近年たびたび耳にするようになったWeb3ですが、具体的な意味や利点などについて理解できている人は数少ないのではないでしょうか。
スマートフォンやSNSが当たり前になったように、今後はWeb3が世の中で浸透する可能性が高いです。
本記事では、Web3の意味やメリット、注意点について解説していきます。
最後まで読めばWeb3の重要性を把握し、今後どのように活用していけばいいのか確認できるでしょう。
Web3(Web3.0)とは?
Web3の内容について理解できるように、概要について解説していきます。
・Web3の意味
・Web3が話題になっている理由
・Web3が用いられる業界
上記3つについて確認していきましょう。
Web3の意味
Web3は 分散型インターネット とも呼ばれており、次世代型のインターネットの概念を表した言葉です。
ブロックチェーン技術によって個人間でのデータや金銭的なつながりができるようになっています。
ブロックチェーン技術は近年話題の仮想通貨でも活用されており、取引を暗号化して自分たちで管理することが可能です。
Web3が話題になっている理由とは?
Web3が話題になっているのは、仮想通貨の流行や個人情報の保護への関心が高まっていることが主な要因です。
国や特定の企業が情報を統制する流れに対して疑問が深まっており、解決策としてWeb3が注目を集めています。
また、個人間でのやり取りの実現によって「サービスの利用を平等にする」という観点においても、今後Web3はより重要な概念になるでしょう。
Web3が用いられる業界
前述したように、Web3はブロックチェーン技術を利用して、データの改ざんを防ぐことが可能です。
したがって、ゲームやミュージックなど、これまでコピーが可能で価値が保てなかった分野に活用されています。
また「メタバース」と呼ばれる仮想空間に土地や店舗を作る技術でも、ブロックチェーン技術の活躍が期待できます。
小売やEC業界などもWeb3を取り入れ始めており、世界中で高い注目を集めていることがわかるでしょう。
Web3に至るまでの流れ
Web3に至るまでには「Web1」と「Web2」と呼ばれる概念がありました。
それぞれの概念について把握しておくことで、これまでにあった問題点やWeb3が求められる理由についてさらに理解が深まるでしょう。
Web1
Web1は、テキストがメインの 一方通行型ネットワーク のことを指しています。
年代でいうと「1990年代から2000年代の前半まで」であり、情報発信を行えるのはごく一部の人たちだけでした。
ネットの利用者は「ホームページ」で情報をみるだけで、自らアクションを起こせなかったことが特徴です。
また、大きいデータを扱うことが困難だったため、現在のように写真や動画を気兼ねなく扱えませんでした。
Web2
Web2では、誰でも情報発信ができるようになり 双方向型のネットワーク になります。
通信速度やデバイスが発展したことで、動画や画像コンテンツを簡単に配信・閲覧できようになり、SNSが広く普及しました。
「Twitter」や「Facebook」などのサービスは、現在も多くのユーザーを抱えており、当たり前のように使用されています。
また、現在進行形でGAFAMを代表とした大企業が世界を牽引していますが「データを保持する場所が一部のサービス提供者に偏ってしまうことが問題」ともされています。
大きな企業によって情報が独占されると、利益が偏ったり、セキュリティの問題が発生したりするからです。
Web3は、Web2が抱える「中央集権的問題」を解決し、GAFAMを打倒する概念として注目を集めています。
Web3で活用される技術
Web3で活用される技術として挙げられるのは以下の5つです。
・DeFi
・NFT
・SocialToken
・DAO
・Metaverse
それぞれの特徴について把握しておくと、これからの世の中の変化にも対応しやすくなります。5つの技術について詳しく見ていきましょう。
DeFi
DeFiはDecentralized Financeの略称で分散型金融とも呼ばれています。
わかりやすくいうと 中央の管理者が存在しない金融システム です。
これまで銀行によって管理されていたサービスをユーザー同士のやりとりに変え、手数料などのコストを削減できる点がメリットです。
ブロックチェーン技術によって取引が守られるため、改ざんなどのトラブルも発生しづらくなっています。
NFT
NFTは Non-Fungible-Token のことで、日本語では 非代替性トークン とも呼称されます。
日本語が指し示す通り、ブロックチェーンの技術によって「代替されない唯一無二のものである」ことを証明できるため、アート作品などで活用されることが特徴です。
「モナ・リザ」や「ひまわり」などの有名な絵画のようにデジタルアートを扱えることで、マネタイズがしやすくなります。
