広告を出稿する上で、費用対効果を高めることは重要です。
費用対効果が悪ければ、予算を無駄に消化して終わってしまい、逆に少ない予算であっても費用対効果を高めることで効率よく売上増加や利益拡大につなげることも可能になります。
広告における費用対効果は、CPAという指標にて計測することが可能です。
CPAが高ければ無駄なコストを掛けている可能性が高く、改善することでCPAを下げる必要があります。
とはいえ、CPAが高騰する要因を掴めなければ、適切な改善につなげることはできません。
そこで今回は、CPAを下げる方法をはじめ、基本的な概要から高騰する要因、改善のコツなどについてポイントを中心に紹介していきます。
CPAとは?
CPAとは、Cost Per AcquisitionもしくはCost Per Actionの略で、どちらも顧客獲得単価のことを表します。
広告費用に対して、自社で設定している購入や申し込みといったコンバージョン獲得に至った単価を意味し、CPAの数値が低ければ低いほど、効率的な広告運用につながったということができます。
CPAは、マーケティングやプロモーション施策全般に活用することができますが、中でもWeb広告の効果検証として活用されるケースが多くなります。
マス広告や看板広告、交通広告などでもCPAを活用することはできますが、これらの施策はコンバージョン獲得の経路や要因を特定しづらい傾向にあります。
一方で、Web広告であればコンバージョン経路や数を可視化することができるため、よりCPAをもとに検証することで、費用対効果を高めた運用につなげることが可能です。
CPAを下げるのが重要な理由
CPAは、広告の費用対効果を高める上で重要な指標となります。
一般的にどのような企業であれ、広告予算には限りがあります。同じ予算であればよりコンバージョン獲得につながった方がプロモーション施策として効果的です。
逆に、広告出稿したにもかかわらずコンバージョン獲得につながっていない場合には、手法や広告クリエイティブなどに問題がある可能性が考えられます。
このように、CPAをもとに広告運用を見直し・改善していくことで、CPAを出来るだけ下げていくことが成功へのカギとなります。
CPAの仕組みや計算方法
CPAは、広告費に対してコンバージョン獲得数から算出することができます。
具体的な計算方法については以下となります。
「CPA」=「広告費」÷「コンバージョン獲得数」
例えば、月間の広告費が100万円で、コンバージョン獲得数が50件の場合、CPAは2万円となります。
この数値は、自社の商材やサービスにおける販売価格に照らし合わせることで、売上増加や利益拡大も判別することができます。
仮に販売価格が1万円の場合、広告経由での利益は1万円となりますが、販売価格が3万円の場合にはCPAを下げないとコンバージョン獲得に至っても1万円の赤字となります。
なお、CPAは設定するコンバージョン値によって異なります。
企業によっては、売上をコンバージョン値にする場合もあれば、資料請求や問合せ、会員登録、アンケート回答などをコンバージョンとする場合もあります。
当然ながら売上よりは資料請求の方がコンバージョン獲得数も多くなります。
このような場合にはCPAにも影響を及ぼすため、事前にどの地点をコンバージョンとして設定し、CPAを算出するか社内で共有しておくことも重要です。
広告媒体別に見る平均的なCPA
CPAの値は業種業態やジャンル、ユーザー属性などによっても異なります。
また、先ほどふれたようにコンバージョン計測ポイントによっても基準は変わってきます。
ここでは、商品の購入やサービスの申し込みといった売上に繋がるポイントを、コンバージョンに設定した場合の平均CPAについて紹介していきます。
上記のCPAは実施する広告媒体やメニュー・手法などによっても異なります。
とはいえ、一般的にBtoB系サービスよりもBtoC向けの商材の方が平均CPAは低く、専門性が高い業種や単価の高い業界はCPAが高くなる傾向にあります。
あくまで目安となりますが、自社のCPAを検証していく上で参考にすると効果的です。
CPAが高騰する要因
CPAが高騰すると、広告費だけがかかり効果的にコンバージョン獲得につながっていない可能性が考えられます。
高騰した場合には以下の要因をふまえ確認していくと効果的です。
①ターゲットがズレている
広告クリエイティブやLPなどでいくら自社の強みや優位性を魅力的に訴求していたとしても、ターゲットとなるユーザーがズレていれば効果にはつながりません。
例えば、50代男性向けの商材を扱っているのに、20代女性が多く集まるSNSや女性向けのクリエイティブで訴求しても意味がありません。
広告媒体の選定やクリエイティブを見直すとともに、ターゲットユーザーを意識したアプローチを行うことが重要です。
②CVRが低い
