Webサイトの導線設計は、マーケティングにおいて欠かせない要素となります。
どれだけ広告やプロモーション施策によってユーザーを集めたとしても、ユーザーが求める情報と異なったり、遷移しづらい構成などの場合には、すぐに離脱してしまいます。
そこで今回は、Webサイトの導線設計について、導線分析とあわせ効果的な方法などについてポイントを中心に紹介していきます。
Webサイトの導線設計とは?
Webサイトにおける導線設計とは、ホームページに訪れたユーザーを目的のページまで自然な流れで誘導するため、構造を見直すことを指します。
Webサイトを用意する目的は、一般的に商材の購入やサービスの申し込みといったコンバージョン獲得にあります。
そのために、商材やサービスの特徴や強み、事例、ユーザーの声などの様々なコンテンツを用意し、訪れたユーザーに訴求しています。
このような機会損失を防ぎ、スムーズな導線によって自然と興味関心を高め、コンバージョン獲得につながる設計が重要になります。
また、この導線設計にはページ同士の横展開はもとより、ページ自体の利便性や視認性なども含まれます。
動線との違い
導線という言葉には、同じ表記を行う動線というワードも存在します。
Webサイトの運用においては、この導線と動線は異なる意味を持つため注意が必要です。
導線とは、先ほどもふれたWebサイトのページ同士を組み合わせ、ユーザーを適切に目的のページに誘導させることを意味します。
これに対して動線とは、実際にユーザーが遷移した動きのことを表します。
そのため、運営者側がユーザーに遷移させることを目的にルートを設計する際には導線と表記し、実際にユーザーが辿ったルートは動線と表現されます。
ある程度Webサイトの運用実績が溜まっているのであれば、動線実績をもとに導線を設計していくと効果的です。
導線設計が必要な理由
導線設計を行うことで、以下のような効果が期待できます。
① UXの向上
まず、導線設計を適切に行うことでUXやUIが向上します。
UXやUIは、ユーザビリティや利便性のことを指し、これが向上することで自社のWebサイトにおけるユーザーの行動がスムーズになり、離脱率を下げることにもつながります。
ユーザーを1人訪問させるためにも広告やプロモーション施策などによってコストや工数がかかります。
これらの労力をかけて集めたユーザーを離脱させないためにも、導線設計によってUXを高めることは効果的です。
② Webサイト設計が容易になる
また、導線設計を行うことで、その後のWebサイトの設計や運用が容易になります。
定期的にブログやコラムなどの発信や、新商品用の告知、サービスの特徴の追加などを行っていると、Webサイトの構造自体が煩雑化し、導線が分かりにくくなることがあります。
Webサイトの運用には、新規ページの追加だけでなく既存ページの修正や削除など多岐に渡ります。
これらを運用していく中で、導線が途切れてしまうとユーザーを離脱させる原因にもつながります。
そのため、一度導線設計を見直すことで、Webサイト全体の構造をメンテナンスでき、ユーザビリティや利便性を向上させることが可能になります。
③ SEO対策
導線設計は、SEO対策の面でも効果が期待できます。
適切な導線設計を行うことができれば、離脱率が下がり、回遊率を高めることが可能になります。
これは、SEOの評価の面でも効果的です。
Webサイトには、ユーザーだけでなくSEOの判断を行うGoogleのクローラーと呼ばれるロボットも訪れます。
このクローラーが回遊しやすい設計になっていれば、より早くインデックスされるようになり、SEOの評価を高めることも期待できます。
④ コンバージョン増加につながる
最後に、Webサイトの導線設計は、コンバージョン増加にもつながります。
当然ながら離脱率が下がり、回遊率が高まれば、自社の商材やサービスに関する興味も高まり、購入や申し込みにつながりやすくなります。
また、SEO対策の効果によって集客増加にも効果が期待できるため、全体的な集客数の底上げにつながるとともに、コンバージョン率も向上し、売り上げ増加や利益拡大も期待できます。
動線分析が必要な理由
