普段マーケティングに携わる皆さん、「プロダクトライフサイクル(PLC)」をご存じでしょうか。
社内で何人かに聞いてみると、「大学の授業で習った気がする!」という回答が最も多く、実践レベルで把握できている方は多くはいませんでした。
プロダクトライフサイクルを知っていれば、市場の流れを把握でき、適切な事業計画や自社商品のPR方法を提案できるようになります。
そこで、「プロダクトライフサイクル」とは何か、どのようにマーケティングに活用していけるのかについて解説していきます。
1.プロダクトライフサイクル(PLC)とは
2.各プロセスにおけるマーケティング戦略を考える
2-1.導入期
2-2.成長期
2-3.成熟期
2-4.飽和期
2-5.衰退期
3.プロダクトライフサイクルの導入が難しい事例
3-1.カルビーのかっぱえびせん
3-2.蚊取り線香
4.まとめ
1.プロダクトライフサイクル(PLC)とは
「プロダクトライフサイクル」とは、商品やサービスが市場に投入されてから消失するまでのプロセスを指します。
もしマーケティングの担当者がプロダクトライフサイクルを理解していなかった場合、最悪です。
いくら良い商品やサービスを持っていたとしても、間違った時期にその商品を投入してしまえば売れ残ってしまい、市場からの撤退を余儀なくされるかもしれません。
逆にプロダクトライフサイクルを十分理解しているマーケティング担当者であれば、適切な時期に売れる商品を市場に投入することができ、ヒット商品の開発や売上の拡大に貢献できる可能性が高まります。
プロダクトライフサイクルによって市場の流れを理解することで、適切な時期に適切な商品を投入し、自社の売り上げ拡大への貢献を目指していきましょう。
2.各プロセスにおけるマーケティング戦略を考える
プロダクトライフサイクルには大きく4つのプロセスが存在します。
実際に各プロセスを理解し、そのプロセスの段階に合ったマーケティング戦略を考えていきましょう。
2-1.導入期
1つ目は「導入期」です。
これは言葉の通り、市場に新たな商品を投入した段階です。
このプロセスでは、その商品の存在すら知らないユーザーが多いため、認知度はかなり低い状態です。
つまり購入するユーザーも少なく、利益も売上もなかなか拡大しません。
購入する可能性の高いユーザーとしては、“世の中の流れやトレンドに敏感で、常にアンテナを張っている人”が考えられます。
しかし、このような新商品の存在に気づき、購入してくれるユーザーはほんの一握りです。
現にみなさんも、市場に出たばかりで知り合いが使っているのを聞いたことがないような、信用できない商品は買うのをためらってしまいますよね?
ユーザーの安心感を高めて「買ってみよう」と思わせるためには、その商品を認知させる「ブランディング」施策が必要であり、その施策を行うだけの予算が必要となります。
この時期に商品が爆発的に売れることはかなり稀であるので、ここで予算の見積もりを間違えてしまうと売上の目処が立たずにそのまま販売終了…ということもあります。
新商品を市場に出す際には、この利益が上がりにくい「導入期」が存在することをしっかり理解し余裕ある事業計画、予算調達を行っていきましょう。
2-2.成長期
導入機を超えて成長期の段階に入れば、ひとまず第一段階突破と考えて良いでしょう。
ただし油断は禁物です。
この時期は商品の認知度が高まり一気に市場に広まっていく段階、
すなわち、その商品の命運を分ける大きな転換点となります。
その商品が市場のニーズを満たすものであれば、口コミなどで様々なユーザーに広まり売り上げが拡大していきます。
反対に、市場のニーズを満たさないものであればもちろん廃れてしまいます。
そのためブランディングを引き続き行いつつ、
ユーザーのニーズをしっかり見極め商品自体の改善をかけていく必要があります。
盤石なブランディング体制ができていると市場規模がどんどん拡大していくため、
生産数が拡大し、生産効率も次第に上がっていきます。
すると生産上の無駄が減っていくために、売り上げも利益も増加しやすい傾向があります。
※画像はイメージです
しかしながら、この時期に商品を大量生産する仕組みや販路をしっかり整えておかなければ
需要と供給のバランスが崩れ、またしても撤退の危機が訪れるかもしれません。
そのため、この時期にも継続的に投資しながら
自社商品の認知拡大、提供を行い市場のニーズを満たしていけるよう
計画を立てていきましょう。
2-3.成熟期
さらにこの「成長期」を抜けると、今度はその商品を知り、その市場に価値を見出した競合他社も似たような商品を開発し、名前を変えて同じ市場に参入してくる「成熟期」がやってきます。
この時期には市場が安定し、多くの人がその商品を知っていて利用・購入している状態になります。
消費者はその商品に既視感を覚えはじめ、真新しさが薄れるため、
