
リスティング広告運用で成果を上げるには、
除外キーワードの適切な設定が欠かせません。
本記事では、
「完全一致」「フレーズ一致」「部分一致」
という3つのマッチタイプの違いと効果的な使い分け方を解説します。
正しい除外キーワード設定で、無駄なクリックを減らし、
広告パフォーマンスを向上させましょう。
1. 除外キーワードとは?
リスティング広告運用において「除外キーワード」は、
費用対効果を高める重要な設定です。
除外キーワードとは、
特定の語句を含む検索に対して広告が表示されないようにする設定のことで、
意図しないユーザーの検索に広告を表示することを防ぎます。
例えば、
高級腕時計を販売する広告を出稿している場合に
「中古」「修理」「求人」などの語句を除外キーワードに設定することで、
購入意欲のない検索ユーザーへの広告表示を抑制できます。
これにより、
広告予算を効率的に使用し、
本当に狙いたいターゲットに広告を届けることが可能になります。
1-1. なぜコンバージョン改善に直結するのか
除外キーワードの適切な設定は、以下の理由からコンバージョンの改善に直結します。
- 不要なクリックの削減:
商品やサービスに関心のない検索ユーザーによる無駄なクリックを防ぎ、
広告費用の無駄遣いを抑制。 - クリック品質の向上:
購入や問い合わせなどの具体的なアクションを起こす可能性が高いユーザーに絞って
広告を表示できるため、サイト訪問者の質向上が見込まれる。 - コンバージョン率の改善:
関心度の高いユーザーに絞った広告配信により、
CVR(コンバージョン率)の向上が期待できる。 - コンバージョン単価の低減:
不要なクリックを排除し、コンバージョンにつながるクリックの割合が増えれば、
必然的にCPA(顧客獲得単価)も下がる。
特に予算が限られている場合、除外キーワードの最適化は
「コンバージョン数の増加」「コンバージョン単価の低減」
という二重の効果をもたらします。
これは広告運用における
「ダブルパンチ改善」とも呼べる、非常に効果的な施策です。
1-2. 設定しないとどんなリスクがあるのか
除外キーワードを設定しないと、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
- 広告予算の無駄遣い:
購買意欲のない検索ユーザーにまで広告が表示され、
コンバージョンにつながらないクリックに予算を消費してしまう。 - CPAの高騰:
関連性の低いキーワードでの広告表示により、
クリック数に対してコンバージョン数が少なくなり、結果的にCPAが上昇する。 - 競合との差別化の失敗:
精度の高いターゲティングができないため、競合他社との広告の差別化が難しくなる。 - キャンペーンパフォーマンスの低下:
全体的な広告効果が下がり、ROI(投資対効果)の悪化につながる。
具体的な例を挙げると、
「外壁塗装 業者」というキーワードで広告を出稿している場合、
「外壁塗装 求人」や「外壁塗装 資格」などの就職・転職関連の検索に対しても
広告が表示されてしまうことがあります。
このような場合、
広告をクリックするユーザーは外壁塗装サービスではなく求人情報を探しているため、
どれだけ質の高いランディングページを用意していても成約には至りません。
除外キーワードは広告運用において「必須設定」と言っても過言ではなく、
特に部分一致キーワードを使用して広告を配信している場合は、
適切な除外キーワード設定が費用対効果を大きく左右します。
除外キーワードには、
「完全一致」「フレーズ一致」「部分一致」の3つのマッチタイプがあり、
それぞれ除外される検索語句の範囲が異なります。
各マッチタイプの特徴と効果範囲を理解することで、
より効率的な広告運用が可能になります。
以下の表は、3つのマッチタイプの基本的な除外範囲を示しています。
マッチタイプ | 除外範囲 |
完全一致 | キーワードが別の語句を含まずに同じ語順で検索された場合 |
フレーズ一致 | キーワードが同じ語順で検索された場合(前後に他の語句が含まれても可) |
部分一致 | 語順問わずキーワードに含まれる語句が検索された場合 |
