FacebookやInstagram広告でコンバージョンAPI(CAPI)を設定した方がよいと聞いたけど、よくわからないと思っていませんか?
本記事ではコンバージョンAPIの概要と導入のメリット・デメリットをできるだけわかりやすく解説しています。
顧客獲得単価50%改善の成功事例も紹介しているので、最後まで読んでみてくださいね。
1.コンバージョンAPIとは?
GoogleのCookie規制ニュースを知っている方も多いでしょう。またアップル社のiOSのアップデートにともないトラッキングへの規制も厳しくなってきました。
この流れを受けFacebook 社が、FacebookやInstagram広告において、Cookieを使わない広告計測・最適化の手段として開発したのがコンバージョンAPIです。
すでに導入が始まっており、単なるCookieからの置き換えだけでなく、広告効果の改善の報告も上がっています。ここでは、コンバージョンAPIの必要性と仕組みを解説します。
参照: AppleのiOS 14リリースが広告やレポートに及ぼしうる影響 ― FACEBOOK for Business
1-1.コンバージョンAPIが生まれるまで
インターネット広告でのサードパーティのCookie利用に関して、プライバシー保護の観点から規制する動きが急速に広がっています。
Googleは2024年にサードパーティCookieを廃止すると明確に打ち出しました。
広告計測でサードパーティのCookieが使用できなくなると、年齢や興味関心を推測する外部のDMP(Data Management Platform)や、ブラウザの履歴を使用したオーディエンスターゲティングができなくなります。またリマーケティング広告や、ビュースルーコンバージョンなどの計測もできなくなり、計測できる総コンバージョン数が減り、計測不能となるユーザーが増えます。
結果、広告効果測定の精度が下がり、広告単価が上がるという可能性があります。
こういった流れを受けFacebook社は、脱Cookieに向けて独自の広告効果の測定方法としてコンバージョンAPIを開発し、サービスの提供を開始しています。さらに従来のCookieよりも計測精度が上がるとし、より広告効果を正確に計測できるようになったとのことです。
このことでCookieでは欠損していたデータが補完され、広告成果の改善が期待されています。
1-2.コンバージョンAPIの仕組み
これまではWebサイトに実装されていたFacebookピクセルのタグを、サードパーティのCookieを介して計測していました。
これがコンバージョンAPIでの計測方法では、広告主が持つサーバーからFacebook社の広告サーバーへ、直接イベントデータを送信することで、Facebook社の持つデータと付き合わせて計測するようになります。
最終的にはコンバージョンAPIで送信されたイベントと、Facebook社の広告サーバーに登録されているユーザー情報をマッチングさせて、計測データが処理される仕組みです。FacebookやInstagram上の広告経由でのコンバージョンかどうかは、Facebook広告のクリックIDなどが使用されます。
FacebookピクセルとコンバージョンAPIを併用する場合はピクセルから取得できます。
しかしコンバージョンAPIのみでイベントが送られる場合はFacebook広告のクリックIDや、Facebookピクセルで自動収集される情報がFacebook広告のサーバーに送信されるようにしておく必要があります。
画像参考:Instagramの脱Cookie対応は? ー MarkeZine
2.コンバージョンAPI導入のメリット
コンバージョンAPIの重要さを理解しましたか?
ここではコンバージョンAPI導入に関するメリットを3つ紹介します。
2-1. 脱Cookie計測
コンバージョンAPI導入の最大のメリットは、GoogleのCookie規制が怖くなくなるにつきるでしょう。
またデバイスでの規制も関係がなくなるため、他社の規制やアップデートに振り回されずに、安定した広告測定ができるようになります。
Cookieについて詳しく知りたい方は今さら聞けない【Cookieとトラッキングの仕組み】についてをご覧ください!
