スマートフォンの普及などに伴い、近年ではSNSをコミュニケーションツールとして活用するユーザーが増えています。
ユーザーが多く集まれば、広告・プロモーション施策の対象となり、SNSをマーケティングに活用する企業も増加傾向にあります。
とはいえ、SNSはユーザーとリアルタイムにコミュニケーションできる反面、効果的に運用していくためには専門の知識やノウハウなども求められます。
そのため、アカウントを開設したものの失敗に終わったり、リソース不足で撤退する企業も多くいます。
SNSマーケティングを成功に導くためには、仮に失敗したとしてもその原因を把握し、改善していくことが重要です。
そこで今回は、SNSマーケティングにおける失敗事例とあわせ、成功に導くコツなどについてポイントを中心に紹介していきます。
SNSマーケティングとは?
そもそもSNSマーケティングとは、その名の通りSNSを自社のマーケティングに活用することを指します。
現在主要なSNSとしては、FacebookやInstagram、X(旧Twitter)、LINEの他、動画SNSとしてYouTubeやTikTokなどが挙げられます。
いずれのSNSも、企業として専用のアカウントを開設することができ、その中でフォローしてもらったユーザーとコミュニケーションを図ることが可能です。
近年のSNSの浸透に伴い、今やSNSは検索以上に情報収集に役立つツールとして多くのユーザーに活用されています。
特に、気になる情報はユーザー間で拡散され、一気に多くのユーザーへ認知させる効果も期待できます。
とはいえ、一口にSNSといってもその種類は先ほどふれたように様々存在し、それぞれ利用するユーザー層や目的、展開できる機能なども異なります。
そのため、闇雲にSNSを始めればいいという訳ではなく、自社の目的に応じて活用していくことが求められます。
SNSマーケティングが失敗する原因とは?
SNSを自社のマーケティングとして活用しようとしたものの、フォロワーが集まらなかったり、投稿が滞るなどして撤退してしまう企業も少なくありません。
このように、企業としてSNSをマーケティングに活用する際には、失敗のリスクも生じます。
代表的な失敗する要因について紹介していきます。
①目的や目標が明確になっていない
他のマーケティング施策などと同じく、SNSにおいても目的や目標を明確にしておく必要があります。
「ユーザーが多いから」「流行っているから」といった理由だけでSNSをはじめても効果にはつながりません。
とりあえず始めてしまうと、投稿内容がブレてしまったり、ただ開設しただけのアカウントで終わる可能性が高まります。
興味のない投稿が増えたり、統一感が無かったりすると、ユーザーも不信感を持ち離脱してしまいます。
そのため、あらかじめ目的や目標を明確化した上で運用していくことが重要です。
目的や目標を明確化する際には、KPIを定めておくことも重要です。
SNSマーケティングにおけるKPIには、フォロワー数やいいね!、シェアなどのエンゲージメントを基準とするケースが多くなります。
②あいまいなターゲット
目的や目標が定まれば、次にターゲットを明確化する必要があります。
SNSマーケティングの失敗には、このターゲットがあいまいなまま進むケースが多くあります。
ユーザー行動の多様化が進む昨今において、ターゲットの明確化は重要な要素となります。
例えば、40代男性向け商品を販売しているにもかかわらず、20代女性が多く集まるInstagramでは効果が期待できません。
ターゲットの設定は、その後のプラットフォームの選定や投稿内容の作成などにも影響してきます。
既存顧客の属性や行動などを可視化するとともに、ペルソナ分析なども活用しながら明確化しておくと効果的です。
③プラットフォームの選定ミス
SNSマーケティングを展開するには、FacebookやInstagram、X(旧Twitter)、LINE、YouTube、TikTokなどのプラットフォームの中から選定する必要があります。
この選定ミスもSNSマーケティングの失敗事例には多く含まれます。
当然ながら、選定するプラットフォームによってユーザー属性は異なり、アプローチできる機能や手法も変わってきます。
例えば、投稿する際に文字制限のあるX(旧Twitter)では、簡潔に訴求する必要があるため、多くの情報を発信するには向いていない可能性があります。
