
広告の効果を正しく測定するのは、意外と難しいものです。
広告配信前後でコンバージョン数が増えても、それが本当に広告の影響によるものなのか、
それとも自然な流入なのかを判断するのは簡単ではありません。
そこで役立つのが、
広告が成果にどれだけ貢献したのかを可視化できる「コンバージョンリフト調査」です。
本記事では、
コンバージョンリフト調査の概要から具体的な実施方法まで詳しく解説します。
1. コンバージョンリフト調査とは?
コンバージョンリフト調査とは、
広告が実際にどれだけ成果に貢献したのかを測定する手法です。
「広告に接触したユーザー(接触グループ)」と
「接触しなかったユーザー(非接触グループ)」の行動を比較し、
コンバージョンや売上などの成果指標にどれほどの差が生じたかを検証します。

この2つのグループで獲得できたコンバージョン数を比較することで、
広告配信によって生まれたコンバージョンの影響度を可視化できます。
この差分こそが、広告によって「追加的に生まれた」と推定される成果です。
これを
「インクリメンタルコンバージョン(増分成果)」と呼びます。
1-1. コンバージョンリフト調査で分かること
コンバージョンリフト調査では、主に以下のような指標を把握できます。
- リフト率:広告接触によってどれだけコンバージョン率が向上したか
- 増分コンバージョン数:広告によって追加的に獲得できたコンバージョンの数
- 増分売上:広告接触によって生まれた売上の増加分
- 費用対効果:投資した広告費に対して得られた純粋な効果
これらを分析することで、広告の真の貢献度を知ることができます。
1-2. 活用シーン
新規ユーザーを狙った広告配信は、
「どれくらいの予算で・どれくらい売上につながるのか」といった見通しが立てづらいため、
「本当に効果があるの?」と不安になることもあるはずです。
 そこで、
そこで、
セッション獲得を目的とした広告を配信するAグループと、
広告を配信しないBグループに分けて効果を検証するとします。
両グループの成果を比較することで、
「広告を出したことによって、どれだけ新たなコンバージョンが生まれたか」を
数値で可視化できます。
このように、
広告の「効果」と「費用対効果」の両面を定量的に把握できます。
「セッション獲得目的の広告に踏み出すべきかどうか」「どのくらいの予算を投資すべきか」
をデータに基づいて判断できるようになります。
2. 媒体ごとのコンバージョンリフト調査について
コンバージョンリフト調査で十分な検証結果を得るためには、
一定の配信データ(コンバージョン数、費用規模、配信期間など)が必要です。
基本的に、
調査に対して追加費用が発生しないものの、テストの信頼性を高めるためには、
ある程度の予算を確保しておくことが重要です。
主要な広告媒体におけるコンバージョンリフト調査の実施状況について以下にまとめました。
- Google広告
- Yahoo!広告
- Meta広告
- TikTok広告
■ Google広告
- 実施方法
 └ 媒体に依頼/管理画面から実施
- 対象メニュー(下記以外は媒体に相談)
 └ 動画キャンペーン
 └ ファインドキャンペーン
 └ デマンドジェネレーションキャンペーン
- 主な留意事項
 └ アカウントによって利用可否あり(全アカウントには提供されていない)
 └ 推定コンバージョン数に基づき、調査実施の適格性(高、中、低)と推奨予算が提示
 └ ユーザーベース以外にも、地域ベースでの調査も可能
■ Yahoo!広告
- 実施方法
 └ 計算媒体に依頼
- 対象メニュー
 └ ディスプレイ広告
 └ 予約型広告
- 主な留意事項
 └ 媒体より実施結果をレポート形式で提供
 └ クリックだけでなく、ビュー(実際に広告を見た)による評価も可能
■ Meta広告
- 実施方法
 └ 媒体に依頼
 └ 管理画面から実施
- 対象メニュー
 └ ほぼすべてのMeta広告キャンペーン(コンバージョン/アプリ/トラフィック等)
- 主な留意事項
 └ 配信実績の目安
 過去90日間で最適化対象のコンバージョン500件以上、配信金額$5,000(約75万円)以上
 (クリックから1日間/クリックから7日間または表示から1日間)
 └ シグナル品質の条件
 CAPIを導入し、EMQスコア5以上のイベントを送信、
 対応データソースからロウファネルまたはMAIイベントを送信していること
■ TikTok広告
- 実施方法
 └ 媒体に依頼
- 対象メニュー
 └ 対応する広告キャンペーン
- 主な留意事項
 └ 最低出稿金額、最低配信期間あり
 └ 媒体の専門チームが調査、調査結果や推奨事項を報告
上記の情報は公式サイトに記載されている内容です。
基本的に、コンバージョンリフト調査の実施要件は媒体やアカウントによって異なり、
明確な基準は公開されていません。
実際に実施を検討する際は、各媒体の担当者または広告代理店に相談しましょう。
3. 実施前に確認しておきたいポイント

