現代社会では、膨大なデータを扱い、データの重要性がますます増しています。
そんな中で必要になるのがデータ戦略で、企業はデータ戦略を策定し、目標達成に向かわなければいけません。
そこで今回は、データ戦略の重要性・構築方法・取り組み事例などを紹介します。
そもそもデータ戦略とは?
データ戦略の明確な定義が定められているわけではありませんが、一般的には、組織が目指す戦略目標に向かってどのようにデータを活用すればいいのかを考えるアプローチのことをいいます。
テクノロジー、スタッフ、プロセス、ルールなどに渡って長期的な計画を立てていきます。
ここで挙げた組織には、ビジネス活動を行う企業だけでなく、大学などの教育機関、行政や自治体などの公共機関も含まれます。
データ戦略に含まれるデータ
データ戦略に含まれるデータは様々です。代表的なものを取り上げてみましょう。
・顧客データ
・スマートフォンから得られる位置情報
・防犯カメラから得られる消費者の回遊データ
・経理データ
・販売データ
・センサーデータ
・交通データ
・気象データなど
データ戦略の重要性
現代の組織では膨大なデータを扱っています。
小さな組織でも、顧客に関するデータは決して少ないとはいえません。
それだけに正しくデータを分析し、意思決定に活かすことがとても大切なのです。
データ戦略を適切に構築できれば、今後の活動の方向性も見えるようになり、目標も設定しやすくなります。
企業にとってもデータ戦略がうまくいけば、売上をアップさせ、競争に勝ち抜くための方法にもなり得るのです。
それだけデータ戦略は重要です。
データ戦略構築のステップ
データ戦略の重要性がわかったところで、今度は具体的な構築のためのステップを解説しましょう。
1.目標を決める
まず、データ戦略を構築するための目標を定めましょう。
目標が明確になると、どのようなデータを使って戦略を立てればいいかの道筋も見えやすくなります。
データ戦略といっても、組織の抱えるデータ全てを対象にするのは無理です。扱うデータが多くなればなるほど、チームの負担も増えます。
そこで目標を定めることでデータを取捨選択し、最も重要な情報に絞った戦略を立案すれば作業もしやすくなるでしょう。
2.正しいデータを取得する
データ戦略の実施で大事なのが正しいデータを取得することです。
誤ったデータ、混乱したデータを元に適切なデータ戦略は構築できません。
データソースがたくさんある中にあって、そのデータソースの精査が必要です。
外部ソースも含めて、データの出所を確かめないといけません。
3.社内でデータを共有しやすくする
データ戦略を考える上で障壁になるのは細部化された組織です。
各組織で違うデータを扱っていると、まとめるのが難しくなり、全体を通してのデータ戦略が構築しにくくなります。
そこで大事になってくるのが社内でデータを共有しやすくすることです。
組織同士をオープンに開き、データの流れが円滑に進むようにしておくと、効果的なデータ戦略を組みやすくなります。
4.できるだけ統合する
データ戦略で活用するデータは可能な限り統合しておく必要があります。
データがバラバラでは、戦略が立てにくいです。
データが統合されていると、データスタッフ全員が同じデータにアプローチでき、ツールの利用などもしやすくなります。
5.データドリブン文化を構築する
データドリブンとは、KKD(勘、経験、度胸)だけに頼らず、収集した様々なデータを元に施策を立案したり、意思決定を行ったりすることです。
データ戦略を実施するに当たっては、データドリブン文化を構築する必要があります。
せっかくデータを活用する戦略を立てたのに、そのデータを駆使する土壌が整っていなければ意味がありません。
社員全体がデータを使って意思決定する環境を作っていくことが、データ戦略構築の鍵です。
6.データを保護する
データ戦略で使うデータは保護する必要があります。
サイバー攻撃のリスクを低減させるほか、EUが定めた厳格なGDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)も遵守したいところです。
GDPRは個人データやプライバシーの保護に関してのルールを定めた法律です。
データ保護に当たっては、適切なシステムやツールの利用も必要になってきます。
7.テストを継続する
データ戦略の最終ステップはテストを継続することです。
データ戦略を構築したら、それで終わりではありません。
うまくいくこともあるし、思うように行かないこともあります。
そこでテストを継続し、検証を行い、データ戦略の精度を上げていくのです。
データを迅速かつ効果的に抽出するためにも、テストは非常に大事です。
データ戦略取り組み事例
データ戦略に実際に取り組んだ組織の事例があるので、紹介しましょう。
ヤクルト
ヤクルトでは、幅広い経路から収集したデータを活用し、売上アップにつなげました。
収集したデータは消費者の購買データの他、気象データ、Googleの検索結果、広告へのアクセスなどです。
これらのデータ分析を行うことで、消費者の購買パターンを把握でき、効果的な施策を実行できたのです。
岡山大学
岡山大学では、長野県高森町と連携し、子供の学習意欲に関するアンケートを繰り返して、データを収集しました。
アンケートの結果、学習意欲が低い子に対しては、教師や保護者が情報を共有し、フィードバックを行いました。
成果は、フィードバックを行った子供の学習意欲と成績が向上したそうです。
エクスペディア
エクスペディアのデータ戦略は、予約管理システムを利用して収集した旅行者の居住地や客室単価、宿泊数などのデータを日本の宿泊施設に提供するというものです。
宿泊施設の評価が高まりました。
楽天
楽天では膨大なユーザーデータを収集していますが、その利点を活かし、ECモールで得たデータと他の楽天サービスで得たデータをIDで紐付けました。
効果的なデータ戦略になり、精度の高い広告配信ができるようになりました。
城崎温泉
城崎温泉では、スマートフォンのICカード機能を利用したデータ収集を実施しました。
人気の高い外湯や訪れている観光客の属性など分析し、施策を実行しました。
その結果、売上増につながったそうです。
無印良品
無印良品では、スマートフォンアプリ「MUJI passport」を作成し、顧客の口コミデータを集めたり、改善アイデアを提案してもらったり、店舗にチェックインしてらったりし、マイルを提供することにしました。
「MUJI passport」により、顧客が求めている商品、閲覧履歴、位置情報などのデータ取得が可能になりました。
その成果を活かして、マーケティングの成功から売上アップにつなげています。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、データ戦略について解説しました。
データ戦略を適切に構築することで、今後の活動の方向性や目標を明確にしやすくなります。
ぜひ今回の記事を参考に、データ戦略を適切に実施し、自社の目標を達成させましょう。