
デジタル広告の世界で、SNSに続く「第3の巨大市場」として注目されているのが、
ゲーム内広告(インゲーム広告)です。
現在、ゲームは単なる娯楽ではなく、人々が集う「サードプレイス(第3の居場所)」へと進化しました。
本記事では、
「没入感」と「確実なデータ」を武器に、ブランド認知を劇的に高める新しい手法をプロの視点で解説します。
1. ゲーム内広告とは?
1-1. ゲームの世界観を壊さない「新しい広告」の形
1-2. ゲーム内広告の「2つの見せ方」
2. 主要な7つの配信手法
手法① バナー広告
手法② リワード広告
手法③ インタースティシャル広告
手法④ イントリンシック広告
手法⑤ プレイアブル広告
手法⑥ アドバゲーム
手法⑦ カスタムワールド
3. 今ゲーム広告が注目される背景
3-1. 通信技術の進化と「没入型プラットフォーム」の台頭
3-2. Cookie規制下におけるデータ精度の優位性
4. ゲーム広告が選ばれる3つの戦略的強み
4-1. SNSより深く記憶に残る
4-2. 全世代に幅広く届く
4-3. 確実に表示される
5. 実務で役立つ具体的な成功事例
事例① Final Fantasy XV
事例② League of Legends
事例③ Jetpack Jump
6. インゲーム広告を成功に導く「運用」と「評価」
6-1. 【設計の工夫】「不快感」を「没入感」に変える
6-2. 【評価】クリック率に代わる「注視時間」の計測
7. まとめ
1. ゲーム内広告とは?

ゲーム内広告とは、
ゲームアプリやオンラインゲームのプレイ画面内、あるいはシステム上に表示されるデジタル広告のことです。
1-1. ゲームの世界観を壊さない「新しい広告」の形
最大の特徴は、
ユーザーがゲームに没入している時間の中に、ブランドメッセージを自然に溶け込ませる点にあります。
従来の広告が「視聴を中断させるもの」になりがちだったのに対し、
現代のゲーム広告は「世界観を演出し、あるいはユーザーを助けるもの」として機能し、
ポジティブな認知形成を可能にします。
1-2. ゲーム内広告の「2つの見せ方」
ゲーム広告は、表示される「場所」によって大きく2つのタイプに分けられます。
■ 背景・オブジェクト型

広告 ゲームのプレイ画面そのもの、
例えば「スポーツ競技場の看板」や「レース車両のロゴ」として登場する形式です。
世界観を壊さずにブランドの認知を高めるのに適しています。
■ 操作・ポップアップ型(Around-Game)
※画像はイメージです。
広告 メニュー画面、ロード中、ステージクリア後など、
「ゲームのUI(操作画面)」に重なって出てくるタイプです。
2. 主要な7つの配信手法
運用担当者が実務で活用する主要な7つの手法について、
具体的な活用法とメリット・デメリットを整理しました。
手法① バナー広告
バナー広告は、
ゲーム画面の上下やメニュー画面の空きスペースに表示される、最もスタンダードな2D広告です。
■ 活用法
ゲームのホーム画面、設定画面、リザルト(結果)画面の隅などに配置されます。
Webサイトのバナー広告と同じ感覚で、
既存のバナー素材をそのまま活用して手軽に配信を開始できます。
■ メリット
制作コストが非常に低く、他のWeb施策との連動が容易です。
幅広いユーザーに低単価でリーチできるため、
キャンペーンの認知維持や、サイトへの誘導数を稼ぐのに適しています。
■ デメリット
ゲーム画面の端に表示されるため、
プレイに集中しているユーザーには見落とされやすく、クリック率(CTR)が低くなる傾向にあります。
生成AIを使ったバナー広告の作り方は以下の記事で解説しています。
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手法② リワード広告

※画像引用(出典:https://ad-generation.jp/support/adg-help/ad-type/rewarded-video-ad)
リワード広告は、
ユーザーが動画広告を最後まで視聴することで、ゲーム内の報酬(スタミナ回復やアイテム)を得られる仕組みです。
■ 活用法
スタミナが切れたタイミングや、ショップ画面、コンティニュー画面で提示されます。
ECサイトのクーポン配布や、
アプリインストール後の継続率向上を目的としたキャンペーンに非常に有効です。
■ メリット
報酬という明確な動機があるため、視聴完了率が通常90%を超えます。
ユーザーから「自分を助けてくれる広告」として感謝され、
ブランドへの好意度が向上しやすいのが最大の特徴です。
■ デメリット
報酬目的の視聴者が多いため、ブランドそのものへの興味が薄いユーザーも含まれます。
その後の深いエンゲージメントには繋がりにくい場合がある点に注意が必要です。
手法③ インタースティシャル広告

