テキストや画像よりも多くの情報を訴求できる動画は、認知度拡大だけでなくコンバージョン獲得にも効果が期待できます。
ユーザーの視覚だけでなく聴覚にもアプローチすることができるため、目的やターゲットをふまえた動画広告のクリエイティブを制作することで、効果を高めることも期待できます。
とはいえ、動画広告の制作には撮影や編集、BGM・テロップなどの挿入など様々な工程があり、その分だけ工数やコストが発生します。
テキストや画像の広告制作とは異なり、すぐに修正や改善できるわけでもないため、制作段階で充分品質などにこだわることが重要です。
そこで今回は、動画広告の制作を行うコツについて、効果的な作り方などとあわせポイントを中心に紹介していきます。
動画広告の制作を行うコツとは?
そもそも動画広告は、テキストや画像と異なり動画によって訴求する広告手法のことを指します。
通常、広告として展開する際には15秒から1分程度の動画が多く、短尺で自社の強みや特徴を分かりやすくユーザーに伝えることが重要です。
この動画広告の制作には、主に戦略立案から企画策定、制作・配信という3つの段階をもとに展開していきます。
戦略立案の中では目的やターゲットをふまえ配信先媒体を設定し、その戦略をもとに動画の方向性や構成などの企画を策定していきます。
この前提をあらかじめ確立した上で動画広告のクリエイティブを制作することで、運用効果を高めることが可能になります。
動画広告の制作を効果的に進める上でのポイント
続いて、動画広告の制作を効果的に進める上でのポイントについて紹介していきます。
動画広告の制作は、先ほどの戦略立案から企画策定、制作・配信という3つの段階がありますが、より細分化すると以下の要素別に制作を進めていくと効果的です。
① 目的の明確化
動画広告に限らず、マーケティング施策において、あらかじめ目的を明確化しておくことは重要です。
例えば、自社の商品の認知度を拡大する目的と、コンバージョン獲得を目的とした場合では、制作する動画広告のクリエイティブも変わってきます。
一方で、目的が明確化されれば、その後の動画広告の制作をはじめ、検証・改善にもつなげやすくなります。
② ターゲットの設定
目的が明確になれば、その目的に対するターゲットを設定していきます。
動画広告は、テキストや画像に比べ訴求できる要素が多い点が特徴として挙げられます。
例えば、20代女性に向けた動画と、40代男性向けの動画では求めるニーズや感覚が異なるため、訴求ポイントやクリエイティブ制作にも違いが生じます。
このようなターゲット像を明確化しておくことで、その後の動画広告の制作にもつなげやすくなります。
このターゲットの設定には、ペルソナ分析を活用すると効果的です。
単に性別や年齢、地域などの設定だけでなく、ペルソナ分析をもとに職業や趣味、家族構成、生い立ちなどとあわせ、そのユーザーの価値観や悩み、ニーズなども設定しておくことでリアルなターゲットを可視化でき、効果的な訴求につなげることが可能になります。
③ 動画広告の配信先媒体の選定
動画広告は、様々な媒体で配信することが可能です。
代表的な媒体としては、YouTubeやTikTok、InstagramといったSNSをはじめ、GoogleやYahoo!のディスプレイ広告やリマーケティング、大手ポータルサイトなどでも展開可能です。
このような配信先媒体は、それぞれ利用するユーザー属性が異なります。
媒体の中でもターゲットを絞り込むことは可能ですが、先ほど設定したターゲットをふまえ配信先を選定することが重要です。
また、基本的に制作した動画広告のクリエイティブは、どのような媒体でも展開可能ですが、媒体によっては効果的なサイズや規格が用意されている場合もあります。
例えば、スマートフォンでYouTubeをよく視聴するペルソナ像であれば、YouTubeのスマホ版に適した規格で広告動画を制作していく必要があります。
このように、ターゲットとあわせ媒体の特性も理解した上で選定していくと効果的です。
