KBF(重要購買決定要因)は、一般的には価格が決め手となるケースが多くありますが、競合他社との違いやブーム・トレンドといった流行、ブランディング価値なども要因として挙げられます。
昨今のSNSの浸透などから、映えるという基準がKBFになることも少なくありません。
このように自社におけるKBFを正しく理解しておけば、その後のマーケティングやプロモーション施策にもつなげやすくなり、売上増加や利益拡大のヒントにもなり得ます。
今回は、KBFの基本的な概要から、設定することのメリットや活用のコツなどについてポイントを中心に紹介していきます。
KBFとは?
そもそもKBFとは、Key Buying Factorの略語で、重要購買決定要因の意味を持ちます。
ユーザーが商品を購入したり、サービスを申し込む際には、何かしら決め手となる判断基準が存在します。
これは、単純に価格だけではなく競合他社と比べて機能や性能が優れていたり、ブランディング価値の高さ、ブーム・トレンドといった流行なども考えられます。
また、昨今ではSNSで映えるからといった要因や、特定の企業や生産者、CMに出演している芸能人を応援したいからなどといった可能性もあります。
このようなユーザーがコンバージョンに至る際の判断基準を正しく理解し、その上でマーケティングやプロモーション施策を行うことができれば、より売上増加や利益拡大につなげることが期待できます。
また、KBFを社内の共通認識として確立できれば、サービスの改善や新たな商品開発などにもつなげることが可能になります。
競合他社との違いや市場における立ち位置を明確化できるため、マーケティングを有利に進めることにもつながります。
KSFとの違い
KBFと似たような言葉にKSFというものも存在します。KSFとは、Key Success Factorsの略語で、重要成功要因という意味を持ちます。
このKSFはビジネスを成功に導く要因のことを指し、KBFとは似ているようで若干意味合いが異なります。
KBFは自社の商材やサービスに対してユーザーがコンバージョンに至る決め手や要因のことを指すのに対し、KSFでは企業のビジネス全体が成功に至る要因のことを表します。
ビジネスを成功に導くためには自社の商材やサービスのコンバージョンが増え、売上増加や利益拡大につながらなければなりません。
そのため、KBFとKSFはセットで考え、両方を意識してマーケティングやプロモーション施策につなげることが重要です。
KBFの重要性
近年、インターネット技術の発展に伴い、スマートフォンの普及やSNSの浸透など、ユーザーと接点を持つことができるポイントは複雑化し、関連してユーザー行動も多様化しつつあります。
このような中で、マーケティングやプロモーション施策を成功に導くためには、自社の商材やサービスの強みや弱み、市場傾向、競合他社の動向などを常に把握していく必要があります。
その中で、自社の商材やサービスはユーザーに対して何が響き、どういった意図でコンバージョンまで至るのか明確化しておくことは重要です。
例えば、自社の商材を購入する目的が、競合他社に比べて機能が優れている点にあるとした場合、その強みを広告・プロモーションとして訴求すれば、さらに大きなコンバージョンにつながる可能性があります。
一方で、サービスの価格の安さが決め手の場合、いくら機能を拡充したり付加価値をつけたところでコンバージョンにはつながらない可能性も起こり得ます。
このように、KBFを明確化しておくことは、自社の売上増加や利益拡大につなげるだけでなく、マーケティングやプロモーション施策のヒントとして活用することも可能になります。
もちろん、KBFは業種業態によって異なり、決め手は1つとは限りません。
そのため、ユーザー行動を客観的且つ多角的に分析しながら、ターゲットとともに可視化しておくと効果的です。
KBFを設定することのメリット
続いて、KBFを設定することのメリットについて紹介していきます。
KBFは、マーケティング活動を効率化し、売上増加や利益拡大につなげる上でも欠かせません。
あらかじめ設定しておくことで、以下のようなメリットが期待できます。
目標達成に向け何をすべきかの可視化・明確化
