Web広告は、ターゲティング性の高さをはじめ、数値やデータによる分析が可能なことから効果につなげやすく、多くの企業がマーケティングやプロモーション施策として活用しています。
今回は、Web広告の予算配分を行う重要性から効果的な配分方法、注意点などについてポイントを中心に紹介していきます。
Web広告の予算配分とは?
Web広告の予算配分とは、自社で出稿するWeb広告の予算をどのように分配し運用していくのかを指します。
Web広告には様々な出稿先の媒体があり、各媒体によって訴求できるメニューも異なりますが、広告予算自体が少ない場合、Web広告に掛けられる予算は限られています。
費用対効果を高めた運用につなげるためには、いかに予算配分を戦略立てて行うことができるかが重要になります。
まずは、Web広告の課金体系について押さえておくと効果的です。Web広告の課金体系は、主に以下の2つに分類できます。
①運用型広告
運用型広告とは、自社内で広告出稿に関する予算や入札額、広告文などのクリエイティブを適宜調整しながら運用する広告手法のことを指します。
ユーザー属性や期間などのターゲティングや配信手法を自由にコントロールできるため、予算配分も行いやすい特徴があります。
リスティング広告やリターゲティング、SNS広告などに多く活用されており、課金形態としてはクリック課金やインプレッション課金、エンゲージメント課金などが挙げられます。
また、アフィリエイト広告のようなコンバージョン課金型も運用型広告に含まれます。
②非運用型広告
これに対して非運用型広告とは、運用型とは反対に媒体側へ一定期間固定で表示させる広告手法のことを指します。
運用型広告のように広告配信をコントロールすることはできませんが、安定して表示させることができるため、広くリーチを獲得する際には効果が期待できます。
この非運用型広告には純広告としてバナーなどで訴求する他に、媒体側とタイアップした企画なども対象となります。
課金形態としては期間保証型やインプレッション保証型などが挙げられ、あらかじめ広告の表示回数が保証されることから、効果を逆算しながら予算立てしやすい特徴もあります。
Web広告の予算を配分することの重要性
ユーザー行動の多様化をはじめ、ブームやトレンドといった流行の短期化が進む昨今においては、自社の目的にとって効果的な媒体や広告メニューを適切に見極めることは重要になります。
そのため、Web広告の予算配分に関しては、テストマーケティングやPDCAサイクルを回しながら戦略立てていく必要があります。
また、自社の商材やサービスが季節性を伴う場合、期間に応じて予算配分も調整していくことが重要です。
例えば、閑散期にも通常通り広告出稿を行っていた場合、繁忙期に訴求できる広告予算が不足し、適切なアプローチが出来なくなる可能性も生じます。
これは、キャンペーンや割引など特典を設けたマーケティングやプロモーション施策を行う場合も同様です。
そのため、年間を通してマーケティング施策を構築しながら、Web広告の予算を配分していくことが重要です。
Web広告の予算配分方法
次に、Web広告の代表的な予算配分方法について紹介していきます。
①売上目標から算出
自社の売上目標が決まっていれば、Web広告の予算はそこから逆算して算出することが可能です。
例えば、売上目標が500万円で且つWeb広告にかけられる割合が5%の場合、Web広告の予算は25万円となります。
この際にWeb広告にかけられる割合は、任意で設定することができますが、あまり高すぎると利益を出すことができなくなります。
そのため、原価や販売コストなどもあわせ試算すると効果的です。
②損益分岐点から算出
損益分岐点とは、黒字と赤字の分岐点を表す指標となります。
例えば、1万円の商品があった場合、原価や販売コストが4,000円とするならば、損益分岐点は6,000円となります。
これを基準にすると、Web広告にかけられる予算は6,000円以下と算出することが可能です。
とはいえ、6,000円ちょうどの場合には赤字にも黒字にもならないため、利益を出すためにはいかに安く効率的にWeb広告を運用できるかが重要になります。
③CPAから逆算して算出
CPA(Cost Per Action)とは、顧客獲得単価のことを意味し、Web広告ではコンバージョン獲得単価のことを指します。
Web広告を出稿する際には、あらかじめ購入や申し込みといったコンバージョンを設定していきます。
例えば、100万円をかけてWeb広告を出稿し、コンバージョンが500件あった場合には、100万円÷500件でCPAは2,000円となります。
