近年、インターネット回線の発達を始め、スマートフォンの普及、SNSの浸透などもあり、日々のユーザー行動は大きく様変わりしてきています。
ユーザーの興味を惹くマーケティングやプロモーション施策を検討するためには、市場傾向やユーザーニーズを正しく理解し、適切にアプローチしていく必要があります。
このような中で注目を集めているマーケティング手法が、インバウンドマーケティングです。
インバウンドマーケティングとは、ユーザーが求めているコンテンツや情報などを自ら創出し、興味を惹くとともにファン化につなげるマーケティング手法となります。
今回は、インバウンドマーケティングの概要からメリット、効果に繋がる方法などについてポイントを中心に紹介していきます。
インバウンドマーケティングとは?
そもそもインバウンドマーケティングとは、自社の商材やサービスについてまだ認知度が低い潜在顧客や見込顧客に対し、関連する情報を提供することで興味関心を惹くとともに顧客化及びファン化に向けてアプローチしていくマーケティング手法のことを指します。
インバウンドという言葉には内向きや入ってくるといった意味があり、企業側からの情報発信によってユーザーの目にふれさせるプル型のマーケティング手法といえます。
提供・発信する情報は多岐に渡りますが、一般的には商材やサービスに関連しつつも、ユーザーの興味関心度の高い悩みや不安、要望などを解決する内容が多くなります。
インバウンドマーケティングの手法としては、自社のホームページ内でコラムやブログ、Q&Aなどのページを用意して発信する方法や、オウンドメディアの運用、SNS上での情報発信、YouTubeなどの動画コンテンツの公開などが挙げられます。
いずれも自社の商材やサービスを一方的に訴求するのではなく、あくまでユーザーの興味関心ごとに対して情報発信を行い、流入してきたユーザーに対して自然な流れでアプローチすることが特徴です。
インバウンドマーケティングの重要性
このようなインバウンドマーケティングの重要性が高まった背景には、市場の変化とともにユーザー行動が多様化してきたことが考えられます。
近年では、急速にインターネット回線が発達し、スマートフォンをはじめ多くのデバイスが普及して、今やスマートフォンは1人1台必ず保持しています。
そこに様々なアプリケーションの登場や、SNSの浸透などもあり、情報は誰でも手軽に収集できるようになり、膨大な情報から取捨選択していくことが求められています。
現在、ユーザー行動はAISCEAS(注意→興味関心→検索・情報収集→比較→検討→購入→共有)とも言われています。
このような中で、従来のようなテレビCMやチラシを見て商品を知り、スーパーをめぐってほしい商材を購入するといった行動は当てはまらなくなり、マーケティングの考え方も変化が求められてきました。
そこで、市場傾向やユーザー行動などを踏まえた上で、一方的な企業からの発信だけではなく、ユーザーの興味を惹くコンテンツや情報発信を行い、顧客化・ファン化につなげる動きが現在では加速化してきています。
他のマーケティング施策との違いとは?
インバウンドマーケティングと近しい言葉に、アウトバウンドマーケティングと呼ばれるものも存在します。
また、近年ではコンテンツマーケティングと呼ばれる手法も重要性が高まってきています。
そこで続いては、それぞれの違いについて紹介していきます。
①アウトバウンドマーケティングとの違い
アウトバウンドマーケティングとは、インバウンドマーケティングの逆の意味を持つマーケティング手法です。
インバウンドマーケティングがプル型のマーケティング手法なのに対し、アウトバウンドマーケティングはプッシュ型の手法となります。
訪問営業やテレアポ、ダイレクトメール、ポスティング、展示会など、ユーザーに対して積極的に自社の商材やサービスを訴求することを指します。
営業力や提案力などが問われますが、売上増加や利益拡大に直接つながるため、即効性が高いマーケティング手法となります。
とはいえ、先ほどのAISCEASのように現在のユーザー行動は、認知から購入までに時間がかかる傾向にもあります。
そのため、アウトバウンドマーケティングは業種業態によっては効果が期待できる場合もありますが、反対にマイナスにつながる可能性も起こり得ます。
②コンテンツマーケティングとの違い
また、近年注目されているマーケティング手法にコンテンツマーケティングというものがあります。
コンテンツマーケティングは、コラムやブログをはじめ自社のホームページにおいてユーザーの興味を惹くコンテンツを提供することで、認知度拡大や潜在顧客、見込顧客の獲得につなげる手法のことを指します。
一見するとインバウンドマーケティングと同様にも思えますが、インバウンドマーケティングはコンテンツに限らずユーザーに対して情報発信を行うことを意味します。
