自社のマーケティングやプロモーション施策として、Web広告を運用する企業は増えています。
広告運用は、自社で内製化する場合もあれば、広告代理店に依頼する場合もあります。
また、フリーランスとして広告運用を請け負うケースも少なくありません。
いずれにせよ、費用対効果をはじめ広告運用の効果を高める必要があり、そのためには様々なスキルや経験が求められます。
広告運用は、目的に応じてターゲットを選定し、対象となる媒体に広告出稿していくことで効果につなげていきます。
その業務は、媒体選定から広告クリエイティブの作成、入稿設定、運用管理、効果検証など多岐に渡ります。
ユーザー行動の多様化や流行の短期化が進む昨今においては、いつどのような広告がユーザーに響くのか分かりません。
適宜カスタマイズしながら運用できるWeb広告だからこそ、ユーザー傾向をふまえ適切にアプローチしていくことが求められます。
そこで今回は、広告運用の基本的な業務内容から、求められるスキル、特徴などについてポイントを中心に紹介していきます。
広告運用とは?
そもそも広告運用とは、Web広告を中心に目的やターゲットに応じて広告を出稿・管理する業務のことを指します。
広告運用には、戦略立案から出稿先媒体の選定、広告クリエイティブの作成、入稿設定、入札価格の調整、効果検証など様々な業務が存在します。
これらをリアルタイムで管理・運用し、状況に応じて入札価格の変更や、広告文の変更などカスタマイズしていくことで、広告の費用対効果を高めていきます。
Web広告では、広告の表示回数やクリック数、その後のコンバージョン率などユーザー行動を細かく可視化することができます。
そこに加えて、広告クリエイティブや出稿先の媒体などもリアルタイムで変更することができるため、数値・データにもとづく最適化につなげやすい特徴があります。
運用が必要となる代表的な広告の種類
リアルタイムでカスタマイズできる広告は、運用型広告ともいわれています。
この運用型広告は、テレビCMや看板広告、期間指定のWeb広告などと異なり、状況に応じてカスタマイズすることができるため、費用対効果を高めやすい傾向にあります。
代表的な運用型広告の種類について紹介していきます。
① リスティング広告(検索連動型広告)
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!といった検索エンジンにおいて、ユーザーが検索したキーワードに応じて上位に表示させる広告のことを指します。
検索連動型広告とも呼ばれています。
ユーザーが検索するキーワードは、ユーザーが探している情報や、気になるニーズや悩みとも言えます。
これに対して解決策となる情報を、検索結果の上部に広告として訴求することができれば、顕在層に対してアプローチできるため、効果につなげやすい特徴があります。
クリック課金制で、少額からでも活用できるため、広告運用を突き詰めることで費用対効果を高めることも期待できます。
② DSP広告(コンテンツ連動型広告)
DSP(Demand Side Platform)広告とは、様々なWebサイトやアプリケーションに対し、バナーなどで表示させる広告手法のことを指します。
コンテンツ連動型広告とも呼ばれ、ディスプレイ広告の一種に含まれます。
DSP広告には、独自のアルゴリズムによって自動で運用するタイプと、手動で設定して運用するタイプの2種類が存在します。
いずれもユーザーの属性やニーズに応じてターゲティング設定することが可能なため、過去の実績や傾向をもとに運用していくことで効果を高めることが期待できます。
③ SNS広告
SNS広告は、FacebookやInstagram、X(旧Twitter)、LINEの他、YouTubeやTikTokなどに対して広告配信を行う手法です。
スマホの普及やSNSの浸透などに伴い、多くのユーザーがSNSを情報収集ツールとして活用しています。
拡散性も高く効果につながりやすい特徴などもあるため、多くの企業が導入・運用しています。
各SNS媒体によってターゲットや広告メニューも異なるため、目的に応じて使い分ける必要があります。
