リスティング広告に携わる皆さんは、リスティング広告を含むマーケティングを自社内で行っていますか?
それとも外部のパートナー(代理店やフリーランス)に委託していますか?
自社でマーケティングの全てを内製化することを、「インハウスマーケティング」と良います。
特にリスティング広告では本来管理画面上のCPAがゴールではなく、その先の売上や利益率…ROASやROIが事業にとっての目的です。
それらを追うためには、インハウスマーケティングは非常に有効と思われがちですが、実はインハウスマーケティングにもメリットとデメリットとが存在します。
今回はインハウスマーケティングのメリット・デメリットについてお伝えできればと思います。
1.インハウスマーケティングとは
2.インハウスマーケティングのメリット
2-1.手数料がかからない
2-2.施策・運用がスムーズ
2-3.広告の優先順位付けがしやすい
2-4.ノウハウが蓄積される
3.インハウスマーケティングのデメリット
3-1.人件費(=固定費)がかかる
3-2.情報収集のクオリティ
3-3.ベンチマークとの比較、競合調査
4.最後に
1.インハウスマーケティングとは
インハウスマーケティングとは、マーケティングに必要な機能を社内で運用することを指します。
例を挙げると広告、PR、エンジニアリング、デザイン等をそれにあたります。
基本的にマーケティングを内製化しつつ状況に応じて一部の機能を外注する体制を「ミドルインハウス」とも言います。
2.インハウスマーケティングのメリット
インハウスマーケティングを行う上で、企業は様々なメリットを享受できます。
2-1.手数料がかからない
当然ながら、インハウスマーケティングでは社内メンバーが作業を行い外注費用、手数料がかからないため、コスト削減の側面があります。
例えば広告代理店に広告運用を委託すると、多くの企業で広告費用の20%の手数料が発生します。
例えば100万円分の広告を配信した場合、手数料は20万円です。
1000万円なら200万円、1億円なら2,000万円……と広告費用が増えるごとに代理店の手数料も増えていきます。
代理店が手数料に見合うパフォーマンスを発揮してくれれば問題はないですが、必ずしもそのような結果になるとは言い切れません。
社内に運用者がいれば、人件費を差し引いてもコストを削減し、その費用を更に広告費へ充てることも可能です。
2-2.施策・運用がスムーズ
マーケティングに関わる各機能を外注する場合、コミュニケーションエラーの危険性が高まります。
例えば、デザインにはデザイン会社に、デジタル広告は専業の代理店に、PRはPR会社に、エンジニアリングにはエンジニア会社に委託すると、4社と同時にやり取りをすることになります。
それぞれ発注はもちろんのこと、定期的な打ち合わせを介して改善策を策定し、社内での稟議…となると1つの施策をこなすにも連絡系統が複雑化し、ディレクションが大変です。
1つの施策に複数社が絡む場合、1社のスケジュールが遅れるだけで全体が間に合わなくなるということも往々にしてあり、インハウスの場合それらを社内で一貫して行うことでコミュニケーションがスムーズになります。
広告運用に限っても同じことが言えます。
広告文のアイデアを他社員と話し合って直ぐに配信したり、突然入札を強化・抑制する場面でもリアルタイムで対応が出来たり、スピード感のある運用が可能です。
2-3.広告の優先順位付けがしやすい
マーケティングを行う中で、広告は切っても切れない要素ではありますが、事業全体の予算や時期によっては「広告を行わない(抑制する)」という選択肢もあると思います。
しかし、代理店は基本的に「広告」のサービスしか持ち合わせていません。
そして事業である以上、売上を上げることが至上命題であるがゆえ、クライアントの事業状況にマッチしない広告の提案が時折生まれてしまいます。
事業に対する投資の「全体最適」を行う観点でも、インハウスの運用にメリットがあります。
2-4.ノウハウが蓄積される
またインハウスの広告運用は、自社にノウハウを溜めていくことも出来ます。
代理店へ運用を委託する場合、パフォーマンスや管理方法も代理店や運用担当者のスキルに依存します。
