近年市場が拡大しているというD2Cですが、なかにはどのようなビジネスモデルなのか理解しきれていない方もいるのではないでしょうか。
D2Cは、インターネットやIT技術が進化していく世の中において、重要な販売戦略となりえます。
この記事では、D2Cが広まった背景やメリット・デメリットなどを解説していきます。
合わせて、D2Cで成功するためのポイントについても紹介するので、今後新たなビジネスモデルとして取り入れていきたいという方もぜひ最後までお読みください。
1.D2Cとは?
D2Cは「Direct to Consumer」の略称であり、企業が提供する商品を自社サイト内にて直接販売するビジネスモデルを指しています。
Amazonや楽天市場など、これまでのインターネット販売との違いは、企業がユーザーに直接販売する点です。
インターネットが発展・普及したことにより、資本力が少ない企業でも、広告代理店や製造企業など、他社を通さずに商品を届けられるようになりました。
1−1.D2Cが広まった背景
D2Cが広まったのは、インターネット環境が整ったことやSNSの登場などが要因です。
スマートフォンやPCを日常的に使用する人が増えたことで、店舗を主体とする販売形態だけでなく、ネット上での販売活動も重要視されました。
また、年々D2Cに注目が集まるとともに、ECサイトを形成しやすい環境も整い始めています。
現在では、Shopifyなどプラットフォームを活用することで、サイト作成の専門知識がなくても参入が容易になっています。
1−2.D2Cの市場規模
D2C企業への広告サービスを扱っている「売れるネット広告社」によると、2025年までに国内での市場規模は3兆円になると予想しています。
また、経済産業省の調査では、B2CのECサイト事業の市場規模が年々成長していることがわかります。
2021年時点でB2CのECサイト事業の市場規模は約20兆円でしたが、2022年には22兆円以上にまで成長していました。
化粧品や旅行など、各分野別にみても市場規模は拡大しているため、今後もネットを中心とした事業展開は有効であると考えられるでしょう。
参考:『売れるネット広告社』が「デジタルD2C」の市場動向調査を実施 2025年には国内市場規模が3兆円に達すると予測|@Press
参考:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました|経済産業省
2.D2Cのメリット
D2Cには、以下のようなメリットが存在します。
・消費者のニーズに応えやすい
・顧客データが収集しやすい
それぞれ確認していきましょう。
2−1.中間マージンが少ないため収益率が高い
製造から販売までを自社で担うD2Cは、仲介手数料がかからないため、収益性が高い点が大きなメリットです。
他社を介して商品を流通させる場合、企画や宣伝などさまざまな手数料がかかります。
Amazonなど他のサービスを通してインターネット通販を行う際も手数料が必要になりますが、D2Cは自社サイトを活用するため、コストの削減が可能です。
2−2.消費者のニーズに応えやすい
D2Cで商品を販売することにより、消費者のニーズに応えやすくなる点もメリットです。
SNSでユーザーとやり取りを行ったり、意見を調査したりすることで、商品の企画やサイトのデザインにも変更を加えていけます。
また、サイトを自社運営に変更することで、期間限定の独自セールやセット販売など、これまで難しかったキャンペーンも行いやすくなるでしょう。
2−3.顧客データが収集しやすい
D2Cサイトを通して商品を販売することで、購入したユーザーのメールアドレスや性別・年齢といった情報を集めやすくなります。
収集した顧客データはリマーケティング広告やメールマガジンの配信などで有効活用できるため、マーケティング戦略をさらに広げることが可能です。
GoogleアナリティクスやClarityといったサービスを活用すれば、サイト内でのユーザー行動についても分析できるため、PDCAを回しやすい点もメリットといえます。
3.D2Cのデメリット
D2Cのデメリットは以下の3つです。
・顧客の開拓やECサイトの制作にコストがかかる
・ビジネスが軌道にのるまでに時間がかかる
メリットだけでなくそれぞれのデメリットについてもチェックしておきましょう。
3−1.商品力が問われる
他の通販プラットフォームを活用して商品を販売する場合は、サイト運営側で宣伝を行ってくれるため、利用者の負担が少ないです。
