インターネット技術の発展に伴い、数値やデータをもとにした分析・解析はマーケティングやプロモーション施策に欠かせなくなっています。
PV数や離脱率、コンバージョン数といった流入状況をはじめ、ユーザーの年齢や性別、住所といったユーザー属性など、マーケティングに活用できる数値・データは多岐に渡りますが、これらの数値・データは半永久的に活用するのではなく、常にブラッシュアップしていく必要があります。
このデータクレンジングを定期的に行うことで、データの信頼性が高まり、よりマーケティングや広告・プロモーション施策の効果を高めることにも繋がります。
今回は、このデータクレンジングの基本的な概要から、必要性やメリット、手法などについてポイントを中心に紹介していきます。
データクレンジングとは?
データクレンジングとは、顧客データや過去の購買履歴、閲覧履歴などマーケティングとして活用する数値やデータに不備が無いか確認し、適切なデータに加工する手法のことを指します。
データの不備は、ユーザーが入力するタイミングで誤植を起こしていたり、未記入や表記の揺れ、ノイズなどが生じた際に発生します。
重複や半角と全角、日本語とローマ字表記が混在しているようなものも欠損や不備に繋がります。
これらのデータが存在すると、全体的な集計時に上手く計測できなかったり、間違った分析・解析に繋がる可能性が生じます。
そのため、あらかじめデータを正確性の観点から分析し、修正や削除、置換などを用いて適切に統一していく必要があります。
データクレンジングができれば、データ自体の品質が向上し、その後のマーケティングやプロモーション施策の効果にも繋がりやすくなります。
名寄せとの違い
データクレンジングと近しい言葉に名寄せというものも存在します。
名寄せとは、データの中から重複しているものを抽出し、ひとつに統一する手法のことを指します。
あくまで重複に特化した精査の方法であるため、データクレンジングとは意味合いが若干異なります。
データクレンジングでは、重複以外にもデータの不備を精査する全般的なクリーニングのことを指します。
そのため、単純に重複によるデータの不備や不足を補い、修正するという点では名寄せを活用し、さらにデータ全般の整合性を高める上ではデータクレンジングを活用すると効果的です。
データクレンジングの必要性
近年、インターネット技術の発展に伴い、数値やデータで細かくユーザー行動を可視化することが可能です。
ユーザー行動の多様化によって、マーケティングやプロモーション施策における効果を適切に分析・解析することは、その後の施策効果を高める上でも欠かせません。
このような中で、たとえ数値・データが多くあったとしても、その精度が高くなければ効果につながらないばかりか、間違った施策に繋がり、無駄なコストが発生する可能性も起こり得ます。
信頼性や関連性が低いデータは、ダーティーデータとも呼ばれ、分析・解析の妨げにもなります。
このようなダーティーデータを極力減らし、精度の高い数値やデータであって初めて効果的な分析・解析が可能になります。
企業によって取り扱う顧客データやリストは年々増加傾向にあり、精度を高めたマーケティングに繋げるためにも、定期的なデータクレンジングが重要視されています。
データクレンジングを行うことのメリット
続いて、データクレンジングを行うメリットについて紹介していきます。
データクレンジングは、自社のマーケティングやプロモーション施策の精度を高める上で欠かせません。また、それ以外にも以下のような効果が期待できます。
①分析・解析の質の向上
データクレンジングによって数値やデータを精査できれば、分析・解析の精度を飛躍的に向上させることが可能になります。
どれだけ多くのデータがあったとしても、正確性や信頼性が低い場合には分析・解析を行っても意味がありません。
逆に、少数のデータであっても正確性や信頼性が高ければ、効果に繋がる分析・解析が期待できます。
近年、Web広告に代表されるように数値やデータを活用したマーケティングやプロモーション施策は欠かせません。
その上で、より信ぴょう性を高めた分析・解析を行うためにも、定期的なデータクレンジングを行うことは効果的です。
②コスト削減に伴う費用対効果の向上