KBFは、自社の目標達成に向け、何を行うべきか可視化することで、マーケティングやプロモーション施策を効率的に進めることが可能です。
例えば、売上増加や利益拡大につなげたいと思っても、自社のターゲットとなるユーザーがどういった行動を取るのか分からなければ、効果的な訴求を行うことは出来ません。
これに対しKBFにてユーザー行動を可視化し、価格や機能、ブランディング価値などを明確化しておけば、KBFに応じたアプローチを行うことでマーケティングやプロモーション効果を高めることが期待できます。
抽象的で漠然とした情報ではなく、数値やデータに裏付けされた客観的且つ具体的なKBFが明確になれば、やるべきこともはっきりし、目標達成に向けた訴求につなげることが可能です。
社内の共通認識化
マーケティングやプロモーション施策を最大化させるためには、社内の協力も必要不可欠です。
とはいえ、現場や別部署になればなるほど、目標はもとより施策の意図を共通認識させることは難しく、同じ方向を向いた行動につながらないことも起こり得ます。
このような場合には、明確な数値やデータにもとづく説明が必要になり、その上でKBFは有効活用することができます。
「売上増加を図る上でなぜ機能拡充が必要なのか?」「KBFで見た場合、ユーザーの〇%が機能面を重要視しているから」のように客観的かつ具体的に明示できれば、社内の共通認識化が強まり、モチベーションの向上にもつながります。
効率的なKPIの設定
KPI(Key Performance Indicator)は、重要業績評価指標のことを指し、日々の業務目標を立てる上で重要な効果測定指標となります。
一般的には売上をKPIとして設定し、その目標を達成するための業務に落とし込んでいきますが、中にはKPIの設定で悩まれるケースも少なくありません。
そのような場合に、KBFはKPIを効率的に設定していく上で役立ちます。
例えば、競合他社に比べて機能が優れている点がKBFとしてあるのであれば、機能を拡充したり、ブラッシュアップすることで、強みをさらに強固にする施策はKPIとして成り立ちます。
このように、効率的にKPIを設定する上で、KBFを活用することは有効です。
KBFを設定する上でのコツ
最後に、KBFを設定する上でのコツについて紹介していきます。
KBFは、闇雲に設定しても効果にはつながりません。
客観的且つ具体的に可視化していく上で、以下の要素を考慮しておくと効果的です。
自社の商材やサービスのポジショニングの把握
KBFを設定する上で、まずは自社のポジショニングを確認していく必要があります。
これによって、ユーザーが抱える悩みや不安、要望といったニーズに対し、自社の商材やサービスで提供できる価値にギャップが無いか把握することが可能になります。
その際、ポジショニングマップのようなグラフをもとに精査すると効果的です。
ポジショニングマップとは、自社と他社の商材やサービスを価格や機能などの要素をもとに比較したものを指します。
あくまで客観的な視点に注力し、結果をマーケティングやプロモーション施策につなげていくと効果的です。
競合他社との優位性の把握
自社の商材やサービスにおけるポジショニングが把握できれば、そこからさらに競合他社との優位性を可視化していきます。
先ほどのポジショニングマップがあれば、ある程度の優位性や差別化のポイントは明確化できますが、そこからより具体的な優位性を深掘りする必要があります。
例えば、機能面で優位性があるのであれば、その特性を表や図で表すことができれば、優位性を訴求ポイントとして活用することができます。
このように、KBFにて設定した優位性は、積極的にマーケティングやプロモーション施策に活用していくことで、効果を最大化させることが期待できます。
まとめ
近年のユーザー行動の多様化に伴い、自社におけるKBFを正しく理解しておくことは重要です。
機能や性能がKBFの場合、価格を調整したり割引キャンペーンなどを実施しても効果につながらない可能性も起こり得ます。
逆に、適切なKBFに伴いアプローチすれば、マーケティングやプロモーション施策効果を最大化させることも期待できます。
今回紹介した内容も参考に、自社のKBFを適切に設定し、マーケティング効果を高めていきましょう。