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STP分析とは?マーケター必須の意味と事例を5分で解説!

更新日:2023年08月15日

STP分析とは?マーケター必須の意味と事例を5分で解説!

新規でビジネスや商品・サービスを展開する際は、さまざまな角度から分析を行いますが、その中の手法の1つがSTP分析と呼ばれるものです。マーケティングの基礎として、まずは押さえておくべき方法です。

本記事では、STP分析の方法と、メリットから注意点、成功事例まで紹介していきます。

1.STP分析とは?

STP分析とは、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の頭文字から付けられた分析法です。マーケティングの神様と呼ばれた、フィリップ・コトラー(Philip Kotler)氏が提唱した分析方法で、分野を問わずに活用できます。

それぞれ3つの要素を簡単に解説すると、以下のようになります。

・セグメンテーション(Segmentation)で市場を細分化して、市場の差全体像を把握
・ターゲティング(Targeting)で狙うターゲットを明確にする
・ポジショニング(Positioning)で自社の立ち位置を明確化する

他の分析方法と比べた特徴としては、常にユーザーからの立ち位置で分析をすることです。マーケティング分析の手法としては、環境分析(3C分析、 5F分析、SWOT分析など)と施策立案(4P)の間に位置するといえ、大事な分析手法です。

画像参考:売れる販促戦略には欠かせない!STP分析とは? ― リコーのマーケティング支援

次の章では各項目の分析方法をさらに細かく見てきます。

マーケティングの分析手法の3C分析、4P分析など、マーケターが抑えておきたい手法をもっと詳しく知りたい人は以下の記事がおすすめです。

2.STP分析の各項目の分析方法

STP分析のそれぞれの各項目を詳細に見ていきます。

2-1. セグメンテーション(Segmentation)

セグメンテーション(Segmentation)は、市場細分化と訳されますが、同じようなニーズを持つ顧客層という観点で考えます。

新商品やサービスを始める際に、まずはペルソナの設計の必要性があげられますが、どのようなペルソナに対して、どんな問題を解決する商品やサービスなのか、ユーザーの利用状況を明確にデザインする必要があります。STP分析では、最初にこのターゲットがどこにいるのかを明確にすることからはじまります。

たとえば、カーブスというジムを知っていますか?女性をターゲットにしたジムで、筆者は最初アメリカから日本に権利を輸入した時のコンサルティング会社にいたのですが、最初にそのコンセプトである汗をかかないジムと聞いた時には驚きました。

ジムといえば鏡があって、鍛えている姿を写してより頑張るものだと思っていましたが、スポーツをやったことがない、ジムに通ったこともない、でも健康維持に何かしたいという女性層をターゲットにして作られたジムでした。

結果、男性含め他の人に体を見られたくない、汗をかくほど本格的に運動したいのではなく、健康維持程度でいいという市場を掘り起こし、現在全国約2,000店舗まで展開し、国内で東証一部上場に成功しました。セグメンテーションで成功した事例ともいえます。

参照:カーブスとは ー Curves

性別では女性、年齢も当初40代以上、ジムにもかかわらず運動が不得意というセグメンテーションを行ったことになります。このようなセグメンテーションを行うための指標は多様ですが、共通して使用されることの多い4つを解説します。

デモグラフィック(人口統計的変数)

国勢調査でも用いられる、性別、年齢、家族構成、職業、学歴など、個人の基本情報をもとにした指標です。

FacebookやLINE広告など、SNS広告ではこういったターゲティング指標が設定できるようになっているため、馴染みが多い方も多いのではないでしょうか。

ジオグラフィック(地理的変数)

地理的な要素から判断されるセグメントです。国、市町村など位置的なものから、文化、宗教などもこのカテゴリーに入ります。

サイコグラフィック(心理的変数)

主にアンケートやヒアリング調査などの結果から判断されるものです。個人の持つ価値観、ライフスタイル、嗜好、購入動機といったものになります。

以前は個別調査でしか知り得なかった情報ですが、WebマーケティングではGoogleの持つ分析データなどによって、より細かく購入までの動きが掴めるようになりました。マーケティングの中でも、より重要視される部分になっています。

ビヘイビアル(行動変数)

