
ウェブマーケティングの世界では、ターゲットユーザーへの効率的なアプローチが成功の鍵を握っています。
Yahoo!ディスプレイ広告(YDA)の「高度なセグメント」機能にURL指定機能が追加されることが発表されました。アップデート実施予定日は2025/03/18です。※2025/03/04時点
この新機能によって、広告運用者は特定のウェブサイトを訪問したユーザーを効率的にターゲティングできるようになります。本記事では、この新機能について詳細に解説し、活用方法や注意点についてご紹介します。
YDA高度なセグメントのURL指定機能とは
「高度なセグメント」はYahoo!ディスプレイ広告(運用型)のオーディエンスリストにおける重要な機能で、従来はキーワードベースでユーザーをセグメント化することが可能でしたが、
2025年3月18日実装予定(※2025/03/04時点)のアップデートにより、新たにURL指定による高度なセグメントの作成が可能になりました。
URL指定機能の基本的な仕組みとできること
URL指定機能の基本的な仕組みは、以下のとおりです。
- 広告主がターゲティングしたいウェブサイトのURLを「高度なセグメント」に登録
- Yahoo! JAPANの検索結果から、登録したURLとその下層URLに訪問したユーザーがリストに蓄積
- 蓄積されたユーザーリストに対して広告配信が可能に
この機能を活用することで、以下のようなアプローチが可能になります。
- リターゲティング配信の強化・補完: 自社ウェブサイトを訪問したユーザーへの再アプローチ
- ターゲットユーザーへの配信強化: ターゲットユーザーが訪問しそうなウェブサイトを指定して広告配信
- 競合サイト訪問者へのアプローチ: 競合サイトを訪問したユーザーに自社の優位性をアピール
重要なポイントとして、この機能は指定したウェブサイトに広告を掲載するものではなく、そのサイトを訪問したユーザーに対して、Yahoo!広告ネットワーク上で広告を配信する仕組みです。
URL指定機能の詳細設定手順
高度なセグメントのURL指定機能を利用するためには、いくつかの設定ステップが必要です。ここでは、実際の設定手順を詳しく解説します。
管理画面での「選択種別」の設定方法
「高度なセグメント」の作成編集画面に新設された「選択種別」の項目で設定を行います。
- Yahoo!広告の管理画面にログイン
- 「オーディエンスリスト」のセクションから「高度なセグメント」を選択
- 「新規作成」または既存のセグメントの「編集」をクリック
- 「選択種別」の項目から「URL」を選択(キーワードかURLのどちらか一方のみ選択可能)
- URLを入力するフィールドが表示されるので、ターゲティングしたいウェブサイトのURLを入力
入力したURLに完全一致するウェブサイトを訪問している推定ユーザー数が表示され、複数URLを入力している場合は各URLの推定ユーザー数を合算した値が表示されます(ユーザーの重複は考慮されません)。
効果的なURL登録のためのポイント
URL登録の際には、以下のポイントを押さえておくことで、より効果的なセグメント作成が可能です。
- ドメイン単位の指定: ドメイン全体(例:example.com)を指定すると、そのドメインの全ページ訪問者がターゲットに
- 特定ページの指定: コンバージョンに近いページ(例:example.com/cart)を指定すると、購入意欲の高いユーザーをターゲティング可能
- 複数サイトの組み合わせ: 関連性の高い複数のサイトを組み合わせることで、より精度の高いターゲティングが可能
- 下層ページの自動包含: 指定したURLの下層ページも自動的に対象となるため、サイト構造を考慮した登録が効果的
効果測定の観点からは、まずは広めのURL(ドメイン単位)で開始し、効果を見ながら徐々に特定のページに絞り込んでいくアプローチがおすすめです。
登録時に注意すべき制限事項
URL登録時には、以下の制限事項に注意が必要です。
制限項目 | 制限値 |
---|---|
URLの最大文字数 | 1024文字 |
最大URL数 | 50 |
指定不可ドメイン | yahoo.co.jp, line.me |
また、以下の点にも注意が必要です。
- キーワードとURLの同時指定不可: 1つのセグメントでキーワードとURLの併用はできません
- 利用不可URL: Yahoo!広告側で利用不可と判断されているURLは、登録時に警告マークが表示されます(登録自体は可能ですが、ユーザー蓄積の対象外)
- ユーザーサイズの反映タイミング: リスト作成後、ユーザーサイズが反映されるまで1〜2日ほどかかります
リストに蓄積されるユーザーの詳細仕様
URL指定機能を活用する上で、どのようなユーザーがリストに蓄積されるのかをしっかりと理解しておきましょう!
