近年「推し」という言葉をよく耳にするようになりました。
これに伴って、「推し」を活用したマーケティングも注目されています。
そこで本記事では、「推し」の意味や「推し」を活用したマーケティング手法や事例について紹介していきます。
そもそも「推し」とは?
「推し」とは、人に勧めたい(推薦したい)くらい気に入っている人や物のことです。
「推」という字で言うと、「○○を推す」という動詞形が一般的でしたが、現在では「推し」という言葉がよく使われるようになっています。
「推し」の語源
「推し」は2000年初頭頃から使われるようになった言葉のようです。
元々は、「一推しのメンバー」という形で使われていました。『AKB48』のファンが好きなメンバーを推薦するときに使う言葉だったのです。
それが、一推しのメンバー→推しメン→推しと省略されていきました。現在では、アイドルだけでなく、様々な人や物に対して、「推し」が使われています。
「オタク」とは何が違う?
「推し」と似た言葉に「オタク」がありますが、これらの言葉の違いは立場です。
「オタク」というのは、「推し」をしている人のことです。
そのため揶揄するニュアンスが含まれています。
一方で、「推し」は応援する対象のことです。
また、「オタク」はアイドルやアニメ、ゲームなどの中に「推し」をする人がいる場合によく用いられます。
「推し」自体は現在では対象が幅広いです。
熱狂的な「推し」をしている人を「オタク」と呼ぶこともあります。
気が向いたときに応援するというのではなく、毎日動画や配信を見たり、24時間夢中になっていたりする人などを「オタク」と呼ぶこともあるようです。
「推し」と「好き」の違い
「推し」は対象の物や人が好きであるだけでなく、他人に勧めたいという気持ちがあるときに使う言葉です。
「好き」は文字通りの好きなのですが、他人に勧めたいかどうかは意味の中に含まれていません。
「推し」の使い方
元々はアイドル対象に使われていた「推し」ですが、現在は、人・物など様々なものに対して使われます。
アイドル以外にも、アニメ・漫画・ゲーム・鉄道・歴史・メニューなど対象は様々です。
そのため、使い方も多様です。例文を見てみましょう。
・クラスの推しは○○さん
・このレストランの推しメニューを教えてあげるね
・この選手は私の推しだから、一緒に応援して!
・この映画は推しだから、映画館で見るべきだよ
このほか、「推し」を使った派生語に次のようなものがあります。
・推し事(おしごと):仕事をするように推しの活動をすること
・推し変(おしへん ):推しを変えること
・箱推し(はこおし):グループ全体を推すこと
・二推し(におし):二番目の推し
・推し仲間(おしなかま):一緒に推している仲間
「推し活」とは?
「推し活」の意味を簡単に解説しておきましたが、もう少し詳しい意味を確認してみましょう。
自分のイチオシの対象を応援すること
「推し活」とは推しをする活動のことですが、様々な形で自分のイチオシの人やキャラクターを応援することです。
例えば、ライブやコンサートに参加する、ファンレターやプレゼントを贈る、「推し」のグッズを買う、SNSで「推し」を広めるなども「推し活」といえるでしょう。
「推し活」が流行っている背景
「推し活」は現在の流行の活動ともいえるものです。その背景を探ってみましょう。
コロナ禍で消費の対象が変化
「推し活」が流行ったのはコロナ蔓延の影響もあります。
コロナ禍では、自粛やマスク生活により美容、外食、レジャーへの消費が減りました。
反対に消費が増えたのはNetflixや電子書籍・漫画などです。自分の生活に関わるものと言うよりも、好みや趣味に関するものが消費の中心になりました。
このようなものは、気に入れば応援したくなるものです。その結果、「推し活」しようという人が増えました。
SNSでのコミュニケーションの機会の増加
現代の若者は積極的にSNSを利用しています。若者以外でも利用者は増加中です。
SNSによりコミュニケーションの機会も増えました。これまでは応援したい人がいても、できることが限られていましたが、SNSがあることで「推し活」を進めやすくなっています。
また、自分の好きな人や物に関する情報発信も自由にできるようになりました。
「推し活」市場に注目する理由
「推し活」が流行るにつれて、有名人やアニメ、ゲーム、鉄道などにお金を使う人も増えました。
企業にとってはここは注目しなければいけないポイントです。
ただ、気に入ったから商品を買うというのではなく、応援したいから買うという人が増えれば、商品の売り上げも大きく増えます。
「推し活」をする人を対象にグッズやイベントの機会を提供する企業や団体も出てきています。
「推し活」の具体例
推し活の具体例を見てみましょう。
企業ごとの具体的事例は後述しますが、ここでは一般的な例を挙げてみます。
・「推し」関連グッズを購入したり集めたり作ったりする
・「推し」の動画やSNS投稿をオンラインで閲覧する
・「推し」ゆかりの地を訪れる
・SNSで情報発信したりコミュニケーションを取ったりする
