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【V字回復】USJのマーケティングは何故成功した?要因や施策を解説

更新日:2023年12月13日

【V字回復】USJのマーケティングは何故成功した?要因や施策を解説

USJは経営が危ぶまれた状態から、マーケティング戦略によって復活を遂げた事例としてよく紹介されます。

今後、事業を成功に導きたいと考えている方は、USJのマーケティング戦略を参考にすることがおすすめです。

この記事では、USJが行ったマーケティング戦略の成功要因や具体的な施策を紹介していきます。

1.USJをマーケティング戦略で回復に導いた森岡毅氏

USJのマーケティング戦略が成功に至ったのは、マーケターである森岡毅氏の手腕によるものが大きいです。

森岡氏が入社した2010年の時点で入場者数は750万人程度でしたが、退社時の2016年には1390万人にまで伸びています。

森岡氏は、消費者のニーズを分析したうえで戦略を立て、USJの経営を回復させました。

マーケティングを成功に導くには、同じようにゲストが求めているものと提供側が提供したい内容に乖離があることを理解し、消費者目線に立ったうえでサービスを展開することが重要です。

参考:15周年のユニバーサル・スタジオ・ジャパン®“やり過ぎ”エンターテイメントを続々展開3年連続で年間入場者数 過去最高記録を更新!|Universal Studios Japan

2.USJのマーケティングが成功した要因

USJのマーケティングが成功した要因として挙げられるのは以下の3つです。

・消費者視点の重視
・具体的なターゲティング設定
・リピーターの発掘

それぞれ解説していきます。

2−1.消費者視点の重視

前述した通り、USJのマーケティングにおいて森岡氏が重要視していたのが消費者視点に立つことです。

USJはもともと、映画を取り扱ったテーマパークとして売り出していましたが、現在は他にも漫画やゲームなど多様なジャンルが用意されています。

「関西圏に住んでいる映画好きな大人」という狭いニーズから幅を広げたことが成功要因の一つです。

また、森岡氏は戦略を立てる前、実際に消費者目線でパークを体験して問題点を発掘しています。

提供側の視点だけでなく、客観的な目線で改善策を見出すことが何よりも重要です。

2−2.具体的なターゲティング設定

森岡氏の入社当時、経営が難しく多大な費用を捻出しづらい状況下にあったUSJは、低予算で確立できるハロウィン・ホラーナイトを実施しました。

USJの人気イベントであるハロウィン・ホラーナイトは、若い女性をターゲットにしています。

「気兼ねなく叫べる環境を提供することで、日頃の鬱憤を発散できる」という狙いがヒットし、結果的に40万人もの集客に成功しました。

明確なターゲット設定と施策の打ち出しがマーケティングにおいて重要だとわかるでしょう。

2−3.リピーターの発掘

USJのマーケティングが成功した要因として、リピーターの獲得も挙げられるでしょう。

森岡氏が入社した当時のチケットの料金は6,100円ですが、価格は年々上昇しています。

現在は日によって価格変動制で、大人の場合ワンデイパスは8,600円からの利用が可能です。

しかし、チケットの価格が上がっても来場者数は増え続けています。

ユーザーはサービスや商品を購入した際、一定の期待値を超えることでリピーターとなります。

マーケティングでは新規開拓だけでなく、ユーザーニーズの把握や明確なターゲット設定によって質の良いサービスをピンポイントで届け、継続的な利益を生み出すことが重要です。

3.USJのマーケティングで実際に打ち出した施策

USJのマーケティングでは、実際に以下のような施策が打ち出されています。

・ユニバーサル・ワンダーランド
・ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド~バックドロップ~
・ハロウィン・ホラー・ナイト
・ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター
・ワンピースプレミアショー

上記の内容について確認していきましょう。

3−1.ユニバーサル・ワンダーランド

ユニバーサル・ワンダーランドは、セサミストリートやスヌーピーといった子供に向けたコンテンツを集めたエリアです。

映画好きを対象としたテーマパークとして打ち出していたUSJを子どもと共に訪れた森岡氏は、身長制限が要因で親子で楽しめる場所が少ないという問題点に気づきました。

母親に向けたデザインや子ども向けの機能を意識することで、以前まで逃していた機会損失を補うことに成功しています。

3−2.ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド~バックドロップ~

「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド~バックドロップ~」は、ジェットコースターを後方に向けて走らせるアトラクションです。