データクレンジングによって不要なデータを削除し、精査することができれば、広告・プロモーション施策におけるコスト削減に繋げることも可能です。
例えば、10万件のリストに対してメルマガ訴求を行う場合、仮に5万件に不備があれば送信時に無駄な手間やコストが発生します。
メールアドレスの不備などによってエラーが返ってくれば、その対応だけでも人的リソースを奪われてしまいます。
また、データクレンジングによってリストを精査した上で広告・プロモーションを実施できれば、5万件のみ訴求することで費用対効果を高めることも期待できます。
③生産性の向上
また、データクレンジングによってデータを最適化することができれば、社内の生産性を向上させることにも繋がります。
データの不備やダーティーデータが増加すると、どのデータのどこに問題があるのか抽出することが困難になり、整理するだけで大幅な時間や工数を取られてしまいます。
無駄な業務が減れば余計なストレスも起こらず、その分コアな業務に専念することができ、生産性を高めることも可能になります。
データクレンジングの進め方
最後に、データクレンジングの進め方についても紹介していきます。
データクレンジングの進め方は、取り扱うデータ量や質、判別する項目などによって異なります。明確な指標があるわけではありませんが、今回は一般的に良く活用されている進め方について紹介していきます。
①必要項目の精査
データクレンジングを行うにあたり、まずはどういった目的で何の数値やデータが必要なのか、項目を精査する必要があります。
例えば、名前や電話番号の項目がそもそも分析・解析などに不必要であれば、そのデータをクレンジングする必要はありません。
ダーティーデータは、苗字や名前のフリガナ表記や電話番号の半角全角の違いなどに多く発生します。
これらの精査がそもそも必要なのか、あらかじめ明確化しておくことで、データクレンジング自体を効率化させることが可能です。
②各種数値・データの取り込み
費用項目が決まれば、続いて各種データを取り込んでいきます。
数値やデータは主にWordやExcel、CSVなどのファイル形式で存在するため、整理・成形するためには一度データベースに取り込む必要があります。
ただ、各種ファイル形式によって個別に管理していたデータは、統合することで不具合や破損に繋がる恐れもあります。
そのため、段階的に数値やデータの差異が生じないか確認しながら取り込んでいくと効果的です。
③数値・データの整形
取り込んだデータは、一定の基準に従って整形していきます。
複数のファイル形式で管理していると、統合した際に数値やデータが重複することも多々あります。
このようなデータは名寄せを活用して重複を解消したり、全角と半角、大文字と小文字の統一などもこのタイミングで整形していきます。
Excelファイルでの整形の場合には、上記のような表記ゆれの統一にはPHONETIC関数やSUBSTITUTE関数、数値の変換にはIF関数を活用すると効率化させることも可能です。
④数値・データの最適化
最後に、整形した数値・データをマーケティングやプロモーション施策に活用しやすいように最適化していきます。
例えば、CRMに登録していく場合には、CRMツールによってはCSVで一括登録することができますが、そのためには取り込むためにフォーマットを合わせる必要があります。
このように、マーケティング活動に繋げるためには、自社だけでなく関連するツールなどによって一定のルールが存在する場合もあります。
目的に応じて最適化していくことが重要です。
まとめ
インターネット技術の発展に伴い、数値やデータが複雑化する昨今において、データクレンジングによってデータの欠損や重複、表記揺れ、ノイズなどを特定し、分析だけでなくマーケティング業務に適したデータに加工していくことは重要です。
不要なデータが多くあることで、適切な分析・解析ができなくなるばかりか、無駄な工数やコストの発生にも繋がります。
逆に、常に最適化された数値やデータをマーケティング活動に用いることができれば、費用対効果を高めた運用に繋げることも期待できます。
今回紹介した内容も参考に、データクレンジングによって自社の数値やデータを定期的に見直し、最適化していきましょう。