近年、中国の大手アパレル会社のShein(シーイン)が、Z世代を中心に支持を集め日本国内で急速に勢力を拡大しています。
2012年に中国で設立されたSheinは、勢いそのままに勢力を拡大し、現在では150ヶ国以上でビジネスを展開しています。
Sheinがここまで勢力を拡大できた背景には、日本におけるアパレル企業にはない製造や流通、マーケティング戦略が影響しています。
今回は、Sheinのマーケティング戦略について、成功事例や自社に活用できるコツなどとあわせ、ポイントを中心に紹介していきます。
Sheinとは?
そもそもSheinは、中国の南京希音電子商務有限公司が運営するアパレルブランドのことを指します。
南京希音電子商務有限公司は、元々Webマーケティング事業を行っていましたが、2012年からSheinを立ち上げ、ECサイトとして展開するようになりました。
Webマーケティングに注力していた実績を活かし、SEOやSNS運営、Web広告の運用などを強化することで勢力を拡大し、現在では世界150ヶ国以上で販売しています。
通常のアパレルブランドとの違いとしては、Sheinでは実店舗を構えていません。
全てオンラインで販売しているため、店舗運営にかかる固定費を削減でき、その分だけ安く商品を販売することができています。
Sheinの特徴と代表的な経営戦略とは?
画像引用:SHEIN
続いて、Sheinの特徴と代表的な経営戦略について紹介していきます。
Sheinでは、効果的なマーケティングにつなげるため、以下のような経営戦略を取っています。
① 圧倒的な低価格の実現
Sheinでは、他社にはない圧倒的な低価格で商品を販売しています。
例えば、Tシャツであれば500円程度で、ネックレスなどのアクセサリーも100円程度で購入することが可能です。
日本におけるファストファッションでは、ユニクロやGUなどが挙げられますが、それよりも低価格なアイテムが多く揃っています。
さらに、セット割引やキャンペーンなども随時開催され、上記から10%から20%割り引かれることも多々あります。
② 圧倒的な商品ラインナップ
Sheinでは圧倒的な商品ラインナップも特徴として挙げられます。
世界150ヶ国以上で販売しているSheinでは、各国の地域に応じた好みやトレンド、利用ユーザーの体形などに対応するため、様々なデザインやサイズ、組み合わせが用意されています。
多様性が求められる昨今において、ユーザーニーズに応じた商品が見つかる点は、他社には真似できない強みともいえます。
③ 圧倒的な商品販売サイクルの速さ
ブームやトレンドといった流行の短期化は、年々早くなってきています。
このような中で、商品販売のタイミングを逃すことは機会損失につながりかねません。
Sheinでは、この商品販売サイクルも圧倒的に早い傾向にあります。
商品の入れ替えが激しく、常に最新トレンドを販売していれば、ユーザー側も購入はSheinを活用しようという気持ちが高まります。
その結果、新規ユーザーだけでなくリピーター獲得にもつなげることで、売上増加が可能となっています。
Sheinのマーケティング戦略
次に、Sheinのマーケティング戦略について紹介していきます。
Sheinでは、先ほどの経営戦略をもとに以下のようなマーケティング戦略を取ることで、成功に導いています。
① サプライチェーンマネジメント
サプライチェーンマネジメントとは、製造から流通、販売までの一連の流れを一元管理し、最適化するマーケティング戦略です。
Sheinでは、このサプライチェーンマネジメントを一貫して中国で対応し、効率化を図っています。
また、Sheinでは自社の工場は設けておらず、製造は他社に依頼しています。
その際、商品ごとに複数の工場が競り合う形で受発注を行い、システムをもとに管理・運営することでスピーディーな販売までの仕組みを構築しています。
これにより、Shein側としては商品企画や分析に注力することができ、効率的な販売戦略につなげることができています。
② 小ロット生産&テストマーケティング
様々な商品を販売するSheinでは、新商品の販売に際していきなり大量生産を行っているわけではありません。