コンバージョンリフト調査をスムーズに進めるためには、事前準備が重要です。
以下のポイントを確認しておきましょう。
3-1. 媒体の実施要件を満たしているかを確認する
コンバージョンリフト調査の実施要件は媒体によって異なり、
必ずしもすべての広告アカウントで実施できるわけではありません。
まずは、
検証を行いたい媒体やキャンペーンタイプ、コンバージョンアクションなどを整理し、
媒体担当者に実施可否を確認しましょう。
もし過去の配信データや費用が要件に満たない場合は、
「購入完了」以外の関連指標(例:カート追加、会員登録、アプリ起動など)を
代替指標として設定することで、条件を満たせるケースもあります。
3-2. 実施までのスケジュールに余裕をもつ
媒体によっては、広告主側で設定できず、媒体の担当者に依頼が必要な場合があります。
※Yahoo!広告、TikTokなど
希望する実施時期やキャンペーンの開始日から逆算し、
目安として少なくとも1〜2週間前には準備を開始しましょう。
依頼手続きや審査に時間がかかる場合もあるため、スケジュールに余裕をもつことが大切です。
3-3. 季節要因やセール期間を避ける
特定のイベントやセール期間中は、
広告以外の要因で成果が変動しやすく、正確な広告効果を測定しづらくなります。
例えば、
アパレル業界では、セールやキャンペーン期間中は割引・特典の影響が大きく、
「通常時の広告効果」を正しく把握できないケースがあります。
「平常時の広告効果」を測りたいのか、「セール時のパフォーマンス」を知りたいのか、
目的を明確にし、適切な期間を選定しましょう。
3-4. 評価方法と活用方針を決めておく
コンバージョンリフト調査では、
「広告接触グループ」と「非接触グループ」の行動を比較することで、
広告の影響を数値で可視化できます。
つまり、
リフト値が高ければ、広告が成果に貢献している証拠です。
広告予算を拡大したり、オーディエンスの広がりを試すといった次の一手につながります。
一方で、リフト値が低い結果になった場合も「広告が悪い」と決めつけず、
クリエイティブ・ターゲティング・配信戦略の改善材料として活用しましょう。
コンバージョンリフト調査の実施前に以下の事柄を決めておきましょう。
そうすることで、調査後の意思決定がスムーズになります。
- どの指標(KPI)を重視するか
- どんな結果なら「成功」とみなすか
4. コンバージョンリフト調査の実施方法
コンバージョンリフト調査の実施方法は、広告媒体ごとに実施方法が異なります。
多くの媒体では、媒体担当者への依頼やサポートを通じて調査を実施しますが、
Google広告とMeta広告では、
一部のアカウントを除いて、管理画面上から自社で設定・実施することも可能です。
ここでは、それぞれの媒体での代表的な実施手順を紹介します。
4-1. Google広告の実施方法
■ ユーザーに基づくコンバージョンリフトの設定手順
①  Google広告の管理画面で「目標」をクリック
②  セクションメニューで「アセット」プルダウンをクリック
③「リフト測定」をクリック
④  プラスボタンをクリック
⑤「コンバージョン リフト測定」を選択
⑥  コンバージョン リフト測定を有効にするキャンペーンを選択
※各キャンペーンは、同時に複数のコンバージョンリフト調査に使用することはできません。選択できないキャンペーンがある場合は、すでに別の調査で使用されている可能性があります。
⑦  調査の開始日と終了日を選択
⑧  右側の列の実現可能性ステータスで、
測定しているキャンペーンに基づいて正確な結果が得られる可能性の推定値を確認
※「実現可能性」のステータスが「高」と表示されている場合、その調査は成功する可能性が高いことを示しています。
※  テスト期間の変更や、キャンペーン設定・予算配分の最適化を行うことで、実現可能性のステータスを「高」に引き上げられる場合があります。
⑨「保存」をクリック
■ 調査結果の確認方法
①  表示項目アイコン をクリック
②「表示項目の変更」をクリック
③「コンバージョン リフト測定」を選択
④「適用」をクリック
4-2. Meta広告の実施方法
■ Meta広告の実施方法
①  Meta広告マネージャにログイン
②  左側メニューから「実験(Experiments)」 を開く
③「+テストを作成」をクリック
④「コンバージョンリフトテスト」 を選択
⑤ テスト対象のキャンペーン、テスト期間、目的などを設定します。
テスト終了後は、
広告マネージャの「実験」タブで、リフト率などの結果を確認できます。
5. まとめ

コンバージョンリフト調査を通じて、
広告がどれだけコンバージョンに貢献したかの貢献度を定量的に推定することができます。
これまで「なんとなく効果がありそう」といった感覚的な判断だったものを、
「どの程度効果があったのか」を根拠をもって説明できる分析へと変えることが可能です。
そのため一度きりの調査より、
継続的に実施することで広告の改善点が見えやすく、長期的な効果の向上につながります。
クリエイティブやターゲットの入れ替え、時期別の違いなどを定点観測することで、
「どの広告が、どの条件で、どんな成果を生んだのか」という知見が蓄積され、
広告運用の精度が高まります。
まずは「どの媒体で実施すべきか・どのタイミングが適切か・何を目的にするのか」を
整理したうえで、定期的な調査を取り入れていきましょう。
広告の価値を「感覚」から「根拠」に変えることで、効果的な広告戦略が構築できます。
※本記事の参考:Google広告ヘルプ(コンバージョン リフト測定について, ユーザーに基づくコンバージョン リフトを設定する),LINEヤフー for business, Metaビジネスヘルプセンター, TikTokビジネスヘルプセンター
※本記事は公式情報をもとに作成していますが、一部当社の見解を含みます。また、記載内容は効果や成果を保証するものではありません。設定内容や挙動はご利用の環境や時期などによって異なる場合があります。

 



















 
 
 
 
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