インタースティシャル広告は、
ゲームのレベルアップ時やロード時間などの区切りに表示されるフルスクリーン広告です。
■ 活用法
プレイの合間に必ず目に入るため、
新商品の告知や期間限定のキャンペーンなど、短期間で爆発的に認知を獲得したいシーンで活用されます。
■ メリット
画面を完全に占有するため、
メッセージの伝達力が非常に強く、インパクトのある訴求が可能です。
プレイの進行上、必ず表示されるため、狙ったターゲットへ確実に届けられます。
■ デメリット
表示頻度やタイミングを誤ると、
プレイの邪魔だと感じられ、ユーザーの離脱やブランドイメージの低下を招くリスクがあります。
手法④ イントリンシック広告

イントリンシック広告(本質的広告)は、
ゲーム内の背景やオブジェクトの一部としてロゴやビジュアルを配置する手法です。
■ 活用法
スポーツゲームの競技場看板、オープンワールド内の街頭看板、
レースゲームの車体デザインなどに活用されます。
現実世界の屋外広告(OOH)をデジタル空間に持ち込んだような運用が可能です。
■ メリット
プレイ体験を一切損なわないため、ユーザーからの拒絶反応を最小限に抑えられます。
その世界に実在するブランドとして認識されるため、信頼感やプレミアム感の醸成に寄与します。
■ デメリット
景観の一部となるため、クリックや即時の購入を促すのには適していません。
効果計測には、クリック率ではなく「注視時間」などの新しい指標が必要です。
手法⑤ プレイアブル広告

プレイアブル広告は、
広告枠そのものがミニゲームになっており、ユーザーが実際に操作して試遊できる体験型の手法です。
■ 活用法
アプリゲームの面白さを短時間で体感してもらう際や、新サービスのシミュレーションに活用されます。
広告主の商材を「遊びながら理解してもらう」体験を提供します。
■ メリット
ユーザーが能動的に参加するため、
受動的に見るだけの広告に比べ、記憶への定着率が群を抜いて高いです。
納得したユーザーが流入するため、その後のコンバージョン(CV)の質が高くなります。
■ デメリット
HTML5などの技術を用いた開発が必要になるため、
通常のバナー制作に比べて制作コストと開発期間がかかります。
手法⑥ アドバゲーム

アドバゲームは、
特定のブランドや商品を宣伝するために、ゲームそのものを自社でゼロから構築する手法です。
■ 活用法
ブランドの世界観を反映した独自のスマホゲームやWebゲームを公開し、
ランキング形式でプレゼントキャンペーンを行うなど、
深いファン作り(エンゲージメント)に活用されます。
■ メリット
100%自社専用の設計ができるため、ブランドメッセージを最大限に表現できます。
ユーザーが長時間ブランドに触れ続けるため、非常に深いロイヤリティの向上が期待できます。
■ デメリット
ゲームを一本開発することになるため、莫大なコストと時間が必要です。
また、
開発したゲーム自体にユーザーを呼び込むための集客施策も別途必要になります。
手法⑦ カスタムワールド

カスタムワールドは、『Roblox』や『Fortnite』などの既存の人気プラットフォーム内に、
自社専用のマップや島を作成する手法です。
■ 活用法
メタバース空間の中にブランド専用の店舗やアトラクションを設置します。
Z世代やα世代が多く集まる場所へ直接「出店」し、デジタルアイテムの配布などを通じて接点を作ります。
■ メリット
アドバゲームをゼロから作るよりもコストを抑えつつ、
既にユーザーが数千万単位で集まっている場所で展開できます。
ソーシャル性が高く、SNSでの拡散も期待しやすい手法です。
■ デメリット
各プラットフォームの仕様や規約に縛られるため、自由度が制限される場合があります。
また、ターゲット層がそのプラットフォームの利用者に限定されます。
3. 今ゲーム広告が注目される背景
なぜ今、多くの企業がゲーム内へと予算をシフトしているのでしょうか。
その背景には、
大きく分けて「技術の進化」と「プライバシーのルール変更」の2つがあります。
3-1. 通信技術の進化と「没入型プラットフォーム」の台頭
現在、世界のゲーム市場は成長を続け、広告市場もそれに比例して拡大しています。
今は通信速度(5Gなど)が上がり、スマホでも映画のようにリアルな映像が動かせるようになりました。
最近の『Roblox(ロブロックス)』や『Fortnite(フォートナイト)』といったゲームは、
もはや単なる遊びではなく、友達と集まる「放課後の公園」のような場所になっています。
3-2. Cookie規制下におけるデータ精度の優位性
個人情報保護(Cookie規制)の強化により、
従来のWEB広告では精緻なターゲティングが難しくなりました。
しかし、ゲームアプリはユーザーの同意に基づいた質の高いファーストパーティデータを保持しており、
プライバシーを守りながらも狙ったターゲットへ確実に届けることが可能です。
これが、今の運用現場における最大の強みとなっています。
Web広告のターゲティングに欠かせなかった「サードパーティークッキー」の廃止が進んでいます。
その理由と、今後の広告運用に与える影響については、以下の記事で分かりやすく解説しています。
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4. ゲーム広告が選ばれる3つの戦略的強み
各手法の特性を踏まえた上で、媒体としてのゲームがビジネスにもたらす価値を整理します。
4-1. SNSより深く記憶に残る
SNSをスクロールしながら流し見する広告とは違い、ゲームユーザーの集中力は極めて高い状態にあります。
この高いアテンション(注視)が、ブランド名や内容を深く記憶に残し、
結果としてSNS広告の約2倍以上のブランド想起につながるというデータも出ています。
4-2. 全世代に幅広く届く
ゲームは若者だけのものというのは過去の話です。
現在、スマホゲームユーザーは全世代に広がっています。
特にZ世代にとって、ゲームは友人と集まる社交場です。
テレビやWEBニュースをほとんど見ない層に対しても、
ゲームを通じて深い接触を図れるのは大きな強みです。
4-3. 確実に表示される
ブラウザ広告ではアドブロッカーが普及していますが、
アプリ内に直接配信されるゲーム広告は、その影響をほとんど受けません。
投資した予算が、意図したターゲットの画面に確実に届くという配信の確実性は、
広告費用対効果(ROAS)を最大化させる上で不可欠な要素です。
本記事のテーマであるGoogle広告の運用について、
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5. 実務で役立つ具体的な成功事例
実際にどのような成果が出ているのか、有名な事例を見てみましょう。
事例① Final Fantasy XV

