Web広告の中でも、リアルタイムで広告の内容や予算管理などをカスタマイズしながら広告訴求できる仕組みとして、運用型広告という手法が存在します。
広告に対するユーザーの反応や、クリック状況、コンバージョン獲得の進捗などをふまえ、随時カスタマイズすることができるため、費用対効果を高めた広告運用につなげることが期待できます。
今回は、このような運用型広告の仕組みやメリット、広告配信可能な種類とあわせ、成果につながるコツなどについてポイントを中心に紹介していきます。
運用型広告とは?
そもそも運用型広告とは、広告主側で予算や配信する広告の内容などを自由にカスタマイズしながらユーザーに訴求できる広告手法のことを指します。
テキストやバナーなどの広告クリエイティブを固定で掲載し続けるよりも、状況に応じてカスタマイズしながら広告配信していく方が効果につながる可能性も高まります。
また、企業によっては、プロモーション施策の一環として定期的にキャンペーンや割引特典を付与したり、展示会やイベント、セミナーなどの開催を行うこともあります。
このような場合にも、運用型広告であれば予算を自由にコントロールしながら広告出稿していくことが可能です。
訴求したいユーザーの年齢や性別、地域といった属性を絞ったターゲティングもでき、広告予算としても比較的定額から実施することも可能な運用型広告は、中小企業の企業を中心に業種業態問わず多くの企業で導入・運用されています。
運用型広告の仕組み
運用型広告は、様々な媒体やメディアにおける広告配信先に対してオークション形式で入札を行っていく仕組みとなります。
この入札方法には一般的にクリック課金型とインプレッション課金型など媒体側によって様々なプランが用意されています。
クリック課金型であれば、1クリック当たりの上限入札単価を設定しておくことで広告出稿することができます。
また、日別や月別などで上限設定を行うことができますので、予算管理を柔軟にカスタマイズすることが可能です。
例えば、1クリック当たりの上限入札単価を200円とし、1日の上限予算を10,000円としていた場合、もちろん200円以上でクリックされることは無く、1日10,000円の予算を越えた場合には自動で広告出稿が停止する仕組みとなります。
また、運用型広告はオークション形式とはいえ、高い金額で入札した広告が必ず多く出稿されるというわけではありません。
運用型広告の配信は、入札単価とともに広告の品質やホームページとの関連性など、媒体側による基準が設けられています。
そのため、入札単価だけでなく総合的に判断された上で配信状況が決定するため注意が必要です。
運用型広告にて用意されている課金方式
媒体によって様々な課金方式が用意されている運用型広告ですが、続いて代表的な課金方式について紹介していきます。
それぞれの課金方式の特性をふまえ、自社の商材やサービス内容や、目的・ターゲットなどとあわせ検討していく必要があります。
②インプレッション課金(CPM):広告が表示されるたびに費用が発生する課金方式
③視聴課金(CPV):主に動画広告が視聴されるたびに費用が発生する課金方式
④フォロー課金(CPF):主にSNSでアカウントがフォローされるたびに費用が発生する課金方式
⑤インストール課金(CPI型):主にスマホのアプリがインストールされるたびに費用が発生する課金方式
上記の課金方式に対応しているかは運用型広告を行うことができる媒体によって異なります。
そのため、出稿先の媒体に確認を取りながら運用型広告の出稿先を選定していくことが重要です。
運用型広告のメリット
続いて、運用型広告のメリットについて紹介していきます。
通常のWeb広告に比べ、比較的費用対効果を高めやすい傾向にある運用型広告ですが、具体的には以下のようなメリットが挙げられます。
広告の運用がコントロールしやすい
運用型広告は、テキストやバナーといった広告クリエイティブの内容や予算配分などを自由にカスタマイズでき、自社内でコントロールしやすいといった特徴があります。
マーケティングやプロモーション施策は一定ではなく、ユーザーの行動に応じて日々カスタマイズしていくことが重要です。
無駄な広告費を極力抑え、費用対効果を高める上でも、コントロールしやすい広告手法は運用型広告の魅力の一つです。
細かなターゲティングが設定可能
また、運用型広告では細かなターゲティング設定を行うことも可能です。
年齢や性別、地域などのユーザー属性以外にも、興味関心や過去の自社ホームページへの訪問履歴などによってセグメントを分けることもできます。
自社の目的に応じてターゲティング設定できることで、無駄な広告費を抑え、費用対効果を高めることにもつながります。
ペルソナ分析などをもとに事前に明確化したターゲットをもとに、ピンポイントで広告訴求を行うと効果的です。
効果を数値・データで確認しやすい
運用型広告は、ユーザーの反応・効果を数値やデータで確認しやすい点もメリットとして挙げられます。
広告配信の進捗をリアルタイムで確認できることは、その後の改善や最適化にもつなげやすくなります。
常に状況を見ながら広告を最適化できることは、費用対効果を高める上でも効果につながる可能性が期待できます。
運用型広告のデメリット
一方で、運用型広告にはメリットだけでなくデメリットも存在します。
これから運用型広告を始めようとする場合には、以下の項目は注意点として押さえておくと効果的です。
運用型広告にはWeb関連の知識が必要
運用型広告は、広告出稿を行う上で配信先の媒体やユーザー属性など細かなターゲティングを行うことが可能です。