2-2.計測データの精度がアップ
これまではWeb上で計測されたデータのみが計測対象でした。コンバージョンAPIでは、広告主のサーバーからの情報が直接利用されるため、テレビなどの媒体での受注履歴との連携が可能になり、より精度の高い分析ができるようになります。
またブラウザではなく、サーバーから直接データを取得するため、ブラウザのクラッシュや接続問題の影響を受けにくくなるというメリットもあります。
2-3.APIでデータ連携が実行されるため反映が早くなる
サードパーティからのCookie情報を待たずに、ダイレクトに情報が送信され分析されるため、データの連携が早くなります。
特にインターネットマーケティングでは、PDCAサイクルを早目に回す必要がありますが、より早く正確なデータで改善を行えることはメリットの1つといえます。
3.コンバージョンAPI導入のデメリット
広告測定の精度が上がるなど良いことの多そうなコンバージョンAPIですが、いくつかのデメリットもあります。ここでは2つ紹介します。
3-1.導入にエンジニアが必要
コンバージョンAPI導入には、エンジニアによるサポートや設計が必要になります。もしくは別の広告測定ツールの導入などを検討する必要があります。
インターネット広告の出稿を続けるなら、今後何かしらの対応が必要になりますが、現段階で対応しない場合は、Cookieへの規制が厳しくなる中、計測できないコンバージョン数が増えることになります。
3-2.社内確認に時間がかかる
コンバージョンAPI導入には技術的な問題以外にも、社内の法務的調整も必要になります。コンバージョンAPIでは自社の顧客情報をFacebook社の広告サーバーに送信する必要があるため、法務部との確認が必須です。
また新しい仕組み導入に対しコストがかかる場合は、社内での確認と承認もあわせて必要になるでしょう。
4.成功事例
コンバージョンAPI導入はまだ始まったばかりで、エンジニアによるサポートなどテクニカル面の障壁もあり、二の足を踏む方も多いと思います。
ただし、その分先行者メリットが得られるチャンスともいえます。ここではいち早く導入し、成功した事例2社を紹介します。
4-1.HoneyBook:顧客獲得単価50%削減
画像参考:How HoneyBook used Conversions API to cut acquisition costs by 50% ー FACEBOOK for Business
HoneyBookは、中小企業が顧客とのコミュニケーションと支払いをワンストップでできるようにした、ビジネス管理プラットフォームです。
サンフランシスコを拠点とする同社のサービスはサブスクリプションベースで、7日間の無料試用期間を提供し、そこから有料顧客化を狙っています。
しかしながら、ほとんどのユーザーは有料サブスクリプションに移行しません。またコンバージョンしてくれるユーザーは、広告を表示してから1日以上、またはクリックしてから1週間以上かかる可能性もあります。
この時間的なギャップのために、AdsManagerでこれらの広告セットの最適化イベントを定義することは、これまでは大変困難なことでした。
このビジネス上の課題を克服するために、HoneyBookでは顧客のどの特定のセグメントが、どのように製品の有料化につながるか、解約率の大幅な低下になるか、全体的なライフタイムバリューの上昇を示しているか、など細かく調査をしました。
この結果HoneyBookは、無料試用アカウントを作成してから約1時間後に、クライアントの製品市場適合度(PMF)スコアを予測するための、初期指標となるデータポイントをいくつか見つけることに成功しました。
しかし新しいユーザーアカウントを、このようなカテゴリにセグメント化することは時間のかかる作業で、登録時に決定することは不可能です。また信号自体はオフラインでしか利用できなかったため、従来のFacebookピクセルを利用した計測では、実行可能なオプションではありませんでした。
これらの問題を解決するために、HoneyBookはコンバージョンAPIを早期に採用しました。コンバージョンAPIでは、オフラインのコンバージョンイベントを使用して、コンバージョン前に広告を表示またはクリックした顧客の数まで計測することが可能となりました。
結果はすぐに出て、わずか数日で広告配信が大幅に改善され、ボリュームと効率の両方が向上しました。同社チーフマーケティングオフィサー・ダン・ビスニック氏より
HoneyBookは最終的には新規の有料顧客を獲得するコストを、50%削減することができています。
画像参考:How HoneyBook used Conversions API to cut acquisition costs by 50% ー FACEBOOK for Business
4-2.Love Your Melon:17%の収益増加
画像参考:Love Your Melon ― FACEBOOK for Business
米国のアパレルブランドLove Your Melonは、2012年に設立され、米国内の癌で戦うすべての子供達に帽子を贈ることを使命にしています。
Love Your Melonは2020年10月1日から2週間のキャンペーンで、Facebookコンバージョンリフト調査を使用して、コンバージョンAPIを統合した後のFacebook広告の影響を調査しました。
これまでは購入イベントデータをFacebookに渡すために、ブラウザーのピクセルのみ使用していました。 Love Your Melonは、コンバージョンAPIを追加することで、ブラウザをバイパスし、コンバージョン情報をサーバーからFacebookのサーバーに直接渡すことで、キャンペーンのパフォーマンスを向上させることができるかどうかを確認したかったとしています。
その結果、これまでのFacebookピクセルの場合と比べて、FacebookのコンバージョンAPI統合後は、統合する1月前と比べて、$230,000、17%の収益の増加を実現することに成功しました。
画像参考:Love Your Melon ― FACEBOOK for Business
5.まとめ
いかがでしたか?
コンバージョンAPIに関して、概要から、メリットからデメリットまで紹介しました。特に測定データの正確さが重要なインターネット広告では、紹介した成功事例のようにコンバージョンAPIの導入だけで、収益が改善する例が出てきています。
また、サブスクリプション型のサービスを展開しているような場合は、同じく紹介した成功事例のように、今まで使えなかったオフラインでのデータが使えることから、大きなチャンスともいえます。
数年内にはCookieに依存しない広告効果計測は必須になるでしょう。特にFacebookおよびInstagram広告では、今からのコンバージョンAPIの導入がおすすめです。
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