人気RPG「Final Fantasy XV」では、
アウトドアブランドのコールマンやカップヌードルがゲーム内に登場しました。
単なるロゴ掲出ではなく、キャラクターがキャンプで実際に製品を使用することで、
ユーザーに深い親近感を与え、SNSでも大きな話題となりました。
事例② League of Legends

世界的なeスポーツタイトル「League of Legends」の公式大会では、
マップ内の壁面にマスターカードなどの看板が掲載されました。
白熱した試合の最中に、視聴者の邪魔をせずブランドを露出させる手法は、
現実のスポーツ中継に近い高い広告効果を証明しています。
事例③ Jetpack Jump

モバイルゲーム「Jetpack Jump」では、プレイの合間にリワード広告を導入しました。
ユーザーが動画を見て報酬を得るという選択を自然に行えるように設計した結果、
収益指標であるCPMが2倍に向上し、広告主・ユーザー・開発者の三者が得をするモデルを構築しました。
6. インゲーム広告を成功に導く「運用」と「評価」
インゲーム広告で成功を収めるためには、従来のWeb広告の常識を捨て、
ゲームの特性に合わせた「配信設計」と「効果測定」をセットで構築する必要があります。
6-1. 【設計の工夫】「不快感」を「没入感」に変える
インゲーム広告はユーザーの圧倒的な没入感を味方につけられるという利点もありますが、
「広告がプレイヤーの集中を妨げ、ブランドへの反感を買ってしまうリスクがある」という懸念もあります。
Web広告では「目立つこと」が重視されますが、ゲーム内では必ずしも正解ではありません。
世界観を壊すような派手すぎるデザインや、プレイを中断させるような強引な表示は、
ユーザーに「邪魔をされた」というネガティブな印象を与えてしまいます。
■ 運用のポイント
広告を単に出すのではなく、
看板やポスターとして「ゲームの風景に自然に馴染ませる」クリエイティブ設計が不可欠です。
また、ミスをして悔しい瞬間などは避け、ステージクリア後など
「心理的に一息つくタイミング」で表示する配慮が、ブランドの好感度を維持する鍵となります。
6-2. 【評価】クリック率に代わる「注視時間」の計測
インゲーム広告は、プレイ中に「クリック(サイトへの遷移)」をしてもらうことを目的としていません。
そのため、
従来の広告で重視されていた「クリック率」では成果を正しく評価できないという課題があります。
そこで、クリックの代わりに
「その広告が、どれだけしっかりとユーザーの視界に入ったか」を数値化する新しい指標を用います。
具体的には、以下の条件をリアルタイムで判定します。
■ 評価のポイント
- 視認の判定基準(ビューアビリティ)
- サイズ
画面内で内容が判別できる十分な大きさで表示されたか - 角度
プレイヤーから見て、内容が読み取れる適切な向きであったか - 遮蔽(しゃへい)
壁やキャラクターなどの障害物に隠れずに表示されていたか
これらの条件を満たした状態で、
「合計何秒間、ユーザーの視界に入り続けたか(注視時間)」を計測します。
この数値を分析することで、
ブランディングへの貢献度を客観的に証明することが可能になります。
7. まとめ
いかがでしたでしょうか。
ゲーム内広告は、もはや一部の層に向けた特殊な媒体ではなく、
幅広い層に深いインパクトを与えるメインストリームの手法となりました。
重要なのは、ユーザーのプレイ体験を尊重し、いかにその時間を豊かにできるかという視点です。
- 手法の選択
認知なら本質型、獲得ならリワード型など、目的に合わせる - メリット、デメリットの把握
各手法の長所と注意点を理解し、リスクを最小限に抑える - 最新の計測
クリックだけでなく、注視度やブランドリフトで価値を測る
これらのステップを意識することで、ゲーム広告は貴社のマーケティングを支える強力な武器になるはずです。
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