実際、近年では「NFTアート」と呼ばれる分野も発展しており、数億円で取引された作品も存在しています。
SocialToken
SocialTokenは端的にいうと 仮想通貨 のことで、インターネット上でのコミュニティやブランドなどに関連した暗号資産です。
コミュニティにおけるメンバーシップとして機能しており、国内においては「Jリーグ」や「Bリーグ」などでも活用されています。
中央集権的なプラットフォームとは違い、コミュニティが自分たちのネットワークを通して得た収益をカットされない点が魅力です。
DAO
Decentralized Autonomous Organization を省略した用語で 自律分散型組織 とも呼ばれています。
これまで当たり前のように浸透していた「株式会社」という仕組を発展させたものとして理解しておきましょう。
DAOはトップダウン方式ではなく、トークンを持っているメンバーの意見を集めて意思決定を行うことが特徴です。
また、DAOはブロックチェーン上で構築され、国籍や年齢などに左右されずに誰でも参加できます。
これまでの「株式会社」と異なる部分やメリットが多いですが、民主的に運営するため、意識決定の際などにスピード感が欠けることがデメリットとして挙げられます。
Metaverse
Metaverse(メタバース)はインターネット上に展開された仮想空間のことで、現実的な生活と同じような体験ができます。
映画の「レディプレイヤー1」に登場する世界を想像すると分かりやすいでしょう。
仮想空間では娯楽として音楽を楽しんだり、ビジネスで活用したりすることが期待されています。
Metavereseでは「VR・AR技術」によって没入感を演出することが求められますが、より現実に近い状況を作るためにはブロックチェーン技術が重要です。
将来的には「現実世界にいる時間よりも仮想空間で作業をする時間が長くなる」という見解も存在しており、今後の発展に注目するべき技術だといえます。
Web3によってもたらされるメリット
Web3の到来によってもたらされるメリットは以下の5つです。
・誰でもサービスにアクセスできる
・ユーザー間の取引ができる
・利用者が情報を管理できる
・セキュリティの向上が期待できる
・アプリやデバイスの種類に左右されず使用可能になる
Web2からWeb3に移行することで、どんなメリットが発生するのかについて詳しく確認していきましょう。
誰でもサービスにアクセスできる
Web3は「中央集権型」のシステムではないため、人種などに関係なく誰でもサービスにアクセスをすることが可能です。
現在でも国境などに関係なくサービスにアクセスすることは可能ですが、国によっては特定のサイトへの訪問が制限されることがあります。
Web3では情報の権限に変更を加えたり、禁止にしたりすることができない点がメリットだといえるでしょう。
ユーザー間の取引ができる
ユーザーが個人間でやりとりできることが「分散型ネットワーク」であるWeb3の特徴です。
したがって、仲介する企業がいなくなることで、必要になっていた手数料がなくなります。
個人間でのやり取りについては、金融機関の仲介を挟む手間がなくなる「DeFi」がひとつの例として挙げられるでしょう。
利用者が情報を管理できる
双方向の情報提供が可能になったWeb2では、大企業がユーザーの情報を獲得して管理していました。
特に、GoogleやFacebookなどのサービスを提供している大企業群の「GAFAM」は世界中のユーザーの情報を保持しています。
Web3になると、個人で情報を管理することが可能になり、リターゲティング広告の拒否や個人情報の提供によって報酬を得ることもできます。
個人情報として自分のデータを守れるのは、Web2にはないメリットのひとつです。
セキュリティの向上が期待できる
Web3では、取引に関する情報が暗号化されてシェアされるため、セキュリティ面がより強固になります。
これまでは企業のサーバーにアクセスされると利用者の個人情報の漏洩が発生するなどのトラブルが多発していました。
実際、2021年にはFacebookから情報が漏洩し、5億人以上の氏名や電話番号などのデータが漏洩しています。
Web3によってセキュリティが強くなることで、より安心してサービスを利用できるようになるでしょう。
参考:Facebook、流出の5億人情報が再び閲覧可能に 米報道|日本経済新聞
アプリやデバイスの種類に左右されず使用可能になる
Web3では、Dappsという「ブロックチェーン上で動くオープンソースのアプリケーション」が登場しました。
「大規模アクセスの対応が困難」など課題はまだ多いですが、Dappsによって今までのように「OSで使えるアプリが異なる事態」が発生しなくなります。
管理者がいなくなることで、料金も低くなる点がWeb3の大きなメリットです。