企業側はブランディングの施策から徐々に商品の拡充に方向転換していく必要があります。
(ブランディング施策が必要なくなるわけではなく、イメージの強化や企業・商品に対する信頼感の向上を引き続き行います。)
そのため、この「成熟期」が来ることをあらかじめ予測し、他社の類似商品が参入してきた際にも勝ち残っていけるよう、常に差別化を意識していきましょう。
またその差別化できる点は、自社の強みとなりますので、PRの際には積極的に訴求しましょう。
競合他社が多くあったとしてもこの強みをしっかりと打ち出していければ、それを魅力的だと感じているユーザーはほぼ必ず自社商品を購入してくれるはずです。
2-4.飽和期
成熟期にその商品が世間へ浸透すると、その市場は「飽和期」を迎えます。
この時期に入ると市場の伸びしろは減り、売上は縮小を始め新規購入者が減り、リピーターの割合が増加してきます。
新規で自社商品を購入してくれたユーザーが満足しリピーターとなってもらわなければ、他社商品に乗り換えられてしまい衰退スピードが速くなってしてしまいます。
リピートにつなげるためには「ユーザーを飽きさせない施策」が必要です。
例えば、その商品のUSP(Unique Selling Proposition)を改良して魅力を高めたり、逆に弱みとされていた部分を克服したりします。
商品改良を検証する方法のひとつに、「ユーザー調査」があります。
実際に商品を利用しているユーザーに未発売の商品を先行的に利用してもらい、感想をヒアリングすることで改良に踏み切るかを判断する、という手法がメジャーです。
この時期は市場が伸びない割に競合プレイヤーが増え、競争が熾烈化していきます。
市場における自社商品の立ち位置を常に理解し、お客様の目線に立って考えることが重要になります。
机上論に没頭せず、いつでも全体を俯瞰しユーザーの声を聴きながらシェアを拡大、維持できるように意識しておくとよいでしょう。
2-5.衰退期
最後にやってくるのは「衰退期」です。
この時期には商品の需要自体が減り、売り上げも利益も縮小していきます。
それ以上売り上げを拡大することは困難であるので、競合もその市場から撤退しはじめます。
競合がいなくなることで、自社商品へのニーズが高まるのではないかと思うかもしれませんが、その市場の伸びしろはほぼないので前に述べたとおり、売り上げ拡大にも限界が来るでしょう。
同じ市場に残り続けるためには、何かしらの改善が必要になります。
その商品をリニューアルし、全く新たな商品として異なる市場に投下することも考えられますが、新たな市場に投下する場合もやはりその市場の伸びしろや競合の参入度合い、予算感、さらに自社がその商品、その訴求で本当に勝ち残っていけるかという点はしっかり分析し吟味しましょう。
3.プロダクトライフサイクルの導入が難しい事例
一方で、プロダクトライフサイクルの考え方を用いて考えることが難しい商品の事例を一部紹介します。
3-1.カルビーのかっぱえびせん
おそらくみなさん一度は食べたことがある「やめられない、止まらない」がうたい文句のあのかっぱえびせんですが、この商品は1964年に販売開始されて以降、変わらず売れ続けています。
このような商品は「成熟期」がかなり長い時間続いていると考えられるため、一般的なPLCの考え方から外れてしまいます。
「かっぱえびせん」のように商品が長く市場に残っていられる要因としては「他社との差別化がしっかり図れている」点や「十分にブランディングされており他社が参入しづらい」点が挙げられるでしょう。
3-2.蚊取り線香
夏の暑い夜、みなさんが必要とするであろう蚊取り線香ですが、これもプロダクトライフサイクルを導入して考えることが難しい商品です。
蚊取り線香の歴史は100年以上続いており、そのままの形で現在も市場に残り続けています。
このような商品では今すぐの市場撤退は考えられないため、プロダクトライフサイクルを当てはめて考えることは難しいでしょう。
4.まとめ
- プロダクトライフサイクル(PLC)とは、商品が市場に登場してから成長、衰退するまでのプロセスのこと
- 導入期→成長期→成熟期→飽和期→衰退期の5ステップで、それぞれ異なる戦略をとる必要がある
- 市場の息が長いもの、ブランド力が強固なものはプロダクトライフサイクルが当てはまらない
今回はプロダクトライフサイクルに関してまとめました。
難しそうなキーワードでしたが、身近な例に当てはめて考えてみると案外簡単に理解できそうです。
みなさんも、いま自社の商材がどのステップに位置しているのかを把握し、適切な施策を選択しましょう。
また、どの段階でもリスティング広告はビジネスにとって良い影響を及ぼすはずです。
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