Yahoo!広告を活用してマーケティングを行っている方のなかには、アカウント移管で運用データの引き継ぎを検討している方もいるのではないでしょうか。
この記事では、Yahoo!広告のアカウント移管の条件や流れなどを解説していきます。
移管する時に注意するべきことも解説するので、これからアカウント移管をする方はぜひ参考にしてみてください。
1.そもそもYahoo!広告のアカウント移管とは
そもそもYahoo!広告のアカウント移管とは、手続きを行うことで配下の入稿アイテムや実績などを引き継ぐ作業です。
広告を配信する場合、媒体と直接契約するインハウスか代理店などに業務を委託するパターンに分かれます。
アカウントを移管しない場合、新規でアカウント開設から始める必要がありますが、そうなると入稿アイテムや実績が引き継がれないため、アカウント移管を行う企業が多いです。
2.Yahoo!広告のアカウント移管で得られるメリット
Yahoo!広告のアカウント移管で得られるメリットは以下の通りです。
- 運用工数の削減
- 蓄積されたデータの活用
それぞれ内容を解説していきます。
2−1.運用工数の削減
Yahoo!広告のアカウントを自社に移管することで、構成の手間を削減できます。
アカウントをゼロから作成する場合は、キャンペーンの設計や広告文の作成など、多くの作業が必要です。
アカウント移管によって引き継ぎを行えばアカウントの構成をそのまま活用できるので、時間を節約して他の重要な作業に集中できます。
2−2.蓄積されたデータの活用
アカウント移管を行うと過去の運用データもそのまま利用できます。
過去の施策の結果をもとにしてより効果的な運用ができるようになるので、一から情報を集めて施策方針を決定する必要がなくなります。
また、蓄積されたデータをもとにすることで、機会学習の促進も期待できます。
機会学習によって広告配信を行うには一定以上のデータが必要になるので、すでに揃っているアカウントがある場合は有効活用することがおすすめです。
3.移管可能なYahoo!広告アカウントと情報について
移植可能なYahoo!広告アカウントと情報は以下の通りです。
対象アカウント | ・検索広告
・ディスプレイ広告 |
移管の対象となる情報 | ・入稿アイテム
・リスト、タグ ・パフォーマンスデータ ・レポート、テンプレート の設定内容 ・Yahoo!広告 スクリプトの設定内容 ・操作履歴 以下は一部の利用者のみ該当 ・効果測定ツールの利用設定 ・共有ターゲットリスト、または共有オーディエンスリスト ・アカウント予算(売掛取引の場合のみ) |
なお、請求先情報などの移管元企業に属した情報は移管できません。
4.Yahoo!広告のアカウントを移管する条件
Yahoo公式サイトによると、アカウント移管をする条件は以下のようになっています。
- 移管先企業がYahoo!広告の契約企業であること
- 国内企業間の移管であること
- 一部企業が利用可能な機能について、移管元と移管先企業の利用状況が同じであること
- アカウント移管完了後に、移管先企業のアカウントの作成上限数および年間売上の上限を超過しないこと
- 対象アカウントの申請が重複していないこと
- Yahoo!広告 APIのテスト用アカウントではないこと
- 利用状況に問題がないこと
5.Yahoo!広告のアカウントを移管する流れ
Yahoo!広告のアカウントを移管する流れは以下の通りです。
- 移管先の企業からアカウント移管を申請
- 移管元企業がアカウント移管を承諾
- アカウント移管実行
まずは移管先となる企業の管理担当者が申請フォームを提出します。
移管希望月や移管先の企業情報などを入力して申請すると、Yahoo!の審査後に移管元の企業にメールが届くので、リンクから承諾を行います。
アカウントを移管する前日の23時までに承諾を行う必要があるので注意しましょう。
移管元によって承諾されると、毎月1日に移管作業が順次実施されていきます。
なお、移管が開始して一ヶ月の間は移管先・移管元の両方からアクセスが可能です。
6.Yahoo!広告のアカウントを移管する際に注意すべきこと
Yahoo!広告のアカウントを移管する際は、いくつか注意点が存在します。
移管する際に問題がないように、それぞれ内容を確認しておきましょう。
6−1.MCCアカウントの移管は不可
MCCアカウントは、複数の広告アカウントを集約して1箇所で管理できるツールです。