そのため、コンテンツマーケティングはインバウンドマーケティングの手法の一つであり、インバウンドマーケティングの中に含まれる概念ということができます。
インバウンドマーケティングのメリット
次に、インバウンドマーケティングを行うメリットについて紹介していきます。
インバウンドマーケティングを実施することで、以下のような効果が期待できます。
①潜在顧客や見込顧客の顧客化・ファン化
アウトバウンドマーケティングであっても、ユーザーに対してアプローチすることで顧客化は期待できます。
ですが、ユーザー行動が多様化する昨今において、企業からの一方的なアプローチはユーザー心理に響かず、かえってマイナス影響につながる可能性も起こり得ます。
これに対してインバウンドマーケティングでは、ユーザーが潜在的に抱える悩みや不安、要望などに対して解決策を提示するとともに、自然な流れで商材やサービスを訴求していきます。
そのため、顧客化だけでなくその後のファン化にもつながりやすく、アップセルやクロスセルといった相乗効果も期待できます。
②費用対効果を高めた運用
インバウンドマーケティングは、自社でコラムやブログなどの情報発信を行います。
ホームページはもとより、オウンドメディアの展開やSNS投稿なども内製化ができれば広告などのコストをかけずとも集客やコンバージョン獲得につなげることが期待できます。
そのため、アウトバウンドマーケティングよりも費用対効果を高めた運用につなげることが可能です。
とはいえ、コラムのライティングやオウンドメディアの運営、SNSの投稿などには多くの工数がかかります。
またアウトバウンドマーケティングに比べ即効性が高いわけではないため、中長期的な視点で戦略を立てていくことが重要です。
③コンテンツやSNSなどの資産化
また、インバウンドマーケティングにて実施したコラムやブログなどのコンテンツをはじめ、オウンドメディアやSNSアカウントは、そのまま自社の資産とすることが可能です。
広告などの場合、出稿期間が終われば訴求したクリエイティブも消えてしまいます。
これに対してインバウンドマーケティングで発信した情報は、自社内で削除しない限り半永久的にインターネット上に残り続けます。
古くなった情報は定期的に改修する必要もありますが、過去に配信した情報によってユーザーの興味を惹き、予期せぬ集客やコンバージョン獲得につながる可能性もあります。
この点も、インバウンドマーケティングの魅力の一つです。
インバウンドマーケティングの効果を高めるコツ
最後に、インバウンドマーケティングの効果を高めるコツについても紹介していきます。
これからインバウンドマーケティングの実施を検討している際には、以下の項目を押さえておくと効果的です。
①目的やターゲットとともに自社の顧客におけるプロセスの明確化
インバウンドマーケティングは、ユーザーが求める情報を提供するとともに、コンバージョン獲得につなげていくマーケティング手法となります。
そのため、どういった目的でどのユーザーに対し、どういったタイミングで情報を発信していくのか明確にしておく必要があります。
まずは自社の目的やターゲットをはっきりさせるとともに、顧客のコンバージョンまで至るプロセスも、カスタマージャーニーマップなどを参考に明確にしておくと効果的です。
②インバウンドマーケティングだけにこだわらない
インバウンドマーケティングは、アウトバウンドマーケティングに比べて費用対効果を高めた運用につなげやすい特徴があります。
一方で、アウトバウンドマーケティングに比べて即効性が低いともいえます。
そのため、自社のマーケティング効果を高めるためには、インバウンドマーケティングだけにこだわらず、アウトバウンドマーケティングも活用しながら運用していくことが重要です。
例えば、コラムやブログなどをフックにホームページに訪れたユーザーに対して、リマーケティング広告などで訴求を行えば、コンバージョン獲得につなげやすくもなります。
このように、複数の施策を組み合わせることで相乗効果につなげていくと効果的です。
まとめ
インバウンドマーケティングは、ユーザーの興味関心を促し、自然な流れで自社の商材やサービスを訴求できるため、多くの企業が取り組んでいます。
従来のアウトバウンドマーケティングに比べて即効性は低いですが、近年のユーザー行動の多様化を加味すると、中長期的な視点では効果につなげる可能性が高い特徴があります。
とはいえ、適切にアプローチしていくためにはインバウンドマーケティングに限らず様々な手法を効果的に実施していく必要があります。
今回紹介した内容も参考に、インバウンドマーケティングを上手く活用し、自社のマーケティング価値を高めていきましょう。