④ テーマやキャッチコピーの作成
目的やターゲット、配信先媒体が決まれば、続いて企画策定を行っていきます。
この企画の策定を効果的に進めるためには、テーマやキャッチコピーを設定していきます。
動画広告が主流になりつつある昨今において、どのようなクリエイティブがユーザーに響くかは、実際に配信してみないことには分かりません。
とはいえ、あらかじめテーマやキャッチコピーを決めておけば、その後の修正・改善にもつなげやすくなります。
このテーマやキャッチコピーの設定には、主に以下の手法を参考にすると効果的です。
価格をもとにした訴求
他社との価格の違いやキャンペーンなどによる訴求があるのであれば、価格を強みに動画内で押し出すことが可能です。
その際には、「格安」や「特別価格」、「割引」「無料」などのキャッチコピーを活用すると効果的です。
効果をもとにした訴求
化粧品やコスメなど効果や効能に強みがある場合には、それを訴求ポイントとすることも可能です。
ユーザーの悩みや不安、要望といったニーズを可視化し、「〇〇を改善」「〇〇に効果が期待できる」などといったキャッチコピーを活用すると効果的です。
簡単さをもとにした訴求
商品やサービスの利便性などを訴求ポイントとするケースもあります。
BtoB商材の場合、どう使っていいかイメージしづらいケースも少なくありません。
このような場合に、動画をもとに使い方などを訴求することで、ユーザーに対して利用シーンをイメージさせ、コンバージョン獲得につなげることも可能です。
キャッチコピーとしては、「誰でも簡単」「面倒な〇〇がすぐに解決」などと訴求すると効果的です。
⑤ 構成の作成
テーマやキャッチコピーが決まったら、そこにつなげるための構成を作成していきます。
動画の場合には、工程を絵コンテや香盤表などをもとにまとめていくケースが多くあります。
その場の勢いで進めても効果にはつながりません。
撮影を行う際にはどのような流れで何を話すのか、カンペなども活用して準備しておくと効果的です。
動画広告として展開する際には、配信先媒体の仕様に応じて15秒から1分程度の枠内で納める必要もあります。
特に近年では、長尺の動画は途中で飽きられ、最後まで視聴されずに離脱される可能性もあります。
そのため、目的をふまえ要点を簡潔に、分かりやすく作成することが重要です。
⑥ サイズやフォーマットをふまえた書き出し
最後に、制作した広告クリエイティブを動画ファイルとして書き出していきます。
動画広告のファイルは、媒体によってサイズやフォーマットが異なります。
例えば、TikTokなどのスマホ向けの動画共有SNSでは、縦型のフォーマットの方がユーザーに響く可能性が高まります。
サイズやフォーマットを間違えると、媒体によっては画面から切れてしまい、伝えたいポイントが正しく伝わらないケースも起こり得ます。
機会損失を防ぐためにも、配信先媒体の選定時にあらかじめ規格を把握しておき、その上で適切なサイズ・フォーマットで作成していくことが重要です。
運用効果を高める動画広告の制作のコツ
次に、運用効果を高める動画広告の制作のコツについて紹介していきます。
動画広告は、テキストや画像よりも多くの情報を訴求することが可能です。
とはいえ、闇雲に制作しても効果を高めることにはつながりません。
よりユーザーに響きやすくするためには、以下の要素を考慮しておくと効果的です。
① 最初の3秒にこだわる
近年では、情報の多様化や流行の短期化が進み、YouTubeやTikTokなどをはじめショート動画が人気を集めています。
このような中で、動画広告も短尺が主流となり、1分以上の動画を最後まで視聴してもらうことは難しい傾向にあります。
そのため、動画広告ではいかに最初の段階でユーザーの興味を惹けるかが重要となります。
一般的に、動画マーケティングにおいて最初の3秒が重要といわれています。
冒頭で動画の要点を端的かつ分かりやすく訴求できれば、離脱率を防ぎコンバージョン獲得にもつなげやすくなります。
② 動画視聴後のアクションにこだわる