Web3の注意点
Web3における注意点は以下の3つです。
・専門的な知見が必要
・問題発生時は自己責任
・規制を受ける可能性がある
Web3は大きな利点を秘めている概念として浸透していますが、注意点もいくつかあります。
3つの項目について確認しておきましょう。
専門的な知見が必要
Web3は、仮想通貨やITに関する知識がないとすぐに取り入れることが難しいです。
概念に対して理解がない人や、ITに関する知識が一定以上ない場合は参入しにくいといえます。
特に、ブロックチェーンを用いたWeb3を構築しようとした場合には、ブロックチェーンはもちろんのことながら、暗号資産やNFT、DeFi、DAOなどに関する知識やリテラシーが必要になります。
また、NFTのサービスを利用する際には暗号資産やウォレットの導入が必要です。
このような知識やリテラシーを得るための情報は、インターネット上にも掲載されていますが、中には詐欺的な情報も多く存在します。
Web3を活用したいと思うものの、ITリテラシーが低い場合には、このような詐欺被害の対象になりやすく、暗号資産の情報などが盗まれるリスクも生じます。
今後は、初心者でも簡単に理解し、参加できるような体制を整える動きが活発になることが予想できるでしょう。
問題発生時は自己責任
情報の保護が強固になった一方で、注目度の高さから詐欺やハッキングなどのトラブルが発生する可能性が高くなっています。
Web3では情報を管理するのはあくまでも自分なので、起こった問題の責任は自己責任となります。
助けを求める体制が整っていないため、企業や国には完璧な救済を期待できません。
法整備を行い、Web3が世間に浸透するにはまだ時間がかかるでしょう。
規制を受ける可能性がある
法的な規制はまだ整っていませんが、今後は法令が整い、制限ができる可能性もあります。
その場合、新たな法令によって自身が規制を受ける可能性も起こり得ます。
詐欺やトラブルに関する抑止だけでなく、NFTにおける税金や手続きなど、急な規制に気づかなければ不正に加担してしまう場合もあります。
Web3を取り入れたサービスの実例
Web3を取り入れたサービスの実例として以下4つが挙げられます。
・Brave
・My Crypto Heroes
・OpenSea
・IPFS
Web3に関連して、どんなサービスが存在しているのかについても見ていきましょう。
Brave
Braveは次世代のブラウザとして認知度が高まっているサービスです。
インターネット上におけるあらゆる広告をブロックする機能が備わっています。
また、プライバシーを確保できるだけでなく、 Chromeなどと比較しても高速なプラウザであることが特徴です。
参考:Brave|Brave Software Asia株式会社
My Crypto Heroes
日本で開発されたブロックチェーンゲームで、通称「マイクリ」とも呼ばれています。
ゲームをプレイすることで獲得できるコンテンツがNFTで作られているため、資産として利用できる点が特徴です。
イーサリアムベースのブロックチェーンゲームとして2018年11月30日にリリースされてから、取引量や取引高、DAU(デイリー・アクティブ・ユーザー)で世界1位を獲得しています。
OpenSea
Openseaは作品が売買されているNFTプラットフォームで、世界でも最大規模を誇っています。
アートや音楽だけでなく、ゲーム内で使用するアイテムなども購入可能です。
誰でもNFT作品の製作や出品ができるので、気になる方はサイトを訪問してみることをおすすめします。
参考:OpenSea|Ozone Networks, Inc.
IPFS
IPFSは簡単にいうと データを分散して管理できるサービス のことで、アメリカのProtocol Labs社が開発しました。
コンテンツ志向で設計されていることが特徴で、データが保存している場所に関わらず同じIDが発行されるため、改ざんができなくなっています。
また、発展途上の国でもアクセス可能になることや、惑星間のコンテンツのやり取りも素早く行えることから「未来のウェブ」として注目が集まっています。
まとめ
いかがでしたか?
Web3は完全に新しいインターネットの概念であり、今後主流になっていくことが予想されています。
国内でもゲームの開発などに力を入れている企業が多いため、注目度が高いことがわかるでしょう。
スマートフォンを一人一台持ち、SNSで情報を交換し合うことが当たり前になったように、 DAOやMetaverseが当然になる未来がやってくることはほぼ間違いありません。
完全に理解することは難しいですが、概要を把握しているだけでも将来的に周りとは大きな差が生まれます。
ビジネスでも広く活用されることが期待できるため、理解をさらに深めていくと同時に、今後の動向も確認していくことがおすすめです。