メディアミックスという広告手法があり、複数のメディアを使って、広告効果を高めていきます。
今回は、このメディアミックスの特徴・目的・メリット・デメリット・成功事例などを紹介します。今後の広告戦略を考える際にぜひ参考にしてください。
メディアミックスとは?
メディアミックスとは、メディアをミックスする、つまり複数の異なるメディアを組み合わせながら広告戦略を行っていくことを意味します。
たとえば、テレビ、ラジオ、新聞・雑誌、インターネットなどのメディアにそれぞれ広告を出し、相乗効果を狙っていきます。
メディアミックスの目的
メディアミックスの目的は、複数のメディアに広告を出稿することで、多くの層にアプローチし、自社の認知度を拡大し、商品やサービスをアピールすることです。
同じ商品やサービスの広告が何度もユーザーの目に留まることで、強く印象に残せるようにすることを目指しています。
メディアミックスのメリット
メディアミックスには様々なメリットがあります。どのようなメリットか以下で解説しましょう。
訴求できるターゲット層を増やせる
複数のメディアに広告を出稿するメディアミックスでは、訴求できるターゲット層を増やすことができます。
例えば、新聞や雑誌などの広告は中高年層にアピールしやすいです。インターネット広告は若年層向きと言えるでしょう。
一つのメディアに広告を出すだけでは、働きかける層が限定的になりますが、いくつものメディアを組み合わせることで様々な年代、性別、職種の人に訴求できる点がメディアミックスのメリットです。
広告のリーチ回数を増やせる
メディアミックスにより広告のリーチ回数を増やせます。
朝は新聞広告、昼はスマートフォン広告、夜はテレビ広告というように、何度も広告に触れるようになるのです。
広告のリーチ回数が増えることで、ユーザーのアクションにつながりやすくなります。
一度広告を見ただけではそのまま素通りということもあるでしょうが、繰り返し見ることで印象にも残り、情報収集してみようという気持ちになるかもしれません。うまくいけば購入にまで進むでしょう。
補完効果・相乗効果がある
メディアミックスを活用すると、それぞれのメディアの弱みは補完しあい、強みを増す相乗効果を期待できます。
例えば、テレビCMだと、映像にインパクトがあるのは強みですが、詳しい情報を伝えづらいという弱みがあります。一方、新聞や雑誌広告は視覚へのアピール度では劣りますが、詳細な商品やサービス情報を掲載できるという強みがあります。
このようにそれぞれの広告の弱点はカバーし、長所は伸ばしていくのがメディアミックスです。
効果測定がしやすい
メディアミックスの中でも、インターネット広告は効果測定がしやすい分野です。
アクセスしたユーザー数からユーザーの属性、行動履歴なども把握できます。
インターネット広告の効果測定を行うのに適しているタイミングは、テレビCM放映前後や新聞広告掲載前後などです。
各広告がどのようにインターネット広告閲覧につながっているか見ることで、効果が確認しやすくなります。
インターネット広告の効果測定により、今後のメディアミックス戦略の改善点なども見えてくるでしょう。
メディアミックスのデメリット
メディアミックスのメリットを見てみましたが、もちろんデメリットもあります。
以下に取り上げてみましょう。
費用が高くなる
複数のメディアに広告を出稿するメディアミックスでは、どうしても費用が高くなります。インターネット広告だけならコストも抑えられますが、テレビCMや新聞や雑誌に大きな広告も載せるとなると、かなりの金額になります。
費用をかけた分、効果が上がればいいですが、効果が不十分だと売り上げも伸びず、損失も大きくなるでしょう。
メディアごとに素材を用意しないといけない
複数のメディアに広告を出稿するメディアミックスでは、それぞれのメディアごとの広告を用意しないといけません。
メディアによって広告の出稿の仕方が違います。
テレビCMとインターネット広告では同じ内容を掲載することはできますが、それぞれの補完効果・相乗効果を高めたければ、違う広告にした方がいいでしょう。
違う広告にすれば、訴求できるターゲット層も異なり、幅広い対象に働きかけられるようになります。
メディアミックスを成功させるポイント
