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Yahoo版“Hagakure”?YSS・YDNの【CORE】とは?

更新日:2023年05月26日

Yahoo版“Hagakure”?YSS・YDNの【CORE】とは?

※この記事は2023年5月26日に更新されたものです。内容が古い可能性があります。

今回はYahooプロモーション広告のアカウント構成のお話です。

リスティング広告のアカウント運用に関わる人であれば、Googleが推奨しているアカウント構成の「Hagakure」は聞いたことがあるかもしれません。

Hagakureを一言で表すと、「キャンペーンや広告グループなどの構成をシンプルにする」ための運用施策をまとめたものです。

これによりインプレッションの損失をなくす、広告文の検証をしやすくするなど、健全なアカウント運用を行うことが出来ます。

Yahooでも同様にシンプルなアカウント構成が推奨されていましたが、これまで「Hagakure」に当たるような運用指針の名称はありませんでした。

しかしYahooでも2018年頃から「CORE」という運用ガイドラインを広告代理店中心に広め、更に高度な運用の標準化を行おうとしています。

この“Yahoo版Hagakure”とも言える「CORE」について、解説していきます。

1.COREの概要

まずはCREの概要について解説していきます。

1-1.COREの目的

“CORE”を策定した目的について、Yahooの代理店サポートチームによると以下のように定義されています。

ヤフーの広告アルゴリズムにのっとった運用のものさしを作り、
定量データを元にアカウント運用・提案の高度標準化をすることで
企業とユーザーのマッチングを最大化させる

「アカウントをシンプル」にすることで広告効果を最大化させる、と言った大まかな方針はYahooもGoogleでも相違ないはずです。

YahooとGoogleでは広告表示のアルゴリズムが異なるため、独自の指標「CORE」を設ける必要があったと考えます。

1-2.「最適化」で機会損失が発生?

リスティング広告の運用において、「アカウントの最適化」という言葉をよく聞きます。
おそらくCPAを低減する意味で使われることの多い、一見耳触りの良いフレーズです。
弊社でもしばしば使うことがあります。しかし、過度な最適化には落とし穴があることに注意しましょう。

CPAを下げるための施策として、本来のターゲット母数のうち、特に見込みの高いユーザー群に対して絞り込んで広告を配信することが多々あります。
Ex. ディスプレイ広告をリターゲティングのみ配信、検索広告でブランドワードのみ配信など

この効率化は時に、本来獲得できるCV総数の大半を無視した広告運用となってしまうことがあります。

ターゲット_最適化_機会損失

現状のCPAが低いと、数字を見ていて気持ちが良いかもしれません。ですが、事業拡大のためにはその他のオーディエンスへのプロモーション拡大が不可欠です。
今まで配信していた「超・顕在層」以外に商材の魅力を伝えられるかどうかが、WEBマーケティングの腕の見せ所と言えるでしょう。

1-3.最適化↔最大化のサイクル

とは言え、1,000円の商品を購入してもらうのに広告費が100,000円もかかっていたら大赤字なわけで、コスト効率の改善は重要です。
Yahooは、広告運用において「最適化施策」と「最大化施策」をとサイクル的に実施し続ける必要があるとしています。

新たなキーワードや、オーディエンスをターゲットとしてキャンペーンを開始した場合、既存のキャンペーンと比べてCPAが高騰することは十分あり得ます。
しかしそこでアカウント全体のCPA抑制のためにそのキャンペーンの予算を減らしたり停止すると、コンバージョン数は頭打ちになってしまいます。
「最大化施策」の後はキャンペーン内での「最適化施策」を行い、コンバージョン数の積み上げを行いましょう。

1-4.COREで可視化できること

Yahoo_CORE

何事も大事なのは基礎であり、リスティング広告の場合、それはアカウント構造にあたります。
安定していない土台の上に立派な建物を建設したとしても、砂上の楼閣で長くは続きません。
自動入札を導入し、質の高い広告文で配信しても、自動化が上手く働かないようなアカウント構成では広告効果は実感しにくいと思われます。

2.COREに基づくアカウント構成について

”CORE”に基づいたアカウント構成にするためには、以下の要素が重要です。

2-1.アカウント構造のポイント

ターゲティング、入札、クリエイティブをより効果的に行うための土台となるアカウント構造で、重要なのは「コンフリクトの回避」です。

コンフリクトとは…

競合、衝突、対立、葛藤、緊張などの意味を持つ英単語。ITの分野では、複数の同種の何かが同じ資源を同時に利用しようとして競合状態になってしまうことを意味する場合が多い。

参考:IT用語辞典 e-Words

広告においては、1つのクエリ(資源)に対してアカウント内で複数の登録キーワードや広告が反応してしまい、集約されるべきデータが分散してしまう状態を指します。

これにより、自動入札の機械学習が滞ったり、完全一致のインプレッションシェアが下がったりするなど、広告品質の低下の原因となるのです。
広告の品質が低下すると、不要にクリック単価が高騰し、CPAにも悪影響を及ぼします。
そこで、品質低下を防ぐ具体的な方法は以下の2つです。