これを指標とすると、CPA2,000円で500件のコンバージョンを獲得しようとした場合、広告予算は100万円と逆算して算出することも可能になります。
④クリック単価から逆算して算出
運用型広告の場合、クリック課金型でWeb広告を出稿するケースが多いため、クリック単価から逆算して予算配分することも可能です。
例えば、クリック単価が100円の場合、100万円の予算であれば100万円÷100円で1万件のクリック数を獲得することが期待できます。
これは、逆算するとクリック単価100円で1万件のクリック数を目標とした場合、予算は100万円必要と試算することもできます。
クリックからのコンバージョン率などが過去の実績や傾向から想定できるのであれば、クリック単価から逆算して予算配分していくことも効果的です。
⑤テストマーケティングによって算出
先ほどふれたCPAやクリック単価による予算配分は、ある程度の実績や傾向が必要になるため、これからはじめてWeb広告を出稿する場合には難しい場合も存在します。
そのような場合には、一度テストマーケティングを実施し、その上で数値やデータをもとに予算配分を決定することも効果的です。
この場合には、あえてWeb広告を出稿する上で制限はかけすぎず、出稿する日数などに応じて均等に実施することも重要です。
主観や経験は参考にはなりますが、ユーザー行動が多様化する昨今においてはフラットな状態で数値やデータをもとに検証することも有効です。
Web広告の予算配分を行う上での注意点
Web広告の予算配分は、先ほどもふれたように多岐に渡るため、自社に合った算出方法を見つけ出す必要があります。
その上で、検討する際には以下の点を考慮しておくと効果的です。
①予算配分にあまり時間をかけ過ぎない
Web広告の予算配分は、効果を最大化させていく上で欠かせません。
社内で予算を調整するためには、数値やデータなど客観的な指標なども必要となり、時間がかかる傾向にありますが、市場傾向や競合他社の動向は常に動いているため、最適なタイミングを逃さず思い切ってアプローチしていくことも重要です。
②定期的に予算配分は見直す
一度決定した予算配分は、必ずしもその後も引き続いて同じでいいとは限りません。
重要性でもふれたように、ユーザー行動の多様化をはじめ、ブームやトレンドといった流行は短期化が進んでいます。このような中で、一度リスティング広告で上手くいったからといって次も成功するとは限りません。
競合他社の状況によっては、次に実施するWeb広告はSNS広告の方をより厚くした方が良い場合も存在します。
このように、市場傾向や競合他社の出稿状況、ユーザー行動などを想定しながら、Web広告の予算配分は調整していくことが重要です。
Web広告の予算配分を行う上で意識すべきポイント
最後に、Web広告の予算配分を行う上で意識すべきポイントについても紹介していきます。以下の要素を意識しながら戦略的に実行していくことが重要です。
①目的やターゲットをふまえた戦略立て
Web広告の予算配分を行う上では、目的やターゲットをあらかじめ明確化し、戦略立てて設定していくことが重要です。
比較的顕在層に向けたリスティング広告は効果につながりやすい傾向があるため、リスティング広告に予算を注力するケースは少なくありません。
とはいえ、認知が無ければ顕在層を増やすことにはつながりません。
そのため、リスティング広告だけでなく認知度向上を図る広告も同時に検討していく必要があります。
②カスタマージャーニーマップを意識する
カスタマージャーニーマップ(Customer Journey Map:CJM)とは、認知から顧客化・ファン化までの一連のユーザー行動を体系的に取りまとめる手法のことを指します。
このCJMによってユーザーの行動を可視化することができ、各マーケティングやプロモーション施策を適切に運用していくことが可能になります。
Web広告の予算配分を戦略立てていく際には、自社におけるCJMを設計するとともにユーザー行動の各ポイントに応じたWeb広告施策を設定していくと効果的です。
③PDCAサイクルの実施
最後に、PDCAサイクルをしっかり回していくことも重要です。
注意点でもふれたように、Web広告の予算配分は、出稿するタイミングによって常に見直す必要があります。
一度効果が出たからといって、同じ施策に固執するのではなく、数値やデータをもとに客観的な視点で見直しを行いながら、柔軟に対応していくと効果的です。
まとめ
Web広告の費用対効果を高めるためには、最適な予算配分を常に考えていく必要があります。
今回紹介した内容も参考に、自社にとって効果的なWeb広告の予算配分を見つけ出し、検証や改善を繰り返しながらWeb広告の効果を最大化させていきましょう。