顧客セグメンテーションというマーケティング手法があります。顧客を特徴ごとに分類し、分類した顧客に対して効果的にアプローチする手法です。今回は、この顧客セグメンテーションの重要性・分類・実践方法などを解説します。
セグメンテーションとは？
セグメンテーション（Segmentation）とは「区分」ということですが、マーケティング分野では「不特定多数の顧客をニーズや属性に応じて細分化すること」を意味します。
細分化によりそれぞれのセグメントごとにマッチした施策を行えるようになり、効果や効率がアップしやすくなります。
顧客セグメンテーションとは？
顧客セグメンテーションはセグメンテーションの代表的な手法です。
共通の特徴に基づいて顧客を分類するプロセスです。
現代では顧客の価値観が多様化し、全ての顧客に対して同じマーケティングを行うことには限界が生じています。
そこで顧客セグメンテーションを行い、顧客を細分化してアプローチするようになっています。
市場セグメンテーションとの違い
市場セグメンテーションもセグメンテーションの手法の一つですが、顧客セグメンテーションとは少しニュアンスが違います。
市場セグメンテーションでは市場の分析と細分化を行い、ターゲットを定めて、商品開発・売り込みをしていきます。
顧客セグメンテーションの重要性
顧客セグメンテーションはこれからビジネスを展開する上で非常に重要な意味を持っています。
以下でその重要性を解説しましょう。
顧客ニーズや購買行動の多様化に対応できる
現代では、顧客のニーズや購買行動が多様化し、皆が同じようなものを求める時代ではなくなってきました。
そのため、かつてのように同じような商品を製作し、大量販売していけばいいというわけにはいきません。
各顧客のニーズに合った商品を開発し、販売していく必要があるのですが、それを可能にするのが顧客セグメンテーションです。
顧客セグメンテーションにより細分化された顧客ごとに応じた商品を開発し、販売していけば、顧客の購入意欲も高まります。
顧客の特徴を把握する
顧客の特徴を把握する際にも顧客セグメンテーションは役に立ちます。
商品を販売する顧客の顔は見えません。顔の見えない顧客に気に入ってもらえるような商品をどのように製作すればいいか、あれこれ考えるでしょう。
そこで顧客セグメンテーションを利用して、細分化された顧客ごとの特徴を見てみるのです。
それぞれの特徴を把握できれば、適切な商品を提供しやすくなります。
個人にアプローチする
顧客セグメンテーションから個人へのアプローチにつなげることもできます。
現代はインターネットの普及により、顧客は自分で情報収集して、必要な商品を探します。企業側にとっても各個人のニーズを把握することが非常に大切な時代です。
そこで顧客セグメンテーションにより、顧客を細分化して、まず各層のニーズを確認します。
そこから個人個人の求めるものを深掘りしていきます。
その結果、顧客1人1人が興味があるもの、好きなものを把握し、適切なアプローチができるようになるでしょう。
製品に関心がない層へのマーケティング予算を減らせる
自社製品に関心がない消費者もいますが、そのような層へのマーケティングにはあまり予算を割きたくないでしょう。
顧客セグメンテーションを行うと、顧客が細分化され、自社製品に関心がない層の特徴もわかります。
そのような特徴を持った層へはわざわざマーケティングを行う必要はありませんから、余計な予算を使わないで済みます。
コンバージョン率を高められる
顧客セグメンテーションにより顧客を細分化し、各顧客に対して適切なアプローチができるようになれば、顧客が具体的なアクションに移ってくれる可能性も高まります。
つまりコンバージョン率が高まるということですが、それというのも細分化された顧客の特徴を把握できていればこそです。
顧客セグメンテーションで用いる4つの分類
顧客セグメンテーションでは、4つの分類で顧客を細分化します。どのような分類の仕方か以下で紹介しましょう。
デモグラフィック
デモグラフィックは人口統計分布ともいい、顧客を次のような属性で分類します。
業界によってもデモグラフィックによる分類の仕方は違います。アパレル業界なら年齢や性別で分類、住宅販売業界では家族構成や社会的階層で分類といった感じです。
ジオグラフィック
ジオグラフィックは地理的変数ともいい、顧客を地理、つまり国や都市、市区町村によって分類する手法です。
また、人口密度、気候（気温、湿度、降雨量など）、発展度、文化、宗教などにより分類することもあります。
広告や宣伝を打つ場合は、ジオグラフィックによるセグメンテーションをよく行います。
サイコグラフィック
サイコグラフィックは心理的変数ともいい、顧客の心理的要素を見ながら分類する手法です。例えば、次のような要素で分類します。
・価値観
・ライフスタイル
サイコグラフィックによる顧客セグメンテーションは難しいようにも思えますが、最近はインターネットによるアンケート調査などで可能になっています。
サイコグラフィックで細分化した情報は商品開発などに活用できます。
ビヘイビアル
ビヘイビアルは行動変数ともいい、顧客の行動パターンによる分類手法です。
現在ではWebサイトのアクセス解析や購入履歴などにより、顧客の行動パターンも把握しやすくなっています。
それだけに顧客セグメンテーションは特に重要な分類法です。
デジタル化社会の進展に伴い、顧客もオンライン購入へと進みつつあるので、ビヘイビアルの意味もますます大きくなりつつあります。
ビヘイビアルでは、次のような要素で分類をします。
・購入日時
・購入商品
・購入回数（購入頻度）
・最終購入日
・閲覧したWebサイト
・サイトに滞在した時間
セグメンテーションの実践方法
セグメンテーションをどのように実践すればいいのかを解説しましょう。
STP戦略
STPとは、「Segmentation（セグメンテーション）」「Targeting（ターゲティング）」「Positioning（ポジショニング）」の3つの頭文字を取った言葉で、マーケティング戦略のフレームワークです。
このSTP戦略の最初に来るのがセグメンテーションです。市場を細分化し、ターゲッティングを行い、競合他社に負けない戦略を考えます。
適切なセグメンテーションを行えれば、次のターゲティングもポジショニングもしやすくなります。
商品開発や広告
セグメンテーションを商品開発や広告にも活かせます。
商品開発でいえば、細分化した顧客ごとに趣味嗜好、商品への印象度などを分析して、最もニーズの高い商品を製作できるようになるでしょう。
広告では、顧客の性別・年齢・趣味嗜好・興味関心に応じたものを打ち出すことができ、効果を上げやすくなるでしょう。
マーケティングオートメーション（MA）ツールの活用
セグメンテーションでは、マーケティングオートメーション（MA）ツールの活用もおすすめです。
MAツールにより、顧客リストのデータを元に効率よくセグメンテーションができます。
セグメントした顧客には適切なアプローチも可能です。
MAツールなら、効果測定もできます。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、顧客セグメンテーションについて解説しました。
マーケティングにおいて、顧客の特徴の把握、ニーズへの対応ができます。
また、商材に対して関心がない層に対するマーケティング予算を削減することができるため、費用対効果を上げることができます。
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