近年、マーケティングではファースパーティデータの活用が重要視されていますが、なかにはどのようなものなのかまだ理解しきれていない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ファーストパーティデータについて、意味や重要性などを解説していきます。
収集方法や活用のコツも紹介するので「ファーストパーティデータって結局なんなの?」と疑問を抱いている方はぜひ参考にしてみてください。
1.ファーストパーティデータとは
ファーストパーティデータは、企業が自社で集めたユーザー情報のことです。
例えば、アンケートや問い合わせ、購買履歴などから手に入れたデータを指しています。
ファーストパーティデータを活用することが昨今重要視されているのは、Cookie規制や個人情報に関する法整備が要因です。
重要性が高まっている理由やCookie規制について解説していきます。
1−1.ファーストパーティデータ(1st Party Data)の重要性が高まっている?
ファーストパーティデータは、他タイプのデータと比較しても重要度が高まっています。
なぜなら、データの品質が高いうえ、コストをかけずに収集できるメリットがあるからです。
ターゲット層から直接集めたデータを用いることで、マーケティング活動に有効活用できます。
1−2.Cookieの規制がWeb広告に影響を与えている
ファーストパーティデータが重要視されている要因として、Cookieの規制も大きな要因となっています。
これまで、サードパーティデータを取り扱うリサーチ企業などは、ユーザーごとの情報を活用するためにCookieを利用していました。
しかし、昨今では個人情報保護の観点からCookieの規制が進められています。
SafariやGoogle Chromeなど主要なブラウザでCookieへの規制項目が追加されているため、企業は新しい情報収集方法について考える必要があるのです。
1−2−1.Cookieとは?
Cookieは、Webサイトでの接続情報や入力情報などを保存したファイルのことで、オンライン操作を快適にするためのものです。
企業はCookieを追跡することにより、ユーザーが閲覧しているコンテンツや興味関心をもとにした広告を表示しています。
1−3.個人情報に関する法が整備されている
Cookieが個人情報として強く認識されるようになったことで、保護するための法整備が進められています。
日本国内では、2022年4月に「改正個人情報保護法」が施行されました。
現在は、Cookieからの情報を第三者に提供し紐付けるためには、ユーザーに承認を得る必要があります。
ポップアップで同意するか表示されるようになっており、拒否された場合はCookieの利用をブロックできます。
2.ゼロパーティデータ、セカンドパーティデータ、サードパーティデータとの違い
マーケティングで活用されているデータには、ファーストパーティデータ以外にも以下のようなものが存在します。
・セカンドパーティデータ
・サードパーティデータ
それぞれの内容も合わせて確認しておきましょう。
2−1.ゼロパーティデータ
ゼロパーティデータは、顧客が自発的に提供してくれたファーストパーティデータを指しています。
例えば、アンケートや投票への回答などがゼロパーティデータに該当します。
2−2.セカンドパーティデータ
他の企業によって収集されたファーストパーティデータのことを、セカンドパーティデータと呼びます。
他社で集められた情報であっても内容は独自に収集したデータであるため、高い品質で信頼度が高いです。
ただし、手に入れるためにはパートナー企業としてデータを購入する必要があります。
2−3.サードパーティデータ
サードパーティデータとは、第三者によって収集される情報のことです。
国や自治体によって公表されているデータや、専門的にデータ収集を行っている企業から集めた情報もサードパーティデータに該当します。
3.ファーストパーティデータの活用メリット
ファーストパーティデータを活用するメリットは以下のようなものがあります。
・データ品質が高い
・低コストで収集できる
・成果に繋がりやすい
どのような利点を持っているのか把握していきましょう。
3−1.Cookie規制や法改正の影響を受けにくい
ファーストパーティデータは自社で収集した信頼度の高い情報であるため、Cookie規制や法改正の影響を受けにくいです。
現状、サードパーティデータは法律やブラウザの仕様変更によって収集が難しくなってきています。
サードパーティデータを活用してマーケティングを実施していた企業は方向転換や適応を余儀なくされていますが、ファーストパーティデータであればそのような不安は少ないです。