「推し活」に決められたやり方があるわけではありません。
「推し」を応援できる活動なら、自分のできる範囲で自由に行うことができます。
企業が取り入れる推し活マーケティングの事例5選
ここからは、企業が実際に取り入れている推し活マーケティングの事例を見ていきます。
5つ紹介しますが、今後も推し活マーケティングを取り入れる企業は増えていくでしょう。
1.ロクシタン #おそ松たんキャンペーン
画像引用:「ロクシタン」が「おそ松さん」とコラボ 限定デザインの“シアバター”が当たる – WWDJAPAN
こちらは、「ロクシタン(L’OCCITANE)」のカスタマイズアイテム「マイシア」と映画「おそ松さん」のコラボキャンペーンです。
「マイシア」とは、保湿バーム「シアバター」に好きなメッセージや名前を入れられ、好きな色を選べるカスタマイズ製品です。
キャンペーンはロクシタン公式LINEアカウントから応募すると、シアバター12色セット(A賞、5人限定)とオリジナルTシャツ(B賞、5人限定)がプレゼントされるというものでした。
両方の推し活をしたい人にぴったりのキャンペーンです、
2.エスビー食品 「キミの推しスパは!?」キャンペーン
画像引用:S&Bまぜるだけのスパゲッティソース×INI「キミの推しスパは!?」プロモーション スタ
こちらのキャンペーンのテーマは「キミの推しスパは!?」です。
主力商品だけでなく、幅広いソースの推しをしてもらうためのキャンペーンになっています。
登場するのは11人組ボーイズグループ・INIです。
期間限定で、INIのメンバー写真がデザインされたコラボパッケージ『まぜるだけのスパゲッティソース』6種類も発売されました。
購入した人はまさに推し活ができています。
3.カラオケパセラ 推し会パック&動画堪能パック
画像引用:カラオケパセラの推し会 | リゾート複合型エンターテインメント施設のパセラリゾーツ
カラオケパセラ人気のオフ会の推しに特化した「推し会パック」が登場しました。
推しカラードリンク、推しカラーハニトー、尊いボタンレンタル無料など様々な特典があり、推し活も楽しくできます。
4.REGZA あなたの推しアイドル教えてください!キャンペーン
画像引用:Twitter
こちらは、好きなタレントやジャンルの番組やシーンを自動で検索してくれるサービス「みるコレ」の推し活キャンペーンです。
東芝REGZAのTwitterアカウントで行われたキャンペーンです。
推し活と言っても参加は簡単で、指定ツイートから推しアイドルへの愛をツイートしてもらうというものでした。
5.TOWER RECORDS タワレコ 推し活グッズ
画像引用:タワレコ推し色・推し活グッズ – TOWER RECORDS ONLINE
大手CDショップチェーンのTOWER RECORDSは様々な推し活グッズを販売しています。具体的には、文房具・お守り・うちわ用グッズ・バッグなどです。
アーティストを応援するこれらのグッズを購入すれば、推し活も上手くいきます。
押し活マーケティングを成功させるポイント
企業が採用している推し活マーケティングの事例を5つ紹介しましたが、推し活マーケティングを成功させるためには押さえておくべきポイントがあります。
どのようなポイントかを解説します。
あくまでも推しが主役になるようにする
推し活マーケティングで主役にすべきなのは推しになっている人です。
通常のコラボであれば、自社商品やサービスを主要テーマにしてもいいですが、推し活マーケティングでは推しを前面に出すべきです。
なぜなら商品やサービスのファンが対象ではなく、推しのファンが対象だからです。
形として残せる商品にする
推し活マーケティングで提案する商品は形に残るものがいいです。
形に残って持ち運びがしやすいものなら、写真に収めてくれます。
それをSNSに投稿し、拡散してくれるユーザーもいるでしょう。
しかし、具体的な形のないものでは、拡散は期待できません。
推しと商品に関連性を持たせる
推しと商品には関連性を持たせることが大切です。
ただ推しの顔をプリントしたものを販売すればいいというものではありません。
名称を少し変えるだけでもだめです。
推しが大事にされているなとファンが感じられるような商品を打ち出すことで、推し活に熱心になってもらえます。
誰かと共有したくなるような施策にする
推し活マーケティングを成功させようと思ったら、ファンが誰かと共有したくなるように仕向ける必要があります。
ただ、推し活商品を購入するだけでは、それ以上の発展がありません。
購入自体は推し活にはなりますが、SNSで共有したくなるような商品を出せば、推し活の効果も拡散します。
まとめ
今回は、「推し」や「推し活」について解説しました。
「推し」「推し活」とは、好きな人や物を応援する活動のことですが、最近は「推し活」を利用したマーケティングにも注目が集まっています。
今後「推し活」文化が定着するにつれ、推し活マーケティングの重要性は高まります。
ぜひ皆さんの企業でも効果的な推し活マーケティングを行って、消費活動を活性化させてください。