
変化の激しい現代のデジタルマーケティングにおいて、従来の「3C分析」だけでは、市場の全体像を捉えきれないケースが増えています。
「競合の動きはわかっているのに、成果が出ない…」 「世の中のトレンドが早すぎて、次に何をすべきか迷っている」
そんな悩みを解決するのが、より広い視点で環境を捉える「5C分析」です。
本記事では、
5C分析の基礎知識から、実務で使える具体的な手順、そして分析結果を「利益」に変える戦略の立て方まで、
分かりやすく解説します。
1. 5C分析とは?
5C分析とは、
元マッキンゼー日本支社長の大前研一氏が提唱した「3C分析」をベースに、現代の複雑なビジネス環境に合わせて要素を拡張したフレームワークです。
1-1. 3C分析を現代版にアップデート
従来の3C分析(顧客、競合、自社)は、シンプルに「戦う土俵」を決めるには非常に強力なツールでした。
しかし、
SNSが普及し、情報の波が激しい今の時代、「直接的なライバル」だけを見ていれば勝てるわけではありません。
例えば、AmazonやMetaといったプラットフォーム(協力者)の仕様変更一つで、売上が一変することもあります。
こうした外部の「協力者」や「社会的な背景」まで網羅したのが5C分析です。
1-2. 5Cを構成する5つの要素と定義
5Cは、以下の5つの頭文字をとっています。
- Customer(顧客・市場)お客様は誰か? 何を求めているのか?
- Competitor(競合)ライバルは誰か? 彼らの強みと弱みは?
- Collaborator(協力者)誰と組めば成功するか? パートナーの状況は?
- Context(背景・社会情勢)世の中のトレンドやルール(法律)はどう変わっているか?
- Company(自社)自分たちの武器は何か?
2. 「5つのC」の詳細解説
初心者の方が迷わないよう、それぞれの項目で調査すべき「チェックポイント」を分かりやすくまとめました。
■ 調査すべきチェックポイント
- Customer(顧客・市場)
市場規模の推移に加え、顧客の「悩み」や「購入の決定打」を分析します。最近では「安さ」よりも、手間をかけない「効率(タイパ)」を重視するなどの心理的な変化も重要な要素です。 - Competitor(競合)
ライバルのシェアや強みだけでなく、彼らが最近始めた新しい広告手法やキャンペーンを分析します。自社と競合の獲得効率の差を把握し、次に打ってきそうな施策を予測します。 - Collaborator(協力者・パートナー)
広告代理店、販売店、物流、SNSプラットフォームなどが該当します。彼らとの協力体制は良好か、またプラットフォーム(Google/Meta等)の仕様変更が自社にプラス・マイナスのどちらに働いているかを確認します。 - Context(背景・社会情勢)
景気、Cookie規制などの法改正、技術革新、文化のトレンドといった、自社ではコントロールできないマクロ環境です。現在のトレンドが一時的なものか、あるいは長期的な変化なのかを見極めます。 - Company(自社)
ここまでの4つのCを踏まえ、他社には真似できない独自の強みを評価します。外部環境の変化に対応できるだけの資金、技術、人的リソースがあるかを客観的に見つめ直します。
マクロな外部環境(Context)をより専門的に深掘りしたい場合には、専用のフレームワークを併用するのが効果的です。社会の変化を体系的に整理し、リスクをチャンスに変える手法についてもチェックしておきましょう。
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3. 5C分析を行う3つの大きなメリット
- パートナーの影響を可視化できる
販売パートナーや広告プラットフォームが「何を求めているか」を分析することで、相手も自分も得をする
「売りやすい仕組み」を構築できる - 外部環境の変化をリスク管理できる
Contextを分析することで、突然の法改正やトレンドの終焉といったリスクを未然に察知し、ライバルより先に手を打つことが可能になる - 自社の「真の立ち位置」が明確になる
社会背景や協力者まで含めて俯瞰することで、「価格競争」以外の部分で自社が選ばれている真の理由を見つけ出せる
4. 【実践】5C分析を戦略に繋げる3つのステップ
分析を成功させるカギは、「自社でコントロールできない外部環境」から順に埋めていくことです。
以下のステップで進めてみましょう。
ステップ①
市場ルール(外部環境)を把握するContext(社会情勢)、Customer(顧客)、Competitor(競合)を分析します。