基本的にはバナーによる訴求が多くなりますが、YouTubeやTikTokなど動画による広告も出稿可能なため、適切にアプローチすることで効果を高めることも期待できます。
広告運用における基本的な業務内容
次に、広告運用における基本的な業務内容について紹介していきます。
広告運用は、企画からクリエイティブ作成、入稿、効果検証と多岐に渡ります。
運用効果を高めるためには、それぞれの業務において適切に対応していくことが求められます。
① 広告の企画立案
まず、自社の目的をふまえ広告の企画立案を行います。
広告は、目的に応じて手法が異なります。
ブランディング目的とコンバージョン獲得では、出稿先の媒体選定をはじめ、アプローチ手法を変えなければ効果につなげることはできません。
また、予算に応じて展開しなければ、無駄なコストで終わってしまう可能性も高まります。
そのため、事前に目的やターゲットを明確化するとともに、KPIやKGIを設定しながら企画立案していくことが重要です。
② 広告クリエイティブの作成
続いて、広告クリエイティブを作成していきます。
広告クリエイティブも出稿先の媒体によって異なります。
リスティング広告であればテキストのみで構いませんが、DSP広告であればバナーが、YouTubeやTikTok広告の場合には広告用の動画を用意する必要があります。
広告クリエイティブの制作は、自社で行うこともできますが、より精度を高めるためには制作会社に依頼するケースもあります。
その場合には、当然ながら制作費が別途必要となるため、広告予算をあわせ検討していくことが重要です。
③ 広告の入稿・配信設定
広告クリエイティブを作成したら、各媒体に入稿・配信設定を行います。
広告媒体によって入稿手順や配信方法は異なります。それぞれ専用ツールが用意されており、入稿時にも仕様を押さえておかなければ審査落ちしてしまう可能性も起こり得ます。
また、ターゲティング設定や配信時間などを調整しておかなければ、無駄なコストのみが発生するケースもあります。
そのため、広告運用には出稿先の媒体の管理画面の特性をふまえ、適切に入稿していくことも求められます。
④ 出稿後の効果検証
運用型広告は、広告出稿後にリアルタイムで改善につなげられる点が魅力として挙げられます。
そのため、広告の表示回数やクリック数、コンバージョン率などをふまえ効果検証を行い、適宜改善につなげることで費用対効果を高めることが可能になります。
効果検証を行う際には、広告の管理画面はもとより、自社のページにおけるユーザー行動を可視化できるGoogleアナリティクスなどの解析ツールを活用し、適宜PDCAサイクルを回していくと効果的です。
そのためには、各ツールを適切に使いこなせるスキルが求められます。
⑤ 効果検証をふまえた改善
広告内容に問題がある場合には、適宜改善につなげる必要があります。
一般的に、広告効果が悪い場合には、出稿先の媒体や広告クリエイティブ、遷移先のLPなどに問題があることが想定されます。
例えば、広告のクリック数が多いにもかかわらず、コンバージョンにつながっていない場合には、LPの改善によって効果が高まる可能性があります。
このように、課題や問題点をいち早くつかみ、リアルタイムで改善していきながら運用効果を高めていくことが重要です。
広告運用に求められるスキル
続いて、広告運用に求められるスキルについて紹介していきます。
様々な業務が求められる広告運用では、工程ごとに求められるスキルも異なります。
これから広告運用を目指すのであれば、以下のスキルは押さえておくと効果的です。
① 広告運用ツールに関する知識や操作スキル
Web広告の運用には、様々な専用ツールを活用していきます。
リスティング広告には専用の管理画面があり、キーワードや広告文の入稿や予算管理はこの管理画面から行うため、機能や特性を正しく理解しておく必要があります。
また、SNS広告と一口にいっても、Facebook広告とX(旧Twitter)、TikTokではそれぞれ別の管理画面が存在します。
また、自社サイトの流入状況を確認するにはGoogleアナリティクスのような解析ツールが必要になります。
そのため、複数の広告を展開する場合には、それぞれ管理画面が異なるため、適切に把握しておくことが重要です。
② 広告の企画スキルやクリエイティブ制作スキル
