従来の不動産業界であれば、不動産・物件情報を得るためには地域の不動産会社に訪れる必要がありましたが、スマートフォンの普及に伴い、現在では様々な不動産情報が気軽に閲覧できるようになりました。
最終的な購入や契約に関する手続きや内観などは直接訪問するケースも多くありますが、その前段階の比較検討に際してはPCやスマートフォンなどで確認することが一般化しつつあります。
このような中で、不動産業界のマーケティングや広告プロモーション施策も様変わりしてきており、従来のチラシやダイレクトメール（DM）ではなく、Webマーケティング施策に力を入れる企業も増加傾向にあります。
そこで今回は、不動産業界におけるWebマーケティング施策について、その概要から重要性、成功につなげるコツなどについてポイントを中心に紹介していきます。
不動産業界とは？
そもそも不動産業界とは、建物や土地全般に関するビジネスを行う業界のことを指します。
具体的にはビルやマンション、商業施設やリゾート施設などを開発する業者をはじめ、物件の売買や賃貸を仲介する不動産仲介業者、注文や建売など住宅を中心に手掛けるハウスメーカー、住宅販売会社、管理運営を行う不動産管理会社などが挙げられます。
一般的には個人を対象にビジネスを行うケースが多くなりますが、中にはビルやリゾート開発など法人企業を対象に展開する場合もあります。
不動産業界におけるWebマーケティング施策の重要性
不動産業界は、基本的に情報収集や購入、契約などの手続きに際して直接不動産会社を訪問する必要がありました。
そのため、集客や顧客獲得に向けたプロモーション施策に対しては、主に新聞折込やチラシ、ダイレクトメールなどを活用することが多い傾向にありました。
ところが近年では、スマートフォンの普及もあり、不動産に関する情報をインターネットで収集する傾向が増え、Webマーケティング施策の重要性が高まっています。
さらに、新型コロナウイルスの影響もあり、直接対面でのビジネスが難しくなると、Webマーケティング施策への動きは加速化し、集客だけでなくコンバージョン獲得につなげる上でも多くの企業が取り組むようになってきています。
不動産業界がWebマーケティング施策を行うことのメリット
続いて、不動産業界がWebマーケティング施策を行うことのメリットについて紹介していきます。
Webマーケティング施策は業種業態問わず多くの企業が取り組んでいますが、不動産業界でも以下の効果が期待できます。
①新たな見込顧客の開拓と優良顧客の獲得
チラシやDMのような従来までのマーケティング施策では、不特定多数に対して広く訴求するため、自社の目的をふまえ目指すターゲットに対して的確にアプローチできるわけではありません。
これに対してWebマーケティング施策であれば性別や年齢、地域といったユーザー属性だけでなく、興味関心に対してセグメントを分けることが可能なため、新たな見込顧客に対して的確にアプローチすることが期待できます。
さらに、ホームページなどで自社の魅力や物件の特徴などをチラシやDM以上に細かく紹介することで、詳細を理解した上で興味を示す顧客（優良顧客）を獲得することにもつなげることができます。
訴求できる情報量が多いという点もWebマーケティング施策のメリットの一つです。
②他社との差別化による費用対効果を高めた運用
不動産業界においてもWebマーケティング施策に取り組む企業は増加傾向にあります。
他社との差別化を行い、自社の強みや特徴、魅力を適時ブラッシュアップしながら訴求できるWebマーケティング施策であれば、改善を重ねることで費用対効果を高めた運用につなげることも可能です。
数値やデータをもとに効果検証を行い、常に最新の情報を即時発信できる点もWebマーケティング施策の魅力となります。
不動産業界における代表的なWebマーケティング施策
次に、不動産業界における代表的なWebマーケティング施策について紹介していきます。
Webマーケティング施策も多岐に渡りますが、今回は不動産業界において効果的な施策について代表的なものをピックアップして紹介していきます。
①大手不動産ポータルサイトへの掲載
大手不動産ポータルサイトとは、売買や賃貸などの物件情報が多数掲載されたポータルサイトのことを指します。
代表的なところでは、suumoやhomes、athomeなどが挙げられます。
最新の不動産・物件情報が数多く紹介されており、ユーザーは地域や値段、間取りなど自身の希望や条件などからサイト内を検索することで必要な情報を簡単に収集することができます。
掲載するためには掲載料として費用が発生しますが、大手不動産ポータルサイトを運営する企業は、ユーザーを集めるためにCMなどの広告を行っています。
このようなポータルサイトに掲載することで、自社の不動産情報を多くのユーザーに対して訴求することが期待できます。
②リスティング広告
リスティング広告は、GoogleやYahoo!の検索エンジンにおいて、ユーザーが検索したキーワードに応じて広告を表示させる手法のことを指します。