同じくショート動画がメインのTikTokで展開するには、投稿内容として動画によるクリエイティブを作成する必要があります。
このようなプラットフォーム別の特性を理解しないまま始めれば、後々目的やターゲットとのズレやリソースなどに問題が生じる可能性も起こり得ます。
そのため、失敗しないためには目的やターゲットをふまえ適切なプラットフォームを選定することが重要です。
④社内のリソース不足
SNSマーケティングの失敗の中でも特に多い事例としては、社内のリソース不足が挙げられます。
SNSマーケティングには、投稿内容の作成・投稿だけでなくフォロワー数の推移などの確認、コメント対応などのユーザーとのコミュニケーションなど様々な業務が存在します。
これらを担当一人で行うには限界も生じます。また、SNSマーケティングが失敗する要因として、これら業務を通常業務と兼任で行うケースが挙げられます。
片手間でSNSマーケティングを行うと、十分なリソースが確保できず、ただ単に投稿するだけで終わってしまう可能性が高くなります。
SNSマーケティングにおけるKPIは、投稿することではなくその結果のフォロワー獲得やエンゲージメントの向上にあります。
ひいてはそこからの認知度向上やコンバージョン獲得が重要となるため、成功に導くためには十分なリソースを確保しておくことが重要です。
SNSマーケティングにおけるよくある失敗事例
続いて、SNSマーケティングにおけるよくある失敗事例について紹介していきます。
SNSマーケティングの失敗例は、基本的に知識やノウハウ不足、リソース不足などが容易となりますが、その結果として以下のようなミスが生じやすくなります。
①ユーザーに不快感を与える投稿内容
どのようなSNSのプラットフォームであれ、投稿内容は運用効果を高める上で重要です。
とはいえ、闇雲に投稿しても効果にはつながりません。
近年では多様性が重要視され、投稿内容によってはユーザーに不快感を与えてしまう可能性も起こり得ます。
フォロワーの中には、商品やサービス、ブランド、企業などに対して愛着を感じているあまり、新たな試みや新商品、広告・プロモーション内容などに不満や不快に感じる場合もあります。
一度不快に感じてしまうと、そこから再度ファン化してもらうには相当の労力がかかります。
そのため、投稿内容には十分注意しながら運用していくことが重要です。
②悪評の増加
自社のSNSアカウントをフォローするユーザーは、基本的には好意的なファン層が多くなりますが、中には悪評が生まれるケースもあります。
悪評が事実であれば、至急改善する必要がありますが、嘘による悪評がそのまま広まってしまうことも少なくありません。
SNSは主に匿名で利用することが可能なため、悪評が生まれやすい側面もあります。
悪評が広まってしまえば、企業としてもマイナス影響につながり、売上や利益にも影響しかねません。
投稿内容などに注意し、真剣にアカウントを運用していくことはもちろんですが、あらかじめ風評被害によるリスクも想定した上で展開していくと効果的です。
③ハッシュタグの不備
SNSマーケティングの効果を高める上で、ハッシュタグの活用が挙げられます。
ハッシュタグを効果的に活用することで拡散性を促し、リーチ獲得や認知度向上にもつながりやすくなります。
ただ、ハッシュタグの設置にはコツやテクニックも求められます。例えば、投稿内容と関係ないハッシュタグは効果につながりにくかったり、多くのハッシュタグを設置しすぎることで効果が薄まる可能性も高まります。
一方で、口語形式で長文のハッシュタグであっても、話題性につながる場合もあります。
また、投稿内容が興味を惹き、多くのユーザーに閲覧されたとしても、ハッシュタグの付け忘れによって機会損失につながるケースもあります。
このように、SNSマーケティングにおいては、ハッシュタグによる失敗が起こりやすいため注意が必要です。
④インフルエンサーの選定
SNSにおいて、多くのフォロワーを抱えるユーザーは、インフルエンサーと呼ばれています。
このインフルエンサーと連携することで、自社の商品やサービスを訴求してもらい、認知度拡大やコンバージョン獲得につなげることも可能です。
とはいえ、インフルエンサーは個人であることが多く、あらかじめ契約内容を定めておかなければ、失敗につながる可能性もあります。
