
広告運用において、日々の細かな調整作業に多くの時間を取られていませんか?
Yahoo!広告の「自動運用ルール」機能を活用することで、
設定した条件に基づいて広告運用の一部を自動化し、
運用工数の削減とパフォーマンスの向上が期待できます。
本記事では、
自動運用ルールの基本から設定方法まで詳しく解説していきます。
1. Yahoo!広告の自動運用ルールとは?
1-1. 自動運用ルールが必要とされる背景
2. 自動運用ルールでできること
2-1. キャンペーン日額予算の変更
2-2. 入札価格の調整
2-3. キーワードの追加
2-4. キーワードの停止・対象外キーワードへの追加
3. 自動運用ルールの設定方法
3-1. 設定の始め方
3-2. 「キャンペーンのルール」を選択した場合
3-3. 「広告グループのルール」を選択した場合
3-4. 「キーワードのルール」を選択した場合
3-5. 共通の設定内容
4. 自動運用ルールで設定可能な条件指標
5. 自動運用ルール活用時の注意点
5-1. 設定する際に気を付けたいポイント
5-2. よくある落とし穴
6. まとめ
1. Yahoo!広告の自動運用ルールとは?

Yahoo!広告の自動運用ルールとは、
事前に設定した条件とアクションに基づいて、
広告運用に関わる作業を自動的に実行する機能です。
広告運用者が手動で行っていた定期的な調整作業などを自動化することで、
運用効率の向上と人的ミスの削減が期待できます。
1-1. 自動運用ルールが必要とされる背景
広告運用の自動化が進んだ現在でも、
運用者自らが手を動かさなければならない作業は数多く存在します。
例えば、以下のようなケースです。
- 定期的な予算調整:
繁忙期や閑散期に応じて日予算を変更する - パフォーマンスに基づく入札調整:
コンバージョン率やコンバージョン単価に応じて入札単価を変更する - キーワードの追加・停止:
検索クエリから新規キーワードを追加したり、成果の出ないキーワードを停止する
これらをすべて手動で管理するのは時間と工数がかかり、
運用規模が拡大するほど作業負担も増大します。
自動運用ルールを使えば、煩雑な作業から解放され、
本来注力すべき“戦略的な運用”に時間をかけられるようになります。
2. 自動運用ルールでできること

Yahoo!検索広告の自動運用ルールでは、以下のような運用作業を自動化できます。
複数の機能を組み合わせることも可能です。
2-1. キャンペーン日額予算の変更
設定した条件に基づいて、
キャンペーンの日額予算を自動的に引き上げ、または引き下げることができます。
例えば、
コンバージョン率が高い日には予算を増額し、低い日には減額するといった運用が可能です。
2-2. 入札価格の調整
広告グループやキーワードの入札単価を自動調整できます。
コンバージョン単価(CPA)が目標値を超えた場合に入札を下げたり、
逆にCPAが低い場合に入札を上げて露出を増やすといった運用が可能です。
2-3. キーワードの追加
設定した条件に合致する効果の高い検索クエリー(検索語句)を、
自動的にキーワードへ追加できます。
これにより、
手動でキーワードを追加する手間を省きながら、新たな獲得機会の損失を抑制します。
2-4. キーワードの停止・対象外キーワードへの追加
条件に合致した効果の低いキーワードを、
自動で停止したり、対象外キーワードとして追加したりできます。
例えば、
コンバージョン数やコンバージョン単価などの条件を設定しておくことで、
成果に繋がりにくいキーワードを効率的に整理できます。
3. 自動運用ルールの設定方法
ここでは、
Yahoo!検索広告で自動運用ルールを設定する手順を詳しく解説していきます。
3-1. 設定の始め方
➀ 管理画面右上の「ツール」をクリック
②「自動運用ルール」を選択
③「自動運用ルールを作成」ボタンをクリック
④「キャンペーンのルール/広告グループのルール/キーワードのルール」のいずれかを選択
⑤ 以下は選択したルールによって設定内容が異なる
3-2. 「キャンペーンのルール」を選択した場合
キャンペーンのルールで、1日の予算を変更できます。
以下の中から方法を選択し、設定します。
- 任意の金額を入力
- 引き上げ(%、円)※上限値の設定も可能
- 引き下げ(%、円)

3-3. 「広告グループのルール」を選択した場合
広告グループのルールで、入札価格を変更できます。
以下の中から方法を選択し、設定します。
- 任意の金額を入力
- 引き上げ(%、円)※上限値の設定も可能
- 引き下げ(%、円)