費用も手間もかかるメディアミックスは、何としてでも成功させたいところです。
そのためのポイントを紹介しましょう。
ユーザー獲得単価だけで判断しない
ユーザー獲得単価とは、1ユーザー当たりいくらで獲得できたかという数値です。
これは一つの広告に対する判断基準にはなるのですが、複数メディアに広告出稿するメディアミックスの測定基準にはあてはめにくいです。
メディアミックスの場合は、総合的な観点に立って効果を測定する必要があるでしょう。
メディアの特性で使い分ける
メディアミックスで利用するメディアごとに特性があり、特性を使い分けた広告を出稿することで効果を上げやすくなります。そこでいくつかのメディアの特性を挙げてみましょう。
広告に統一性を持たせる
複数のメディアに広告を出稿するメディアミックスでは、各メディア広告に統一性を持たせないといけません。
内容がバラバラでは、広告効果も下がり、最悪の場合は一つのメディアに広告を出稿するよりも売り上げが下がることもあります。
統一性のある広告にユーザーが何度も触れれば、アクションにもつながりやすくなるでしょう。
適切な予算配分をする
メディアミックスを行う場合に大切なのは適切な予算配分を行うことです。
メディアミックスの各メディアの広告を個別に効果測定し、予算配分したくもなるでしょうが、それぞれのメディアが間接的に補完しあっているという面があります。
そのため、個別測定で予算配分をしてしまうと、かえって広告効果が下がってしまうことがあるのです。
全体の効果を総合的に判断しながら、予算配分をし、あまり偏りすぎないようにしたいところです。
メディアミックスの成功事例
メディアミックス実践で実際に成功した企業の事例があるので、紹介しましょう。
ナノイーX技術 / パナソニック
画像引用:ナノイーX | Panasonic
パナソニックのナノイーX技術は、第51回フジサンケイグループ広告大賞のメディアミックス部門で優秀賞を獲得しました。
ナノイーXはパナソニック製の多くの家電で採用されている技術です。
エアコン、空気清浄機、冷蔵庫や洗濯機などに取り入れられています。
パナソニックでは、ナノイーX技術のメディアミックスを実施しました。
テレビCM、ラジオCM、雑誌広告、新聞広告、WebメディアとSNS広告など多数のメディアを活用しながら詳細な情報発信に努めました。
各メディア広告には一貫性もあり、「清浄な空気をもたらすナノイーX」としてのブランディングにも成功しています。
超快適マスク / ユニ・チャーム
画像引用:ユニ・チャームマスク
ユニ・チャームでは、「超快適マスク」のメディアミックスを実施しました。
活用したメディアはテレビCMとYouTube広告です。
テレビCMでは、「25〜44歳の会社などで働く女性」とターゲットを絞り、タイミングに応じた出稿をしています。
YouTube広告では、縦型動画と横型動画広告を配信しました。
切り口を変えながら、ユーザーに働きかけています。
テレビCMとYouTube広告の組み合わせにより、リーチ率は約12%アップしました。
マスク市場シェアでも過去10年間で最高を記録するという成果がありました。
ボス / サントリー
サントリーの缶コーヒー、ボスは第51回フジサンケイグループ広告大賞のメディアミックス部門でグランプリを受賞しました。
メディアミックス戦略が大成功したということでしょう。
まず、テレビCMでは俳優のトミー・リー・ジョーンズさん出演作が有名ですね。
そのほかにも多数の俳優を起用し、商品のアピールを行っています。
WebサイトやSNS広告も積極的に活用しています。
さらに、映画「GODZILLA vs KONG」やドリフターズとの連携など、多数メディアも巻き込みながら、効果的なマーケティングも実施しました。
それが上記の賞受賞につながったのでしょう。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、メディアミックスについて解説しました。
複数のメディアに広告を出稿するもので、広告効果を高めることが期待できます。
一方で、費用や工数がかかるデメリットもあります。
各メディアの特性も異なりますので、メディアミックスを活用される際にはぜひ記事を参考に、利用するメディアを検討してみてください。