スマートフォンが普及するにつれ、アプリケーションをマーケティングに活用する企業も増えています。
自社アプリをユーザーにインストールしてもらえば、直接のコミュニケーションがスムーズとなり、利便性の向上やコンバージョン獲得だけでなく、リピーターやファン化につなげる効果も期待できます。
とはいえ、どれだけ魅力的な専用アプリを開発しても、インストールされなければ効果につなげることはできません。
特に、iPhoneユーザーの多い日本ではApp Store内で自社のアプリを魅力的に訴求することが重要です。
その上で、App Storeではカスタムプロダクトページという機能を活用することで、アプリのインストール率を高めることが可能です。
また、カスタムプロダクトページを活用することは、ASA(Apple Search Ads)というiPhoneアプリ向けの検索広告の効果をたかめることも期待できます。
そこで今回は、カスタムプロダクトページの基本的な概要から活用するメリット、ASAの効果を高めるコツなどについてポイントを中心に紹介していきます。
カスタムプロダクトページとは?
カスタムプロダクトページとは、App Storeにて紹介される自社のアプリケーション詳細ページにおいてカスタマイズを加える機能のことを指します。
従来までのApp Storeでは、自社のアプリを紹介できるページは1つのみで、追加や修正にも制限がかかっていたため、ユーザーに対し訴求しづらい傾向にありました。
これに対し、2021年のiOS 15のアップデートに伴い、カスタムプロダクトページも追加されました。現在では、固有のアプリ紹介ページを35パターンまで作成することが可能です。
カスタムプロダクトページが重要視される背景
近年のスマートフォンの普及に伴い、様々な情報収集やコミュニケーションをWeb上だけでなくアプリを介して行うケースが増加しています。
アプリをマーケティングとして活用する企業も増えているため、いかに自社のアプリをユーザーに認知させ、インストールしてもらうかは重要な施策となります。
どれだけ魅力的なアプリを開発していたとしても、ユーザーにインストールされなければ意味がありません。
また、一度インストールされればユーザーと直接コミュニケーションを取れるようになり、認知度拡大やコンバージョン獲得だけでなく、リピーターやファン化につなげることも期待できます。
そのため、カスタムプロダクトページを活用して、様々な観点からアプリの詳細を魅力的に訴求していくことは重要です。
カスタムプロダクトページで出来ること
カスタムプロダクトページでは、対象のアプリケーションに対して固有のプロダクトページを35パターンまで作成することができます。
基本的に訴求できる内容としては、プロモーション用テキストやスクリーンショット、Appプレビューが掲載可能ですが、これらを35パターン用意しておくことが可能です。
それぞれの詳細については以下の通りとなります。
プロモーション用テキスト
プロモーション用テキストは、カスタムプロダクトページの上部に表示される170文字以内の訴求文です。
ユーザーが目にする機会が多い場所となるため、自社のアプリについて分かりやすくアピールしていくことが重要です。
なお、プロモーション用テキストはいつでも変更・更新することが可能です。
スクリーンショット
スクリーンショットは、特定のアプリ画面を画像にて訴求することができます。
実際のアプリ利用時の画面を訴求するだけでなく、プロモーション用にオリジナルの画像を活用することもできます。
スクリーンショットは、インストール後のイメージをより伝えやすいため、ユーザーニーズをふまえ訴求していくと効果的です。
Appプレビュー
Appプレビューは、静止画では伝わらない魅力や強み、特徴などを動画によって訴求できる機能です。
カスタムプロダクトページ内では最長30秒までの動画を訴求することが可能です。
動画はテキストや画像よりも多くの情報を訴求することができるため、スクリーンショットと同じくユーザーニーズをふまえアピールしていくと効果的です。
このようなカスタムプロダクトページは、ターゲットに応じてローカライズすることも可能です。
特にアプリを訴求していく上では、ASA(Apple Search Ads)という広告を活用するケースも少なくありません。
このASA実施時に、ターゲットに応じた遷移先として作成したカスタムプロダクトページを出し分けていくことで、運用効果を高めることも期待できます。
カスタムプロダクトページを活用するメリット
続いて、カスタムプロダクトページを活用するメリットについて紹介していきます。
カスタムプロダクトページ機能を活用することで、以下のような効果が期待できます。
①アプリのインストール率の向上
