近年、スマートフォンの普及などに伴い、WebサイトをはじめSNSなどを活用したWebマーケティングに注力する動きが加速しつつあります。
とはいえ、情報量の多さやユーザー行動の多様化などもあり、必ずしも最新のWebマーケティングが全て奏功するわけではありません。
特にシニア層などにおいては、SNSよりもEメールなどからの情報の方が効果につながる場合もあります。
このような中で、SMSというショートメッセージを活用したマーケティング手法が注目を集めています。
SMSはスマートフォンでも展開でき、シンプルながらも携帯電話番号から直接アプローチすることによって効果を高めることも可能です。
そこで今回は、SMSを活用した効果的な送り方について、基本的な概要からメリット、注意点とあわせポイントを中心に紹介していきます。
SMSとは?
SMSとは、ショートメッセージサービス(Short Message Service)の略で、携帯電話番号から直接ユーザーに対して短いメッセージを送るサービスのことを指します。
日本においては1997年よりサービスが始まり、携帯番号さえ分かればユーザーのキャリアに関係なく短文のメッセージを送ることが可能です。
従来のSMSは、キャリアによって展開されており、ドコモのショートメールをはじめ、auではCメール、Softbank(旧Vodafone)ではスカイメールとして活用されていました。
当時は各キャリアの利用者同士でしか送信することができませんでしたが、スマートフォンの普及もあり現在では異なるキャリア間でもSMSを送ることができます。
このSMSは、電話回線(回線交換ネットワーク)を活用してメッセージを送信しています。
そのため、Eメールなどと異なり回線が不安定であっても比較的送りやすい特徴があります。
MMSやEメールとの違い
SMSと近しいサービスにMMSやEメールというものも存在します。
それぞれの特長や違いについて紹介していきます。
MMSとは?
MMSは、マルチメッセージングサービス(Multimedia Messaging Service)の略で、各キャリアのメールアドレスを活用したチャット形式のメッセージサービスとなります。
SMSでは携帯電話番号のみに送信できますが、MMSの場合には「〇〇@ezweb.ne.jp」や「△△@docomo.ne.jp」「□□@softbank.ne.jp」といったキャリア個別のアドレスに送信することが可能です。
なお、一部のキャリアではMMSにて電話番号に対して送ることもできます。
また、文字数の制限が無く画像やファイルを添付できる点もMMSの特長となります。
Eメールとは?
Eメールは、インターネット回線を通じて特定のメールアドレス宛に情報を送信するサービス全般のことを指します。
キャリアメールに制限されるわけではなく、PCでもスマートフォンでも展開可能です。
大容量のファイルであっても送受信することができますが、回線環境によっては届くまでに時間がかかる場合もあります。
SMSをマーケティングに活用するメリット
続いて、SMSをマーケティングに活用するメリットについて紹介していきます。
近年、SMSをマーケティングに活用する企業が増加傾向にあります。
それには以下のような要素が要因として挙げられます。
ユーザーとの直接コミュニケーション
SMSは、ユーザーの携帯電話番号に対して直接アプローチすることが可能です。
近年ではMNP(モバイルナンバーポータビリティ)の影響もあり、携帯の機種変更を行ったとしても番号はそのまま引き継ぐ傾向にあります。
例えば、ドコモからauに機種変更した場合、MMSであるとメアドが「△△@docomo.ne.jp」から「〇〇@ezweb.ne.jp」に変わってしまうため、ユーザーを判別することができなくなります。
これに対し、機種変更をしても携帯番号が引き継がれれば、ユーザーとのコミュニケーションを維持しやすく、リピーターやファン化につなげる効果も期待できます。
開封率が高い
基本的にSMSでは、ユーザーに対してメッセージを送信すると携帯の画面上に新着通知が表示されます。
そのため、訴求内容が目に留まりやすく、開封率も高い傾向にあります。
Eメールの場合は日々多くの情報が集まる傾向にあるため、自社の情報が埋もれてしまう可能性もあります。
これに対しSMSでは、携帯電話上の通知によって内容が開封されやすいため、他のプロモーション施策に比べ効果につなげやすい特徴があります。
新たなターゲットに向けたアプローチ
SNSの浸透などもあり、ユーザーは常に様々な媒体を通して情報収集やコミュニケーションを行っています。
とはいえ、このようなユーザーは若年層を中心にITリテラシーが高い傾向にもあります。
一方で、シニア層をはじめITリテラシーがそこまで高くないユーザーにとっては、アプリやWebサービス、SNSなどを利用していないケースも多くあります。
そこに加え、近年ではSNS疲れによって離脱するユーザーも少なくありません。
このようなユーザーに対して、シンプルで分かりやすいSMSは新たなターゲットに向けたアプローチが期待できます。
SMSで一斉配信を行う際の送り方
次に、SMSで一斉配信を行う際の送り方について紹介していきます。
SMSは、基本的に対象のユーザーと個別にメッセージのやり取りができるサービスとなります。
とはいえ、企業によっては個別に対応していくには限界が生じるケースもあります。
このような場合には、複数人に対してメッセージを一斉配信する送り方も存在します。
SMSの一斉配信とは?
