インサイトセールスは、近年注目されている営業手法です。
顧客の発掘や受注率の向上に効果を期待できるので、取り入れる企業が増えていますが、どのような手法なのかいまいち理解しきれていない方もいるでしょう。
この記事では、インサイトセールスの概要やメリット・デメリットなどを解説していきます。
導入する際のポイントも詳しく紹介するので、意味を把握したい方や導入を考えている方もぜひ参考にしてみてください。
1.インサイトセールスとは?
インサイトセールスについて、以下の項目を解説していきます。
・インサイドセールスとの違い
・ソリューション営業との違い
基本的な内容や他の手法との違いなどについて理解を深めていきましょう。
1−1.インサイトセールスの意味
インサイトセールスは、顧客の潜在的な課題を発掘して、自社の製品やサービスを売り込む営業手法です。
まだ顧客自身も気づいていない課題を発見して販売活動を行うため、他社との比較がされにくいメリットがあります。
ただし、インサイトセールスを実施するには、自社商品に対する知識や課題を発掘する分析力などが必要です。
能動的な姿勢でヒアリングを行うことも重要なポイントになるので、一朝一夕で行うことは難しいですが、取り入れることができれば優良顧客の発掘につながります。
1−2.インサイドセールスとの違い
インサイドセールスは、メールや電話など遠隔で営業を行う手法です。
客先に訪問して販売を行うフィールドセールスとは異なり、社内から営業を行えるため、費用の抑制や作業の効率化が期待できます。
言葉は似ていますが、インサイトセールスとは全く別の言葉なので混同しないように注意しましょう。
1−3.ソリューション営業との違い
ソリューション営業は、商品によって解決できる顧客の悩みを先読みして提案する手法です。
顧客が抱えている課題を予測する点はインサイトセールスと同じですが、ソリューション営業の場合、悩みが顕在化しています。
スマートフォンやネットが発達した現代では、顕在的な悩みに向けての情報収集は誰でもすぐにできるため、ソリューション営業は効果を発揮しづらくなっています。
したがって、潜在的な層に向けて課題の発掘や解決方法を提案するインサイトセールスが注目を集めているのです。
2.インサイトセールスのメリット
インサイトセールスには、以下のメリットが存在します。
・付加価値を創造できる
・受注率が向上する
詳しい利点について把握していきましょう。
2−1.顧客との関係強化に繋がる
インサイトセールスでは、顧客がまだ気づいていない課題を発見し、解決のために自社製品を販売します。
積極的にコミュニケーションを図って現在の問題点や気づきを共有するため、関係強化につながりやすい点がメリットです。
優良な既存顧客になってもらえればLTVの向上も期待できるため、長期的な利益獲得を目指せます。
2−2.付加価値を創造できる
製品の販売を行う場合、一番購入してもらいやすい方法は価格を下げることです。
しかし、利益を考慮せず多売薄利になってしまうと、販売を継続することが難しくなっています。
インサイトセールスの場合、営業に伴って課題解決に貢献できるため、商品にプラスした価値を提供できます。
価格以外にも価値を見出したい方には特におすすめの営業手法です。
2−3.受注率が向上する
営業を行う際、売ることが前に出過ぎてなかば押し売りのような形になってしまうケースは少なくありません。
仮に受注できたとしても、継続した関係性は見込めないため注意が必要です。
インサイトセールスでは、潜在的な課題を聞き出しながら徐々に契約に近づいていきます。
一件ごとに真摯的な姿勢で向き合うことが多いため、押し売り的な印象を与えることなく受注率の向上を目指せる点がメリットです。
3.インサイトセールスのデメリット
インサイトセールスはメリットが多くありますが、効果が出るまで時間がかかる点には注意が必要です。
顧客が抱える課題は業種・企業ごとに異なるため、分析して導き出すための経験や知見が求められます。
まだ人材が十分でない場合、育成や確保から始めなければいけません。
他にも情報共有や連携の環境構築、ツールの導入など、営業活動を円滑に進めるために必要な作業が複数あるため、結果が出るまで時間を要することは念頭に置いておきましょう。
4.インサイトセールスを導入する際のポイント