対象となるURLの範囲と訪問ユーザーの定義
URLを登録して「高度なセグメント」を作成すると、Yahoo! JAPANの検索結果から登録したURLとその下層のURLに訪問したユーザーがリストに蓄積されます。具体的には以下のようになります。
- 登録URLの対象範囲: 登録したURL自体に加え、そのURLの下層にある全てのページが対象
- 訪問ユーザーの定義: Yahoo! JAPANの検索結果から対象URLに訪問したユーザー
- 類似サイト訪問者は対象外: 類似のウェブサイトに訪問したユーザーは自動的に蓄積されるわけではない
例えば、「example.com」というドメインを登録した場合、以下のURLに訪問したユーザーが全て対象となります。
- example.com
- example.com/page1
- example.com/category/product
- example.com/blog/article/123
複数のドメインを登録した場合は、それぞれのドメインとその下層URLに訪問したユーザーが全て対象となります。
ユーザーサイズの反映タイミングと確認方法
ユーザーリストのサイズには、以下のような特徴と確認方法があります。
- 反映タイミング: リスト作成後、ユーザーサイズが反映されるまでに1〜2日ほどかかります
- 確認方法: オーディエンスリスト管理画面から該当セグメントの「推定ユーザー数」を確認
- 複数URL登録時の表示: 複数URLを登録している場合、各URLの推定ユーザー数が合算された値が表示される(ユーザーの重複は考慮されない)
- ユーザーサイズの変動: URLが審査否認となった場合、そのURLを訪問したユーザーはカウントされなくなるため、サイズが減少する可能性あり
リスト作成直後はユーザーサイズが小さいか表示されない場合がありますが、時間の経過とともに反映されるため、1〜2日待ってから再確認することをおすすめします。また、定期的にユーザーサイズをチェックすることで、対象ユーザーの増減傾向を把握できます。
URL審査プロセスと対策ポイント
URLを登録した後の審査プロセスと対策ポイントについて解説します。
広告データ利用基準に基づく審査の概要
ディスプレイ広告(運用型)でデータを利用する広告主は、LINEヤフー株式会社の定める広告データ利用基準を遵守する必要があります。「高度なセグメント」作成後、登録したURLが広告データ利用基準に準拠しているかどうか審査が行われます。
審査における重要ポイント
- 審査タイミング: 「高度なセグメント」作成後に自動的に実施
- 審査対象: 登録したURLおよびその下層URLの情報
- 審査基準: 広告データ利用基準に準拠しているか
広告データ利用基準では、特に以下の点が規定されています。
- 慎重に扱うべき個人に関するデータを利用したターゲティングの禁止
- 健康状態、性的指向、政治的信条などのセンシティブな情報を含むサイト
- 個人の信用情報、経済状況に関する情報を含むサイト
- 未成年者への保護
- 未成年者をターゲットとするセンシティブなコンテンツを含むサイト
これらの基準に抵触するURLは審査否認となる可能性が高いため、登録前に自社サイトのコンテンツを確認しておくことが重要です。
審査否認となるケースとその影響
URLが審査否認となった場合、以下のような影響が生じます。
- ユーザー蓄積への影響
- 審査否認となったURL(およびその下層URL)を訪問したユーザーは蓄積されなくなる
- 他に有効なURLが登録されていない場合、ユーザーサイズは徐々に縮小し、最終的に配信できなくなる可能性がある
- 部分的な否認の場合
- 登録した複数URLのうち一部のみが否認された場合は、否認されなかったURLのユーザーは引き続き蓄積される
- 下層URLのみが審査否認となった場合、その通知は行われないため注意が必要
- 除外設定の場合の影響
- 「高度なセグメント」を除外設定として利用している場合、全URLが審査否認となるとユーザーが蓄積されず、実質的に除外されていない状態で配信される
審査否認のリスクを低減するための対策ポイント
- センシティブなコンテンツを含むURLの登録を避ける
- 複数のURLを登録し、一部が否認された場合のリスクを分散させる
- 定期的にユーザーサイズをチェックし、急激な減少があれば審査否認の可能性を検討する
- 審査基準に関する最新情報を常に確認する
実践的な活用方法3選
URL指定機能を活用した具体的な施策について、実践的な方法を3つご紹介します。これらの方法を参考に、自社の広告戦略に取り入れることで効果的なマーケティングが可能になります。
コンバージョン直前離脱者への再アプローチ戦略
ウェブサイトの購入プロセスやお問い合わせフォームなど、コンバージョン直前で離脱したユーザーは、高い潜在的価値を持っています。これらのユーザーへの再アプローチ戦略は以下のとおりです。
