ブランドアイデンティティは企業活動を行う上で欠かせません。
そんなブランドアイデンティティを明確にできると、他社との差別化、顧客との関係強化などを図れます。
そこで今回は、ブランドアイデンティティの重要性、構成要素、確立の仕方、構築事例などを紹介します。
ブランドアイデンティティとは?
ブランドアイデンティティとは、企業が顧客や社会に抱いてほしいイメージのことです。
どのようなブランドで、どのような価値やメッセージを伝えたいのかを具体化したイメージです。
ブランドイメージとの違い
ブランドアイデンティティと似た言葉にブランドイメージがありますが、両者は少し意味が違います。
ブランドアイデンティティといった場合、企業がユーザーに抱いてほしいイメージを構築することを意味します。
一方、ブランドイメージは、ユーザーが自分の得た情報や経験を元に企業に対して抱くイメージのことです。
ブランドアイデンティティの重要性
ブランドアイデンティティは企業にとってもとても重要ですが、その理由を考えてみましょう。
一貫性のあるブランド戦略を構築できる
ブランドアイデンティティを確立できると、一貫性のあるブランド戦略を構築できます。その企業らしさを伝えられ、ブレることのない訴求ができます。
ブランドアイデンティティに基づいた企業の立ち居振る舞いも設定できるでしょう。
顧客にブランドの魅力を伝えられる
ブランドアイデンティティでは、ユーザーから自社がどう見られたいかのイメージを構築することになりますが、その過程では当然ブランドの魅力を伝えることになります。
魅力が正しく伝われば、好意的なイメージを抱いてもらえるでしょう。
他社と差別化を図れる
ブランドアイデンティティにより、他社との差別化も図れます。
ブランドの魅力を伝えれば、当然他社にはない強みなどもユーザーにわかってもらえるでしょう。
他社にはなくて自社にしかないものがあるとのメッセージを伝えることもブランドアイデンティティの重要な役割です。
社員満足度が向上する
ブランドアイデンティティの確立により、社員満足度も向上します。
社員も自社の魅力や価値を再認識し、その企業で働くことの誇りや忠誠心を感じるようになります。
その結果、仕事にも熱心に取り組むようになり、それが成果につながるという好循環にもなるでしょう。社員も働きがいを持って、満足感を感じながら仕事に励めます。
ブランドアイデンティティの構成要素
ブランドアイデンティティを構成する4つの要素について解説しましょう。
フィロソフィー
フィロソフィーはブランドアイデンティティの基盤となる要素で、「ミッション」「価値観」「ビジョン」で構成されます。
「ミッション」とは、顧客に対してブランドの存在意義や果たすべき使命を示すことです。「価値観」はブランドの行動指針兼社員の判断基準となるものです。「ビジョン」はミッション実現のための方向性やあるべき姿を表します。
ベネフィット
ベネフィットとは、顧客が商品やサービスの利用を通して得られるメリットや恩恵のことです。
機能的なベネフィット、感情的なベネフィット、自己表現や自己実現をできるベネフィット、社会的な関係性におけるベネフィットなどがあります。
属性
属性とは商品やサービスが持っている特性のことですが、より客観的・定量的に評価ができる根拠や証拠も含みます。
例えば、「環境に優しいブランド」というブランドアイデンティティがあったとしても、その根拠がないと、顧客には伝わりにくいです。
根拠として、「生分解性プラスチックを使用している」などのように示すことが属性のポイントになるでしょう。
パーソナリティ
パーソナリティとは、ブランドが持つ特徴を人間の性格になぞらえたものです。
パーソナリティの要素を加えることで、顧客の心にブランドのイメージが定着しやすくなるほか、評価されやすくなるという面があります。
ブランドアイデンティティの確立の仕方
ブランドアイデンティティを確立する方法を紹介します。
1.ターゲットを理解する
ブランドアイデンティティを作ろうと思ったら、ターゲットを理解する必要があります。
ターゲットとなる顧客の特徴を理解し、どのようなことを考え、どのような価値観を持っているのかを把握することで、ブランドアイデンティティを構築しやすくなります。
2.ブランド戦略を策定する
ブランドのミッション、バリュー、パーソナリティを確立し、一貫した戦略の元、メッセージを伝えるようにすることで、ブランドアイデンティティの構築が進みやすくなります。
