ロングテールと呼ばれるインターネット上のマーケティング手法があります。
今回は、このロングテールの概要、メリット・デメリット、成功事例などを取り上げます。ロングテールはWebサイトで利益を上げるときに重要なポイントになります。
ロングテールとは?
ロングテールとは、ネットにおける販売現象の1つで、売れ筋のメイン商品よりもそれほど売れないニッチな商品群の売上総額のほうが高くなることを意味します。
グラフ表示をした時に、売り上げの少ないニッチな商品群が下の方で長くなります。
その様子がまるでロングテール(長いしっぽ)のように見えることから、このような名称がつきました。
ロングテール戦略とブロックバスター戦略
ロングテール現象を活用し、売り上げが少ないニッチな商品を多数そろえて販売し、総売上高を伸ばそうとするのがロングテール戦略です。
ネット販売の手法にはブロックバスター戦略というものもあります。
ブロックバスター戦略は特定商品を売り込むときに、圧倒的な資本を集中的に投資して、販売する手法です。
ロングテール戦略では様々なニッチ商品に注目し、ブロックバスター戦略では特定のメイン商品に集中投資をします。
どちらが優れた手法なのかということではなく、企業や商品の種類によって向き不向きがあります。
傾向としては、ロングテール戦略を採用するのはネット上の小売業、ブロックバスター戦略を取り入れるのは大企業の売れ筋商品ということが多いです。
ロングテールのメリット
ロングテールのメリットを考えてみましょう。
多くの商品を同時販売できる
ロングテールでは、1つ1つではそれほど売上の上がらない商品を数多くそろえて、売れ筋商品をよりも総売上高を大きくします。
そのため、多数の商品を同時販売できます。
ECサイトの場合、実店舗のような展示場所は必要ないので、多数の商品を扱えますが、扱っている多数の商品が売れてくれれば、儲けも得やすくなるでしょう。
売上が安定する
ロングテール戦略を行うと、少ない人気商品に依存することなく、多数の商品を少しずつでも販売し続けられるので、売り上げが安定します。
提供している商品のいずれかが売れるため、リスクも低くなります。
人気商品というものは、季節やブームが過ぎ去ると、売り上げが大きくダウンすることもあるでしょう。売上が不安定なのです。
その点、ロングテール戦略を敷いておけば、商品が売れないということはなく、一定量の顧客は維持しやすいです。
数が多く売れなくても、相対的な売上高は最低ラインを超えているでしょう。
不良在庫の概念がなくなる
ECサイトの場合、商品ページさえ作っておけば、いくらでも商品の紹介ができます。
実店舗のように販売スペースは必要ないので、顧客がサイトを見て、商品を選んでくれるのを待つだけです。
商品ページに掲載した商品はだれかしらの注目を浴びることになり、少しずつでも売りやすくなるでしょう。
そうなれば、不良在庫を抱えることもなくなります。
無駄になる商品がなくなれば、お店の運営効率も上がります。
お客さまの幅広いニーズに対応できる
実店舗の場合、お客様に提案できる商品数に限りがあり、幅広いニーズに対応しきれません。
お客様が店舗にない商品を希望する場合は、取り寄せすることもありますがそれも手間になります。
その点、ECサイトの場合は、ロングテール戦略でそれほど売れ行きが進んでいない商品でも扱うことができます。
商品ページさえ作っておけば、自由にどんな商品でも掲載可能です。
そうなれば、どのようなお客様のニーズや要望にも応えやすくなって、満足していただけるでしょう。
ロングテールのデメリット
ロングテールのメリットを紹介しましたが、もちろんデメリットもあります。
実際にロングテール戦略を採用するかどうかはデメリットも見たうえでのことになるでしょう。
商品ページの作成に手間がかかる
ロングテールではニッチな商品をたくさん扱いますが、商品数が多くなると、商品ページの作成に手間がかかるようになります。
ただ作成するだけでなく、上手にアピールできるページにしなければいけませんが、そのための労力もかかるでしょう。
更新作業も大変です。
いったん作った商品ページをそのままにしておくことはできないので、随時更新しなければいけませんが、商品数が増えれば苦労することになるでしょう。
ロングテール戦略で商品ページの作成が難しいと思われる時は、外注も検討してください。
すぐに成果は出ない
ロングテール戦略では、売れ筋の人気商品を扱うわけではなく、1つ1つの商品についての需要はそれほど大きくありません。