ユーザー行動の多様化や流行の短期化が進む昨今において、何の広告がユーザーに響くかは分かりません。
このような中で、自社の目的やターゲットをふまえ運用効果を高めるにはどうすればいいのか、戦略から企画立案していく必要があります。
また、広告においてクリエイティブ作成は重要な要素となります。
キャッチコピーや広告デザインなど、ただ話題性につなげるだけでなく、KPIやKGI達成に向けたクリエイティブを作成していくことが重要です。
③ 予算配分や管理・調整スキル
Web広告は、少額からでも予算を調整しながら運用していくことが可能です。
当然ながら予算を多くすれば、広告の露出を増やすことができ、より多くの集客などにつなげることが期待できます。
とはいえ、予算には限りもあるため、どのように配分して運用していくかが重要になります。
例えば、キャンペーンなどがあれば、その期間の露出を増やすことで、効果につなげやすくもなります。
闇雲に配信し続けるのではなく、狙いや目的をふまえ戦略的にコントロールしながら運用していくことが重要です。
④ 数値・データを分析するスキル
Web広告では、様々なユーザー行動を数値・データによって可視化することが可能です。
例えば、表示回数やクリック数だけでなく、滞在時間や離脱率、動画の視聴などを数値・データで把握することもできます。
これらの数値・データを、ただ眺めるだけでは効果につなげることはできません。
仮説立てから効果検証、改善に至るまで、数値・データを活用していきながら運用効果を最適化することが重要です。
広告運用の働き方のタイプ
最後に、広告運用の働き方について紹介していきます。
広告運用を業務として扱う場合、主に以下のような働き方タイプが存在します。
① 自社の広告運用者として担当するタイプ
広告運用は、業種業態問わずマーケティングやプロモーション施策として重要になります。
そのため、自社で業務として携わるケースは多くあります。
一般的には、マーケティング部署が担当し、目的に応じて予算を調整しながら運用していきます。
とはいえ、中小企業の場合にはマーケティングのような専門部署はなく、他の業務と兼業しながら広告運用を行うことも少なくありません。
自社の商材やサービスを把握しているため、広告展開することでクリエイティブ作成や改善などにつなげやすい特徴がある一方で、兼業によって工数がかけられず、中途半端に終わってしまう可能性も起こり得ます。
② 広告代理店として担当するタイプ
広告運用は、代理店として代行するケースもあります。
企業の悩みや目的をヒアリングした上で、予算に応じて広告運用を最適化していきます。
広告代理店では、1人の担当が企業の広告運用のすべてを請け負うパターンと、入稿管理やクリエイティブ作成、レポート作成など工程によって担当が変わる分業パターンに分かれます。
広告運用に特化し、様々な業種のクライアントを担当することで、広告運用スキルや経験を高めることが可能です。
とはいえ、企業から委託されている以上、効果につなげなければならず、プレッシャーや高いスキルが求められるタイプでもあります。
③ フリーランスとして担当するタイプ
また、フリーランスとして広告運用に携わる場合もあります。
この場合には、基本的に広告運用に関する一部分の工程を任されるケースが多くなります。
例えば、広告クリエイティブの作成や、レポート作成、入稿業務のみなどを請け負うケースが一般的です。
業務内容が限定されるため、自由な時間が得られる点が魅力となりますが、全体的に携われるタイプとは異なり、スキルアップにつながる可能性は低くなります。
まとめ
広告運用は、マーケティングやプロモーション施策の効果を高める上で重要な業務となります。
企画立案から広告クリエイティブの作成、入稿・管理、効果検証など様々な工程が存在し、それぞれ適切に対応していくスキルが求められます。
IT技術の発展に伴い、運用型のWeb広告は需要が高まり、管理画面や解析ツールなど日々ブラッシュアップしています。
これらを正しく理解し、目的に応じて活用していくことで、費用対効果を高める効果が期待できます。
今回紹介した内容も参考に、各業務や求められるスキルを押さえ、運用効果を高めていきましょう。