プライバシーサンドボックスは、Googleがプライバシー保護強化や広告配信の最適化を目指すために提唱した技術です。
今後、各媒体にも影響を与える可能性が高いですが、どのような技術なのか内容を把握しきれていない人もいるのではないでしょうか。
この記事では、プライバシーサンドボックスについて、概要や種類などを解説していきます。
合わせてプライバシーサンドボックスへの取り組み方についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
1.プライバシーサンドボックスとは
プライバシーサンドボックスについて理解を深めるために、以下の内容を確認していきましょう。
・プライバシーサンドボックスの概要
・プライバシーサンドボックスによる影響
それぞれ解説していきます。
1−1.プライバシーサンドボックスを提唱した背景
プライバシーサンドボックスが提唱されたのは、近年インターネットを活用するユーザーへのプライバシー保護が強化されているからです。
現状、広告配信を行う際は、Webサイトへのアクセス情報を保存するサードパーティクッキーを用いてユーザーを判別しています。
一度見たWebサイトの広告が別のアプリケーションで配信されるのは、サードパーティクッキーが要因です。
広告を活用する企業にとっては効率的な配信ができるメリットがありますが、ユーザーからすると不快感を覚えたり利便性を損ねる可能性もあります。
また、ユーザーの属性や興味関心などを特定できるサードパーティクッキーは、プライバシーを侵害するとして各媒体や国ごとに規制が進んでいます。
1−2.プライバシーサンドボックスの概要
プライバシーサンドボックスは、近年のプライバシー保護の流れを受けてGoogleが提唱した技術です。
個人情報の保護と快適な広告体験を目標に、サードパーティクッキーの代替となる技術が研究されています。
2019年にChromeからリリースされ、WebブラウザーやオンラインパブリッシャーなどWebコミュニティメンバーと協力しながら開発が進められています。
1−3.プライバシーサンドボックスによる影響
プライバシーサンドボックスの導入によって、サードパーティークッキー以外の代替手段が確立された場合、これまでのターゲティング配信よりCPMの改善が期待できます。
これまでクッキーを利用して広告配信を行っていましたが、2022年4月1日からは「改正個人情報保護法」によってユーザーの許可が必要になっています。
また、AppleのWebブラウザである「Safari」には、ITP(Intelligent Tracking Prevention)という機能によってサイトを横断したトラッキングに規制がかかっています。
日本国内では特にApple製品を利用するユーザーが多いため、今後サードパーティークッキーを用いた広告配信以外の手法が必要です。
プライバシーサンドボックスによって代替手段が確保できれば、ユーザーの個人情報保護と効率的な広告配信を両方実現できます。
2.Web向けのプライバシーサンドボックス
Web向けのプライバシーサンドボックスは、以下のようなものが存在します。
・Protected Audience API
・Attribution Reporting API
・Topics API
どのような技術が開発されているのか見ていきましょう。
2−1.Private State Tokens
Private State Tokensは、適切なユーザーやボットを見分けるための技術です。
ユーザーがサイト上で行ったアクションをもとに、Private state tokenを発行することで、正しいユーザーなのか判断します。
なお、Private state tokenは暗号化によって個人を識別することはできないようになっています。
2−2.Protected Audience API
Protected Audience APは、サードパーティークッキーを利用することなくリマーケティングを実現する技術です。
ユーザーがホームページを閲覧すると、サイトからユーザーに対して広告主の広告を継続して表示させたいという通知を送信できます。
また、具体的な広告内容や発生する報酬についても合わせてブラウザに共有されます。
通知が実施された後、ユーザーが広告スペースのあるサイトに訪問すると、アルゴリズムによって表示可能な広告の情報が提供される仕組みです。
2−3.Attribution Reporting API
Attribution Reporting APIは、サードパーティクッキーを新しい効果測定ツールやレポートツールに変換します。
ウェブサイトの横断による個人の識別がされないため、プライバシーに配慮しながら測定できる点が特徴です。
2−4.Topics API
Topics APIは、ユーザーのウェブ閲覧履歴をもとにして、ブラウザが関心の高いカテゴリを推測します。
サードパーティークッキーのようにアクセスしたサイトの情報が横断して共有されなくなるメリットがあります。
3.Android向けのプライバシーサンドボックス
Android向けのプライバシーサンドボックスには、以下のようなものがあります。
・Protected Audience API
・Attribution Reporting
それぞれ解説していきます。
3−1.Topics
Topicsは、ユーザーが使用しているアプリの情報をもとに、関心度の高いカテゴリを予測する技術です。
カテゴリのトピック選定はユーザーの端末で実施されるため、利用しているアプリ情報が外部に漏れることはありません。
ユーザー自身がデバイス上でトピックをチェックしたり管理できたりする点も特徴です。
3−2.Protected Audience API
Protected Audience APIは、アプリのデベロッパーによって定義された「カスタムオーディエンス」と、ユーザーの行動履歴をもとに広告を表示させる仕組みです。
関連づけられた広告の内容や情報がローカルに保存されるため、ユーザーの識別子が共有されることはありません。
Protected Audience APIを用いれば、プライバシーに配慮しながらリマーケティングを実行できます。
3−3.Attribution Reporting
現状、広告効果を評価する際は、クロスアプリ識別子やデバイス識別子などを用いています。
Attribution Reporting API は、ユーザー単位でトラッキングする仕組みから脱することで、プライバシーを保護するための技術です。
4.プライバシーサンドボックスへの取り組み方
プライバシーサンドボックスへの取り組み方としては、以下のような内容が挙げられます。
・ユーザー目線を改めて重視する
今後、正しい対策を実施できるように、上記についても把握しておきましょう。
4−1.プライバシーサンドボックスへの理解を深める
Google Chromeのサードパーティクッキーを廃止する動きは、2024年後半から段階的に進められていきます。
これまでのクッキーを活用したマーケティングから新しい技術にシフトしていくので、プライバシーサンドボックスの内容について理解を深めておきましょう。
現状、30個以上の技術や仕組みが提案されているため、全てを把握するのは難しいですが、実現できる内容やメリット・デメリットについて確認しておくことがおすすめです。
4−2.ユーザー目線を改めて重視する
プライバシーサンドボックスによるターゲティングの影響はまだ不明確ですが、セグメント精度が悪化する可能性もゼロではありません。
そのような事態が発生した場合、広告主に求められるのはユーザーがどのような情報提供を求めているのかというポイントへの理解です。
クッキーレスの到来によって、商材自体の価値がより求められることも考えられるので、商品や広告がユーザー視点になっているのか再度考慮する必要があります。
5.プライバシーサンドボックスをオン・オフに設定する手順
現状、プライバシーサンドボックスは、一部のユーザーを対象に提供されています。
オン・オフにする手順は以下の通りです。
- Chromeで「設定」を開き「プライバシーとセキュリティ」を選択
- 「プライバシーサンドボックス」をクリック
- 「プライバシーサンドボックス(試用版)」を設定
6.まとめ
いかがでしたか?
プライバシーサンドボックスは、サードパーティークッキーの活用によるマーケティングから脱却するための新しい技術です。
各媒体や国でプライバシー保護の強化が進められている現在、ユーザーを尊重する取り組みとして注目を集めています。
2024年後半から段階的にサードパーティークッキーの廃止が行われていくので、どのような技術なのか内容を把握して、今後の対策を検討していきましょう。