インサイトセールスを導入する際のポイントは以下の8つが挙げられます。
・利益を優先しすぎない
・細かいヒアリングを実施する
・社会の変化や顧客のニーズについて調査を行う
・営業プロセスに柔軟さを取り入れる
・担当者の営業力向上を目指す
・担当者間で情報共有をする
・定期的に活動を見直す
効果的な営業活動を実施するために、それぞれの要点を理解しておきましょう。
4−1.自社の商品・サービスについて熟知する
顧客の課題を理解したうえで解決策を提案するには、自社商品やサービスについて熟知しておく必要があります。
納得して商品を利用してもらえるように、導入した後のベネフィットや特徴を把握しておきましょう。
状況によっては、ニーズに合わせて商品の仕様や提供するアフターサービスに柔軟な変更を加えることも大切です。
4−2.利益を優先しすぎない
目先の利益を優先しすぎると一方的な営業になってしまいイメージを損ねてしまいます。
あくまでも課題を見出し、解決するための方法として自社の商品を提案するように徹することが大切です。
一度の提案で受注することが難しい場合は、長期的な目線でアプローチを続けてベネフィットを伝えてみましょう。
4−3.細かいヒアリングを実施する
細かいヒアリングを行うことで、顧客の信頼を獲得できます。
従来の営業手法の場合、自社商品がいかに優れているのか伝えることに注力するため、担当者が顧客に話しを持ちかける場面が多いです。
インサイトセールスでは顧客がまだ認識できていない悩みを導くことが目的なので、聞き役に回って問題点を引き出す必要があります。
顧客自身も課題に気づくことで商品導入への意思が固まるので、丁寧なヒアリングが特に重要な要素です。
4−4.社会の変化や顧客のニーズについて調査を行う
課題や解決方法を導くためには、社会の変化や顧客のニーズについて把握することも大切です。
DXの推進や少子高齢化による人材確保の難化など、大きな話題から現在の問題点に気づくこともあります。
「競合企業では〇〇のような対策をしていますが、御社では今後どのように対応を進めていきますか?」など、質問を交えることで課題を発掘しましょう。
4−5.営業プロセスに柔軟さを取り入れる
従来の営業スタイルと同様に、インサイトセールスも計画的に実施することが大切です。
特にインサイトセールスは顧客のニーズに合わせて行うことが重要であるため、柔軟さを取り入れた営業方法を構築してください。
例えば、事前に設計した営業プロセスではオンライン面談の段階であっても、顧客から求められているのであれば直接会うスタイルに切り替えましょう。
臨機応変に対応することで信頼が向上して課題をヒアリングしやすくなることもあるため、重要なポイントの一つです。
4−6.担当者の営業力向上を目指す
そもそも、顧客の課題を聞いたうえで自社製品を薦めるためには、担当者の営業能力が不可欠です。
社内の人材が希望の水準に達していないのであれば、ロールプレイングや外部のセミナー受講などで能力向上を目指しましょう。
合わせて、能力向上に対して積極的な人材を評価していく体制を整えることも重要です。
4−7.担当者間で情報共有をする
顧客のニーズや課題などは、担当者間で共有しておくことがおすすめです。
営業の進捗についても情報がまとめられていれば、組織的に効率的な活動を実現できます。
また、過去の実績から得た効果的なアドバイスも共有することで、PDCAを回しやすくなります。
4−8.定期的に活動を見直す
インサイトセールスを取り入れたら、定期的に活動内容を見直して改善を図りましょう。
営業を成功させるには、事前に作成するリストの質や会話のテンポなど細かい内容も重要な要素となります。
関係が構築されず受注できなった案件や、上手く行った実績をまとめてPDCAを回すことが大切です。
可能であれば事前に許可を取って会話内容を録音し、必要に応じて反応や話題に変化を加えることもおすすめです。
5.まとめ
いかがでしたか?
インサイトセールスは、顧客の課題点を導き出して、自社商品で解決できるように提案する営業手法です。
売ることに注力する従来の方法よりも顧客目線に立った営業が可能になるので、信頼関係の構築や付加価値の創造につながるメリットがあります。
受注率の向上を目指している方は導入を検討してみることがおすすめです。