3-4. 「キーワードのルール」を選択した場合
キーワードのルールで、以下のアクションが可能です。
| 実行する内容 | 説明 |
| キーワードを配信停止 対象外キーワードに追加 |
条件に一致したキーワードを停止 または、対象外キーワードに追加 |
| 検索クエリを 対象外キーワードに追加 |
条件に一致した検索クエリを対象外キーワードに追加 |
| 検索クエリを キーワードに追加 |
条件に一致した検索クエリをキーワードに追加 |
| キーワードの 入札価格を変更 |
条件に一致したキーワードの入札価格を変更 以下から方法を選択し設定 任意の金額を入力/引き上げ/引き下げ ※上限値の設定も可能 |
下の画像のように、実行する内容を選択することができます。
3-5. 共通の設定内容
実行する内容の設定が完了したら、関連付けや条件、実行頻度などを設定します。
➀「関連付け設定」で、自動運用ルールを実行するキャンペーンまたは広告グループを選択
※アカウント内全てのキャンペーンまたは広告グループを選択することも可能
➁「条件」で、自動運用ルールの実行タイミングを設定
ルールごとに最大5件まで設定でき、選択できる条件は実行する内容によって異なる
A:条件とする指標を選択
B:条件の値を入力、または選択
C:条件に設定する項目を選択
➂「条件の集計期間」で、上記で指定した条件の集計期間を選択
④「実行頻度」では、自動運用ルールを実行する頻度を指定
➄「設定した条件で対象となるキャンペーンを確認する」で、
自動運用ルールの実行対象となる入稿アイテムを別画面で確認できる
➅ 最後に「保存」ボタンをクリックして完了
※[3. 自動運用ルールの設定方法]での画像引用/参考(出典:Yahoo!広告ヘルプ)
4. 自動運用ルールで設定可能な条件指標
自動運用ルールの条件設定では、
実行する内容に応じてさまざまな指標を指定できます。
主な指標の種類は以下の画像の通りです。
※画像引用(出典:Yahoo!公式資料)※「○」は設定可能、「✕」は設定不可を示します。
条件は最大5つまで設定でき、
複数の条件を組み合わせることで、より精緻な自動化が実現できます。
複数の条件を設定した場合は「and」条件ですが、以下の場合は例外です。
- 「ラベル」を複数設定した場合:
ラベルの条件同士は「or」条件になる - 「マッチタイプ」を複数設定した場合:
マッチタイプの条件同士は「or」条件になる
5. 自動運用ルール活用時の注意点

