
2025年5月19日より、
Yahoo!ディスプレイ広告(YDA)において、
入札戦略「コンバージョン価値の最大化」が正式に追加されました。
本記事では、
その概要から仕組み、設定方法までをわかりやすく解説します。
1. コンバージョン価値の最大化が正式リリース
2025年5月19日より、
Yahoo!広告の運用型ディスプレイ広告(YDA)において、
入札戦略「コンバージョン価値の最大化」の提供が正式に開始されました。
この機能は、
β版での検証を経て一定の性能が担保されることが確認されたため、
正式版としてリリースされました。
1-1. コンバージョン価値の最大化とは
「コンバージョン価値の最大化」とは、
設定したキャンペーンの予算内で、
コンバージョン価値が最大になるように入札価格が自動調整される入札戦略です。
コンバージョン価値を重視するため、
特に単価の異なる成果(コンバージョン)が混在しているキャンペーンなどで、
売上の増加や広告費用対効果(ROAS)の改善が期待できます。
なお、
利用可能なキャンペーン目的は「コンバージョン」と「商品リスト訴求」になります。
※参考:LINEヤフー株式会社 入札戦略「コンバージョン価値の最大化」正式版の提供開始 2025年5月
1-2. 基本的な仕組み
従来のコンバージョンを目的とする入札戦略では、
予測コンバージョン率(CVR)など複数のシグナルに基づき入札価格が自動調整されています。
「コンバージョン価値の最大化」では、
コンバージョン価値を重視するため、
予測CVRが低くてもコンバージョン価値が高いと判断されたユーザーに対して
入札価格が自動調整されるようになります。

1-3. 目標値あり/なしの設定
「コンバージョン価値の最大化」には、以下の方法があります。
- 目標ROASの目標値を設定して最適化を行う方法
- 目標値を設定せず最大限の価値獲得を目指す方法
入札戦略 | 設定した場合の挙動 | 利用推奨条件 |
コンバージョン 価値の最大化 目標値なし |
キャンペーンの1日の予算を 100%消化することを目指して、 コンバージョン価値の高いリクエストから順に 配信するように入札価格を調整。 |
キャンペーンの コンバージョン数が 直近7日間で20件以上 |
コンバージョン 価値の最大化 目標値あり |
広告費用対効果(ROAS)が 目標値以上となる状態を維持しながら、 コンバージョン価値が最大になるよう 入札価格を自動調整。 予算を上げても目標値の制御により 配信が伸びない場合あり。 |
広告グループの コンバージョン数が 直近30日間で40件以上 |
また、
「コンバージョン価値の最大化」における目標値の有無によって、配信の挙動は異なります。
目標値なしの場合は、
設定された予算を使い切りながらコンバージョン価値の最大化を目指します。
目標値ありの場合は、
設定された目標ROASの目標値を維持しながら
コンバージョン価値を最大化するよう入札が調整されます。
そのため、
場合によっては目標値の制御により予算を100%使い切らずに
配信が抑制されることがあります。
予算で配信をコントロールしたい場合は目標値なし、
目標ROASで配信をコントロールしたい場合は目標値ありと選択するとよいでしょう。

1-4. 入札価格の最適化フロー
入札戦略「コンバージョン価値の最大化(目標値あり)」を設定すると、
過去30日間のコンバージョン実績をもとに、
設定後7日間で目標ROASに近づくよう入札価格の最適化が行われます。
そのため、
パフォーマンスの評価を行う際は、
戻りコンバージョンも含めた評価期間中の実績を基に判断することが推奨されています。

2. コンバージョン価値の最大化の設定方法
①コンバージョン設定を行う
コンバージョンごとに、
広告管理ツールのコンバージョン作成または編集画面で
「1コンバージョンあたりの価値」を指定します。
コンバージョンタグの設置がまだの場合は、計測するページに設置してください。
※既にコンバージョン価値が測定されている場合は、この工程は不要です。