何がユーザーに響くか分からない昨今において、大量生産は在庫が残るリスクが生じます。
そこでSheinでは、小ロット生産とABテストなどによるテストマーケティングを実施しながら販売を行っています。
とはいえ、小ロットの生産を他社工場に依頼することは難しい傾向もあります。
そこでSheinは、補助金などを活用しながら他社工場と提携することで、ユーザーの反応を見ながら販売拡大につなげています。
その結果、無駄なコストを削減し、効率よく売上増加につなげることができています。
③ インフルエンサーマーケティング
Sheinではプロモーション施策も他社とは違った戦略を取っています。
中でもインフルエンサーマーケティングは積極的に活用しています。
BtoC向け商品において、ユーザーからのリアルな声は、購入時の大きな要因となります。
また、ファッションアイテムの場合には、実際の着心地やコーディネートなどを画像や動画で確認できると、売上にもつながりやすくなります。
このような背景から、画像や動画で商品を訴求できるSNSは効果が期待できます。
さらに、インフルエンサーは多くのフォロワーを囲っているため、自社の商品を多くのユーザーにリーチさせ、興味関心を惹いてもらいやすい特徴があります。
Sheinでは、このような要素からインフルエンサーマーケティングを効果的に活用し、売上増加につなげています。
Sheinのインフルエンサーマーケティングの事例
最後に、Sheinのインフルエンサーマーケティングの事例について紹介していきます。
インフルエンサーマーケティングは、Sheinの認知度拡大だけでなく、コンバージョン獲得につなげる上で重要な施策となります。
とはいえ、SNSといっても様々な手法が存在します。
それぞれの媒体におけるSheinの事例について紹介していきます。
① Instagramでの事例
Instagramは、ショッピング機能を活用することで、ユーザーが興味関心を持った商品をすぐに購入まで誘導させることが可能です。
Sheinでは、この特徴を活かしインフルエンサーとタイアップすることで信頼感や期待感を向上させています。
また、ハッシュタグを活用することで関連する商品・アイテムを見つけやすくし、アップセルやクロスセルにもつなげています。
その結果、自然と拡散性も高まり、認知度拡大とあわせ売上増加につなげています。
② YouTubeでの事例
YouTubeは動画によるSNSで、商品の認知度拡大において効果が期待できます。
Sheinでは季節ごとにYouTuberとタイアップすることで、多くのユーザーにリーチさせ、認知度拡大につなげています。
特に、ターゲットとなるユーザー属性やニーズに応じてYouTuberを選別し、継続してプロモーションを依頼することでブランディング効果を高めています。
③ TikTokでの事例
TikTokは、YouTubeよりも短尺の動画で訴求できるSNSとなります。
視聴完了率も高く、Z世代を中心に若年層のユーザーが多く集まる傾向にあります。
Sheinの展開する商品・アイテムは、圧倒的な価格の安さから若年層に響く可能性が高くなります。
そのため、SheinではプロモーションとしてTikTokを強化しています。
TikTokでは、YouTube同様にターゲットとなるユーザー属性やニーズに応じてTikTokerを選別し、プロモーションを行っています。
知名度の高いTikTokerによる投稿は、TikTok上のレコメンド枠に表示されやすい特徴があります。
この点をふまえ強化することで、フォロワー以外のユーザーにも多くリーチすることができ、認知度拡大やコンバージョン獲得につなげることができています。
まとめ
ファストファッションとして急速に勢力を拡大しているSheinは、日本においてもZ世代を中心に注目を集めています。
Sheinが成功した背景には、徹底したサプライチェーンマネジメントと効率的なインフルエンサーマーケティングが挙げられます。
このマーケティング戦略は、圧倒的な低価格や商品ラインナップなどの経営戦略につながっています。
今回紹介した内容も参考に、Sheinのマーケティング施策を自社の戦略にも活用し、効果につなげていきましょう。