・同じキーワード軸を持つ広告グループは1つにまとめる
・同じ広告と最終リンク先URLは1広告グループにまとめる

2-2.重複キーワードの集約

まずはキーワードのコンフリクトをなくしましょう。
「キーワードのコンフリクトが無い」状態とは、以下の2点を指します。

・異なる広告グループ同士でキーワードが重複していない状態
・同一広告グループ内においてキーワード×マッチタイプの組み合わせが重複していない状態

また運用上、同じキーワードで異なるマッチタイプの登録が避けられないことがあります。
Yahooはこれをコンフリクトとまでは見なしていませんが、この割合はなるべく低くし、完全一致キーワードの登録を増やすことを推奨しています。

改善の指標として、ExcelのCOUNTIF関数などを用いて「ユニークキーワード率」を算出し、前後比較ができると良いでしょう。

2-3.重複した広告文の集約

別の広告グループで同一の広告が登録されている場合は、広告文を変更するか、グループをまとめましょう。
本来、キーワードのカテゴリが異なるから広告グループを分割しているはずです。だから訴えるべきメッセージも異なるはずだ、という考えに基づくルールです。

キーワードと同様に、「ユニーク広告率」を改善指標とすると良いです。

これらの2つを改善し「最適化」すれば、「CORE」にのっとったアカウント構成に近づきます。

2-4.自動入札を導入する意味

近年、自動入札が推奨される背景について、筆者はこう考えています。「手動入札は目に見える数値をコントロールすることは出来るが、見えない機会を予測することは出来ない」、です。

よっぽど競合が参入してこないニッチな商材でない限り、顕在層向けのキーワードの検索結果は広告やアフィリエイト記事で溢れています。
煩雑な情報の中から比較・検討が絶えず行われ、その中から選ばれてコンバージョンに至る事の難易度は年々上がっているのが実情です。

インターネット広告市場は国内外でうなぎのぼり状態ですが、その分ライバル企業が広告出稿を強化している状態とも言えます。

商材の検討層が検索するビッグワード(=広告主が想像しやすいキーワード)だけを追っていると、クリック単価の高騰に疲弊してしまうのが想像に難くありません。

こういった経緯から、「CV実績のあるキーワードに注力する」だけでなく「実績を作るために表示クエリを拡張する」事も得意な自動入札機能が重宝されるようになったのです。

2-5.ユニークキーワードとユニーククエリ

先ほど、ユニークキーワード率を高める(=別広告グループで同じキーワードを登録しない)事が必要というお話をしましたが、自動入札の学習効率を高めるためには「ユニーククエリ」を意識したキーワード構成が重要です。

「ユニーククエリ」の定義とは…
1検索クエリが1広告グループのみで反応している状態

例えば、下の図の状態であるとユニークキーワード率は100%で良好ではありますが、1クエリに対して4つの広告グループが反応しているため、ユニーククエリ率は0%となってしまいます。

Yahoo_CORE_クエリ_重複

部分一致キーワードを停止するのは「最大化」と相反するため、対策としては以下の2点が推奨されます。

・ユニーククエリ率を損なう可能性のある広告グループ同士をまとめる
・完全一致キーワードの登録率を上げる

ユニーククエリ率が向上すれば、自動入札の学習効率が早まり、コンバージョンの最大化に繋がります。

2-6.その他拡張機能で自動入札をバックアップ

自動入札を導入したキャンペーンのパフォーマンスをさらに良くするために、以下の機能を設定しましょう。

・リターゲティングリストの登録、入札調整
Googleで言う「RLSA」。シグナルを増やし、入札の強弱をつけるため
・広告表示オプション
上位表示された際のクリック数最大化のため
・デバイスの入札調整
自動入札[CV数の最大化]はデバイス調整が自動で機能しない(2018年7月現在)ため

3.CORE構成導入後のメンテナンス

CORE構成を導入した後に、アカウントでチェックすべき事項をご説明します。

3-1.構成変更後の指標の変化を理解する

アカウント構成を変えて、自動入札を導入して…CPAが変わらない!むしろ高くなった!という可能性ももちろん考えられます。
しかし、ここまで来て構成を元に戻したりすることほど勿体ないことはありません。

CPAだけで判断せず、その原因を突き止め、打つ手を探しましょう。
自動入札のキャンペーンに限らずですが、以下のようなロジックツリーが役に立ちます。

リスティング広告_ロジックツリー

3-2.傾向と原因別の対策

CPAが高騰する原因が判明すれば、それに応じた打ち手を実施しましょう。
参考までに、一例をご紹介します。

【検索クエリ】
・完全一致キーワードの追加
・部分一致キーワードの追加
・部分一致キーワードの停止(クリック数縮小、ユニーク広告率減少の恐れあり)
・マッチタイプの見直し
・対象外キーワードの設定

【入札】
・コンバージョン単価の目標値を変更
・「コンバージョン数の最大化」に変更
・上限/下限CPCの設定

4.最後に

広告配信の自動化がトレンドと言われていますが、自動入札が効果を発揮するには、そのポテンシャルを引き出せるアカウント構築が必要です。

また弊社としては、キーワードや広告グループごとの傾向などを理解するために配信開始当初は手動で入札し、キャンペーンごとに徐々に自動化していくのがリスクの少ない方法だと考えます。

今回Yahooが提唱する「CORE」について解説しました。Yahooスポンサードサーチの運用を振り返る機会となったら嬉しいです。
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この記事を書いた人

超シンプルに一目惚れで入社。入社2ヶ月で編集長に就任し、Infinity-Agent Labを軌道に乗せました♪(←自慢です。笑)編集長の経験から、各媒体の最新情報のキャッチアップの早さには自信があります。生粋のEXILEオタクです!

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