近年の健康志向の高まりにより、様々な形態のフィットネスジムやスポーツ・トレーニング施設が増加しつつあります。
なかでもchocoZap(チョコザップ)は、誰でも気軽に始められるジムとして注目を集めています。
チョコザップは、スポーツジム大手として展開するライザップグループが、2022年7月にコンビニ的な活用を目的としてスタートしたジムです。
月額2,980円(税抜)で24時間365日いつでもジムを活用することができるため、初心者がちょっとしたダイエットや健康維持を目的に利用する傾向があります。
さらに、スポーツジムだけでなくセルフネイルや脱毛など、美容やワークスペースとしても展開しており、2024年2月時点で店舗数は1,300店以上に拡大し、会員数としても112万人を超えるまで人気を集めています。
このように多くのユーザーを集めた背景には、徹底したSTP分析などをはじめとするチョコザップの効果的なマーケティング戦略が影響しています。
そこで今回は、チョコザップのマーケティング戦略について、成功事例と合わせ自社のマーケティングに活用できるコツなど、ポイントを中心に紹介していきます。
チョコザップのマーケティング戦略とは?
画像引用:chocoZAP(チョコザップ)
chocoZAP(チョコザップ)は、ライザップグループのフィットネスブランドの一つとして2022年7月にスタートしました。
月額2,980円(税抜)で24時間365日いつでもフィットネスジムを利用可能ということで、ちょっとしたダイエットや健康維持を目的としたユーザーを多く囲うことに成功しています。
ジムの内部はそこまで広くないものの、最低限のトレーニングとしては十分なマシンが揃っており、ユーザーは専用のウェアやシューズが無くても手ぶらで利用することが可能です。
また近年では、新型コロナウイルスの影響や働き方改革などもあり、健康志向が高まりつつあります。
このような背景もあり、手軽に運動できる環境を提供することで、2024年2月時点で店舗数は1,300店以上、会員数としても112万人を超える成功につながっています。
チョコザップの成功は、マーケティング戦略から見ることもできます。
そこには徹底的なSTP分析や4P分析による市場での立ち位置を確立したことが挙げられます。
STP分析とは?
STP分析とは、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)による3つの要素で自社の戦略立案につなげるマーケティングのフレームワークです。
それぞれの要素別にユーザーニーズを分析していくことで、自社の商品やサービスにおける優位性や立ち位置を可視化することが可能となります。
どれだけ魅力的な商品を開発したとしても、ニーズが無かったり、市場において競合が優位性を確立している場合には、ビジネス展開しても効果にはつながりにくくなります。
一方で、市場やユーザーニーズをふまえターゲットにマッチした情報を提供することができれば、売上増加や利益拡大につながる可能性も高まります。
チョコザップでは、このようなSTP分析において優位性を確立したことが、成功につながる要因として挙げられます。
4P分析とは?
4P分析とは、Product(製品・サービス)、Price(価格)、Place(販売場所・提供方法)、Promotion(販促活動)による4つの要素で具体的な施策立案につなげるマーケティングのフレームワークです。
先ほどのSTP分析をふまえ、具体的な施策内容について4P分析をもとに落とし込むことで、効率的なマーケティングにつなげることが可能になります。
例えば、チョコザップの月額利用料である2,980円(税抜)は、他社には真似できない金額設定となります。
また、帰宅途中などちょっとした利用を意識した駅付近におけるジムの立地は、ターゲットをふまえたPlaceを重要視しているものと考えられます。
このように、4P分析をもとにマーケティング施策を構築していくことで、売上増加や利益拡大につなげることが期待できます。
チョコザップが実施したマーケティング戦略事例
続いて、チョコザップが実施したマーケティング戦略について、具体的な事例とあわせ紹介していきます。
①ターゲットの明確化
ダイエットや健康維持を目的に、ジムに通うユーザーは増加傾向にあります。
このようなニーズをふまえ、フィットネスジムやスポーツジムを展開する企業も増えています。
とはいえ、ジムを利用するユーザーは、「ダイエットしたい」「健康を維持したい」だけでなく「筋肉をつけたい」「リハビリとして」など多岐に渡ります。
このような中で、チョコザップでは「ダイエットや健康維持を意識しているものの、定期的にジムに通うことに挫折したユーザー」をターゲットとしています。
そのため、専門性の高いトレーニング器具などにこだわる必要はなく、気軽に通える環境づくりに特化しています。
通常のジムであればトレーナーが付くことが多くなりますが、チョコザップでは無人でユーザーが自由に運動できる環境もあります。
このように、あらかじめターゲットを明確化し、そのターゲットユーザーのニーズにこだわるサービス提供により、成功につながっています。
②他社とは違うコンセプトによるポジショニングの確立
チョコザップでは、手軽さや気軽さを売りにしたコンセプトでサービスを提供しています。
一般的にフィットネスジムやスポーツジムでは、効果的にダイエットへ導くプログラムやサポートをはじめ、筋肉がつくトレーニングのコツなどを売りとして提供する傾向にあります。