アプリ需要の高まりに伴い、業種業態問わず様々なアプリケーションが日々登場しつつあります。
このような中で、自社のアプリを開発しただけではインストールされず、埋もれてしまう可能性も高まります。
インストール率を高めるためには、そのアプリがどういった内容で、どのような機能を有しているのかなど、分かりやすく訴求していくことが重要です。
そのためには、少ない情報量ではなくカスタムプロダクトページをもとに魅力を最大限訴求していくことが重要です。
ユーザーニーズをふまえ、テキストや画像、動画によってアピールできる点も、カスタムプロダクトページを活用するメリットといえます。
②ASAの運用効果の向上
アプリを多くのユーザーにインストールしてもらうため、広告を運用する企業も多くいます。
iOSでは、App Storeの検索時にリスティング広告のように訴求できるASA(Apple Search Ads)という手法が存在します。
このASAの運用効果を高める上でも、カスタムプロダクトページは効果が期待できます。
カスタムプロダクトページは、ASAのターゲティングとあわせ遷移先をローカライズすることが可能です。
そのため、ASA経由のインストール率向上やその後のコンバージョン獲得につながる可能性も高まり、費用対効果をおさえることもできます。
カスタムプロダクトページの設定方法
次に、カスタムプロダクトページの設定方法について紹介していきます。
カスタムプロダクトページは、App Store Connectにてパターン設定することが可能です。
パターンは主に「プロモーション用テキスト」「スクリーンショット」「Appプレビュー」の項目にてカスタムすることができます。
また、作成したカスタムプロダクトページをASAにて展開する場合には、ASAの広告グループ単位で設定することが可能です。
具体的な手順は以下となります。
(1)ASAにログイン
(2)対象となる「広告グループ」を選択
(3)「広告」>「広告の作成」を選択
(4)任意の「広告名」を入力
(5)カスタムプロダクトページで表示させるパターンを選択
(6)「保存」をクリック
なお、ASAでカスタムプロダクトページを設定したとしても、全てのユーザーに表示されるわけではありません。
iOSのバージョンが古いようなユーザーには、設定したとしてもデフォルトのバージョンが表示される場合もあるため注意が必要です。
カスタムプロダクトページによってASAの効果を高めるコツ
最後に、カスタムプロダクトページによってASAの効果を高めるコツについて紹介していきます。
ASAにおけるカスタムプロダクトページは、一般的なリスティング広告におけるLPのような役割を持ちます。
そのため、ただ設定するだけではなく、以下の要素をふまえ運用していくことが重要です。
①ABテストの実施
カスタムプロダクトページを設定することで、ASAのターゲットに対しピンポイントで訴求できるようになります。
とはいえ、ユーザー行動の多様化や流行の短期化が進む昨今において、どのページがユーザーに響くかは実施してみなければ分かりません。
そのため、カスタムプロダクトページであったとしても、ABテストを行いながら検証と改善を繰り返し最適化していくことが重要です。
一般的にスマホの検索はPCとは異なり、短文が多くなる傾向にもあります。
例えば、「ファッション」と検索したユーザーが、どのような情報を求めているのか検索ワードだけで判別するのは難しくなります。
そのため、カスタムプロダクトページによって様々な受け皿を用意しておくとともに、効果を検証しながら改善していくと効果的です。
②35パターン全てを登録しなくてもいい
現在、カスタムプロダクトページでは35パターンまで設定することが可能です。
とはいえ、必ずしも35パターン全てを用意する必要はありません。
様々なユーザーニーズをふまえ固有のカスタムプロダクトページを用意しようとすると、強みや特徴など訴求したい要素が分解されてしまい、各ページの訴求力が弱まってしまう可能性も起こり得ます。
ASAなどと連携するのであれば特に、遷移先となるカスタムプロダクトページには必要な要素を分かりやすく掲示する必要があります。
離脱を防ぎ、インストール率を高めるためにも、情報を切り分けず重要な要素を適切に訴求していくことが重要です。
まとめ
iOS向けに2023年に実装されたカスタムプロダクトページは、ASAとあわせApp Storeのマーケティング精度を高める上で注目されています。
ユーザーニーズをふまえカスタムプロダクトページによって遷移先を出し分けることができれば、ターゲットに対してピンポイントに訴求することで自社のアプリをインストールしてもらう可能性も高まります。
今回紹介した内容も参考に、カスタムプロダクトページを適切に活用し、アプリを絡めたマーケティング効果を高めていきましょう。