1. 設定例
- 登録URL:
- example.com/cart(カートページ)
- example.com/inquiry(お問い合わせフォーム)
- example.com/register(会員登録ページ)
2. 広告クリエイティブ戦略
- 「検討中の商品、まだあります」などの再訪問を促すメッセージ
- 「今なら初回購入10%オフ」などの特典訴求
- 購入を迷っている理由に対応した安心訴求(「送料無料」「30日間返品保証」など)
3. 配信設定のポイント
- フリークエンシーキャップを設定し、過度な広告表示を避ける
- 離脱から24〜72時間の間に集中的に配信
- モバイル端末とPC端末の両方にリーチするようデバイス設定
この戦略により、既に購入意欲を示しているユーザーに的確にアプローチでき、比較的低コストで高いコンバージョン率を実現できる可能性があります。
競合サイト訪問者を自社の見込み顧客に変える手法
競合サイトを訪問したユーザーは、自社の提供する商品やサービスにも関心を持つ可能性が高いターゲットです。以下の手法で競合サイト訪問者を自社の見込み顧客に変えることができます:
1. 競合サイト分析とURL選定
- 主要競合3〜5社のウェブサイトURLを特定
- 特に商品詳細ページや料金ページなど、購買意欲の高いページを優先的に登録
2. 差別化ポイントを訴求する広告戦略
- 競合と比較した自社の優位性を明確に訴求
- 「他社より〇〇が優れています」など直接的な比較訴求
- 競合にない独自機能や特典を強調
3. ステップアップ配信設定
- まずは認知向上のための広告から開始
- 次に自社サイトの特徴紹介ページへ誘導
- 最終的に資料請求やトライアル申込みへの誘導
この戦略は特に同カテゴリー内での競争が激しい業種(SaaSサービス、金融商品、EC事業など)で効果を発揮します。競合サイト訪問者という質の高いオーディエンスにアプローチすることで、効率的な顧客獲得が期待できます。
URL指定機能に関するよくある質問と回答
URL指定機能を活用する上での疑問点について、よくある質問と回答をまとめました。実際の運用の参考にしてください。
キーワードとURLの組み合わせはできる?
Q: 1つの「高度なセグメント」にキーワードとURLを組み合わせて登録することはできますか?
A: キーワードとURLは同時に登録できません。1つの「高度なセグメント」を作成する際には、「選択種別」でキーワードかURLのどちらか一方を選択する必要があります。両方のアプローチを活用したい場合は、以下の対応策があります:
- キーワード用とURL用の「高度なセグメント」をそれぞれ別々に作成する
- 複数のキャンペーンを作成し、それぞれに異なるターゲティング方法を適用する
- オーディエンスの拡張機能を活用して、類似ユーザーへのリーチを広げる
日本語URLや特殊文字を含むURLの扱い
Q: 日本語のURLも入力可能ですか?エンコードの必要はありますか?
A: 日本語のURLも問題なく入力可能です。ユーザー側でエンコードの対応をする必要はなく、システム側で自動的に処理されます。
以下の点にも注意しておくと良いでしょう:
- URLフォーマット: 完全なURL形式(http://またはhttps://を含む)で入力することをおすすめします
- 特殊文字: URLに含まれる特殊文字(#, ?, &など)も正常に処理されますが、フラグメント識別子(#以降)は別ページとして認識される場合があります
- パラメータ付きURL: トラッキングパラメータ付きのURL(例:example.com?utm_source=…)も登録可能ですが、パラメータなしのベースURLも同時に登録することを検討してください
Q: 最大URL数(50)に達した場合、優先度の高いURLを選ぶコツはありますか?
A: 最大URL数の制限内で効果的なターゲティングを行うためには、以下のような優先順位付けが効果的です:
- コンバージョンに近いページ(購入ページ、申込フォームなど)
- 商品・サービスの詳細ページ
- 比較検討ページ(料金表、スペック比較など)
- 主要なランディングページ
- 競合サイトの重要ページ
また、ドメイン単位での登録(example.com)は下層ページ全てをカバーできるため、URL数を節約したい場合に有効です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
YDA(Yahoo!ディスプレイ広告)の「高度なセグメント」に追加されるURL指定機能は、より精緻なターゲティングを可能にする機能です。プライバシー規制が強化される中、ファーストパーティデータを活用したターゲティングの重要性は今後さらに高まります。
ぜひこの新機能を活用し、より効果的な広告運用を目指しましょう!
YDAの運用が中々上手く行かない…成果が思うように伸びない…という方はいつでもご相談ください。