3−2.データ品質が高い
収集手順やターゲットが不明確なデータは品質が低いこともありますが、ファーストパーティデータは自社が集めた情報であるため質が高いです。
高品質なデータをもとに、効果的なマーケティング活動を進められる点が大きなメリットといえます。
3−3.低コストで収集できる
ファーストパーティデータを利用することで、他社から情報を購入するよりもコストを抑えられます。
「自社で収集するので手間がかかる」と想像する方も多いですが、現在はSNS・自社サイトなどを通してアンケートや投票を簡単に行うことが可能です。
3−4.成果に繋がりやすい
自社がターゲットとするユーザー層に対して直接的に情報提供を依頼できるため、ファーストパーティデータをもとにすれば成果に直結しやすくなります。
データは一度獲得しても時間とともに有用性が落ちていくため、継続的に収集することが大切です。
なるべく質の高い情報が欲しい場合は、提供元や収集方法が不明確なデータでなく、ファーストパーティデータを活用しましょう。
4.ファーストパーティデータの収集方法
ファーストパーティデータを収集する方法は、大まかに分けるとオフライン・オンラインの両方が存在します。
ここからは、双方の収集方法についてそれぞれ解説していきます。
4−1.ファーストパーティデータをオフラインで集める場合
ファーストパーティデータをオフラインで集める場合、以下のような方法が考えられます。
・実店舗での会員カード登録や行動記録
アンケートや名刺など印刷物の準備は必要になりますが、直接的に有用な情報を収集できます。
4−2.ファーストパーティデータをオンラインで集める場合
オンラインで集める方法は以下の通りです。
・SNSでユーザーと交わした会話
・Webサイトで設置されたタグによる情報収集
オンラインでの情報収集は、一度環境を構築すれば継続的に実行できます。
収集したデータをエクセルにまとめてグラフにするなど、自動化も可能なので効率化がしやすいです。
5.ファーストパーティデータを活用する際のコツ
ファーストパーティデータを活用する際のコツは以下の4つです。
・データと引き換えに価値を提供する
・人材の採用、ツールの導入をする
・検証と改善を行う
効率的に活用するポイントを把握しておきましょう。
5−1.目的を明確化する
ファーストパーティデータは、ただ収集するだけでなく、なんのために活用するのか明確化しておくことが大切です。
サービスの質向上や見込み顧客の獲得など、最終的なゴールは複数挙げられます。
目的によって収集すべきデータや方法が異なるのでゴールを事前に策定して、逆算しながら収集を進めていきましょう。
5−2.データと引き換えに価値を提供する
ファーストパーティデータを集める際、何のために収集するのかを明示したうえで他の価値も提供しましょう。
クーポンの発行やサンプルの配布など、メリットがあれば快く情報を提供してくれやすくなります。
5−3.人材の採用、ツールの導入をする
高品質なデータを収集できたとしても、分析を的確に行える人材がいなければマーケティングでの有効活用は困難です。
CRMなどツールの導入と合わせて、社内で十分な経験を持っている人材がいない場合は新規採用を進めましょう。
5−4.検証と改善を行う
データを収集してマーケティングを実施したあとは、検証と改善を繰り返してより効果を見込める手法を見出していくことが大切です。
目標への達成度を定量化しておき、施策の実行後は問題点がなかったか確認していきましょう。
6.ファーストパーティデータの注意点
ファーストパーティデータを活用する際は以下のような注意点も意識しましょう。
・専門知識が必要
それぞれ解説していきます。
6−1.データを十分に収集できない可能性がある
ファーストパーティデータは自社で集めなければいけないため、手段を適切に選ばないと十分な情報収集が行えない可能性があります。
オフライン・オンラインに関わらず、適切なデータ数が見込めるのか事前に確認しておきましょう。
6−2.専門知識が必要
ファーストパーティデータを効果的に扱うには、分析や施策実行の専門的知識が必要です。
社内で活用できる人材がいない場合は、他社やフリーランスへの依頼も候補に入れておきましょう。
7.まとめ
いかがでしたか?
ファーストパーティデータはアンケートや資料請求フォームなど、自社で収集したデータのことです。
信頼度が高く、Cookie規制などの影響を受けにくいため、マーケティングで有効活用できます。
正しく利用するためには専門的知識が不可欠なので、活用時は目的の設定や分析方法などを事前に決定しておきましょう。