そのため、このようなコンセプトの違いを明確にすることで、他社との差別化を図ることが成功につながる要因として挙げられます。
例えば、チョコザップでは「スマホ1つで通えるコンビニジム」というコンセプトにて訴求を行っています。
着替え無しでそのまま運動できる環境は、一見すると不便に感じるユーザーも少なくありません。
とはいえ、徹底したターゲティングとあわせ、そのユーザーに対してピンポイントで強みやメリットを訴求することで、市場における優位性や独自性を確立することができています。
③RIZAPとの差別化
ライザップグループでは、チョコザップとは別にRIZAP(ライザップ)というフィットネスジムも展開しています。
ライザップは、完全個室のパーソナルトレーニングジムとして、筋力アップと合わせ食事制限なども行いダイエットの成功に導くサービスです。
満足いただけない場合には全額返金保証なども用意しており、2022年時点で会員数は17万人以上にのぼります。
とはいえ、同じフィットネスジムとはいえチョコザップは、ライザップとは提供するサービスやターゲット層、ニーズなどが異なります。
そのため、マーケティングやアプローチ手法などにおいて差別化を図った戦略を取っています。
通常、メイン商材の認知度が高まれば、そこから派生する別サービスに関しては、メインと連動した動きを取る傾向にあります。
そのため、チョコザップもRIZAPのライト版のような展開を行うことも可能でしたが、まったく別のブランドとして一からマーケティング戦略を立てています。
この結果が差別化において奏功し、新規事業として成功につながっています。
④ユーザーに響くキャッチコピー
ユーザーに響くキャッチコピーも、チョコザップのマーケティング戦略が成功につながった要因として挙げられます。
チョコザップというネーミングは、気になるタイミングにちょっとだけジムを利用するという意図が簡潔に伝わりやすく、効果的な訴求ということができます。
また、「スマホ1つで通えるコンビニジム」というコンセプトも、ターゲットとなるユーザーのニーズをふまえ、興味関心を誘う用語といえます。
認知度拡大やコンバージョン獲得につなげるためには、インパクトと合わせ商品やサービスを想起しやすいキャッチコピーが求められます。
その点、ライザップの持つ認知度をふまえ、手軽さを売りに差別化する表現として、チョコザップはキャッチコピーを効果的にマーケティングに活用しているといえます。
チョコザップのマーケティング戦略を自社に活用するコツ
最後に、チョコザップのマーケティング戦略を自社のマーケティングに活用するコツについて紹介していきます。
先ほどふれたチョコザップの事例は、何もチョコザップでなければ出来ないというわけではありません。
自社のマーケティングの運用効果を高める上で、以下の要素は活用していくと効果的です。
①STP分析の活用
自社のマーケティングを成功に導くためには、目的やターゲットを明確にしておくことが重要です。
その上で、チョコザップが実施したようにSTP分析は重要です。
場当たり的なマーケティング戦略では効果につなげることはできません。
一方で、徹底的なSTP分析によって市場における優位性を確保することができれば、売上増加や利益拡大につなげることが可能になります。
特に、ターゲットを明確化しておくことは、その後のマーケティング施策を効率的に進める上でも重要です。
単に20代女性のような属性だけでなく、職業や家族構成など含めたユーザー属性をはじめ、趣味嗜好や生活リズム、行動履歴などペルソナ分析も活用しながら設定していくと効果的です。
②戦略的なブランディング
コンバージョン獲得につなげるためには、商品やサービスにおける認知度を高める必要があります。
どれだけ魅力的な機能や効能、他社には真似できない価格設定だとしても、それがユーザーに認知されなければ意味がありません。
チョコザップでは、ライザップとの差別化はもとより、分かりやすいキャッチコピーなどにて戦略的なブランディングを行い、成功につながっています。
そのため、ブランド名やロゴデザイン、キャッチコピーの作成などターゲットを意識しながら戦略的に展開していくことが重要です。
③ターゲットに応じた広告クリエイティブの作成
戦略的なブランディングとあわせ、ターゲットに応じた広告クリエイティブにて展開していくことも重要です。
チョコザップでは、様々な広告媒体において認知度拡大やコンバージョン獲得につなげています。
この精度を高めるためには、ABテストなどを行いながらPDCAサイクルを回していくことが求められます。
近年では、ユーザーニーズの多様化や流行の短期化などが進み、一度効果が出たクリエイティブも別のタイミングでは効果につながらないケースも少なくありません。
そのため、常に検証と改善を繰り返しながらアプローチしていくことが重要です。
まとめ
チョコザップでは、徹底したSTP分析や4P分析などをもとにユーザーニーズを可視化し、ターゲットに応じたアプローチを行うことで市場における優位性を確立しています。
競合他社が多い業種業態だとしても、ユーザーニーズを深掘りするとともに、他社にはない強みを見出すことができれば、新たな市場の開拓とともに売上増加や利益拡大につなげることも可能です。
今回紹介した内容も参考に、自社のマーケティングに活用するとともに、運用効果を高めていきましょう。