予算管理も細かく設定できるため、自由度が高い広告手法となりますが、一方で運用にはWebマーケティングやプロモーション全般の知識が求められます。
闇雲にターゲットを設定しても効果を高めることはできません。
自社の商材やサービスの特性もふまえた上で、日々の広告出稿に対するユーザー行動を確認しながらカスタマイズしていくには、ある程度の知識やスキル、経験が求められます。
運用型広告には手間や労力がかかる
運用型広告を日々行うためには相当の手間や労力も求められます。
効果を高めるためには、様々な媒体に応じて広告クリエイティブを作成し、日々の効果検証に応じて最適化していく必要があります。
これらを自社内で運用していく場合、広告クリエイティブの作成から予算調整、媒体の見直し、ターゲティングの変更などを随時対応していかなければなりません。
運用型広告の種類
次に、運用型広告の種類について紹介していきます。
現在、運用型広告を実施できる媒体は多岐に渡ります。その中でも代表的な広告手法について紹介していきます。
リスティング広告
リスティング広告は検索連動型広告(PPC)とも呼ばれ、主にGoogleやYahoo!といった検索エンジンにおいて、ユーザーが検索したキーワードに応じて検索結果画面の上部や下部に広告を表示させる手法のことを指します。
検索したキーワードに連動して広告出稿できるため、ユーザーが興味を持ったワードに応じてアプローチすることでき、コンバージョンにもつながりやすい特徴があります。
ディスプレイネットワーク広告
ディスプレイネットワーク広告は、広告訴求が可能な様々なWeb媒体を網羅したアドネットワークに対して、ターゲティング設定しながら広告出稿できる手法のことを指します。
主に総合系のポータルサイトやWebメディア、個人のブログなどがアドネットワークには網羅されています。
その中から自社のターゲットに関連するメディアや、過去に自社のホームページに訪れたユーザーが対象のメディアやブログに訪れた際に広告を表示させることが可能です。
SNS広告
現在、SNSは多くのユーザーが集まり、広告出稿先の媒体としても注目が集まっています。
主要なSNS広告としては、Facebook広告(Facebook、Instagram)やTwitter広告、LINE広告などが挙げられます。
ユーザー行動や興味関心などに応じて広告出稿することができ、SNSによっては広告経由で多くのユーザーに拡散され、リーチ数の獲得につながる可能性もあります。
一方で、拡散性の高さはマイナスイメージの増加にもつながる可能性もあるため、運用には注意が必要です。
動画広告
SNS広告と関連して、動画広告も注目されている運用型広告の一つです。
YouTubeやTikTokに代表される広告配信プラットフォームでは、個人のユーザーも動画を投稿するようになり、多くの視聴数を稼ぐようにもなってきています。
このようなYouTubeやTikTokを中心に、ユーザーの興味関心や視聴履歴などを参考に広告出稿することが可能です。
動画広告ではクリック課金型以外にも視聴に応じて課金されるプランも用意されているため、自社の広告動画を効率的に訴求することも期待できます。
一方で、動画広告のクリエイティブ作成には別途コストや工数がかかる場合があるため、注意が必要です。
運用型広告で成果を出すためのポイント
最後に、運用型広告で成果につなげる上でもポイントについて紹介していきます。
費用対効果を高める上では以下の点を押さえておくと効果的です。
配信状況の確認とPDCAにこだわる
運用型広告の特徴は、日々のユーザー行動や広告配信状況をふまえて自由にカスタマイズできる点にあります。
出稿したら終わりという訳ではなく、日々配信状況を確認し、その上で効果検証を行い、改善につなげていく必要があります。
近年、ユーザーの興味関心や行動は多様化し、ブームやトレンドは日々移り変わります。
今日効果につながった広告文やバナー、動画のクリエイティブが、翌週には全く効果につながらないということも起こり得ます。
表示回数やクリック数、配信先メディアの傾向、動画視聴数などを確認するとともに、目的に応じてカスタマイズしていく必要があります。
予算調整も行いながら状況を見つつ入札価格を増やしていくことも効果的です。
LPや遷移先ページの状況にもこだわる
運用型広告に限らず、Web広告は広告クリエイティブにのみこだわる傾向がありますが、広告クリエイティブの効果はあくまで対象ページへの遷移でしかありません。
その後の効果はLPや遷移先に指定したページの状況も関係してきます。
例えば、どれだけ魅力的な広告クリエイティブでユーザーの興味を惹いたとしても、遷移先ページが広告内容と全く違ったデザインや見せ方であると、ユーザーはすぐに離脱してしまう可能性が高まります。
広告出稿先の媒体や広告クリエイティブと関連した形で遷移先ページも構成し、自然な形でユーザーを目的のコンバージョンまでつなげることが重要です。
運用型広告経由のユーザーの滞在時間や離脱率、コンバージョン状況なども確認しながら改善につなげていくと効果的です。
まとめ
運用型広告は、媒体先での広告配信状況やユーザー行動などをふまえ、ターゲティングや予算管理などを自由にカスタマイズできる広告手法です。
柔軟性が高いため、状況に応じた広告の出し分けなどが可能な反面、効果につなげるためには日々細かくチェックしたり、PDCAを回した運用を行うため最低限の知識や経験、工数や労力なども求められます。
今回紹介した内容も参考に、運用型広告を有効活用し、効果を高めた運用につなげていきましょう。