Yahoo!広告では、MCCアカウントの移管やMCCアカウント配下へのアカウント移管はできません。
ただし、MCCアカウント配下からの移管や、MCCアカウントに関連しない移管は可能です。
引用:アカウント移管時の注意点|Yahoo! JAPAN広告
6−2.広告配信
移管先の支払い方法が「前払い」の場合、以下の点に注意が必要です。
- 移管元のアカウント残高は返金され、移管日の0:00には残高が0円になる
- 移管手続きが完了するまでアカウントへの入金ができず、移管日の0:00から移管完了後に再度入金するまでの間、広告配信が停止する
6−3.Yahoo! JAPANビジネスID
- Yahoo! JAPANビジネスIDの移管不可
- 移管元企業のYahoo! JAPANビジネスIDは、移管後も参照権限でアクセスできるが、移管月の月末に順次権限が解除される
6−4.ディスプレイ広告(予約型)
移管元にてディスプレイ広告(予約型)の利用している場合は、移管対象となるアカウントが以下に該当すると移管ができないので注意が必要です。
- 移管日が予約型キャンペーンの配信期間内に含まれる場合
- キャンセル料が確定していない予約型キャンペーンがある場合
- 移管後に配信予定の予約型キャンペーンがあり、移管先企業では予約型を利用できない場合
- 移管後に配信予定の予約型キャンペーンがあり、移管元企業と移管先企業で契約プラン(自社出稿/代理出稿)に違いがある場合
- 移管後に配信予定の予約型キャンペーンがあり、移管元、または移管先にお支払い方法が前払いの企業が含まれる場合
- 一部企業に限定して提供されている予約型の商品について、移管元企業と移管先企業で利用状況に違いがある場合
6−5.キャンペーンエディター・Yahoo!広告 API
移管先企業のアクセス | 移管先企業は、キャンペーンエディターおよびYahoo!広告 APIを利用してアカウントにアクセス可能 |
移管元企業のアクセス | 移管元企業は、移管完了後にキャンペーンエディターおよびYahoo!広告 APIを利用して参照権限でアクセスできるが、移管月の月末に順次権限が解除 |
6−6.ターゲットリスト・オーディエンスリスト共有
複数アカウントでターゲットリストやオーディエンスリスト共有を行うアカウントを移管する際は、サービスによって移管の仕様が変わります。
検索広告 | ・ターゲットリストグループに関連する全てのアカウントは、一括で移管する必要があり、関連するアカウントの一部だけを移管することはできない
・ターゲットリストグループ自体も移管される |
ディスプレイ広告 | ・オーディエンスリストを共有する一部アカウントのみ移管できる |
6−7.移管後の請求
移管日の0:00から移管完了までに発生したコストは、移管先に請求されます。
6−8.移管前後の返金
移管前のコストに対する返金や補填は、発生した時点のアカウント所有者に対して行われます。
- 返金のタイミングが移管前→移管元企業
- 返金のタイミングが移管後→移管先企業
6−9.前払いのアカウント残高
移管元が前払いに設定している場合は、移管時点の残高は移管元の銀行口座かクレジットカードに返金されます。
返金は移管後の月末に自動的に処理される仕様であるため、利用者からの返金依頼は必要ありません。
6−10.後払いのアカウント予算
後払いのアカウント予算については以下の点に注意が必要です。
- 移管元と移管先がどちらも後払いの場合:アカウント予算はそのまま引き継がれる
- 移管元が後払い、移管先が前払いの場合:移管完了後に、移管先企業からの入金が必要
- 移管元が前払い、移管先が後払いの場合:移管時に、自動でアカウント予算の最低金額(3,000円)が設定される。移管完了後に予算の変更を行う。
6−11.明細
移管後の明細には以下の項目が表示されます。
- 前払い用の項目として「前月からの繰越額」
- 移管時に自動設定された予算が「当月の最大広告料金:3,000円」と表示
移管先企業は、以下の情報やダウンロードデータにアクセスできません。
- 月次利用明細
- 入金/返金明細、クレジットカードの取引明細
- アカウント情報ダウンロード
7.まとめ
いかがでしたか?
Yahoo!広告のアカウント移管を行うことで、入稿アイテムや実績を引き継ぐことができます。
蓄積されたデータの活用や工数の削減などが期待できるため、必要であれば移管を行いましょう。
実際に移管を行う際は、トラブルを避けるために前述した注意点についてもそれぞれ確認しておくことが大切です。