それでは、具体的な例を用いて各マッチタイプの違いを詳しく見ていきましょう。
2-1. 完全一致
完全一致の除外キーワードは、
検索語句が設定したキーワードと完全に一致する場合のみ広告が表示されなくなります。
完全一致で除外する場合は、キーワードを角括弧([])で囲んで設定します。
除外キーワード設定: [りんご チョコレート]
この設定による効果範囲は以下の通りです。
検索語句 | 広告表示 | 理由 |
りんご 通販 | ⭕ | 除外キーワードと一致しない |
りんご チョコレート | ❌ | 除外キーワードと完全一致 |
チョコレート りんご | ⭕ | 語順が異なるため除外されない |
りんご チョコレート 人気 | ⭕ | 追加の語句があるため除外されない |
りんご チョコ | ⭕ | 異なる語句のため除外されない |
完全一致は最も範囲が限定的なマッチタイプであり、
特定の検索語句だけを正確に除外したい場合に有効です。
例えば、
コンバージョン単価が著しく高い特定の検索語句のみを除外したい場合などに使用します。
ただし、
語順が変わったり、略語が使われたりする場合は除外されないため、
関連する複数のバリエーションを個別に設定する必要がある点に注意が必要です。
2-2. フレーズ一致
フレーズ一致の除外キーワードは、
設定したキーワードが同じ語順で含まれる検索語句に対して広告が表示されなくなります。
フレーズ一致で除外する場合は、
キーワードを引用符(””)で囲んで設定します。
除外キーワード設定: “りんご チョコレート”
この設定による効果範囲は以下の通りです。
検索語句 | 広告表示 | 理由 |
りんご 通販 | ⭕ | 除外キーワードと一致しない |
りんご チョコレート | ❌ | 除外キーワードとフレーズ一致 |
チョコレート りんご | ⭕ | 語順が異なるため除外されない |
りんご チョコレート 人気 | ❌ | 同じ語順でフレーズが含まれるため除外される |
おいしい りんご チョコレート | ❌ | 同じ語順でフレーズが含まれるため除外される |
りんご チョコ | ⭕ | 異なる語句のため除外されない |
フレーズ一致は、
完全一致よりも広い範囲を除外できますが、語順が重要な場合に適しています。
特定のフレーズが含まれる検索全般を除外したい場合に有効です。
ただし、
語順が変わった場合(例:「チョコレート りんご」)には除外されないため、
語順のバリエーションが多い場合は部分一致の使用を検討すべきです。
2-3. 部分一致
部分一致の除外キーワードは、
設定したキーワードの単語が語順を問わず検索語句に含まれる場合に広告が表示されなくなります。
部分一致で除外する場合は、特別な記号なしでキーワードを設定します。
除外キーワード設定:りんご チョコレート
この設定による効果範囲は以下の通りです。
検索語句 | 広告表示 | 理由 |
りんご 通販 | ⭕ | 「チョコレート」が含まれないため除外されない |
りんご チョコレート | ❌ | 除外キーワードの両方の単語が含まれるため 除外される |
チョコレート りんご | ❌ | 語順が異なっても除外される |
りんご チョコレート 人気 | ❌ | 除外キーワードの両方の単語が含まれるため 除外される |
チョコレート ケーキ りんご | ❌ | 間に別の単語が入っても除外される |
りんご チョコ | ⭕ | 「チョコレート」という完全な単語が 含まれないため除外されない |
部分一致は最も広い範囲を除外できるマッチタイプであり、
多くの場合はこのマッチタイプを使用することで効率的に不要な検索を除外できます。
語順のバリエーションや、単語の間に他の語句が入るパターンも全て除外できる点が大きな利点です。
ただし、
範囲が広いため意図しない検索までも除外してしまう可能性があります。
例えば、
「Apple製品 チョコレート型ケース」のような検索も除外されてしまう可能性があるため、
除外キーワードの選定には注意が必要です。
一般的には、
まず部分一致で除外キーワードを設定し、
必要に応じて完全一致やフレーズ一致を使い分けるというアプローチが効果的です。
3. 除外キーワードの設定手順