5-1. 設定する際に気を付けたいポイント
自動運用ルールは便利な一方で、
設定方法を誤ると思わぬトラブルに繋がることもあります。
ここでは、設定時に特に注意したい5つのポイントを解説します。
■ 自動入札・動的検索連動型広告を利用している場合
自動入札や動的検索連動型広告(DSA)を利用している場合、
一部のルールが設定できない点に注意が必要です。
下の画像を参考に、
適用したいルールが対象キャンペーンで利用可能かを事前に確認しておきましょう。
※画像引用(出典:Yahoo!公式資料)
■ ルールが意図したとおりに動作していない場合
設定したルールが正常に実行されているかを必ず確認しましょう。
実行エラーにより変更が反映されていなかったり、
意図しない処理(競合名の追加、指名キーワードの停止など)が行われている可能性も
あります。
また、関連付け設定で、
「アカウント内全てのキャンペーン(広告グループ)に関連付ける」を選択した場合、
アカウント配下のすべての入稿要素が変更対象になります。
設定条件によっては、変更対象が多すぎてルールが実行できないこともあるため、
エラーが出た際は設定条件や関連付け対象を見直しましょう。
なお、
配信がオフのものやインプレッション数が1未満のものにはルールが適用されません。
A/Bテストを行っているキャンペーンも適用外です。
■ 条件がキャンペーンごとに異なる場合
キャンペーンや広告グループによって適用条件が異なる場合は、
ルールを分けて作成するのが基本です。
特に「指名キーワード」など停止したくない要素がある場合は、
ラベルを付与し、「指定ラベルを含まない」条件を設定しておくと安心です。
■ 新しいキーワードを追加した場合
キーワードのルールを設定し、
品質インデックスを条件の指標として設定する場合は注意が必要です。
新しく追加したキーワードの品質インデックスは「6」になっています。
そのため、例えば「品質インデックス6以下のキーワードを配信停止」と設定すると、
追加直後のキーワードまで停止されてしまいます。
意図しないアクションを防ぐため、条件値の設定は慎重に行いましょう。
■ 実行頻度で月末を指定する場合
自動運用ルールの「実行頻度」設定で月末日を指定した場合、
該当日が存在しない月はその前日に自動実行されます。
例えば、
「29日〜31日」を実行日に設定した場合、
2月など該当日がない月は月の最終日に実行されます。
月末処理に関わるルールを設定する際は、この仕様を念頭に置いておきましょう。
5-2. よくある落とし穴
ここでは、
運用の現場でよく見られる代表的な“落とし穴”と、その対策を解説します。
■ 意図していないキーワードの停止・追加
キーワードの自動追加機能を使用する際、以下のようなリスクがあります。
- 競合他社名や商標登録されているキーワードが自動で追加される
- 広告配信が禁止されているキーワードが含まれてしまう
- 一時的なトレンドワードが追加され、長期的には成果が出にくくなる
対策として、以下の方法を検討するとよいでしょう。
- 対象外キーワードを事前に設定する:
競合名や出稿禁止ワードは、あらかじめ除外登録しておく - 実行履歴を定期的に確認する:
自動追加されたキーワードをチェックし、不適切なものは手動で削除する - 追加条件を設定する:
コンバージョン数やクリック数など、実績のあるキーワードのみ追加されるようにする
■ 日額予算の引き上げによる予算超過
自動で日額予算を引き上げる設定を行うと、
気づかないうちに月間・全体の予算を超過してしまうことがあります。
対策として、以下の方法があげられます。
- 上限金額を設定する:
「引き上げ後の上限値」に上限金額を設定し、予算超過を防ぐ - キャンペーンごとにルールを分ける:
キャンペーンごとに異なる予算増額幅を設定する場合、個別にルールを作る - 予算使用状況を定期的に確認する:
自動化しても、毎日予算をチェックし、必要に応じてルールを調整する
■ 複雑すぎる条件設定のリスク
条件を細かく設定しすぎたり、複数のルールを高頻度で実行すると、
次のような問題が起こることがあります。
- 意図しない運用がなされパフォーマンスが低下する
- どのルールがどの結果を生んだのか把握しづらくなる
- 複数のルールが競合し、予期しない動作をする
こうしたリスクを防ぐためには、次のような設定方針を意識してみましょう。
- シンプルで管理しやすい条件設定を心がける
- ルールの数は必要最小限にとどめる
- 各ルールの目的と動作を明確にドキュメント化し、チーム内で共有する
■ 数値に表れない効果の見落とし
自動運用ルールは、あくまで数値データをもとに判断する仕組みです。
そのため、
次のようなケースでは、実際の効果を正しく反映できない場合があります。
- 間接的に成果に繋がっているキーワードやキャンペーン
- 追加したばかりのキーワードが多くある広告グループ
- テスト段階で、まだ十分なデータが蓄積されていない施策
このような対象については、
自動運用ルールの対象外とするか、手動でモニタリングを行うことをおすすめします。
データだけでは測れない“意図”や“文脈”を意識することで、
より柔軟で効果的な運用が可能になります。
6. まとめ
Yahoo!検索広告の自動運用ルールは、
設定次第で運用効率を大きく高められる便利な機能です。
本記事で紹介したポイントを押さえながら、
自社の目的や運用体制に合わせて段階的に活用していきましょう。
■ 自動運用ルール活用の重要ポイント
- 目的を明確にする:
何を自動化したいのか、どんな成果を目指すのかを明確にする - シンプルな設定から始める:
最初から複雑な条件を設定せず、シンプルなルールから運用を開始する - 定期的にモニタリングする:
実行履歴を確認し、想定どおりに動作しているかをチェックする - 自動化と手動のバランスを取る:
すべてを自動化するのではなく、戦略的判断が必要な部分は手動で管理する
自動化はあくまで手段であり、目的ではありません。
運用者の判断と自動運用ルールを適切に組み合わせることで、
より効果的な広告運用を実現できます。まずは小規模なルールから試験的に導入し、
効果を確認しながら徐々に適用範囲を広げていくことをおすすめします。
※本記事の参考:Yahoo!広告ヘルプ, LINEヤフー for business, 公式資料
※本記事は公式情報をもとに作成していますが、一部当社の見解を含みます。また、記載内容は効果や成果を保証するものではありません。設定内容や挙動はご利用の環境や時期などによって異なる場合があります。



















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