また、
ECサイトなどで商品ごとにコンバージョン価値を動的に設定したい場合は、
コンバージョン測定タグの内容を書き換えます。
具体的には、
「1コンバージョンあたりの価値」で設定した値(例:5000)を
「<?php echo $userRevenueValue ?>」に書き換えます。
書き換え前のコンバージョン測定タグ | 書き換え後のコンバージョン測定タグ |
<script async> ytag({ “type”:”yjad_conversion”, “config”:{ “yahoo_ydn_conv_io”: “XXXXXXXX”, “yahoo_ydn_conv_label”: ” XXXXXXXX “, “yahoo_ydn_conv_transaction_id”: “”, “yahoo_ydn_conv_value”: “5000” } }); </script> |
<script async> ytag({ “type”:”yjad_conversion”, “config”:{ “yahoo_ydn_conv_io”: “XXXXXXXX”, “yahoo_ydn_conv_label”: ” XXXXXXXX “, “yahoo_ydn_conv_transaction_id”: “”, “yahoo_ydn_conv_value”: <?php echo $userRevenueValue ?> } }); </script> |
上記のように
「yahoo_ydn_conv_value」の値(例:”5000″)を「<?php echo $userRevenueValue ?>」に
書き換え、このタグを計測ページの<body>と</body>の間に貼り付けます。
その後、
コンバージョン測定タグを貼り付けたファイルを保存し、
ウェブサーバーにアップロードすれば完了です。
※参考:LINEヤフー株式会社 コンバージョン測定タグの高度な設定【運用型】 2025年6月閲覧
②キャンペーンの入札戦略を「コンバージョン価値の最大化」に変更
これは、
新規キャンペーンの作成画面、
または既存のキャンペーンにおけるキャンペーン設定の編集画面で設定が可能です。

3. 入札戦略の使い分け
コンバージョン価値(売上)を最大化したい場合、
キャンペーンまたは広告グループ単位で一定数以上のコンバージョン数が見込めるか
確認してください。
具体的な基準は、以下の通りです。
- 目標値ありで設定する場合:広告グループのコンバージョン数が直近30日間で40件以上
- 目標値なしで設定する場合:キャンペーンのコンバージョン数が直近7日間で20件以上
コンバージョン数が足りない場合は、
マイクロコンバージョンを使用して機械学習に活かすことを検討しましょう。
マイクロコンバージョンについては
「マイクロコンバージョン(MCV)とは?導入のメリットや設定方法を解説!」
の記事で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。
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また、
目安のコンバージョン数が見込めず、
マクロコンバージョンの設定も難しい場合は「拡張クリック単価」を選択しましょう。

4. 運用事例
LINEヤフーが公式で発表している事例を紹介します。
4-1. 家電業種での運用事例
家電業種の事例では、
「コンバージョン価値の最大化(目標値あり)」の導入により、
以下の成果を達成しました。
- クリック単価:34%改善
- コンバージョン率:37%改善
- 売上金額:38%減少するもROASが改善
- 広告費用対効果(ROAS):116%改善
この事例では、
安価なクリック単価でコンバージョン率の高いユーザーに広告を配信し、
ROASを116%改善することに成功しています。

4-2. 不動産業種での運用事例
不動産業種の事例では、
「コンバージョン価値の最大化(目標値なし)」の導入により、
以下の成果を達成しました
- クリック単価:2%改善
- コンバージョン率:14%改善
- 売上金額:77%改善
- 広告費用対効果(ROAS):75%改善
この事例では、
コンバージョン率の高いユーザーに効率的に広告を配信したことで、
売上とROAS、両指標の改善に繋がっています。

5. 利用時の注意点
「コンバージョン価値の最大化」入札を利用する前に確認するべき注意事項を、
以下にまとめます。
5-1. 利用前の確認事項
- キャンペーン目的が「コンバージョン」または「商品リスト訴求」かどうか
- コンバージョン価値が適切に測定されているかどうか
- 推奨コンバージョン数の条件を満たしているかどうか
5-2. 主な制限事項
- SKAdNetwork計測との併用不可
- ターゲティングごとの入札価格調整率は適用されない
また、
学習期間中の数値変動は正常な動作範囲内であるため、
十分な期間での評価を行うことを推奨します。
※参考:LINEヤフー株式会社 入札戦略「コンバージョン価値の最大化」正式版の提供開始 2025年5月
6. まとめ
「コンバージョン価値の最大化」は、
コンバージョンごとの価値を重視したYDAの新たな入札戦略です。
目標値の有無によって挙動が異なるため、
目的や実績に応じて使い分けることがポイントです。
設定条件や注意点を事前に確認した上で、
自社の広告運用に適した活用方法を検討してみてください。
※本記事は2025年5月時点の情報およびイメージ画像に基づいて作成しています。
今後、仕様や内容が変更される可能性があります。
なお、記事内には当社の見解が含まれており、成果の向上を保証するものではありません。