フォームの最適化
ランディングページだけでなく、フォームの見直し・改善も効果的です。
ディスプレイ広告によって効果的にユーザーを対象ページに遷移させ、適切なCTAボタンで購入や申し込みといったコンバージョンにつなげたとしても、最後のフォームで離脱してしまうケースも少なくありません。
フォームでユーザーが入力する内容は、そのままユーザー情報となるため、つい必要項目を多く設定してしまうことがあります。
ただ、多くの入力項目があると、ユーザー側も手間と感じて離脱してしまう可能性が高まります。
そのため、フォームの入力項目は必要最低限にとどめると効果的です。
⑦ターゲティングの見直し・改善
最後に、ターゲティングの見直し・改善もディスプレイ広告の効果を高めるためには必要です。
目的やターゲットは、広告運用前に設定するものではありますが、いざ広告を実施してみると、そもそも狙うべきターゲットとは違ったというケースも起こり得ます。
ターゲットが異なれば、いくら改善を行っても効果にはつながりません。とはいえ、配信面の変更やクリエイティブの作成など、ディスプレイ広告の改善には工数やコストが発生するものも多くあります。
ターゲットの違いはこれらの施策が根本から無駄になる可能性もあるため、1つの改善でターゲットの見直しを図るのではなく、慎重に検討していくことが重要です。
弊社改善事例
次に、弊社のディスプレイ広告改善事例を紹介します。
ターゲティングの見直し・改善による改善事例です。
Yahoo!ディスプレイ広告において、獲得を目的とする配信を行い、サーチターゲティングを実施しました。
サーチターゲティングとは、ユーザーが検索すると思われるキーワードや検索広告での獲得キーワードを活用したターゲティングで、指定したキーワードを検索したユーザーに対して広告が配信されます。
本事例では、主要ワードのほか、ユーザーが閲覧する可能性があるメディアの名前等のキーワードをリストで分けて配信しました。
その結果、追加したリストを中心に、獲得数が大幅な増加に繋がりました。
まとめ
ディスプレイ広告は、認知度拡大だけでなくコンバージョン獲得にもつながるため、多くの企業がプロモーション施策として活用しています。
ターゲットをふまえ画像や動画によって訴求できる点は、ユーザーにも響きやすく効果につながりやすい特徴もあります。
一方で、運用型広告であるため、費用対効果を高めるためには定期的に改善していくことが重要です。
闇雲に改善しても効果にはつながりません。
今回紹介した内容も参考に、ディスプレイ広告の目的をふまえた上で、適切な運用・改善につなげていきましょう。