近年商品やサービスの訴求で有効活用される機会が多くなった「動画広告」ですが、なかには以下のように疑問を抱いている人もいるのではないでしょうか。
・動画広告の現状は実際どのようになっているのか
・動画広告によってもたらされる効果とは
・動画広告を利用できる媒体はどのようなものがあるのか
この記事では、上記のような内容を解説するとともに動画広告を利用する際のポイントについても紹介します。
最後まで読めば、動画広告を選ぶべき理由や実際に出稿する際の注意点についてが理解できるようになります。
1.動画広告市場の現状
まずは動画広告市場がどのようになっているのかについて解説します。
現在の動画広告の利用率と、なぜ多くの企業に利用されているのかについて見ていきましょう。
1−1.動画広告の利用率
動画広告の利用率は年々上昇傾向にあります。
サイバーエージェントが行なった調査では、2021年の動画広告の市場は約4205億円となっています。
また、同調査では2020年と2025年で動画広告市場が2倍近く伸びるともいわれています。
電通が発表しているデータでも、インターネット広告市場全体のなかで動画広告市場が顕著に伸びていることが分かるでしょう。
参考:サイバーエージェント、2021年国内動画広告の市場調査を発表|Cyber Agent
1−2.動画広告が利用される理由
動画広告が利用されるようになったのは、スマートフォンの普及・通信環境の発展や動画広告メニューの増加による影響が大きいです。
自由に動画を視聴できる環境が整ったことで、ユーザーはYouTubeやTikTokなどのサービスを気兼ねなく利用できるようになりました。
社会の大きな変化として、2020年ごろから日本で流行したコロナウイルスによって人々の外出頻度が減ったことも、動画コンテンツが受け入れられる要因だと考えられます。
企業にとっては、豊富な情報量によって、自社の商品やサービスの魅力を余すことなく伝えられる動画広告を利用するメリットが大きいといえるでしょう。
世の中に動画コンテンツが広く浸透したことで、これからも多くの企業に動画広告が利用されることが期待できます。
2.動画広告の効果
動画広告の効果として挙げられるのは以下の2つです。
・多くの情報を提供できる
・コンバージョンに直結する
動画広告を利用する側にとってどんな利点があるのか解説します。
2−1.多くの情報を提供できる
動画だとテキストや画像に比べて情報量が多く、5,000倍の情報を与えることができるといわれています。
Webページと比較しても3,600ページ分の情報量があるといわれており、効率的に訴求ができることが分かるでしょう。
また、動画広告は「メラビアンの法則」の観点から見ても優れているといえます。
メラビアンの法則は、人が情報を受け取る際に、以下の3つをそれぞれ頼りに判断しているという法則です。
・視覚からの情報:55%
・聴覚からの情報:38%
・言語からの情報:7%
テキストのみの広告の場合は言語情報しか受け取ることができず、画像を用いた場合は視覚からの伝達はできても聴覚に訴えかけることはできません。
動画広告は、情報を聴覚情報や視覚情報まで網羅できることが特徴といえます。
2−2.コンバージョンに直結できる
動画広告は認知拡大のために利用されることがこれまで多かったですが、需要の高さゆえに各媒体で獲得向けのメニューも提供されています。
コンバージョンに直結できる可能性が高いので、認知だけでなく、商品の購入や資料請求などを配信の目標にしても効果が期待できるでしょう。
認知拡大においても引き続き効果が期待できるため、両軸で展開することがおすすめです。
3.動画広告の種類
動画広告の種類は以下の4つです。
・インバナー広告
・インリード広告
・インストリーム広告
・アウトストリーム広告
それぞれ下記で解説していきます。
3−1.インバナー広告
バナーの広告枠に配信できる動画広告で、Yahoo!のトップページなど動画メディア以外にも配信できます。
動画配信サービス以外にも配信ができるため、普段から動画コンテンツを視聴しないユーザーにも動画広告を閲覧してもらえる点がメリットです。
自社サイトへアクセスした相手にターゲティングして動画配信が可能なので、クリックしてもらえる確率が高いことも特徴だといえるでしょう。
3−2.インリード広告
インリード広告は、記事やフィードに挟まれた動画広告で、ページがスクロールされて表示されることで動画が流れます。
広告が流れる際は音が突然出ることがないため、コンテンツの邪魔をすることはありません。
インバナー広告を配信するときは、動画に物語性を持たせることでより視聴してもらえる確率が上がるでしょう。