前に発進するジェットコースターは数多くありますが、後ろ向きに走るという小さな差別化で話題を呼びました。

所要時間は約3分にも関わらず、これまで7時間以上の待ち時間が発生することもあり、現在でも人気のアトラクションになっています。

3−3.ハロウィン・ホラー・ナイト

ハロウィン・ホラー・ナイトは、パーク内のスタッフがゾンビの衣装を着て徘徊するイベントです。

森岡氏の入社当時、費用をあまりかけられなかった状態で考案されました。

必要なのは人件費などで、新しい設備投資がいらないため低予算で実施できます。

ストレスを溜め込みやすい若い女性をターゲットにすることで、多大な反響を得た施策例です。

3−4.ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター

ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッターは『ハリー・ポッター』シリーズを題材にして世界観を演出したエリアです。

USJの利用者をさらに広げるために、総費用450億円をかけて設置されました。

世界的に有名な作品の様子を忠実に作り上げたことで、USJの利用者を加速度的に増やすことに成功しています。

3−5.ワンピースプレミアショー

ワンピースプレミアショーは、漫画『ONE PIECE』を題材としたショーです。

森岡氏が入社する前から実施されており、現在でも注目のショーとして続いています。

本格的な特殊効果を用いておりクオリティは高かったものの、当時はまだ知名度がそこまで高くありませんでした。

大々的にテレビCMでショーの内容を取り上げたことで、来場者の増加に貢献しています。

4.USJマーケティングを成功に導いた森岡毅氏のフレームワーク

森岡毅氏のフレームワークは以下の5つです。

・戦況分析
・目的設定
・ゴール設定
・戦略設定
・戦術設定

どのような手順でマーケティングを行っているのか確認していきましょう。

4−1.戦況分析

利用できるリソースから利益を効率的に生み出すには、どのような場所なら勝てるのか考えることが重要です。

戦況分析の例としては、自社が取り扱っている商材や競合となる企業の状況などが挙げられます。

複数の観点から「自社にとって有利なポジションはどこなのか?」を模索していきましょう。

4−2.目的設定

どのような場所で戦略を立てていくのか決まったら、戦略の目的を設定します。

ゴールとなる目的は、達成できそうなものを選択することが大切です。

また、他の人たちと共有がしやすい内容なのかや、客観的に魅力的なゴールなのかを確認しましょう。

USJの場合は「オープン初年度の来場者数1100万人」を超えることが目的として設定されていました。

4−3.目標設定

次に、マーケティング施策の目標となるターゲットの設定を行いましょう。

無数に存在するユーザーのなかから対象を絞ることで、無駄な取りこぼしや機会損失を少なくできます。

自社サービスの対象となる人物はどのような特徴を持っているのか、年齢や性別、趣味嗜好に至るまで導き出すことが大切です。

4−4.戦略設定

サービスや商品を提供する際は、戦略としてどのような価値を提供するのか考えることも重要なポイントになります。

自社のニーズを掴み取ることで、より強固な戦術を築くことが可能です。

USJでは「アトラクションそのものではなく、体験によって得られる感情の変化」が戦略に設定されていました。

4−5.戦術設定

戦略設定では、商品やサービスの売り方について検討します。

戦術を設定するときは、4P分析などのフレームワークを活用することがおすすめです。

商品の内容とコストが見合っているのかや、流通・販促の手段が明確になっているのかなど確認しましょう。

5.まとめ

いかがでしたか?

USJのマーケティングは、森岡毅氏の手腕によって成功を収めました。

徹底的な消費者目線やターゲットの明確化など、今後のマーケティングで参考にするべきポイントは多々あります。

実際のフレームワークも確認しながら、自社が勝てるポイントや戦術について模索してみましょう。

この記事を書いた人

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