3.ブランド名を考える
ブランドアイデンティティを行うに当たって、ふさわしいブランド名を考えましょう。
覚えやすく、口に出しやすく、個性を感じることができるブランド名がおすすめです。
4.ロゴを作成する
次は、ブランドのロゴの作成です。
ロゴを作成する場合は、次のようなポイントを押さえるといいでしょう。
・ユニーク
・簡単に認識できる
・ブランドの個性が感じられる
・ブランドの価値観が伝わる
5.ブランドイメージのカラーを選択する
ブランドイメージのカラーは顧客の潜在意識にアピールする部分ですから、慎重に選びましょう。
6.ブランドボイスを開発する
ブランドボイスとは、顧客や社会に示すブランドの個性のことです。
明確なブランドボイスを開発できると、顧客にも認識されやすくなって、関係強化も図れます。
7.ブランドガイドラインを作成する
ブランドガイドラインを作成して、ブランドを表現する枠組みを作りましょう。
具体的には、ブランドガイドラインでロゴの使用ルール、カラースキーム、タイポグラフィ、メッセージングなどを決めます。
8.Webサイトを作成する
ブランドアイデンティティを構築する際には、ふさわしいWebサイトを作成するといいでしょう。
ブランドの個性を伝え、操作しやすく、適切なターゲットに合ったWebサイトを作成できれば、ブランドに対する評価も高まります。
9.コンテンツを作成する
Webサイトを作成したら、ブランドの宣伝だけでなく、コンテンツも含めましょう。
顧客に役立つコンテンツ、有意義なコンテンツを作成できると、ブランドアイデンティティの構築に寄与します。
10.パフォーマンスをモニターし、改善する
ブランドアイデンティティを構築したら、それでも終わりではありません。
ブランドは常に変化するものです。ブランドのイメージがどのように変化していくのかパフォーマンスを継続的にモニターし、その結果を、改善のための施策に活かさなければいけません。
ブランドアイデンティティの構築例
ブランドアイデンティティを実際に構築した企業の例があるので、紹介しましょう。
スターバックス
スターバックスのブランドアイデンティティは、自宅と職場の次なる場所としてのサードプレイスです。
室内空間に工夫を凝らし、ソファの配置やWi-Fiの設置などにこだわっています。
接客においてもブランドアイデンティティの要素を大事にし、スタッフと顧客との円滑なコミュニケーションを図っています。
ユニクロ
ユニクロが行っているブランドアイデンティティでは、ロゴや公式フォントを刷新し、コンセプトにこだわりました。
ロゴは日本の「モノづくり」とポップカルチャーのイメージを融合させたもので、世代を問わず広く浸透しています。
公式フォントは世界中のクリエイターにも配布され、活用されています。
コンセプトは「究極の普段着」。これまでの常識を覆した本当にいい服を提供しています。
これらの要素が合わさって、ユニクロのブランドアイデンティティが確立されました。
NIKE
NIKEのブランドアイデンティティは「Just Do It」です。
常に進歩や挑戦に取り組み、スニーカーの改善やアプリ開発もしています。
アプリ開発により、きめ細やかな情報提供ができるようになって、顧客との関係も強化されました。
缶コーヒーの「BOSS」
BOSSの提供企業はサントリーですが、BOSSの販売に当たって掲げたコンセプトが「飲み飽きない」「一日何本でも飲める」「タフで男らしい」です。
このコンセプトが消費者にうまく浸透し、売れ行きを伸ばしました。
コンセプトを元にして、効果的なブランドアイデンティティの構築にも成功しています。
Apple
Appleのブランドアイデンティティは、「シンプルで洗練されたデザイン」と「革新的な技術を追求する姿勢」です。
このブランドアイデンティティが若者やクリエイティブ層に効果的に伝わり、押しも押されぬ世界的なブランドにまで成長しました。
まとめ
今回は、ブランドアイデンティティの重要性や確立の仕方などを説明しました。
ブランドアイデンティティは企業が顧客に抱いてほしいイメージを構築することです。
希望通りのイメージを抱いてくれれば、評価も高まり、実際のアクションにつながる可能性も高まります。
それだけブランドアイデンティティは重要なものですから、皆さん方の企業でもよく考えてブランドアイデンティティを構築してください。