Webサイトをある程度の期間運用しているのであれば、動線分析によって導線設計を行う方が効果的です。
動線分析とは、過去に自社のWebサイトに訪れたユーザーの行動を分析し、訪問ページや経路を可視化することで導線設計の参考にする施策です。
この動線分析を事前に行うことで、以下のような効果が期待できます。
① サイトの課題を発見できる
動線分析では、サイト内での課題を可視化することが可能です。
例えば、特定のページには多くのユーザーが集まるものの、すぐに離脱してしまうのであれば、ページ内に何かしら問題があることが想定できます。
このような問題点をページごとに可視化することで、導線設計だけでなくマーケティングや広告・プロモーション施策に活かすことも期待できます。
② ユーザーニーズを正しく把握できる
また、動線分析によってWebサイトの課題を可視化できれば、ユーザーニーズを正しく把握することにもつながります。
例えば、広告・プロモーション施策によって対象ページに遷移させたとしても、そのページの離脱率が高ければ、広告バナーや出稿先媒体のターゲットユーザーと、対象ページで訴求するコンテンツがマッチしていないことが想定されます。
また、商材やサービスの特徴ページまでは至るものの離脱していれば、ユーザーはさらに他の情報を求めていることも考えられます。
このように、ユーザーニーズを知る上でも動線分析は効果的です。
導線設計で重要な要素
導線設計では、動線分析で可視化した課題やユーザーニーズなどをふまえ、以下の要素を押さえて設計していくと効果的です。
① コンテンツデザイン
コンテンツデザインとは、ページ内の構成や見た目のデザインなどのことを指します。
一般的にユーザーは、Webサイトを上から順に確認していきます。
そのため、重要なコンテンツやキャンペーン・割引などの情報がページ下部にあれば、そこまで辿れずに離脱してしまう可能性も起こりえます。
また、派手なバナーや小さい文字など視認性が悪いデザインも離脱の要因になり得ます。
これらをふまえたコンテンツデザインを考慮することが重要です。
② 関連性のある内部リンク
また、関連性のある内部リンクを設置することも重要です。
例えば、コスメ系の商材を紹介するページに、自社のBtoB向けシステムを訴求するリンクを設置してもクリックする可能性は低くなります。
対象ページに訪れたユーザーが関心を持つような関連性あるリンクを設置することで、回遊性を高めることが期待できます。
③ コンバージョンボタン
コンバージョン獲得につなげるためには、コンバージョンボタンにもこだわる必要があります。
「購入はこちら」のようなリンクを、テキストリンクにするか画像バナーにするかでも効果は大きく異なります。
また、コンバージョンボタンは設置する位置も重要です。
コンテンツデザインと同様に、ページの下部にあるだけでは気づかず離脱してしまう可能性もあります。
ユーザー心理をふまえつつ、なるべく上部に分かりやすく設置すると効果的です。
④ ナビゲーション
ナビゲーションとは、ページ上部に共通で設定されたメニューのことを指します。
ユーザーがよく閲覧するページなどは、ナビゲーションに含めることで回遊性を高めることが期待できます。
また、先ほどのコンバージョンボタンもナビゲーションに含めれば、常に上部にコンバージョンへの導線を設置することも可能になります。
⑤ サイト内の検索機能
最後に、サイト内の検索機能も導線として用意すると効果的です。
ユーザーが何を求め、どのような情報を探しているかは分かりません。
そこで、フリーテキストでWebサイト内を検索できる機能を設けておけば利便性を高めることも可能になります。
ただ、検索機能を設けるためには、ある程度のページ数やコンテンツ量を持っておく必要もあります。
検索しても関連する情報(ページ)が表示されないようであれば、検索機能を用意する前にコンテンツ拡充を強化した方が効果的です。
効果的な導線設計につなげる方法
続いて、効果的な導線設計につなげる方法について紹介していきます。
① 目的を明らかにする
導線設計を行うためには、まず自社の目的を明確化する必要があります。