3−3.インストリーム広告
インストリーム広告は、動画コンテンツと同様の形式で配信される動画広告で、YouTubeやFacebookで利用できます。
動画コンテンツと同じように画面をフル活用して配信可能なので、ユーザーに強い印象を与えることが可能です。
また、音声がオンの状態で流れるので、興味関心を持ってもらえる確率も高いといえるでしょう。
インストリーム広告のなかにはスキップができる広告も存在するので、最初の数秒で相手を惹きつける工夫が必要です。
4.動画広告の課金形態
動画広告で利用される課金形態には、以下3つが存在します。
・CPC課金(クリック課金)
・CPM課金(インプレッション課金)
・CPV課金(視聴課金)
課金形態についても認識しておくと、動画広告を利用する際に疑問点が少なくなります。
それぞれの用語について詳しく見ていきましょう。
4−1.CPC課金(クリック課金)
CPCは動画広告がクリックされるたびに料金が発生する形式でCost Per Clickを略した言葉です。
CPC課金では、クリック数が最大になるように配信されます。
広告がクリックされないと費用が発生しないため、費用対効果が明確な点がメリットだといえます。
4−2.CPM課金(インプレッション課金)
CPMはCost Per Milleを略した用語で、動画広告が1,000回視聴されると料金が発生する形式です。
インプレッションが最大になるように広告配信が行われるため、認知度を高める際に活用されます。
ただし、表示回数によって課金額が決定するため、CPCよりも費用対効果がわかりづらい特徴があります。
4−3.CPV課金(視聴課金)
CPVはCost Per Viewの略称で、動画広告が視聴されるたびに課金される形式です。
動画広告は視聴されることがメインであるため、CPVが導入されることが多くなります。
YouTubeの「TrueView動画広告」のように、広告がスキップされると課金が発生しない場合もあるので、動画広告による無駄な料金が発生しにくいです。
5.動画広告を利用できる媒体一覧
動画広告を利用できる媒体としては以下の7つが挙げられます。
・YouTube
・Instagram
・Twitter
・LINE
・TikTok
・GDN
・YDN
どの媒体が自社にとって適切なのか理解するには、各媒体の特徴について把握することが大切です。
7つの媒体について順番に解説します。
5−1.YouTube
YouTubeは、2020年の段階で利用者数が6,500万人以上おり、近年でも需要が高まっている動画視聴サービスです。
幅広い世代に利用されているうえ、動画目的で利用するユーザーがほとんどであるため、広告を視聴してもらえる確率は高いです。
ただし、YouTubeでは過剰な演出を施した広告によって、動画広告をすぐにスキップする人も一定数いるため、自然な訴求をすることが重要になります。
YouTubeでは、以下のような広告を配信可能です。
・アウトストリーム広告
・マストヘッド広告
・バンパー広告
・True Viewディスカバリー広告
・True Viewインストリーム広告
参考:月間 6,500 万ユーザーを超えた YouTube、2020 年の国内利用実態──テレビでの利用も 2 倍に|Google
5−2.Instagram
Instagramは画像メインのSNSで、国内におけるユーザー数は2019年3月の段階で3300万人以上います。
ユーザー層としては女性の方が多く、若年層がメインです。
Instagramを利用しているユーザーは写真や画像を視聴することを目的としています。
ショート動画を視聴できるReels(リールズ)と呼ばれるサービスも導入されているため、動画広告に対して抵抗感がある人は少ないでしょう。
Instagramでは以下の動画広告メニューが用意されています。
・Instagramストーリーズ広告
・Instagramフィード広告
参考:Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破|Meta
5−3.Twitter
Twitterはテキストによるユーザー同士のやりとりが盛んなSNSです。
日本国内では世界と比べても利用者が多く、4,500万人以上のユーザーがいるので、多くの人々に情報を届けることができます。
Twitterで動画広告を利用するメリットは「拡散力の高さ」です。
コンテンツとして面白いと思ってもらえれば、リツイートやいいね!によりさらなる拡散が期待できます。
配信面としては下記になります。
・プロモビデオ広告
・プロモライブビデオ広告
・ビデオアプリカード広告
・ビデオカンバーセーショナル広告
