統計学は、専門的な知識を活用して規則性を発見する際に活用される学問です。顧客の分類や成功法則を発見できるため、マーケティングでも用いられています。
この記事では、統計学について以下のような項目を解説していきます。
- 統計学の概要
- 具体的な種類
- 統計学をマーケティングで活用するメリット
本記事を最後まで読むことで、統計学について理解を深め、マーケティングでどのように活用すれば良いのか分かるようになるでしょう。
1.統計学とはなにか
最初は統計学について以下の内容を解説していきます。
- 統計学の意味
- マーケティングで統計学は必要なのか
専門性の高い統計学について基本を抑えていきましょう。
1−1.統計学の意味
統計学とは簡単に言えば「多くのデータから規則性を数値によって導き出すこと」です。
それぞれ異なった性質の情報から因果関係を洗い出したり、KPIを設定したりするのに役立ちます。
詳しくは後述しますが、世の中には複数の分析手法が存在しており、フレームワークを活用することでマーケティング分野でも統計学を用いることが可能です。
1−2.マーケティングで統計学は必要なのか
結論から言えば、マーケティングをスムーズに進行する場合、統計学は必要な知識です。
マーケティングでは、顧客が「価値」を感じる物はなんなのか考え、手法に落とし込む必要があります。
「価値」は商品の値段だけでなく、手に入れるまでの工数や利用方法を理解するまでの時間など、さまざまな要素を内包しています。
統計学を活用すれば、自社が行った施策に対して、数値を用いた論理的な分析を行い、成功か失敗か判断が可能です。
また、顧客の行動パターンを把握して、先に施策を打つこともできるため、統計学はマーケティングを成功に導きたい場合便利な手法だといえます。
2.統計学を使用している具体例
統計学を使用している具体例として、以下3つが挙げられます。
- 記述統計学
- 推計統計学
- ベイズ統計学
上記3つはそれぞれ特徴や分析方法が異なるので、最適な物を選択できるように理解を深めておきましょう。
2−1.記述統計学
記述統計学は、現在あるデータをよりわかりやすい状態に変換することを目的としています。
たとえば、テストの結果についてクラスの成績を確認する場合は、記述統計学を活用して結果を求めることが可能です。
クラスの点数を数字で羅列していき、目で情報を追っていくだけだと成績が分かりづらいですが、平均点を導き出すことで成果が分かりやすくなります。
グラフや表を用いてデータを求める場合なども記述統計学に分類されるので、多くの人にとってかなり身近な手法です。
2−2.推計統計学
推計統計学は、限定された情報から母集団全体の数値を求める際に活用される学問です。
記述統計学の後に生まれており、今まで導き出せなかった数値も予想できることが特徴です。
具体的な例としては、国内における平均年収を導き出すことなどが挙げられます。
平均年収を求める場合、最低限必要な情報を集め、推定を実施することで、全体での数値を計算していきます。
母集団全体の数値を限られたデータから算出できるので、さまざまな場面で活用できる手法です。
2−3.ベイズ統計学
ベイズ統計学では、獲得したデータをもとに、確率を更新していくことが特徴として挙げられる学問です。
身近な例では、迷惑メールを推定する際などに活用されています。
参考:迷惑メールフィルターはベイズ統計学を使ってゴミメールを判別している|DIAMOND online
他の統計学の場合、データが増加するたびに分析をし直す必要がありますが、ベイズ統計学は、情報を取り込みながら柔軟に活用できることがメリットです。
3.統計学をマーケティングに用いるメリット
統計学をマーケティングに用いるメリットとして、以下2つが挙げられます。
- 決断が早くなる
- データの共有をしやすくなる
それぞれのメリットについて確認しておきましょう。
3−1.決断が早くなる
マーケティングを行う場合、経験者の勘やバラバラのデータだけを活用すると施策を成功に導ける可能性は低くなります。
統計学を活用すると、複雑なデータの中から論理的に信頼できる情報を導き出せます。
自社が達成している売り上げや顧客の購買行動をもとにして、参考にできる情報を算出し、マーケティングをサポートできるのが統計学です。