運用体制がマニュアル化されれば、運用担当者が引き継がれたとしても今までの運用遍歴や、日々のオペレーションなどの引き継ぎなどがしやすい印象があります。
一方で、代理店内で運用者が代わったり、もしくは代理店を変更したりした際には、商材の理解からやり直さなければならず、工数が発生します。
インハウス化を行う際、初期の制度構築が大変かもしれませんが、実施した施策の失敗も成功も自社の知見として蓄積し続けることができます。
社内にノウハウが貯まれば、それはマーケティングにおける武器となっていくでしょう。
3.インハウスマーケティングのデメリット
ここまで、インハウスでマーケティングを行うメリットをお伝えしてきました。
多くの方は、「え、じゃあ代理店使う意味ないじゃん、うちも内製化するか!」と考え始めているでしょう。
しかし、インハウス化することはそれ相応のデメリットもあります。
メリット・デメリットの双方を理解した上で今後のマーケティング戦略を考えてはいかがでしょうか。
3-1.人件費(=固定費)がかかる
代理店の手数料はカットできますが、当然ながら運用者の人件費は発生します。
そして、どの業界もインハウスマーケター人材は不足しています。
特定分野の経験者を募集した場合、最低でも20万円後半~30万円強の月給が相場となります。
更に事業マーケターとしての包括的なマーケティング経験がある人材を募集する場合、それ以上(経歴によりますが月給50~60万円ほど)の条件を提示しなければ事業をスケールできるような人材は獲得できないでしょう。
それに比べて、自社で毎月使っている広告費は100万円だとします。
代理店に依頼した場合、代理店手数料は約20万円に抑えられ、人的リソースもほとんど割かずに済みます。
インハウス化した際の人件費を、広告費用から手数料を概算した数値と比較しましょう。
・人件費よりも手数料の方が圧倒的に(100万円/月以上)高い
・人件費の方が高いが、それ以上の利益を生み出せる根拠がある
上記に当てはまる場合は、すぐにインハウス化を進めていくと良いでしょう。
それ以外の場合は、下記の他のデメリットもチェックしてください。
3-2.情報収集のクオリティ
マーケティングや、ITの世界は常にアップデートを繰り返し、数年前の情報が今は使い物にならない、というケースがしばしばあります。
前職で当時は最前線にいた人間であっても、継続的に新しい知識や考え方を身に付けなければ最良の手段が打てなくなってしまいます。
インターネット広告の場合、広告代理店はGoogleやYahooを始め広告媒体側との情報共有を定期的に行っているため、(企業にもよりますが)最新の手法で運用することが可能です。
その反面、インハウス体制では、マーケティング部署が数十名体制の企業でもない限りは媒体側からの情報収集が難しくなるでしょう。
そのため情報収集のルートもマーケターが独自で確保しなければならないため、力量の見せ所とも言えます。
3-3.ベンチマークとの比較、競合調査
広告代理店は、様々な業界、それぞれ異なる商材の広告アカウントを同時に運用しています。
そのため、1つのアカウントを運用し続けるインハウス運用と比べて運用面での「気付き」やそこから得られるノウハウの規模で違いがあります。
時には、依頼している分野と同じ商材の広告運用経験があり、「CVが多いキーワード」や「クリック率の高い訴求」を既に知っていることもあります。
またGoogleやYahooでも、一部代理店に向けてベンチマークレポートを作成しており、ここから競合他社の広告費用や、各機能の実装率など、戦略策定に役立つ情報を手に入れる事が可能です。
これらのデメリットを解消する方法があるか、もしくは妥協してもそれ以上の利益が生み出せる場合に、インハウス化を進めることをおすすめします。
4.最後に
今回はインハウスマーケティングのメリット・デメリットについてお伝えしました。
インフィニティエージェントではリスティング広告の運用以外にも、インハウス化支援、広告運用者教育の実績もあります。
現在インハウス化を考えていたり、既にインハウス化したけど体制をもう一度見直したいという方、お気軽にご相談下さい。
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