
Googleは2025年5月に
「AI Max for Search campaigns」を発表しました。
新しい機能であるため、
その内容や設定方法について十分に把握していない方も少なくありません。
本記事では、
公式情報をもとに AI Max for Search campaigns の基本的な仕組みと活用手順を
分かりやすく解説します。
1. AI Max for Search campaigns(AI Max)とは?
Googleが2025年5月に発表した AI Max for Search campaigns(AI Max) は、
検索キャンペーンのターゲティングやクリエイティブをAIで自動化・最適化する新機能です。
主な機能は、
検索語句マッチングとアセットの最適化です。
Google AIが広告配信とクリエイティブをリアルタイムで最適化し、
ユーザーへのリーチと広告文の関連性を高めることができます。
現在、
AI Maxのベータ版は順次リリースされており、
Googleは2025年第3四半期の初頭までに全アカウントへ展開予定としています。

2. AI Maxの位置づけ
AI MaxはP-Maxのような新しいキャンペーンタイプではなく、
既存の検索キャンペーン内で利用できる設定であり、
さらなるパフォーマンス向上を目指したアプローチとして位置付けられています。
下の画像のように、
Google広告の管理画面で対象となるキャンペーンを選択し、
「設定」画面からAI Maxを有効化することが可能です。
詳しい手順については、この後の章で解説します。

3. AI Maxの主な機能
AI Maxでは、
キャンペーン単位と広告グループ単位で様々な機能を設定できます。
主な機能は以下の通りです。
機能 | 説明 | 設定できる単位 |
テキストのカスタマイズ (旧:自動作成アセット) |
既存の広告、 ランディングページ(LP)、 アセットのテキストをもとに、 特定のユーザーの検索語句と 関連性が高くなるよう 広告コピーをAI生成 |
キャンペーン |
最終ページURLの拡張 | パフォーマンスの向上が 見込まれる場合、 サイト上で最も関連性が 高いページに ユーザーを誘導する |
キャンペーン |
検索語句マッチング | AIが現在のキーワード、 クリエイティブ、 LPをもとに学習し、 より関連性とパフォーマンスの 高い検索語句を見つける |
広告グループ |
関心対象地域 | ユーザーの地理的な インテントに基づいて 特定のユーザーにリーチする |
広告グループ |
ブランド設定 | 広告を関連付けるブランドを 登録したり、 特定のブランドと一緒に 広告が表示されるのを 防ぐ(除外する)ことができる |
登録: キャンペーン、 広告グループ 除外: キャンペーン |
URLの登録/除外 | 最終ページURLの拡張機能で 引っかからなかったURLを 登録したり、 LPとして配信されないように 除外することができる |
登録: 広告グループ 除外: キャンペーン |
以下より、それぞれの機能について詳しく解説していきます。
3-1. テキストのカスタマイズ
テキストのカスタマイズ(旧:自動作成アセット)では、
レスポンシブ検索広告に入力された見出しや説明文を利用します。
これに加え、
GoogleがドメインやLPなどの文脈をもとに自動生成した追加アセットも
組み合わせて配信されます。
これにより、
ユーザーの検索語句や状況に応じて広告文がリアルタイムに調整され、
パフォーマンス向上や関連性の強化、生産性の改善が期待できます。
活用する際は、
サイトや広告内容を正確に保ち、
広告アセットの充実度を「高い」以上に維持することが推奨されています。
3-2. 最終ページURLの拡張
最終ページURLの拡張は、パフォーマンス向上が見込まれる場合に、
サイト内の最も関連性の高いページをランディングページ(LP)として自動で配信する機能
です。
具体的には、ユーザーの検索語句や広告グループのテーマに合ったページに誘導します。
利用には「テキストのカスタマイズ」を有効化する必要があります。
また、関連性の高いページが選ばれた場合には、
ユーザーの意図に合わない可能性があるため、固定アセットは表示されません。
テキストの カスタマイズ |
最終ページURLの 拡張 |
レスポンシブ検索広告(RSA)の 固定アセット |
○ オン | ✕ オフ | RSAの固定アセットは設定通りに配信される |
○ オン | ○ オン | RSAの固定アセットは無視される |
3-3. 検索語句マッチング
検索語句マッチングでは、
Google AIがキーワードだけでなく、広告文(クリエイティブ)やLPの内容も学習し、
より関連性の高い検索語句に広告を表示します。
これまでの設定だけでは拾えなかった検索語句も見つけて広告が表示されるため、
新しいコンバージョンの獲得が期待できます。
また、
キャンペーン設定でAI Maxを有効にすると、
検索語句マッチングも自動的に有効になります。
必要に応じて、広告グループごとにオフへ切り替えることが可能です。
3-4. 関心対象地域
「関心対象地域」は、
特定の地域にいるユーザーだけではなく、
その地域を検索していたり、地域に関心を示しているユーザーにも広告を配信できる設定です。
キャンペーンで選択した配信地域はそのまま適用されるため、
居住地と関心地域の両方を考慮した配信が可能になります。
例えば、
北海道のラーメン屋が関心対象地域を「北海道」に設定すると、
北海道にいるユーザーだけでなく、北海道に興味を持つユーザーにも広告を表示できます。
より効果的に活用するには、
フレーズ一致キーワードやインテントマッチキーワードと組み合わせることが
推奨されています。
3-5. ブランド設定
ブランドの登録 は、