ユーザーの実際の行動の情報を使った指標です。個人の買い替えや買い物のタイミングなど、ユーザーの行動を追跡して確認します。特にリピートの発生する商品やサービスでは大事な指標になります。

2-2.ターゲティング(Targeting)

ターゲティング(Targeting)では、セグメンテーションで絞った市場の中から、さらにペルソナにあわせてターゲットを絞り込んでいきます。

コトラーは標的市場の選択パターンとして、以下の3つを提唱しました。

・無差別型マーケティング
・差別型マーケティング
・集中型マーケティング

無差別型マーケティング

生活消費財や食料品など、供給量の多い商材の場合に適用されます。セグメント間の違いを無視して、単一の商品やサービスで市場全体の獲得をゴールにしています。

このため特にセグメントにあわせた商品ではなく、同じ商品をすべての市場に供給します。マス広告と大量流通を行うことで、1商品あたりのマーケティングコストと、製造コストを押さえることが可能です。大企業など企業に体力がある場合に実現できますが、消費者のニーズが多様化してきた現代では、当てはまらない手法になってきています。

差別型マーケティング

セグメントした市場に、それぞれのニーズにあった商材を提供します。アパレルの例でも、年代にあわせたブランド展開をするなど多く目にする手法です。また複数の料金や価格体系の設定をし、市場にあわせて訴求を変えるなども、この差別型ターゲティングに該当します。

集中型マーケティング

ニッチな市場や、超高級市場など、狭い市場に対して集中してターゲティングを行う手法です。集中することで、一般市場では無名でも、ある市場では寡占化する企業もいます。中小企業のように経営資源が限られている場合は、この手法が選択されます。

限られた経営資源を有効に活用できることが最大のメリットですが、セグメントした市場で成功しなかった場合に、リスク分散できていないことがデメリットになります。

2-3.ポジショニング(Positioning)

ポジショニングでは、競合と自社を比べて分析をします。先に分析したセグメントの中で、競合との商品の強みや弱みを確認します。その際は商品やサービスの価格、クオリティ、販売チャネル、ブランド力などで比較します。

レッドオーシャンと呼ばれる市場では、すでに大手の寡占化が起こっている可能性もありますが、新しい差別化要素で参入できれば新たな利益を作り出すことができます。

たとえば、電気自動車で新たに参入したテスラは、新車の価格が当初最低価格でも1,000万円以上という車メーカーでしたが、エコな車を選ぶ富裕層を取り込んで成功しました。車は大手企業による競争の激しい市場ですが、そこに電気自動車という新しいポジショニングで参入し、2021年には400万円代のコンパクトカーも投入し、自社の強みで市場を拡大しています。

このように、ポジショニング分析では、競合との比較による自社の強みを作ることが大事になります。注意するポイントとしては、多くの指標を使いすぎないことがあげられます。数字やデータが多すぎると、本質を見逃す可能性があります。4つくらいまでがおすすめです。

3.STP分析のメリット

ここではSTP分析のメリットを3つ紹介していきます。

3-1. 顧客のニーズを整理できる

STP分析を行うことで、曖昧なターゲティングを明確にするステップを踏むことができます。市場とユーザーの規模もイメージしやすいため、事前の予算などの計画が立てやすくなります。

3-2.自社の立ち位置・強みを明確にできる

分析を行い、明文化することで曖昧だった自社の立ち位置を社内でも明確化することができます。筆者にも経験がありますが、自社商品の強み1つをとっても、データでみるユーザーから見た強みと、経営陣が考える強み、新入社員が考える強みがずれていたことがあります。

特に新商品のリリース前には、分析は効果的なプロモーション戦略には欠かせない作業になります。

3-3. 勝てる市場を狙える

自社の強みやターゲットを明確にすることによって、勝てる市場を明確にすることができます。特に競合が現存する場合は、競合との差別化や、これから参入されるリスクを把握しておくことが必要です。

自社が戦える市場を事前に把握しておくことで、マーケティング戦略も立てやすくなります。

4.STP分析の注意点

前述したようにマーケティングに必須なSTP分析ですが、ここでは注意点を紹介します。

4-1.分析の順番や細部にこだわらない

STP分析の3要素である、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)ですが、順番や分析の細部にこだわる必要はありません。自社内で分析しやすいポイントから進めるのがおすすめです。