CVRとは、Conversion Rateの略でコンバージョン獲得につながる率のことを表します。
このCVRは「コンバージョン獲得数」÷「セッション数(サイトへの訪問数)」×100(%)で算出できます。
通常、広告をクリックしたユーザーは指定のLPやページに遷移させるため、セッション数が多いということは、広告に興味があり、クリックしたユーザーが多いともいえます。
これに対してCVRが低いということは、広告との親和性が低く、ユーザーが求める情報を得られなかったことが考えられます。
LPや対象ページを見直し、コンバージョンにつながる導線設計を行うと効果的です。
③競合他社の影響
競合他社の参入が激しい業界は、CPAが高騰する可能性も高まります。
季節ものの商材や時期的要素が絡むサービスなどは、対象の期間に競合他社が一気に出稿してくることで、効果的に広告訴求できない場合も起こり得ます。
例えば、リスティング広告で上位表示出来ていたキーワードが、競合他社の参入によって表示できなくなれば、ユーザーの目にふれる機会も減り、コンバージョン獲得につながらなくなるケースもあります。
このような場合にはCPAの高騰にもつながるため、競合他社の状況も含め定期的に広告運用に関しても見直していく必要があります。
CPAを下げるためのコツ
闇雲に対策を講じてもCPAを下げることにはつながりません。
先ほどふれた要因をふまえ、自社の状況を確認するとともに適切な改善を行う必要があります。
①広告の入札単価の抑制
CPAの高騰を改善する上で、一番効率的な方法が広告の入札単価の上限を下げることです。
上限の入札単価の低下は、CPCの低下につながり、結果的にCPAを抑制することも期待できます。
とはいえ、上限の入札単価を下げることで、広告が表示されなくなる可能性も起こり得ます。
広告による露出が減れば集客力も下がり、コンバージョン獲得にも影響してきます。
そのため、一時的な改善であれば効果は期待できますが、中長期的な戦略において入札単価の変更は慎重に行うことが重要です。
②ターゲティング精度の向上
CPA高騰の要因でもふれたように、高騰にはターゲットのズレが影響している可能性が考えられます。
大幅なズレは無かったとしても、細かく効果検証する中で、効果につながっていないターゲット層も見えてくる場合があります。
例えば、リスティング広告であればキーワード、ディスプレイ広告であれば配信面において、効果につながっていないものもあります。
このようなキーワードや配信面をより精査し、精度を高めることでCPAを下げることも可能です。
ただ、ピンポイントの広告出稿は、精度は高くなる一方で訴求できる対象が少なくなる可能性もあります。
露出が減ることで認知拡大を図れず、コンバージョン獲得数が減少する可能性もあるため注意が必要です。
③LPや対象ページの見直し・改善
CPAを下げるためには、CVRを改善する必要があります。
このCVRの改善には、広告からの遷移先であるLPや対象ページの見直し・改善が求められます。
例えば、自社の優位性や特徴がLP内の下部に記載されていた場合、ユーザーがそこまでスクロールして辿りつけずに離脱してしまっている可能性が考えられます。
購入や申し込みするためのボタンも、目立たず分かりにくい位置にあれば機会損失につながっていることが想定されます。
ユーザーは、ページを上から順に閲覧しています。
そのため、重要な情報やコンバージョンにつなげるためのボタンは出来る限り上部に分かりやすく設置することが重要です。
また、近年ではユーザーの多くがスマートフォン経由でページを閲覧しています。
そのため、スマートフォンで見た際のページ構成やデザインなどにもこだわり、見直し・改善していくと効果的です。
④フォームの見直し・改善
一般的に、購入や申し込みといったコンバージョンに至るためには、何かしらのフォームにユーザー情報を記載する必要があります。
このフォームを見直すこともCPAを下げるためには重要になります。
例えば、入力項目が多いフォームであれば、途中で入力するのが面倒になり、離脱してしまうことも起こり得ます。
商品の発送や顧客情報の収集などの目的において、どうしても必須な項目は存在しますが、闇雲に必須項目を用意することで機会損失につながる可能性は高まります。
そのため、CPAを下げるためにもフォームを見直し・改善していくことは効果が期待できます。
まとめ
広告の費用対効果を高める上で、CPAは重要な指標となります。
CPAが下がれば、少ない広告予算であっても効率的にコンバージョン獲得にもつなげることが可能になります。
とはいえ、CPAが高騰する要因は多岐に渡るため、適切に改善につなげなければCPAを下げることは出来ません。
今回紹介した内容も参考に、CVRも意識するとともに効果的な広告・プロモーション施策につなげていきましょう。