キーワードに応じて広告訴求できるため、顕在層のユーザーに対してアプローチすることが可能です。
不動産業界においては、「港区 マンション 賃貸」などエリアを絡めたキーワードにて広告出稿することで、不動産情報や物件を探しているユーザーに対してダイレクトに訴求することが期待できます。
とはいえ、このようなキーワードは競合他社をはじめ①の大手不動産ポータルサイトも実施している可能性もあります。
競合性が高まると広告出稿費が上がるだけでなく、検索結果に表示されない可能性も起こり得ます。
いかに競合性が低く、且つユーザーニーズに合致したキーワードを選定できるかが重要になります。
③SNS広告
SNS広告は、FacebookやInstagram、Twitter、LINEといった媒体から、YouTubeやTikTokなどの動画SNSに対して掲載する広告手法のことを指します。
媒体によって特性やターゲットなどが異なりますが、拡散されることで大きな反響につなげることも期待できます。
不動産業界におけるSNS広告は、比較的若年層が多い点を考慮すると、特に物件の売買や賃貸を仲介する不動産仲介業者にはコンバージョン獲得につながる可能性が期待できます。
また、Facebook広告では実名制かつビジネス利用も多いことから、ビルやマンション、商業施設やリゾート施設などの開発業者や管理運営会社などにとっては効果につなげることも期待できます。
④自社のホームページに対するSEO対策
Webマーケティング施策は、広告出稿だけに限りません。
自社のホームページで不動産や物件情報などを訴求することも重要なマーケティング施策となります。
なかでもSEO対策は集客力を高める上で効果的です。
SEO対策とは、GoogleやYahoo!といった検索エンジンの最適化を表すマーケティング手法のことを指します。
最適化を行うことで、ユーザーが検索したキーワードに応じて上位に表示させることが可能になります。
リスティング広告のようにコストが発生するわけではないため、コストをかけずに集客につなげることが期待できます。
様々なキーワードで多くのユーザーを自社のホームページに集客できるようになれば、①の大手不動産ポータルサイトに掲載しなくとも、自社のホームページでコンバージョン獲得まで完結させることもできます。
即効性があるわけではないものの、中長期的な視点で見た際には効果的なWebマーケティング施策となります。
不動産業界におけるWebマーケティング施策を成功につなげるポイント
最後に、不動産業界におけるWebマーケティング施策を成功につなげるポイントについて紹介していきます。
自社の目的やターゲットを明確にしたアプローチを行うことが重要です。
①写真や動画を最大限活用する
直接対面での訪問や内観ではなくインターネットを活用した情報収集において、ユーザーに具体的なイメージを持ってもらうためには、対象の不動産や物件などに対する情報量が重要になります。
いくら魅力的な表現であってもテキストだけでは不動産情報を的確に伝えることは出来ません。そこで重要になるのが写真や動画による紹介です。
ユーザーは、視覚的な情報があればあるほど、実際に対象の物件に住んだイメージを具現化することが出来やすくなります。
リビングやキッチン、トイレ、風呂場だけでなくクローゼットの中やベランダ、設備に至るまで様々な角度で紹介すると効果的です。
また、動画による紹介も高さや日当たりなどをイメージしやすくなるため積極的に活用するといいでしょう。
②利便性にこだわる
Webマーケティング施策を行う上で、自社のホームページや広告出稿先媒体の利便性にもこだわることが重要です。
魅力的な不動産・物件情報が紹介されていたとしても、ターゲットとなるユーザーが対象ページに辿りつけなければ意味がありません。
スムーズに必要な情報を分かりやすく収集できなければ、ユーザーはすぐに離脱してしまいます。
情報量は重要ですが、いくら情報が多くあっても読みやすくない構成や見づらいデザインであれば、ユーザーに対して正しく伝えることはできません。
知りたい情報が分かりやすく掲載されることを意識し、利便性を追求することも重要です。
まとめ
スマートフォンの普及や新型コロナウイルスの影響もあり、不動産業界のマーケティング施策は大きく変わりつつあります。
従来のマーケティング施策では集客やコンバージョン獲得にはつながらず、多くの企業がWebマーケティング施策にシフトしてきています。
とはいえ、Webマーケティング施策も多岐に渡り、競合他社も続々と参入してきているため、いかに自社の目的やターゲットをふまえ、最適な施策を選定できるかが重要です。
今回紹介した内容も参考に、Webマーケティング施策を効果的に活用し、不動産業界の集客及びコンバージョン獲得につなげていきましょう。
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