まずは自分たちで変えられない「市場の共通ルール」を正しく把握しましょう。
ステップ②
ビジネスパートナー(協力者)の現状を整理する自社を支える広告代理店、物流、プラットフォームなどの状況を整理します。
パートナーが成長の助けになっているか、あるいはボトルネックになっていないかを確認します。
ステップ③
自社の再定義と「勝ち筋」の決定ステップ1・2の結果をもとに、自社の武器が今の市場や協力体制で通用するかを判断します。もし弱みがあるなら協力者と組んでどう補うかなど、具体的な戦略を立てます。
5Cによる現状整理が完了したら、その情報を「自社にとっての機会や脅威」として定義し直す作業が必要です。
集めたデータを机上の空論で終わらせず、具体的な「勝ち筋」へと昇華させる手順を確認しましょう。
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5. 5C分析の具体的な活用例:実在する企業の成功戦略
事例① スターバックス コーヒー ジャパン
スターバックスは、
単にコーヒーを売るだけでなく「第3の場所(サードプレイス)」という概念を市場に定着させました。
- Context(背景)
ライフスタイルの多様化。自宅でも職場でもない「居心地の良い空間」への需要増 - Customer(顧客)
20〜40代のオフィスワーカーや学生。自分への「小さなご褒美」や、集中して作業できる環境を求めている - Competitor(競合)
ドトール(安価)やルノアール(喫煙可)など。近年ではコンビニコーヒーの台頭 - Collaborator(協力者)
デリバリープラットフォーム(Uber Eatsなど)、地域の自治体(公園内店舗など)、デジタル決済事業者 - Company(自社)
接客の質の高さ、洗練された店舗デザイン、強力なブランド力
競合が「回転率」を重視する中、あえて「滞在の快適さ」を追求。さらに近年ではCollaborator(Uber Eats等)と組むことで、「店舗に行かなくてもスタバの体験を楽しめる」仕組みを作り、店舗以外の収益源を確保することに成功しました。
事例② テスラ(Tesla)
自動車メーカーという枠を超え、エネルギー企業としての地位を確立したテスラの事例です。
- Context(背景)
世界的な脱炭素化(カーボンニュートラル)の流れ。各国でのガソリン車販売規制の強化 - Customer(顧客)
環境意識が高く、かつ「最新技術(自動運転やソフトウェア)」に魅力を感じる富裕層〜中間層 - Competitor(競合)
トヨタやフォルクスワーゲン等の既存メガメーカー。中国のBYD等の新興EVメーカー - Collaborator(協力者)
パナソニック(バッテリー供給)、各地のショッピングモール(充電器の設置場所)、自社の充電ネットワーク(スーパーチャージャー) - Company(自社)
ソフトウェア開発力(OTAアップデート)、創業者のカリスマ性、垂直統合型の生産体制
既存メーカーが「ディーラー網(従来の協力者)」に縛られる中、テスラは直販モデルと独自の充電インフラ(Collaborator)を構築。社会情勢(Context)を味方につけ、「単なる電気自動車」ではなく「走るスマートフォン」という新しいカテゴリーを定義しました。
■ 2つの事例から学べること
共通しているのは、
「世の中の流れ(Context)」と「外部との協力関係(Collaborator)」を自社の強みと掛け合わせている点です。
スターバックスは「居心地」という価値をデリバリー(協力者)へ拡張し、テスラは「環境規制」を追い風に、充電インフラという独自の協力網を自ら作り出しました。このように、5Cを埋めることで「今の時代に、誰と組んで、どう勝つか」のシナリオが見えてきます。
6. まとめ
5C分析は、市場のプレイヤーだけでなく、その背景にある社会情勢やパートナー企業までを網羅する、極めて実務的なフレームワークです。
- 3Cに「協力者」と「背景」を加えて視野を広げる
- 外部環境から順に分析し、最後に自社の立ち位置を評価する
- 分析結果をSWOT分析へ繋げ、具体的な実行プランに落とし込む
導き出した「勝ち筋」を実際の成果に繋げるためには、製品設計や価格、プロモーションといった具体的な施策への落とし込みが欠かせません。分析を売上に変えるための最終的な実行プランについても学んでおきましょう。















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