除外キーワードを効果的に設定するための手順を、
Google広告とYahoo!広告それぞれのプラットフォームで解説します。
3-1. Google広告での設定手順
Google広告では、除外キーワードを以下の2つの手順で設定できます。
除外キーワードリストを使用する方法
(複数のキャンペーンに同じ除外キーワードを適用する場合)
① Google広告アカウントにログイン
② 画面右上の「ツールと設定」をクリック
③「共有ライブラリ」の中の「除外キーワードリスト」を選択
④ 青い「+」ボタンをクリック→新しい除外キーワードリストを作成
⑤ リスト名を入力→除外したいキーワードを
⑤ マッチタイプ記号(完全一致は「[]」、フレーズ一致は「””」)とともに入力
⑥「保存」をクリック
⑦ 作成したリストの左側のチェックボックスを選択→「キャンペーンに適用」をクリック
⑧ 適用したいキャンペーンを選択→「適用」をクリック
キャンペーンまたは広告グループに直接除外キーワードを設定する方法
① Google広告アカウントにログイン
② 左側のメニューから「キーワード」をクリック
③「除外キーワード」タブを選択します。
④ 青い「+」ボタンをクリック→「キャンペーンに追加」または「広告グループに追加」を選択
⑤ 除外キーワードを追加するキャンペーンまたは広告グループを選択
⑥ 除外したいキーワードをマッチタイプ記号とともに入力
⑦「保存」をクリック
3-2. Yahoo!広告での設定手順
Yahoo!広告では、除外キーワード(対象外キーワード)を以下の手順で設定できます。
対象外キーワードリストを使用する方法
① Yahoo!広告管理画面にログイン
② 画面右上の「ツール」をクリック
③「対象外キーワードリスト」を選択します。
④「対象外キーワードリスト追加」をクリック
⑤ リスト名を入力→除外したいキーワードを入力(カンマまたはタブで区切る)
⑥「保存」をクリック
⑦ 作成したリストにチェックを入れ、「キャンペーンに設定」をクリック
⑧ 適用したいキャンペーンを選択→「適用」をクリック
キャンペーンまたは広告グループに直接対象外キーワードを設定する方法
① Yahoo!広告管理画面にログイン
② 左側のメニューから「キーワード」をクリック
③「対象外キーワード」タブを選択
④「対象外キーワード作成」をクリック
⑤ 画面上部で「キャンペーン」または「広告グループ」を選択
⑥ 設定するキャンペーンまたは広告グループを選択
⑦ 除外したいキーワードを入力→マッチタイプを選択
⑧「キーワードを追加」をクリック→「作成」をクリック
3-3. 効果的な除外キーワード選定のポイント
除外キーワードを設定する際の重要なポイントをいくつか紹介します。
- 検索語句レポートの活用:
広告配信後は、検索語句レポートを定期的に確認し、
コンバージョンにつながっていない検索語句を特定して除外することが効果的です。 - コストの高い順に確認:
検索語句レポートを費用(コスト)の降順で並べ替え、
予算を多く消費しているにもかかわらず
コンバージョンにつながっていない検索語句から優先的に除外します。 - 表記ゆれの考慮:
除外キーワードは完全一致した場合のみ機能するため、
「買取」「買い取り」「買取り」など、表記ゆれも考慮して設定する必要があります。 - 広告配信前の予防的除外:
広告配信前にもツールを使って関連キーワードを抽出し、
明らかに検索意図がズレているものを予め除外しておくことも効果的です。
4. まとめ
除外キーワードは、
リスティング広告の費用対効果を大きく左右する重要な設定です。
除外キーワードを選定する際には、
検索語句レポートの定期的な確認とコストやコンバージョンの分析が欠かせません。
特に予算を多く消費しているにもかかわらず
コンバージョンにつながっていない検索語句を優先的に除外することで、
効率的な広告運用が可能になります。
ただし、
「もしかしたらコンバージョンにつながるかもしれない」と思われる検索語句は、
十分なデータが蓄積されるまで様子を見ることも重要です。
データに基づく判断を心がけ、
継続的に最適化を行うことで、リスティング広告の効果を最大化しましょう。