マーケティングやプロモーション施策を行うにあたり、ユーザーのニーズを把握しておくことは欠かせません。
いかにユーザーニーズを掴み、先行してアプローチできるかが重要なカギとなります。
このニーズに関しては、顕在層や潜在層によっても意味合いが異なります。
それゆえに、どういった視点でニーズを把握すればいいのか分からないという担当者も少なくありません。
ニーズと近しい言葉にウォンツというものもあり、マーケティングを行う上で、その違いに戸惑うケースも多々あります。
そこで今回は、マーケティングにおけるニーズの意味や種類、ウォンツとの違いなどについてポイントを中心に紹介していきます。
ニーズとは?
そもそもニーズとは、ユーザーが感じる需要や欲求、要求など求めていたり、必要としている感情のことを指します。
英語のNeedが語源となり、「何かしたい」「こうなりたい」「〇〇でありたい」といった欲求や要求を表します。
マーケティングにおけるニーズとしては、ユーザーが求める理想的な姿や状態のことを意味し、ユーザーが感じる現実とのギャップを埋めるための欲望のことを指しています。
人間は、「お金がない」「仕事に疲れた」「あの人は私より美人だ」などと、日々生活していく上で不満や不足している感情を持つことがあります。
これに対して「お金持ちになりたい」「旅行に行きたい」「キレイになりたい」など、現状の不満や欠乏から生まれる感情を解消するために求める欲求や要求がニーズとして表現されます。
ニーズを把握することの重要性
ユーザーニーズを把握することで、より的確なマーケティングやプロモーション施策につなげることが期待できます。
より多角的にマーケティングやプロモーションを行う上でも、ユーザーが抱える本質的なニーズを把握しておくことは重要です。
ユーザーニーズを正しく把握しておけば、以下のような効果に繋げることも期待できます。
①売上増加や利益拡大
闇雲に商品開発したりプロモーションを行っても、効果につながることはありません。
そもそも顧客となるユーザーのニーズが分からなければ、商品開発やプロモーションは賭けと同じです。
一方で、ユーザーニーズを把握した上で商品開発が出来れば、ターゲットを明確化することもでき、プロモーション効果も高め売上増加や利益拡大につなげることも期待できます。
②競合他社との差別化
ユーザーニーズを把握し、それをふまえた商品開発につなげることができれば、競合他社との差別化を図ることも可能です。
同ジャンルの商材やサービスであっても、ユーザーニーズを細かく分析することで、競合他社には無い違いや強みを生み出すことができます。
新しいビジネスチャンスの創出やイノベーションのヒントにもつなげることが期待できます。
③顧客満足度の向上
ユーザーニーズをふまえた商品開発や、既存サービスの改善は、顧客満足度の向上にもつながります。
顕在的だけでなく潜在的なニーズもふまえて商材やサービスを提供できれば、利益拡大はもとより、新たな売上増加も期待できます。
そのため、企業中心で商品開発やプロモーションを行うのではなく、顧客ニーズをふまえた提供が重要視されています。
ニーズの種類
続いて、ユーザーが抱えるニーズの種類について紹介していきます。近年、ニーズの定義は細分化されつつあり、様々なユーザーニーズが存在します。
そのため、以下の種類を押さえながら多角的にニーズを分析していくことが重要です。
顕在ニーズ
顕在ニーズとは、顧客ニーズの中でもユーザーが商材やサービスを既に把握しており、それを求める理由や背景なども理解した状態におけるニーズを指します。
ユーザーが既に欲求や要求を理解した状態であるため、それにマッチした商材やサービスを提供できれば購入や申し込みにつながる可能性が高くなります。
潜在ニーズ
一方で、潜在ニーズは顕在ニーズの逆で、具体的な欲求や要求に関する内容までは理解できていないものの、潜在的にニーズを抱えている状態のことを指します。
この状態の場合には、ユーザーに直接商材やサービスを訴求するよりも、ニーズを具体化する上で悩みや不安・不満などをヒアリングしつつ引き出すことが有効です。
顧客ニーズ
顧客ニーズは、ユーザーが日々の生活の中で感じる不満や現実との差に欠乏した際に感じる欲求や要望のことを指します。
一般的に商品やサービスを購入・申し込みたいと感じる状態は、この顧客ニーズに含まれます。
この顧客ニーズは大きく顕在ニーズと潜在ニーズに分類することも可能です。
基本的ニーズ
その他にもユーザーが感じるニーズは存在します。基本的ニーズとは、生きていく上で最低限必要とされるニーズのことを指します。
衣食住に関連したものから、医療や保険、教育面など、基本的人権として認められているものもニーズには含まれます。
このようにユーザーが最低限求める欲求や要求を基本的ニーズとして分類されています。
副次的ニーズ
先ほどの基本的ニーズが満たされたのち、ユーザーは「さらにこうあればいいのに」「もっとこうしたい」といった要求が生じてきます。
このような基本的ニーズに付随して要求・欲求されるニーズは副次的ニーズとされています。