認知度拡大が目的であればまだしも、コンバージョン獲得を目的とした場合、動画広告を視聴してもらうだけでは意味がありません。
動画広告では、様々なユーザーによるアクションを促すことが可能です。
単に自社サイトに遷移させるだけでなく、スマートフォンでの展開であれば、直接電話予約などにつなげることもできます。
視聴数や視聴完了率だけに終始するのではなく、最終的な目的であるアクションにもこだわり、動画広告を制作していくことが重要です。
③ BGMやテロップも重要
動画広告は視覚だけでなく聴覚にもアピールすることができるため、BGMにもこだわることが重要です。
同じ動画であっても、BGMを変えることで効果に違いが生まれるケースも少なくありません。
ターゲットやテーマをふまえ、目的達成につながりやすいBGMを選定することが重要です。
また、ユーザーによっては電車内や施設などで動画を視聴するケースもあります。このような場合には、音を出さずに映像だけを確認することもあります。
そのため、テロップを活用してポイントを訴求することも効果的です。
どれだけ魅力的な内容を訴求していたとしても、音声が入力されていなければユーザーには響きません。
このような機会損失を防ぐためにも、分かりやすいテロップで訴求強化することも重要です。
④ 静止画をスライドショー化する動画広告も有効
動画広告の制作には、工数やコストがかかります。
予算が潤沢にあるのであれば別ですが、基本的に限られた予算内では動画広告の制作に充てられる金額はそこまで多くありません。
このような場合には、静止画をスライドショー化することで、動画広告のクリエイティブとすることも可能です。
既存のチラシや提案資料などをスライドショー化すれば、要点を分かりやすく動画でアピールすることも可能です。
制作した動画広告を分析する上でのポイント
最後に、制作した動画広告を分析する上でのポイントについて紹介していきます。
動画広告は、制作・配信すれば終わりという訳ではありません。
配信後のユーザー行動を分析し、適宜ブラッシュアップしていく必要があります。
この分析を行う際には、以下の要素を押さえておくと効果的です。
① 目的をふまえ逆算した分析が重要
動画広告の分析は、目的をふまえ逆算しながら行うことが重要です。
例えば、動画は視聴されているものの、自社サイトに遷移されていない場合には、CTAボタンなどに原因があることが考えられます。
動画広告の変更や修正には、テキストや画像以上に工数やコストが発生します。
そのため、闇雲に変更したとしても原因が間違っていれば無駄なコストで終わってしまう可能性もあります。
効率よく改善につなげるためにも、目的をふまえ逆算しながら分析・改善につなげていくと効果的です。
② 要素ごとに分析・改善していく
また、制作した動画広告のクリエイティブは、要素ごとに分析・改善していくことも重要です。
近年では、動画広告がどれくらい配信され、どう効果につながったのか具体的に数値・データによって可視化することが可能です。
例えば、途中離脱が多いとしても、どこで離脱しているか分かれば、その個所を修正することで効率化を図ることができます。
仮に、開始から30秒の位置で離脱しているのであれば、その位置で訴求している内容を検証し、別の要素や言い回しなどに改善することで、離脱を防ぐことも期待できます。
このように、全体的に改善するのではなく、要素ごとに分析・改善していくことで、運用効果を高めることが可能です。
まとめ
動画広告は、ユーザーに対し多くの情報量で訴求することができるため、業種問わず多くの企業が展開しています。
とはいえ、動画広告を展開するためには撮影から編集、配信と多くの工程が必要となり、制作には多くのコストもかかります。
また、配信先媒体の特徴や動画自体の特性など、テキストや画像とは違う要素をあらかじめ押さえておく必要もあります。
今回紹介した内容も参考に、動画広告を制作する上でのコツをおさえ、運用効果を高めていきましょう。