基本的に多くの企業が導線設計を行う目的はコンバージョン獲得にあります。
このコンバージョンの定義は企業によって異なるため、購入や申込なのか、資料請求や問合せなのか明確にしておくことが重要です。
② ゴールのページを決める
次に、ゴールとなるページを選定していきます。
導線設計を行うためには、最終的にどのページに遷移させるか決める必要があります。
このページがユーザーを遷移させるゴールとなり、そこから逆算する形で遷移先を設計していくと効果的です。
③ 流入元と流入ページを決める
続いて、流入元と流入ページを決めていきます。
流入元は、基本的には広告やSEO、SNSなどが考えられます。
それぞれ流入元によってターゲットとなるユーザーが変わるため、そのターゲットを意識して流入ページを選定していく必要があります。
④ 流入ページとゴールのページをつなぐ導線を作る
流入元と流入ページが決まったら、後はゴールとなるページまでの導線を設計していきます。
この際、流入ページから直接ゴールとなるページに遷移させる方法もあれば、一度別のページに遷移させ、そこからゴールへ誘導するケースも存在します。
当初設定した目的をふまえ導線設計していくと効果的です。
⑤ 見直しを行う
導線設計は、一度設定すれば終わりというわけではありません。
定期的に見直しを行い、最適化していく必要があります。
近年、ユーザー行動は多様化し、どこで興味を持ち、どう自社のWebサイトを回遊するかは分かりません。
適宜動線分析を行いながらPDCAサイクルを回していくと効果的です。
効果的な動線分析につなげる方法
続いて効果的な動線分析につなげる方法について紹介していきます。
① 流入経路の把握
動線分析を行う上で、ユーザーがWebサイトをどういった経路で辿っているのか把握することは重要です。
ユーザーは、企業が求めている想定とは全く異なる経路を辿っているケースも少なくありません。
特に、流入経路を把握しておくと、その後の導線設計にもつなげやすくなります。
例えば、広告経由の流入よりも、SEO経由の流入の方がコンバージョンに至っている場合もあります。
このような経路の分析は、Googleアナリティクスをはじめとする解析ツールにて確認することが可能です。
② 各ページの閲覧数の把握
また、各ページの閲覧数を把握しておくことも動線分析において欠かせません。
企業側が意図するページよりも、全く異なるページの閲覧数が多く、コンバージョンに寄与している可能性もあります。
閲覧数が多いページがあれば、積極的に導線設計に活用していけば、コンバージョン獲得にもつなげやすくなります。
このような閲覧数の把握も、Googleアナリティクスなどの解析ツールで確認できます。
導線設計を行う上でのポイント
これから導線設計を検討している場合には、以下の要素を押さえておくと効果的です。
① 配色にこだわる
Webサイトの配色は、コンバージョンにも大きな影響を及ぼします。
ブランドイメージやWebサイトのコンセプトなどもありますが、メリハリのある配色にこだわることで、回遊性やコンバージョンにつながりやすくなります。
一方で、派手な配色は目立つ反面、チカチカしたり見にくかったりしてマイナスにつながる可能性も高まります。
全体的には落ち着いた色合いを心掛け、コンバージョンボタンや特徴などは目立たせる配色にすると効果的です。
② ファーストビューの構成にこだわる
コンテンツデザインでもふれたように、ユーザーはWebサイトを上から順に確認していきます。
そのため、ファーストビューの構成にこだわることも重要です。
ファーストビューでユーザーが求める情報を訴求できなければ、スクロールもせずに離脱してしまう可能性も高まります。
ごちゃごちゃさせず、要点を端的に伝えるような構成を心掛けると効果的です。
まとめ
Webサイトは、定期的に見直し改善していくことが求められます。
ユーザーの動線分析を行い、どこで離脱しているのか、よく閲覧されているページは何かなどが可視化できれば、適切な導線設計を行うことでスムーズにコンバージョンまでつなげることが可能になります。
今回紹介した内容も参考に、動線分析をもとに導線設計を行い効果的なWebサイトにしていきましょう。