特定のブランドに関する検索語句にのみ広告を表示させる機能です。
例えば「Google」を登録し、キーワードに「スマートフォン」を設定した場合、
広告は「Google スマートフォン」や「Google Pixel」など、
ブランド名とキーワードが組み合わさった検索語句でのみ表示されます。
そのため、
「最高のスマートフォン」といった一般的な検索語句や、
競合ブランド名を含む検索語句には広告が表示されなくなります。
反対に、ブランドの除外は、
特定のブランドに関する検索語句に対して広告が表示されないよう設定する機能です。
ブランド設定についてもっと詳しく知りたい方は、
以下の記事もチェックしてみてください。
3-6. URLの登録/除外
キャンペーン設定で最終ページURLの拡張を有効にすると、
サイト全体からGoogle AIが最適と判断したページが自動的に遷移先(LP)として選択
されます。
遷移先を特定のページに限定したい場合は登録を行い、
逆に遷移先対象から外したい場合は除外設定を行うことで制御ができます。
※[3. AI Maxの主な機能]での画像引用(出典:Google広告管理画面)
4. レポート機能について
AI Maxの最適化に関連する機能に加えて、
レポート機能についても改善されています。
内容は以下の通りです。
■ 検索語句レポート
インクリメンタル検索語句に対応する新しいマッチタイプとして
「AI 最大化設定」が追加されました。
また、一致のソースを示す[ソース]列が導入されました。
さらに、
検索語句・広告見出し・URLを組み合わせた新しいビューが追加され、
ユーザーの広告経路全体を確認が可能になりました。
■ キーワードレポート
新しい概要行に「AI 最大化設定」が表示され、
AI Maxの総合的な貢献度を把握できるようになりました。
■ ランディングページレポート
新設された [選択方法] 列 により、
AI Maxを利用したランディングページのパフォーマンスが表示されます。
■ アセットレポート
AI Maxを利用したアセットのパフォーマンスが表示されます。
5. AI Maxの設定方法
AI Maxの設定は、既存の検索キャンペーンから簡単に行うことが可能です。
➀Google広告の管理画面から設定する検索キャンペーンを選択します。
➁「キャンペーン設定」をクリック
➂「AI 最大化設定でキャンペーンを最適化する」を有効にして完了
※[5. AI Maxの設定方法]での画像引用(出典:Google広告管理画面)
6. AI Maxの活用ポイント
AI Max を活用する際は、
段階的なアプローチと継続的な運用改善が重要です。
■ 導入時に意識したいこと
- 小さく始めて比較検証
- 学習を支える初期データの準備
【小さく始めて比較検証】
まずは一部のキャンペーンでAI Maxを有効化し、
あらかじめ期間を設定して実施前後の成果を比較しましょう。
いきなり多くのキャンペーンで導入すると、成果が不安定になる可能性があります。
【学習を支える初期データの準備】
AI Max の動作は、
学習に用いるデータの品質に影響を受けます。
そのため、
開始前に設定キーワードや広告文、ランディングページを見直し、
検索語句を確認して除外キーワードを登録しておくことが重要です。
■ 運用中のポイント
- レポート分析で調整
- 成果の良い要素の横展開
【レポート分析で調整】
設定したら終わりではなく、
定期的にレポートを活用し、配信状況や成果をチェックしましょう。
特に、
新しく発見された検索語句やAIが選択したランディングページの傾向を確認します。
意図しない配信があった場合には、
除外キーワードの追加やURL制限の調整などで対応しましょう。
【成果の良い要素の横展開】
AI Maxでパフォーマンスが良かった広告文のパターンや、
コンバージョン率が高いページの特徴を参考にし、
他のキャンペーンや手動作成の広告文に応用することでアカウント全体の改善に役立ちます。
■ 業界ごとの活用イメージ
- ECサイトでの活用
- BtoBサービスでの活用
- 地域ビジネスでの活用
【ECサイトでの活用】
商品数が多いEC サイトは、
AI Maxの最終ページURLの拡張機能により、
ユーザーの検索意図に沿った商品ページへ遷移させやすくなり、
購入導線の最適化に役立つことが期待できます。
【BtoBサービスでの活用】
複数のサービスを提供するBtoB企業では、
検索語句マッピング機能により、
見落としがちなニッチなキーワードからの集客機会を発見できます。
専門用語での検索にも柔軟に対応し、潜在顧客との接点を拡大します。
【地域ビジネスでの活用】
地理的な関心に基づくターゲティングにより、
サービス提供エリア外からの関心も捉えられます。
将来的な市場拡大や、旅行予定者・移住予定者などの潜在顧客にもアプローチできます。
7. まとめ
Google広告のAI Max for Search campaigns(AI Max)は、
検索キャンペーンの自動化や最適化を拡張するためにGoogleが提供する新機能です。
テキストのカスタマイズや最終ページ URLの拡張、関心対象地域などの新しい仕組みを通じて、
より柔軟な広告配信が可能になります。
導入にあたっては、
各業界や目的に応じた活用方法を検討し、
自社の広告運用に適した形で取り入れていくことがポイントです。
※本記事の参考:Google Ads & Commerece Blog, Google広告ヘルプ 検索キャンペーン向け AI 最大化設定の仕組み, Google広告ヘルプ 検索キャンペーン向け AI 最大化設定(ベータ版)について, Google広告ヘルプ Google 広告で AI 最大化設定をセットアップする
※本記事は公式情報をもとに作成していますが、一部当社の見解を含みます。また、記載内容は効果や成果を保証するものではありません。