Apple社が実施しているITP(個人情報保護のためのサイトトラッキング抑止機能)にて、広告の配信に影響が出るiOS14のアップデートが行われたことにより、具体的にどのような影響があるのか。
アンチトラッキング対策を背景としたiOS14のアップデートがWeb広告の配信に与える影響について解説します。
1.ITPとは?
2.iOS14リリースによる3つの影響
2-1.IDFAの利用がデフォルト不可に変更
2-2.ITPに非バウンストラッキング機能が搭載
2-3.アプリ内WebViewにもITPが適用
3.iOS14アップデートが広告に及ぼす影響
4.リターゲティングに頼らないターゲティング方法
5.まとめ
1.ITPとは?
そもそもiOS14の影響を知る上で、ITPについて理解しておかなければなりません。
ITP(Intelligent Tracking Prevention)とは簡単に言うと、Appleのユーザーのプライバシー保護機能のことです。Apple社のブラウザSafariに実装されているプライバシー保護を目的として、ユーザーの行動を追跡・分析するトラッキングの制限を行う機能です。
2017年9月に公開されたiOS11のSafariから搭載されていて、広告目的のCookie(クッキー)の使用が制限されるため、リマーケティング広告などに影響があります。
ITPが搭載されているSafariですが、2020年3月時点におけるスマートフォンブラウザシェアは、Safariが全体の61.26%と圧倒的です。この利用率からみても、ITPがもたらす広告への影響は大きいと言えます。
ITPは、徐々に制限の内容が厳格化されており、すでに複数回のアップデートが実施されています。
2.iOS14リリースによる3つの影響
iOS14リリースによる影響を3つ説明します。
2-1.IDFAの利用がデフォルト不可に変更
IDFAとは、Appleがユーザーの端末にランダムに割り当てる広告用識別子(端末で1つのID)でアプリ間でも同じユーザーとして識別することができます。
ターゲティング広告を配信の際は、このIDFAを利用して配信を行いますがiOS14では利用者の同意が必要になり、初期設定ではアプリごとに利用不許可の状態になっています。
2-2.ITPにバウンストラッキング対策が搭載
ITPとは、AppleのブラウザSafariに搭載されているサイトトラッキング防止機能のことです。簡単に言うと、サイトを横断した時に足跡(クッキー)を判別できなくする機能です。
この機能にさらにバウンストラッキングという機能が追加されます。バウンストラッキングはサイト内のリンククリック時にリダイレクトさせることで計測していた機能が無効化されるものです。
2-3.アプリ内WebViewにもITPが適用
アプリ内WebViewとは、アプリの中でWEBサイトを表示する機能です。Safari以外のアプリでWEBサイトを表示しているのは、ほぼWebViewになります。
これまでITPはSafariブラウザのみに適用されていましたが、Google ChromeやYahoo!JAPANからのサイト閲覧にもITPが適用されます。
3.iOS14アップデートが広告に及ぼす影響
iOS14アップデートが広告に及ぼす3つの影響を説明します。
リターゲティング広告配信の減少
設定したターゲティングに該当するユーザーが識別できなくなり、広告配信機会、配信量が大幅に減少します。
また、過去にサイトへ訪問したユーザーに配信するリターゲティング方式の広告も実質機能しなくなります。
ターゲティング広告精度の低下
iOSを利用するユーザーの情報や行動データが取得できなくなり、ターゲティング広告の配信精度が低下します。
計測可能なコンバージョンの減少
ITPの影響により、従来のCookieを活用したCV測定がiOS上で困難になります。
また、計測可能期間も大幅に短縮されるため、広告クリック後に日にちを置いてから再度アクセスしたユーザーのCVが記録されないというケースも発生します。
4.リターゲティングに頼らないターゲティング方法
リターゲティングに頼らないターゲティング方法を紹介していきます!
デモグラフィック・ターゲティング
デモグラフィック・ターゲティングとは、特定の年齢層や性別などターゲット顧客の属性情報を用いて行うターゲティング手法です。
地域ターゲティング
地域ターゲティングとは、国、国内の特定の場所、特定の地点を中心とする一定の範囲、地域グループなど、選択した地域で広告を配信する手法です。関心の対象となる場所や店舗の所在地を指定したり、ユーザー属性と併用したりすることも可能です。
プレースメントターゲティング
プレースメントターゲティングとは、広告を配信する、または配信対象外とするウェブサイトを指定することで広告の配信先を制御できるターゲティング手法です。
オーディエンスカテゴリーターゲティング
オーディエンスカテゴリーターゲティングとは、特定のカテゴリーに興味・関心を持つインターネットユーザーや、特定の属性を持つユーザー、ライフイベントを迎えるユーザー層に対して広告を配信するターゲティング機能です。
サーチターゲティング
サーチターゲティングとは、ユーザーが過去にYahoo! JAPANで検索したキーワードをもとに、指定のキーワードで検索した人だけに広告を配信できるディスプレイ広告のターゲティング手法です。
類似ターゲティング
類似ターゲティングとは、自社のサイトを訪問したユーザーと類似しているユーザーに広告を配信する方法のことです。新規ユーザーへのアプローチをしたい時などに有効です。
5.まとめ
いかがでしたか?
iOS14のアップデートがWeb広告の配信に与える影響は大きく、広告配信においてはリターゲティングによる広告配信量の減少、広告運用においては計測可能CV数の減少が見込まれることがわかりました。
しかし、リターゲティング以外のターゲティング手法をさまざまに設定することが可能なため、リターゲティングに頼らない広告配信の方法を模索していくことが今後は重要になってくると思われます。