しかし、D2Cで販売を実施するには、自社で開発から宣伝まで一貫して実施する必要があります。
商品力が伴っていないとユーザーがECサイトに訪れても購入をしてくれないため、注意が必要です。
3−2.顧客の開拓やECサイトの制作にコストがかかる
D2Cで十分な商品を提供できても、顧客の開拓ができていないと意味がありません。
また、現在はプラットフォームの活用によりECサイトの構築が比較的容易になっていますが、4,000〜数万円など一定の費用が毎月かかります。
後で予算不足にならないように、SNSでの宣伝やECサイトの制作にかかる人的・金銭的なコストを、事前にシュミレーションしておくことが大切です。
3−3.ビジネスが軌道にのるまでに時間がかかる
新規で自社サイトを立ち上げる際は、すぐに売上が発生するとは限りません。
大手などすでにブランドが確立されている企業は成果が出やすいですが、そうでない場合は長い目線でPDCAを回していきましょう。
まだ企業の情報が世間に認知されていないのであれば、SNSなどを通して発信を行うことが大切です。
4.D2Cの成功事例
D2Cを積極的に導入している業界としてファッション業界が挙げられます。
これまでは、商品の企画や製造、販売の店舗が別々で業務を行い連携していましたが、D2Cの導入により、一貫した事業展開が可能になりました。
例えば、オーダースーツやオーダーシャツで知られている「FABRIC TOKYO」は、自宅にある服の情報をECサイト内で登録することが可能です。
家にいながら簡単に採寸を行えるように工夫しており、受注から製造・提供までがスピーディーになっています。
他にも、20〜30代の男性をターゲットとする化粧品ブランド「BULK HOMME」は、デジタルネイティブのユーザー層に向けてブランドの価値やストーリーを積極的に訴求し、ECサイトで成功を収めています。
さまざまな業界で成功事例が存在するので、自社でD2Cを導入する際は参考にしてみましょう。
5.D2Cで成功するためのポイント
D2Cで成功を収めるためのポイントは以下の4つです。
・オンライン上でのマーケティングに注力する
・質の高いユーザー体験を提供する
・市場のトレンドやユーザーの声を反映する
どのようにすれば成果を得やすいのかそれぞれ確認していきましょう。
5−1.ブランドイメージを確立する
自社のECサイトを活用するD2Cでは、独自のブランドイメージを確立しておくことが大切です。
ありきたりな商品やブランドの場合、ユーザーは他の大型サイトに流れてしまいます。
対象となるユーザー層や商品の特徴に合わせて、差別化できるブランドイメージを発信していきましょう。
5−2.オンライン上でのマーケティングに注力する
自社で商品の開発から販売までを完結するD2Cでは、オンライン上でのマーケティングに注力することが大切です。
自社独自のブランド発信だけでなく、X(旧Twitter)やInstagramなども活用してユーザーとコミュニケーションを図りましょう。
オウンドメディアを用意して、具体的な開発ストーリーやメリットを訴求することも効果的です。
5−3.質の高いユーザー体験を提供する
D2Cを成功に導くには、購入前から購入した後まで、質の高い顧客体験を届けることも重要です。
高品質な顧客体験を与えることで、商品自体の価格やクオリティにプラスした価値を提供できます。
サイト内での商品説明や購入までの流れがわかりやすく、アフターフォローまで丁寧に行ってくれるなど、細かい部分まで質の高いユーザー体験を意識しましょう。
5−4.市場のトレンドやユーザーの声を反映する
D2Cを展開する際は、市場のトレンドやユーザーの声を常に反映していきましょう。
どれだけ商品の質が良くても、ニーズにマッチしていなければ継続的な利益を得ることは難しいです。
SNSやアンケートで情報収集を行い、サイトの機能改善や商品再開発などに注力してみてください。
6.まとめ
いかがでしたか?
D2Cは、ECサイトやSNSなど、インターネットを中心として商品の販売を行うビジネスモデルです。
中間マージンを抑えられる点や、ユーザーのニーズに答えやすい点がメリットとして挙げられます。
ただし、成功を収めるためには独自の商品やブランドの開発が大切です。
サイトや商品の使用感についても適宜調査を行い、良質な顧客体験を届けられるように工夫を行いましょう。