例えば、依頼したインフルエンサーが過去に不祥事を起こしていたり、意図しない投稿を行うことも起こり得ます。
インフルエンサー経由でトラブルに発展してしまうと、企業イメージにまで影響を及ぼす可能性もあります。
そのため、過去の投稿内容なども確認しながら選定は慎重に行うことが重要です。
⑤ステルスマーケティング
近年、広告・プロモーションなどにおけるステルスマーケティングは規制が厳しくなっています。
これはSNSマーケティングにおいても同様で、投稿内容がステルスマーケティングとみなされ失敗につながるケースも少なくありません。
通常の商品紹介やサービス内容の告知などであれば問題ありませんが、無理に訴求ばかりするような内容や、誇張したような表現は、ステルスマーケティングとまではいわなくとも、ユーザーが不信に感じる可能性も高くなります。
投稿内容に関しては、自社の訴求に終始するのではなく、フォロワーであるユーザーが興味を惹く内容を心掛けることが重要です。
⑥顧客対応における不手際
SNSは、ユーザーと直接コミュニケーションを取ることが可能です。
コミュニケーション手法としては、投稿内容におけるコメントやDMなどが挙げられますが、この顧客対応において不手際が生じるとSNSマーケティングの失敗につながります。
例えば、コメントしたにもかかわらず、企業側から何も返答がなければユーザーには不信感が募ります。
一方で、リソースが足りない場合には全てのコメントに対応できないケースも起こり得ます。
効果的に運用していくためには、できる限り早く対応し、フォロワーと円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。
⑦複数管理による運用ミス
企業によっては、複数のSNSアカウントを同時に運用するケースもあります。
このような場合には、アカウント情報をはじめ投稿内容などを使い回すことで、ミスや失敗につながる可能性があります。
例えば、LINEアカウント用の投稿内容をFacebookに投稿してしまえば、セキュリティが甘いとしてフォロワーが離れる可能性も高まります。
このような失敗も、基本的にはリソース不足が影響しています。
管理・運用体制を見直すとともに、無理やりプラットフォームは広げすぎずに運用していくことも重要です。
SNSマーケティングを成功に導くコツ
最後に、SNSマーケティングを成功に導くコツについて紹介していきます。
先ほどまでふれた失敗事例や原因などもふまえ、以下の要素を押さえておくと効果的です。
①目的やターゲットをふまえたコンセプトの明確化
SNSマーケティングを成功に導くためには、目的やターゲットをふまえコンセプトを明確化しておくことが重要です。
SNSは日々何かしらの投稿を発信していく必要があります。
そのため、コンセプトがあいまいなままだと投稿内容が枯渇し、無理矢理な投稿で終わってしまう可能性も高まります。
設定したKPIから逆算し、戦略的に運用を進めていくことが重要です。
②PDCAサイクルを回した運用
ユーザーニーズの多様化や、流行の短期化が進む昨今において、何がユーザーに響くのかは投稿してみないことにはわかりません。
そのため、運用効果を高めるためには、PDCAサイクルを回しながら検証と改善を行うことが重要です。
SNSマーケティングは拡散性だけでなく、ユーザーと直接コミュニケーションを取れ、即効性が高い点も魅力の一つです。
そのため一度の反応であきらめず、常にブラッシュアップしていくと効果的です。
③広告の運用
SNSマーケティングには、アカウントを運用するだけでなく広告出稿することも含まれます。
広告出稿には、当然ながらコストが発生しますが、一からアカウント開設して運用する前にユーザーの反応を伺う目的で利用することも可能です。
何も情報が無い中でアカウント開設するにはリスクも伴います。
そのような場合には、SNS広告をもとにテストマーケティングしてみることも有効です。
まとめ
SNS需要の高まりに伴い、多くの企業がSNSマーケティングを展開しています。
ただ、十分な準備や戦略立てを行わず、実施したものの失敗で終わるケースも少なくありません。
拡散性の高さから、反響にもつながりやすいSNSマーケティングは確かに魅力的ですが、闇雲に実施しても効果にはつながりません。
今回紹介した内容も参考に、失敗事例から学び、SNSマーケティングを成功に導いていきましょう。