そのため、各商品の販売量が特に増えるということもないでしょう。
ロングテールでは最終的な売上高を伸ばすことが目的なので、目の間の売り上げは伸び悩むことも多いです。
つまり、すぐに成果が出ないのです。
粘り強くニッチな商品を長期にわたって売り込んでいくという姿勢がロングテール戦略の成功のポイントになります。
在庫管理が大変
ロングテールでは、ニッチな商品を多数扱うので、在庫数が増えます。
実店舗のように商品の展示場所は必要ありませんが、在庫の保存場所は用意しないといけません。そして、商品数が多くなれば、管理も大変になります。
在庫管理に大きな場所も必要になり、管理コストも上がります。
Webマーケティングの知識が欠かせない
ロングテール戦略はECサイトで活用されますが、売り上げを伸ばすためにはサイトを検索エンジンの上位に表示しなければいけません。
上位表示となると欠かせないのがSEO対策です。
SEO対策のためにはWebマーケティングの知識が必要になります。
Webマーケティングについて十分理解せずにECサイトを開設しても、顧客から注目されるようにはならず、商品の売り上げも伸びません。
せっかく活用しているロングテール戦略が失敗したという事態もあり得ます。
ロングテール戦略を行うポイント
ロングテール戦略を行ううえでのポイントがあるので、解説しましょう。
ジャンルを絞る
まずは、ECサイトで扱うジャンルを絞りましょう。
ジャンルが無制限では、取り扱うべき商品が多くなりすぎて、管理ができなくなります。
自分たちの得意ジャンル、売り込みたい商品のジャンルを考えて、適切なものを選ぶ必要があります。
顧客分析をする
ジャンルが絞れたら、顧客分析をします。
どのような顧客が選んだジャンルの商品を購入しやすいのか、よく考える必要があります。
顧客の購入履歴や閲覧履歴なども参考にしながら、属性を確認し、ターゲットとなる顧客の特徴にフォーカスしましょう。
そのうえで、ロングテール戦略を行うと、ニッチな商品がターゲット層にアピールしやすくなります。
充実したコンテンツを含んだWebサイトを作る
ECサイト(Webサイト)を構築して、ロングテール戦略を行っていくのですが、その際に重要になるのは充実したコンテンツを含むことです。
商品ページの内容も深め、定期的に更新していくこと、また、商品ページだけでなく、できればお客様に有益なコンテンツページやブログなども掲載することが望ましいです。
しかし、かなり手間のかかることなので、外注することも考えましょう。
ロングテール戦略の成功事例
ロングテール戦略で成功した企業の事例があるので、紹介しましょう。
Amazon
Amazonでは数多くのニッチな商品を扱い、商品ページで紹介しています。
実際に売り上げの多くを占めるのがそのようなロングテール商品です。
ロングテール商品が多くなると、保管場所が課題になりますが、Amazonでは地下の安い場所に倉庫を設けることで、在庫管理コストを下げています。
Netflix
Netflixでは、メンバーがインターネットに接続したデバイスで映画やドラマを視聴できるようになっています。
そのNetflixもロングテール戦略を採用しています。
マイナーな映画やテレビ番組を取り扱い、様々な顧客ニーズに対応しています。
1つ1つの作品の売れ行きが少なくても、全体の売上高アップに貢献しています。
そのようなマイナーな作品を多く扱えるのは在庫管理が必要ないためです。
データを提供するだけですから、倉庫は不要です。
いくらでもマイナーな作品を用意できます。
A-Z
実店舗でロングテール戦略を行うのは非常に難しいのですが、それを実現したのが鹿児島のスーパー A-Zです。
東京ドームのグラウンド面積3個分という広大な敷地に、ありとあらゆる商品を用意しています。ニッチな商品もたくさんあります。
これでロングテール戦略を推し進めることができるようになり、幅広い顧客が利用するようになりました。
おかげで、一日の平均来店者数が約3万人に達したそうです。
まとめ
今回は、ロングテールというマーケティング手法について解説しました。
ロングテールでは売れ筋の人気商品ではなく、それほど売れ行きのないニッチな商品を数多く扱うことで、総売り上げを伸ばすことを目指します。
実際にロングテール戦略を行ううえでの注意点はありますが、成功すればお客様の幅広いニーズに応えられ、売り上げも安定します。
そのため、もし自分のサイトでも活用できそうだと思ったら、ぜひ実行してみてください。