SMSでは、専用のサービスを活用することで複数人に対して一斉配信を行うことが可能です。
このSMS送信サービスは、同じメッセージを一括で送信することにより、業務効率化につなげることができます。
また、サービスによっては配信日時を指定した予約配信や、宛名などを個別に挿入する差し込み機能、文字数の上限を増やした配信なども可能なため、目的に応じて効果を高めることも期待できます。
SMS送信サービスを活用した一斉配信の送り方
SMS送信サービスでは、基本的にブラウザや専用アプリ内から一斉配信を行うことが可能です。
この一斉配信を行う際には、あらかじめSMS送信サービス内に対象となるユーザーの名前や電話番号といったユーザー情報を取り込んでおく必要があります。
その上で、メッセージを作成すれば指定のタイミングにて一斉配信を行うことができます。
なお、操作方法などについては各サービスによって異なるため、事前に機能などと合わせ確認しておくことが重要です。
SMSをマーケティングに活用する際の注意点
続いて、SMSをマーケティングに活用する際の注意点について紹介していきます。
SMSによるアプローチは、手法としてはシンプルではあるものの、いくつか留意しておく必要があります。
以下の要素は注意点として押さえておくと効果的です。
送れるメッセージには制限がある
Eメールなどとは異なり、SMSの場合には一度に送るメッセージの文字数に制限があります。
基本的には1通あたり70文字まで(長文SMSの場合でも全角670文字、半角1,530文字)となるため、訴求内容はできる限りシンプルに抑える必要があります。
また、SMSは基本的にテキストのみでの配信となるため、画像や動画、ファイルなどの添付を付けることはできません。
リンク先のURLなども文字数に影響してくるため、短縮URLなどを活用しながら構成していくことが重要です。
メッセージの送信には費用がかかる
また、SMSの送信は電話回線を活用して行っているため費用がかかります。
この費用はキャリアによって若干異なりますが、基本的に1〜70文字以内の場合には約3円かかり、そこから文字数によって約3円ずつ加算され全角670文字の場合には約33円が費用として発生します。
そのため、SMSの頻度が多い場合にはコストも高くなる傾向になるため注意が必要です。
なお、SMS送信サービスを活用した場合にも、配信回数や量などによって費用が発生するため利用頻度とあわせ事前に確認しておく必要があります。
MMSに自動的に切り替わる可能性もある
SMSは、メッセージの内容などによってMMSへと自動的に切り替わってしまう可能性もあります。
例えば、文字数が70文字をオーバーした場合やファイルの添付などがある場合には、SMSではなくMMS形式が優先されてしまう傾向にあります。
また、iphoneなどiOSを活用しているユーザーには、独自のメッセージ機能であるiMessageに切り替わったり、最悪の場合にはメッセージが届かなくなる場合もあるため注意が必要です。
広告としてSMSを活用する場合には事前の同意が必要
企業の中にはSMSを広告媒体として活用するケースもあります。
ただ、特定電子メール法によってSMSを広告として活用する際には、あらかじめ対象となるユーザーに同意を取っておく必要があります。
携帯電話番号を取得する方法は多岐に渡りますが、Webサイトからの問合せ獲得時に自社の広告として活用する場合がある旨を確認しておくと効果的です。
もし同意がなく広告として活用した場合には、罰則の対象となるため注意が必要です。
SMSの効果的な送り方とは?
最後に、SMSの効果的な送り方について紹介していきます。
ユーザーと直接コミュニケーションが取れたり、比較的開封率も高い傾向にあるSMSは、様々なマーケティングに展開することが可能です。
中でも、以下の施策に活用すると効果を高めることが期待できます。
キャンペーンやイベントの告知
SMSは、開封率や即効性の高さなどからキャンペーンや割引情報の告知として活用していくと効果的です。
SNSなどを利用するユーザーは、ITリテラシーの高さからWeb上でのコンバージョン完結を求める傾向にありますが、その他のユーザーはSMSによってダイレクトにアプローチすることで来店促進につなげる効果も期待できます。
また、同じくイベント企画などの案内もSMSを活用することで参加を促すことが可能です。
顧客に向けたアンケートの実施
顧客に向けたアンケートの実施においてもSMSは有効活用できます。
Eメールなどに比べ開封率が高いSMSは、ユーザーが目にする機会も多いため、アンケートの回収率を高めることも期待できます。
特に既存顧客であれば、好意的な印象を持つ傾向も高いため、効率的にアンケートを集めることも可能です。
情報のリマインド通知としての活用
また、SMSは情報のリマインド通知としても活用できます。
商品発送後の連絡やイベント開催の前日アナウンス、入金確認の連絡など、ユーザーにリマインドとして情報を発信するケースは多くあります。
このような場合に、Eメールなどで連絡すると情報が埋もれてしまい、トラブルに発展してしまう可能性も起こり得ます。
このようなリスクを抑え、効率的に運用していく上でもSMSは有効活用できます。
まとめ
Webサイトや広告、SNSなど、ユーザーとコミュニケーションを取ることができる媒体は様々存在します。
ただ、IT技術が発達すればするほど高いリテラシーが求められるため、すべてのユーザーにアプローチできるわけではありません。
一方、SMSはシンプルにユーザーとのコミュニケーションが成立するため、ITリテラシーに限らず多くのユーザーに訴求することが可能です。
Eメールなどに比べ開封率が高いことから、マーケティングに活用する企業も増加傾向にあります。
今回紹介した内容も参考に、適切なSMSの送り方を押さえ、マーケティング効果を高めていきましょう。