・スポンサーシップビデオ広告
5−4.LINE
LINEは国内において生活インフラとして活用されているSNSであり、国内での利用者は9,000万人以上います。
利用者層も幅広く、10〜60代まで多くのユーザーにアプローチ可能です。
他のSNSを使わず、LINEだけを利用しているユーザーが39.6%を占めるというデータもあるため、これまで訴求し切れなかったユーザーにも広告配信ができるでしょう。
LINEでは、以下の場所に動画広告を配信できます。
・Smart Channel
・タイムライン
・ウォレット
・LINEマンガ
・LINEクーポン
・LINEショッピング
・LINEポイント
・LINEチラシ
・LINE BLOG
・LINE NEWS
5−5.TikTok
TikTokは、動画投稿サービスとして近年特に著しい成長を見せているSNSです。
国内では2019年時点のユーザー数が950万人でしたが、現在は増加していることが考えられます。
利用者の層としては若年層が多いため、Z世代に向けたマーケティングにおいて効果を発揮しやすいでしょう。
TikTokで配信できる動画広告は以下が挙げられます。
・起動画面広告
・インフィード広告
・ハッシュタグチャレンジ広告
参考:TikTokが広告配信プラットフォームをリニューアル!日本法人副社長に聞く、広告主企業の活用価値| MarkeZine(マーケジン)
5−6.GDN
GDNでは、Googleと提携している200万以上のサイトやアプリに広告を配信できます。
インターネットユーザーの90%近くに対してアプローチできることが大きなメリットで、潜在層の発掘に役立つでしょう。
また、Googleが保持しているデータを活用したターゲティング設定が可能なので、高い精度の広告配信が期待できます。
5−7.YDN
Yahoo!が提供しているサービスで、Yahoo!関連のページや提携サイトに配信できる広告をYDNと呼びます。
Googleと比較しても、Yahoo!は国内においてのユーザー数がまだまだ多く、年間で8,000万人がログインしているといわれています。
Yahoo!ニュースや多くのユーザーが訪れるYahoo! Japanのトップページにも動画広告を配信可能です。
Yahoo!とGoogleは利用者層が異なるため、合わせて利用することで高い成果が期待できます。
6.動画広告利用時のポイント
動画広告を利用する際のポイントは以下の3つです。
・ペルソナ設定
・目的の策定
・クリエイティブの展開
それぞれのポイントを認識して高い成果を発揮できるようにしましょう。
3つの事柄について詳しく解説します。
6−1.ペルソナ設定
動画広告や他の広告手法に関わらず、配信する前にターゲットがどんな人物なのか決めておくことが大切です。
配信するターゲットが住んでいる場所や仕事内容など、細かい部分まで予想を立ててください。
どこの誰で、どんな悩みを抱えているのかが明確になっていれば、クリエイティブの作成もスムーズに進行するでしょう。
6−2.目的の策定
広告配信の最終的な目的は認知拡大やコンバージョン獲得などさまざまあります。
目的があやふやだと、動画広告の配信過程で迷いが生じるので注意が必要です。
適切な媒体や広告メニューを選択して配信ができるようにゴールの策定を行いましょう。
6−3.クリエイティブの展開
動画広告のなかには音声が流れないものもあるため、音量がオフでも人を惹きつける展開が必要です。
また、近年ではインターネット広告の利用が盛んになったことで動画広告疲れを感じている人もいます。
すぐにスキップする人もいるので、クリエイティブの展開には細心の注意を払いましょう。
有名人の起用や冒頭でのインパクトだけでなく、ストーリー性を持たせてつい続きが見たくなる工夫をすると成果を発揮しやすくなります。
7.まとめ
いかがでしたか?
動画広告は近年注目を集めているタイプの広告であり、多くの企業に活用されています。
利用率が高まっている理由としては、動画コンテンツの流行や高性能デバイス・通信環境の普及が挙げられます。
なかには認知拡大を目的とした利用でないと真価を発揮しないと考えている人もいますが、最近ではコンバージョン獲得に特化したメニューも登場しているため、高い成果を期待できるでしょう。
動画広告を配信する際は、各広告タイプや媒体への理解が大切です。
また、より効果のある動画広告を出稿するにはクリエイティブへの知識も必要になります。
弊社では動画の作成も一貫して請け負っているので、興味がある方は気軽にお問い合わせください。
なお、動画広告については以下の弊社YouTubeチャンネルでも詳しく解説していますので、是非参考にしてみてください!