機能的ニーズ
商材やサービスによっては、機能によって差別化を図ることができるケースも存在します。
このような価値は、ユーザーにとって機能的ニーズに含まれ、アプローチすることが期待できます。
とはいえ、機能による差別化は競合他社との兼ね合いも生じるため、一社独占でユーザーの機能的ニーズを満たす商材やサービスを展開することは難しい場合も多くあります。
情緒的ニーズ
最後に、情緒的ニーズはユーザーの感情や精神面において満たすことができるニーズのことを指します。
商材やサービスを購入・申し込みする際のユーザー心理には、必要不可欠や利便性向上などだけでなく、プライドやステータスといった価値も存在します。
ブランド品や有名人を利用したプロモーションなどもこのニーズを活用した施策に含まれます。
ニーズとウォンツの違い
ニーズと近しい言葉にウォンツというものも存在します。
この2つはユーザーの意図する心理状態が異なるため、マーケティングやプロモーションを行う際にはそれぞれ意識した上で施策につなげる必要があります。
そもそもウォンツとは、ニーズよりもより具体的な欲求・要望のことを指します。
例えば、「もっとこうしたい」、「こうなりたい」という心理はニーズを表しますが、これに対して「これが欲しい」「こうなるためにこれを買う」という心理がウォンツとなります。
ウォンツの心理状態になっているユーザーに対して、自社の商材やサービスがマッチしていれば問題無いですが、これが他社の商材やサービスの場合にはユーザーの気持ちを乗り換えさせることは至難の業です。
そのため、いかに自社の商材やサービスに対してウォンツの気持ちにさせるか、ニーズの時点で意識付けを行うことが重要です。
ニーズを把握する方法
最後に、ユーザーのニーズを把握する方法についても紹介していきます。
売上増加や利益拡大、満足度の向上などにつなげるためにも、ユーザーのニーズを把握しておくことは欠かせません。
競合他社との差別化を図る上でも以下のニーズを把握する方法は参考にすると効果的です。
①インターネットを活用した市場及びユーザー行動の分析
近年、ユーザー行動にはインターネットが欠かせません。
知りたい情報の検索にはGoogleやYahoo!を活用し、トレンドや情報収集にはSNSを参考にする傾向にあります。
特に、SNSでは日々の行動を投稿し、共感を得るような動きも多いため、ユーザーニーズも自然と把握することも可能です。
TwitterやInstagramなどではハッシュタグをもとにトレンドや注目されている話題を検索することもできます。
このような情報からユーザーニーズを分析していくと効果的です。
②顧客データやアクセス解析による分析
過去に自社の商材やサービスを購入・申し込みしてくれたユーザーの属性は、そのまま自社のニーズを把握する上で活用することもできます。
年齢や性別、地域に偏りがあれば、ターゲットとなるユーザーの属性が抱えるニーズを可視化することも可能です。
また、既存顧客以外にもホームページに訪れたユーザーや広告プロモーション別の実績傾向なども、ニーズ分析に役立てることができます。
ただ、既存顧客や訪問ユーザーは、潜在ニーズというよりは顕在ニーズに近かったり、ニーズよりもウォンツによるユーザーの可能性もあるため分析時には注意が必要です。
③アンケートやイベントなど直接ヒアリングする分析
顧客ニーズを把握する上で、ユーザーに直接ヒアリングする手法も効果的です。
アンケートや座談会などを実施し、直接ユーザーにヒアリングを行うと、①や②では測ることができない潜在ニーズを引き出すことが期待できます。
一方で、アンケートやイベントを実施する際にはユーザーの集客や場所の手配など手間やコストがかかる可能性があるため注意が必要です。
また、自社の商材やサービスに特化したヒアリングを行うと、どうしても自社に有利なヒアリングに終始し、本質的なニーズを引き出せない場合も起こり得るため、あくまで客観的なニーズ抽出に努めることが重要です。
④ウォンツからニーズを把握する
先ほども明記した、「これが欲しい」「こうなるためにこれを買う」という心理のウォンツですが、ウォンツからニーズを把握する方法を紹介します。
例えば、ユーザーがテレビを欲しいと考えているとしましょう。
このウォンツから、下記のようにニーズを引き出すことができます。
最初は「テレビが欲しい」という情報のみでしたが、質問をしたことで「迫力のある映像を楽しみたい」というニーズが見つかり、さらに質問を重ねることで「休日にリフレッシュがしたい」というより本質的なニーズを把握することができます。
まとめ
ユーザーニーズは、自社の売上向上や利益拡大だけでなく、顧客満足度の向上にもつながる重要な指標となります。
ニーズをふまえた商品開発や広告プロモーションができなければ、効果を高めることにはつながりません。
このニーズは昨今細分化され、且つウォンツとも異なるため、正しく理解しておくことが重要です。
今回紹介した内容も参考に、ユーザーニーズを把握した上で、効果的なマーケティングやプロモーション施策につなげていきましょう。