4-2.STP分析だけに頼らない

STP分析は新商品ローンチ前の分析手法としておすすめな方法ですが、盲信すると危険です。たとえセグメントした市場で優位性が確保できると確信できても、マクロ分析などでそもそも市場自体が伸びるのか、先細りなのかといった未来像を予測することも必要です。

5.STP分析の活用方法例

STP分析の具体的な企業の活用方法を紹介します。

5-1.ユニクロ

全世界に店舗展開をするユニクロは株式会社ユニクロ(本社山口県山口市)が展開するアパレルブランドです。ユニクロは、以前はただ安さを訴えるだけのブランドでしたが、マーケティング4.0などを含め、さまざまなマーケティング手法を活用し、ブランドイメージを転換させることに成功しました。

ユニクロの社名は(UNIQUE CLOTHING WAREHOUSE)を略したものです。 ユニーク(独自の)、クロージング(衣類)、ウェアハウス(倉庫)。 お客様が自由に選び買うことができるブランドという意味ですが、初期はただの安売り店というイメージでした。

たとえば、約20年前のCMのおばさん返品バージョンは、関西弁の女性が、いきなり服を脱いで、半裸で服の返品をせまる内容でインパクト重視でした。

参照:UNIQLOの昔のCM ― YouTube

この田舎の安売り洋品店というイメージから、現在のような安さだけでなく、品質もデザインもよい、という世界ブランドイメージに変更して行ったのには、優れたマーケティング戦略がありました。

その中の1つが、STP分析のセグメンテーションのユニークさです。ユニクロは、顧客を男女や年齢といった属性などで分類せずに、ニーズにあわせて分析を行っているのが特徴です。

若い女性にあわせた商品展開ではなく、安くても長く使用できるデザインのものが欲しい、安さや丈夫さだけでなく、ある程度のデザイン性も欲しいといったニーズにあわせて、LIFE WARE(究極の普段着)という商品コンセプトに沿って、商品開発をしたのです。

その結果、最初に開発された商品が1998年に始まったフリースです。ユニクロの代名詞ともなったフリースですが、デザインは男女用の2パターンのみ。色のバリエーションを増やすことで、幅広い年齢層に対応できる商品にすることに成功しました。

続くヒートテックも当初、年配の方用という開発コンセプトを見直し、STP分析の結果にあわせすべての年齢層の男女に、あたたかい肌着へ変更。結果大成功を収めました。いままでなかったおしゃれで暖かな肌着は全世界でヒットし続けています。

優れたマーケティング分析に沿った開発を行うことで、同じカテゴリーに分類されるZARA、 GAP、 H&Mといったブランドと棲み分けることに成功しています。

画像参考:オンライン折り込みチラシより ― ユニクロ

5-2.タピオカ ゴンチャ

2018年度にはタピるという言葉が、JC・JK流行語大賞で1位を獲得しました。タピオカドリンクを展開する企業は多数ありますが、その中でもブームを作ったメインはゴンチャではないでしょうか。

ゴンチャは2,000種類以上にカスタマイズできることを売りにしたお茶専門店です。2006年に台湾で誕生し、現在世界で約1,600店舗を展開しています。日本では株式会社ゴンチャ ジャパンによって、2015年に日本に1号店が出店されています。

画像参考:Gong cha

ゴンチャが成功した背景はSTP分析のポジショニングにあるといわれています。

セグメンテーションは、10〜20代の主に女性です。ターゲットはInstagramユーザーとし、それにあわせ写真を投稿して楽しめるビジュアルを工夫しました。

さらに特徴的なのが、ポジショニングでただのお茶好きではなく、スターバックスなどのカフェは好きだが、コーヒーが苦手な層としています。加えて他のショップとの差別化として、ゴンチャでは徹底してお茶専門店のイメージを作るために、その他の商品を一切売っていません。

多くのタピオカ店の中でもゴンチャブランドが際立っているのは、そういったポジショニングへのこだわりからともいえます。

6.まとめ

いかがでしたか?

STP分析に関して解説してきました。

STP分析そのものの内容から、事例まで解説してきましたが、分析次第で企業の大きな成功につながることが分かりますね。もし、市場分析からマーケティングまでプロに相談したい場合などは、お気軽に弊社無料相談までご相談ください。

この記事を書いた人

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