決断を早め、行動を実行するまでの時間を短縮できるので、意思決定に時間を要している場合は取り入れてみることが推奨されます。
3−2.データの共有をしやすくなる
データがバラバラの状態になっていると、業務を担当している人物のみが詳細を知っている状態になってしまいます。
情報を社内でうまく共有できていないと、課題発見や解決のためのアクションにつなげることも難しくなるでしょう。
統計学を活用して現在持っているデータを可視化すれば、他のメンバーにも情報を共有しやすくなり、チームワークをより強固にすることが可能です。
社内での共通認識に問題を抱えている場合は、統計学を活用してデータを整理することがおすすめだといえます。
4.マーケティング役に立つ統計学の種類
マーケティングで役立つ統計学として、以下の種類が挙げられます。
- 回帰分析
- 決定木分析
- SVM(サポートベクターマシン)
- バスケット分析
- クラスタリング分析
- 主成分分析
上記6つの統計学について具体的に確認し、活用できそうなものは取り入れていきましょう。
それぞれ解説していきます。
4−1.回帰分析
回帰分析は、因果関係を求めたり、予想値を判断したりする際に活用される統計学です。
あるアクションを実施する際、結果に対してどんな影響があるのか分析できます。
アクションを「説明変数」結果を「被説明変数」と呼び、説明変数の数が1つの場合は「単回帰分析」複数の場合は「重回帰分析」と名称が変わることが特徴です。
マーケティング分野では、広告キャンペーンを実施したことで売り上げに与えられた影響など、特に因果関係を求める際に回帰分析が活用されます。
4−2.決定木分析
ツリー構造を用いてパターンや情報の分類を求める手法が決定木分析(デシジョンツリー)です。
目的変数の中から、影響を与えている説明変数を導き出す際に活用されます。
アンケートの結果や自社が所持している顧客データを元に、消費者の行動を分析することも可能です。
ターゲットの選定や、ユーザーに信頼感を与えている要素を抽出できるため、マーケティングでも幅広く活用されます。
4−3.SVM(サポートベクターマシン)
SVM(サポートベクターマシン)では「マージン最大化」と呼称される方法を用いて正確な分類基準を発見することが可能です。
明確な基準を活用して、未知の情報にも応用ができるため、株価予想や工場などで異常値を検出する際にも用いられます。
4−4.バスケット分析
バスケット分析は、同時に購入される可能性が高い商品について分析する手法です。バスケットは「買い物かご」のことを指しています。
買い物かごに入っている商品から、年齢層や性別など特定のターゲットを洗い出せるため、店舗経営で重要な手法とされていることが特徴です。
同時購入されている商品について分析できれば、商品棚の位置を変更したり、隣同士に設置したりすることで売り上げ向上につなげられます。
4−5.クラスタリング分析
クラスタリング分析は、異なる性質のものが複数ある中から似ているものを集め、分類を実施する手法です。
「クラスター分析」とも呼ばれており「階層クラスター分析」と「非階層クラスター分析」の2種類が存在しています。
クラスタリング分析を実施する場合、人や商品、地域などを対象にして分類を行います。
顧客の属性を分けたり行動を分類する際にも活用できるため、マーケティングでも実用性のある統計学です。
4−6.主成分分析
多くの変数を持っている情報を集めて主成分を作っていく方法を主成分分析と呼びます。
「第一主成分・第二主成分・第三主成分」などの形式でデータの特徴を求めていく手法です。
2変数より多くのデータを持っていたとしても、第1主成分・第2主成分にそれぞれの変数の情報量を統合することで、グラフ化できることがメリットです。
マーケティングでは、顧客の分類などをグラフとして表す際などに活用されます。
5.まとめ
いかがでしたか?
統計学は一見すると難しい学問ですが、概要が分かればマーケティングやビジネスの分野でも活用できます。
情報を集約して可視化できれば、社内でデータを共有し、意思決定の速度を上げることも可能です。
具体的な統計学の種類としては回帰分析や決定木分析、バスケット分析など複数の候補が挙げられます。
それぞれ特徴やメリットが異なるため、理解を深めたうえで導入してみることがおすすめです。